86 / 140
5章 嵐は…
24話 母娘の語らい
しおりを挟むお腹もいっぱいになり綺麗な月を眺めながらゆっくりと歩いて宿に戻る。
レイディとカルラにも今日はジャイアントリザードのお肉を上げました。
『うまうま、なのヨ』
『ふむ、まあまあイケます。お嬢』
と、好評価でした。食わず嫌いはいけませんね。反省。
今日は寝る前にお勉強しましょう。アレクス君は文字の書取り。随分と読めるようになりましたが書けるようにもならないとね。
ウリュ君は【中級魔法の基礎】と【中級魔法の応用】の2冊は読み終えてしまったということで【上級魔法の習得】と【強化魔法のあれこれ】を渡しました。
ママンがアレクス君の字を手直ししたり、ウリュ君の質問に答えたりするのを見ていると昔の風景がよぎる。
自領の邸の中庭でお茶をしていたママンにクリスとエレーニア2人突撃したんだ。家庭教師の宿題の解らない所を質問に行った。
「まあ、貴方達、こんなところでつまずくなんて侯爵家の子供として恥ずかしいと思いなさい」
なんて言いながら丁寧に教えてくれた…うらやましい………ん?なんで?
「さあ、今日はこれくらいでお終いにしましょう。貴方達、寝る前に顔を洗ってらっしゃい」
「「はーい」」
2人は勉強道具を片付け顔を洗いにいく。その間にテーブルセットをしまってマットレスと毛布を出す。顔を洗ってパジャマに着替えると2人は毛皮と毛布の間に潜り込む。
「おやすみー」
「おやちゅみなちゃい」
午後の訓練で疲れていたのか、2人はあっという間に寝入ってしまった。
あれ、2人がマットレスの方で寝たということはママンとベッドってことですね。
ママンが寝支度を整えるとベッドに先に入り、ポンポンと隣を叩く。あー、ではお邪魔します。
《ライト》を消すと窓から月明かりが差し込み部屋はほんのり明るくママンの横顔をみた。
「あなたとこうして同じベッドで眠るのは何年ぶりかしら」
5歳の頃には独りで寝ていたのではないでしょうか。
「…エレーニア、わたくし明日王都に戻ろうと思うの」
思わずガバリと起き上がってしまう。
「お母「声が大きい、2人が起きてしまうわ」…申し訳ありません」
指でそっと口を抑えられ、思わず謝ってしまうとママンがニッコリ微笑む。
「婚約破棄されて自暴自棄になっていないかと心配したけど、そんな事は全然なかったわね。婚約破棄のことはわたくしもお父様もこれでよかったと思っているから気にしなくていいわ。あそこまで下半身に左右される男になるとは思わなかったのよ」
王子えらい言われようだ。しかしリリアの前も何度か女性問題でトラブったんだよねアイツ。
「貴女、北方連合国にいくのでしょう?」
またもハッとする事を言われてママンの方を向く。
「いいんじゃない。王都に戻ったところで学園に通うわけにもいかないでしょうし。貴女は王妃教育も他のことも目一杯頑張ったから学園で学ぶ事はもうないでしょう。だから……
学園に通う筈だった2年自由にさせてあげる。今の貴女のならAランクいえSランク冒険者相当の実力はあるわ」
「それを確かめるために一緒にダンジョンへ行ったんですか?」
「そういう訳じゃないけど…
いろんなところに行っていろんなものを見てくるのはいいことだと思うわ。わたくしも学園在学中に一年ほどあっちこっちに行ったしね」
なんですと?まさかそれで冒険者ランクAなの?
「貴女の考えてる通りよ」
おう、心読まれた。
「わたくしはお父様を無理やり引っ張っていって2人であっちこっち見て回ったのよ。まあ婚前旅行みたいなものね」
ね、じゃないです。パパンも一緒に?
「あの人が今領主としていっぱしにやっていけるのはその時の経験があるからよ」
ママンが『私のおかげよ!』とドヤ顔です。
「貴女が独りだったら考えたけど、可愛いナイトが2人も付いているし…でもね」
ママンが寝返りを打ちこっちを向く。アメジストの瞳が私を射抜く。私と同じ色の瞳。
「隠し事は…ダメよ。一緒にいたいのなら、嘘は駄目…」
「…嘘」
「さ、もう眠りましょう、睡眠不足は美肌の敵なのよ」
天井を見上げて考える。
……嘘
それは今の姿であり、名前であり、過去を隠しているという事。
出会って1ヶ月、楽しい毎日だった。ウリュ君を見た時不思議と懐かしい気持ちになった。なぜか解らないけど一緒にいたいと思った。
明日、そう明日話そう。それで2人がどうしたいか、決めるのは2人だもの。
うん、寝よう。今考えても答えは出ない。全ては明日答えが出るのだから。
……どは、僕が……る…ら
とり………そう、エル……アの……を…
チュンチュン、チチチ…
朝です。何か夢を見たような気がしますが、よく覚えてません。最近多い気がする。
顔洗って朝ごはんの準備しましょう。ママンもウリュ君達も寝ているので起こさずに。
と思ったら起きてきた。目を擦りながらウリュ君が挨拶をする。
「おはよう、オネーちゃん」
「おはよう、顔洗ったら朝ごはんにしましょう」
「ごはん!」
ごはんの言葉で起き上がるアレクス君の寝覚めは早い。今日の朝食は昨日のリザードの唐揚げを挟んだ唐揚げドックにしましょう。
マットレスに《ピュリフィケイション》をかけてから収納しテーブルセットを出す。
朝食の用意ができたころママンの朝の支度も終わったようだ。
アレクス君以外は肉少なめですが。
食事が終わりゆっくりとお茶を飲んでいるときに切り出した。
「2人に話したいことがあるの」
0
あなたにおすすめの小説
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる