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6章 女神祭に行こう

8話 お嬢様は(も)自重しない

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   翌朝、割とゆっくり目で起きる。夜間に出た魔獣はアレクス君達の時間帯に角熊1匹。私の時間帯はオーク3匹、レスさんの時にダイアウルフ4匹(バイコーンに蹴り殺されました)。ウィルさんの時間帯には何も出なかった様だ。角熊はアレクス君のマジックバックの中。ダイアウルフは革がボロボロで剥げそうになかったので内臓をバイコーン達のご飯用に取り置き後は埋めたそうです。ウルフ系のお肉は美味しくないですから。

   朝ご飯は昨日のスープの残りを温めなおし、焼きたてパンをインベントリから出し、角豚のベーコン(アップルトレントチップで作ってみました)とレタスとトマトでBLTサンドです。

   貴族のお嬢様にどうかと思うが、昨日塊焼き漫画肉に齧り付いていたので、バーガーやドッグ系も問題なしと見た。
   案の定眼をひんむいてバクバク食べてました。

「おいひいれすわ。
   カリッと焼けたベーコンからは燻製の芳ばしい香り
   フレッシュなトマトの酸味とあいまって、
   パンには少しマスタードが塗られているのかしら
   ピリッとしたアクセントとともに口の中に旨味が広がりますわ」

   うん、食レポ完璧。

   ウィルさんから昨日と今朝のご飯代として1万メル頂きました。貰いすぎな気がしますが

「夜営で街中と同等以上の食事がとれるなんてありませんから」
 
   と言われました。私達街中より夜営の方が美味しいもの食べてたりするかも。

   後片付け、洗い物をアレクス君達が、トーナさんとレスさんが荷物をバイコーンに積んで行く。
   私は見えない様にマットに《ピュリフィケイション》をかけインベントリに収納する。

   最後に壁を《砂化チェンジサンド》で崩す。

   後ろでウィルさんとレスさんが首を振っているのですがなにか?





   8時には出発し、2時間ほどでノーハの街に着いたのだがロッテ嬢はヒールポーションをほぼ飲み干した様だ。宿をとって長めに昼休憩をとることにした。

   ウィルさんとレスさんが着いているのでその間にトーナさんが食料の買い足しに行くことになったので私達が護衛に着いた。

「ねえ、エルさん。その、申し訳ないのだけれど、買ったものを預かってもらえないかしら。私もマジックバックは持っているのだけど…」

   市販されているマジックバックはインベントリと違い時間停止機能はない。私が作ったアレクス君達のショルダータイプのマジックバックには付いているけど、というか付けた。

「いいですよ」

   軽くオーケーする。

「ありがとう!」

   両手を持ってブンブン振るトーナさんは、その後色々買いまくった。

   焼きたてのミートパイホールごと×2、焼きたてコッコ鳥の丸々ロースト×3、角牛のブラウンシチュー鍋ごと、魚介たっぷりクラムチャウダー鍋ごと、焼きたてロールパン30個、ローストポークブロックごと×2、レタス、キュウリ、トマトなどのサラダ用野菜。
   何食分でしょうね。私がエオカで作った作り置きは出番なさそうだ。

   ん、気がつけばアレクス君が何かの串焼きを露店で購入している、このお買い物済んだら昼食なんだけど、まあいいか。

「ウィルには私達は外で食事を済ませると言ってあるの、どこかに入って食事をしましょう」

   串焼きを飲み込んだアレクス君が

「オレ、宿の人に美味しい肉料理のお店聴いたんだ、そこに行こう」

   言いながら私とトーナさんの手をぐいぐい引っ張って行く。通りを宿の方に向かって早足で歩くアレクス君。すでにお店の場所は確認済みの様です。買い物に向かってる時にチェックしたのね。


   着いたお店は先ほどミートパイを購入したお店でした。ということはミートパイ美味しいんだろうな。

   アレクス君は分厚いステーキ、私とウリュ君はハンバーグ、トーナさんはタンシチューをオーダーしました。
   金牛亭が町の定食屋さんとすれば、こちらはちょっと小洒落たフランス料理風でした。

   ニクスキーのお眼鏡にかなった様で満足顔で宿に戻ります。




   食事時間含んで4時間ほど休憩をとり、ロッテ嬢も復活しました。

「あまりポーションをがぶ飲みするのもよくないので、午後からはゆっくり進みましょう。休憩も1時間毎に確実にとる様にして」

   バイコーンも全力疾走させれば1時間毎に休憩が必要だが、ゆっくり目だとそれほど必要ではないのだが。

「それだと予定より日数がかかってしまいますねえ」

   ウィルさんの言葉にトーナさんが返す。

「徐々になれるでしょうから後半は速度を上げられるんじゃないですか?」

   自身なさげにレスさんがいう。そうロッテ嬢がバイコーンに慣れるかどうかはわからない。
   乗り物酔いが酷い体質だとダメかもしれないから。うーんどうするか。

   ちょっとアレクス君に耳打ちする。

「アレクス君、バイコーンに乗ってみたい?」
「乗ってみたい!」

   間髪入れず大きな声で返答頂きました。みんながこっちに注目する。

「提案なんですが、ロッテ嬢をレイディに乗せて、代わりにアレクス君をバイコーンに乗せてもらうと言うのはどうでしょう」

   ベッドに横になっていたロッテ嬢ががばりと起き上がり、私の前に飛んできて両手を握る。
   ええ~元気じゃん。

「それでお願い、そうしましょう!
   ウィル、いいわよね!
   トーナ、いいでしょう!
   レス、かまわないわね!
   エルさん、お願いしますわ!」

   どんだけグリフォンに乗りたがっていたのでしょうか。もう眼がキラッキラです。

   トーナさんが額に手を当て大きな溜息を着いてます。癖ですか、ソレ。
   ウィルさんが苦笑しながら頼んでくる。

「すみません、エルさん。よろしくお願いします」

「じゃあ出発しましょう。
   さあ行きますわ。
   ウィル、宿の精算を。
   トーナ、荷物を片付けて。
   エルさん、参りましょう」




   アレクス君は馬に乗ったことはないので、レスさんとアルトに、ウィルさんが荷物を半分積んだツァイトに乗る。

   初めての乗馬と言うことで最初はゆっくりだったが

「大丈夫、もっと飛ばして」

「平気だよ、もっと速く」

   とレスさんを急かしていた。レスさんが気にして

「無理すると後で脚がガクガクするよ」

   と言うと。

「身体強化するから大丈夫!」

   と、30分もするとバイコーンがトップスピードで走り、アレクス君ではなく、トーナさんがぐったりとなった。ロッテ嬢の飲み残しのポーション飲んでたよ。



   さてロッテ嬢です。順番はロッテ嬢、私、ウリュ君の順で鞍がないので念のためウエストをロープで結わえて命綱にします。
   助走をつけると揺れるので重力魔法+風魔法の《飛翔フライト》でアシストします。これコントロール難しくて私単身じゃあうまくいかない。レイディの飛行能力があってまともに飛べるんだよ。魔法で空飛びたいじゃん、やってみたじゃん、死ぬかと思ったよ。

「まあ、思ったより風がないですわ。
   あら、あっという間にこんな高さに。
   ウィル達が小さいですわ。
   やっぱり飛翔系従魔はいいですわ。
   私も欲しいですの。
   できればペガサスがいいんですけど」


「うるちゃいでちゅ…」

   後ろでウリュ君がボソッとつぶやきました。




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 ウィルさんの裏設定。
   ウィルさんはクロード辺境伯爵家の寄子であるカーチス子爵家の長男、ロッテ嬢の姉の婚約者でもあります。なので辺境伯領の運営にも関わってます。あと、ロッテ嬢の兄とはウェイシア王国の王立学園で同期でもあります。

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2017.01.03(あ、ひな祭りだった)修正
3話と3.5話合体しました。

2017.03.04 お知らせ
16時に【その頃の面々】番外編1話投稿予定です。

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2017.03.04修正
街の名前を間違えてました。
【シスの街】は1日目に泊まった街
3日目午前中にたどり着いた街の名前は【ノーハの街】にしました。

誤字修正しました。
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