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6章 女神祭に行こう
7話 夜営で漫画肉
しおりを挟む「あはは~」
笑って見た。
「いいじゃないですか、それでお嬢様が快適に旅ができるなら」
トーナさんナイス!
「冒険者の事情は詮索しないってのは冒険者ギルドの決まりですけど、貴族だって詮索すればギルドに“お仕置き”されますよ」
ありがとう、レスさん。
ウィルさんが頬をぽりぽり掻いている。
「優秀な冒険者をスカウトするのも僕の仕事なんですよ?まあエルさん達はこの国の民ではないですから勧誘は諦めます。商会として税金をいっぱい納めてもらう事で良しとしましょう」
スカウト、領主子飼いの冒険者ってやつ?それってAランク冒険者にくる話だよね。私Dランクですけど。
「エル姉、肉焼いていい?」
アレクス君が袖をツンツン引っ張る。
「あ、ごめん。これお願い」
「よっし。ウリュ、肉焼くぞ」
皿に積んだ骨付き塊肉をアレクスクス君に渡す。さてバレてしまったのでもう遠慮はしない。インベントリから魔導オーブンを出す。表面を直火でパリパリに焼いた肉をオーブンでじっくり中まで火を通して完成するのだ。
スープから骨を取り出し乾燥野菜を入れて仕上げまではトーナさんに任せる。
「彼仕事熱心だけど、引くべきところも心得てるし。喋る様な事は無いから、あ私も。
それとお嬢様様は気が付いてないと思うので、悪い子じゃないのだけど口が軽いのがね
…」
トーナさんがそんな事を言いだす。主家の令嬢に対していいのか?本人がいいなら構わないけど。
ロッテ嬢の口の軽さは経験済みなのです。まあ自重しない私もいけないのでロッテ嬢の前では(なるべく)気をつけましょう。
「スープは出来たわ。パンは日持ちのするバケットがあるから切るわね」
「お皿あります?肉料理盛り分けたいんですけど」
「とってくるわ、ちょっと待ってて」
トーナさんが皿を取りに行ってる間に焼けた肉をスライスする。男性陣には塊焼きだが女性陣はカットして皿に乗せる。ロッテ嬢にカブリ付けと言うのは無理だろう。
「お待たせ」
トーナさんがスープ用のカップと皿を人数分持って来たので盛り付けていく。
「そういえば、匂いが全然広がってないのだけど、エルさん」
「ええ、風魔法で匂いを広がらない様上に逃がしてますから」
「調理しながらそんなことまで…いえ貴女はそう言う人だと思う様にするわ」
ウリュ君が《ストーン&クリエイト》で座卓の様なテーブルを作った。真ん中にスープ鍋とカットしたバケットを入れた籠を置く。
ウリュ君とアレクス君はマイカップを並べいつも使っている水差しを置いていた。今日の水はアレクス君が出した見たい。男性陣には塊焼き、女性陣にはカットステーキの皿をおく。カトラリーは冒険者ならマイ箸ならぬマイカトラリーを持っているのだが、彼らの分レスさんがまとめて荷物から出して来た。ウィルさんがロッテ嬢の座る場所に座椅子の様なものを置く、他のメンバーは直に地面に座る。トーナさんも貴族令嬢なのにいいのかな?
私の考えてることが解ったのかウィルさんが
「トーナは護衛騎士としての訓練も受けてます。夜営経験もちゃんと積んでますから」
おお、トーナさんは戦うメイドさんだったのですか。
座る位置はロッテ嬢から時計周りにトーナさん、私、ウリュ君、アレクス君、レスさん、ウィルさんの順。
皆がパン籠を回しながらパンをとって行く。私はカップにスープをよそって配っていたところに、トーナさんがロッテ嬢を連れて戻って来た。
ロッテ嬢が座椅子に座ると周りを見回す。
「どうしてウィル達と私のメニューが違うんですの?
私もそれがいいわ。
そっちのお肉が食べたいですわ」
え?ロッテ嬢、塊焼きの方がいいのか、ボリューム凄いよ、だってうちのニクスキー仕様で作ったから、ウィルさん達でも多いかもって思ってるのに…
「…では私のものと取り替えま「僕のと替えまちゅ」」
ウィルさんの言葉を遮りウリュ君が皿を差し出す。
「僕これ食べきれないでちゅ、どうちぇアレクちゅが食べる事になるんでちゅ」
にっこり笑顔で肉を差し出す。それを頬を染めたロッテ嬢が見ていた。
「いいのかい」
「はい、僕たちはいつでも食べれまちゅから」
ウィルさんは皿を受け取りロッテ嬢の分と交換する。
「ではいただきましょう」
ウィルさんの言葉を合図に食事が始まる。
因みにロッテ嬢の赤面は2つ下とはいえ男の子のウリュ君が『食べきれない』と言った肉を『食べたい』と言ってしまった事に羞恥を感じたからで、決してウリュ君ニッコリビームにやられた訳ではない…と思う。
しかし、このお嬢様も貴族のご令嬢らしからぬ(お前が言うか、と言うツッコミは受け付けませんよ、ホホホ)ところがあります。みんなの前で塊焼きにカブリ付きました。
トーナさんが額にてを当てて大きなため息をついてますが、ロッテ嬢は全く気付かず、
「おいひいれすわ、
表面はパリッとしてるのに、中は柔らかく
噛めば肉汁がじゅわっと溢れて
ハーブを擦り込んでますわね
それでかしら、臭みがなくて
酸味のあるこのバケットとも合いますわ」
……どこの食レポ芸人ですか?
しかし12歳の貴族令嬢、1キロほどありそうな塊焼きを完食できるはずもなく。
残りは言うまでもなく、うちのニクスキーがたいらげましたが、なにか?
「くっ、私とした事が…動けん。なんと言う失態…」
「…」
「…えっと、見張り役、任せてもらってウィルさんは今日は休んでもらって…どうぞ?」
塊焼きを完食して、満腹過ぎて動けなくなったウィルさんに休む様に進めた。
レスさんは細めに見えるが、昨日の昼食時も思ったがうちのニクスキーと同等量食べるのだ。2人の胃は異次元につながっている…
残しても良かったのに無理して完食するから。
見張りと言ってもレイディもいるし、バイコーンの3頭も気配察知は優れているので、そんなに必要ないと思う。
「いや、そう言うわけには…」
「なら、最初にアレクス君とウリュ君、2番手に私、3番手はレスさん、4番手ウィルさんで」
「エル姉、俺も1人で大丈夫」
「僕も」
2人が訴えてくる。時間的にそんなに細かく分ける必要無いから。小さな声で
「2人は見張りをしつつ勉強してね。ウリュ君【薬草、特徴と調剤方法】途中までしか読んで無いでしょ。アレクス君は文字の書き取り、リッサに手紙の字が汚いって言われるわよ」
「うっ」
「わかりまちた」
振り向いてウィルさんに言う。
「と言う事で。トーナさんはロッテ嬢のお世話もあるので今日は休んでください」
ロッテ嬢はさっき私がマットを出したのですでにお休みだ。
私とトーナさんも一緒にそこで寝る。身分?馬車なしの夜営でそんな事言ってはいけません。そもそも私のマットだし。
ただね、男女別なのでウリュ君達はウィルさん達と寝る事に……ううっ、間の仕切り作るんじゃなかった。くすん。次の夜営時は三部屋に分けようかな…
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