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6章 女神祭に行こう
10話 4日目は順調?
しおりを挟む食事から戻ってウィルさんに声をかける。
なんだかロッテ嬢が不機嫌だが、どうしたのだろう?
「この宿はお風呂がなく入浴できなくてゴネているんですよ」
「洗い場はあったよ、レイディに御飯持っていった後で宿の人が教えてくれた」
「昨日は夜営だったから我慢したの。
今日は宿に泊まっているのにお風呂がないなんて
明日まで我慢しなければなりませんの?」
案外綺麗好きなのか、ロッテ嬢は。
アレクス君に確認しておくか。
「アレクス君、桶出せそうな洗い場だった?」
「うん、大丈夫と思う、もうお風呂入る?先に勉強?」
「アレクス君達は部屋に戻って勉強ね。私はトーナさんと話があるから」
「わかった、ウリュ行こう」
「うん、オネーちゃん部屋に戻ってるね」
2人を見送りトーナさんに声をかけましょうかね。
「まあ、こんなものまでお持ちなんですか」
「私もお風呂好きなので、夜営時も入浴したくなる方なんです。ロッテ嬢と同じですよ」
風呂桶を洗い場に置きお湯を貯める。
「ロッテ嬢の入浴の間ここで警護してますのでお二人で一緒に入ってください」
「ではお言葉に甘えさせてもらいます。お嬢様こちらへ」
「エルさん、感謝しますわ
トーナ、髪を洗ってね。
代わりに背中を流してあげる」
案外フランクだな、ロッテ嬢。二人一緒については文句もなく楽しそうだ。
覗きに来る不届きものはいないだろうが、ここの洗い場は数人が一度に使えるように中心に井戸があり、衝立でブースに分けている。男女別に作られていないからな。
フロントでお金を出せば水入れるとお湯になる魔道具桶を借りれるようだがトーナさんはそれは持っていた。
「私も水魔法は使えますがお湯は出せませんわ」
「水を溜めてから火魔法で温める方法もありますけど、たし湯には無理ですねえ。
水と火の混合魔法なんですが覚えると便利ですよ。温度調節には微妙な魔力コントロールを必要としますが」
ウリュ君は随分上達したがアレクス君が熱湯か冷水の両極端だ。
「はうぅ、やっぱりお湯はよいのです」
ロッテ嬢の満足げな声が衝立の向こうから聞こえて来る。うん同感だよ。
2人が身だしなみを整え終わり部屋に戻る時、アレクス君達を呼んで来てもらうようトーナさんにお願いする。あとウィルさん達も入るかどうか。
アレクス君達が伝言を持ってやって来た。
「ウィルさん達は後で拭くからいいってさ」
「じゃあアレクス君達のあと私が入ったら片付けるわ」
「エルさんって本当になんでも持ってるんですね」
「トレントが何本も入るインベントリだからなあ」
「昨日の夜営でマットレスが出てきた時は驚きましたけど、序の口だったんですね」
「ウリュ君が魔法であれだけの物を造った時は驚いたが、エルさんなら普段もっとすごいの造ってるんじゃないかな」
「バスタブ並みの桶にお湯を一瞬で一杯にしたんですよ」
「そんな魔力量と魔力操作力の持ち主がなんで冒険者なんだろう?」
「「「うーん」」」
「今日はお昼には領都モヤーユで昼食、カリオソの森を抜けなくとも十分間に合いそうなので森沿いの街道を行きましょう。夕方にはヨッラにたどり着けると思います」
今日は最初からぶっ飛ばします。なぜって荷物全部預かってインベントリに入れたから身軽になりましたもん。
バレたんだから使いますよ、もう。
ウリュ君も今日はバイコーンに乗せてもらいます。
いちいち飛び移るの邪魔臭いし危ないですから。
そうなるとやばそうなのはトーナさんですが、アレクス君謹製ヒールポーションセカンド(笑)をアレクス君が格安で売るというので400メルで販売しました。
二度目の作成分は通常効果あるんですが、作った本人が良いというので。
カリオソの森沿いの街道ということで、昨日よりモンスター出現率がアップしました。
「エルさん、あそこに何かいますわ。
モンスターですの?
ウィルに知らせませんと。
上からだと遠くまで見渡せますのね」
はい、ロッテ嬢結構眼がいいですね。
減速しウィルさんの横を並走し、報告する。
「前方約1キロにグリーンウルフ5匹です」
「了解」
ウリュ君を乗せたウィルさんとアレクス君を乗せたレスさんがスピードをあげ、トーナさんと私は速度を落とす。
そして昨日と同じパターンでグリーンウルフは蹂躙されるんだ。
並み足程度まで速度を落とし、トーナさんはヒールポーションを一口含む。
「カリオソの森沿いといえどやはりモンスターの数が多い気がします」
「そうですね、ゴブリンやオークは人を狙うのでわかるんですが、森の奥にいるはずのグリーンウルフまで街道沿いに出てきてますから」
10分ほどかけて戦闘組に追いつくとすでに解体が終了していた。
「あと20分ほど進んだら休憩にしましょう」
ウィルさんの言葉に頷き先に進む。
領都に近くにつれ馬車や冒険者なども見かけるようになる。
馬車の横をぶっ飛ばすバイコーン3匹は・・・目立ってるよね。
休憩中、ぐったりしているトーナさんに代わりお茶を入れ、お茶請けに小さなタルトをつける。
「まあ、美味しいですの。
昨日のクッキーも美味しかったですが。
今日のタルトも、フルーツが新鮮です。
これはどちらのお店でお求めになったのですか」
「お菓子はオネーちゃんが作ってくれまちゅ」
「クレープとかも作ってくれるぞ」
「まあ、エルさん!
お料理もお菓子も作れる冒険者なんですね!
すごいですわ」
なぜか全然スゴくない冒険者に聞こえるけど。
三つめに手を伸ばすアレクス君に負けじと二つ目に手を伸ばすお嬢様。
トーナさんは嗜めようか迷いつつ、ウリュ君も二つ目を食べるのをみて辞めたようだ。
トーナさん自身はお茶だけでタルトは遠慮した。この後も揺らされるからね。
休憩を済まし領都モヤーユまで後3分の1というところで、前方に土煙が見えた。
「あれはなんですの?」
と、ロッテ嬢が訪ねてきた。
あ~、なんかデジャビュと言いましょうか、ロッテ嬢とも関係がある記憶にある事象と言いましょうか。
減速しウィルさんの横を並走し、報告する。
「前方約1.5キロに盗賊に襲われていると思われる馬車があります」
「止まれ!」
ウィルさんの合図で全員止まる。
「このままだとこっちに飛び火する可能性もあるのでちょっと蹴散らしてきます。ロッテ嬢をお願いします。ウリュ君交代」
ウリュ君がシュタッと後ろに飛び移るとロッテ嬢を抱きかかえウィルさんに渡す。
「オレもいくー!」
アレクス君が走って来たので引っ張り上げ前に座らせた。
「こちら側に逃がさないようにしますが、万が一に備えてください」
護衛対象を放り出すのは本当はいけないんだけど、こっちに来られる前に叩く方が楽だ。
守りながらの対人戦やったことないんだよ、アレクス君達と。負けるとは思わないけど万が一があったらだめなので、現在襲われ中の方々を保護対象として練習させていただきます。
え、ひどいって?むしろ助かる人が出るんだからいいでしょう。
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