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6章 女神祭に行こう

20話 温泉に行こう

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 街は祭りに集まった人出ですでに普段の倍以上に膨れ上がっているそうです。

 私たちが今いるのは商業通り。
 正門通りが宿屋街としたら商業通りは商店街。街の人が普段お買い物をするお店で、其の一つ隣の商店通りは所謂「お土産屋さん」通りです。
   業なのか店なのかややこしい。もっと違う命名してくれ。
 他には冒険者横丁と言われる冒険者ギルドや冒険者御用達の店が並ぶところや職人通りとかもあるので後で時間があれば行ってみたいと思う。

 
 お土産なのでなんの役に立つかわからないペナントのような護符(なんの力も込められてない)や神殿の模型。温泉水を入れた『神殿水』(何の力もre)聖水とは違います。
 鰯の頭も信心からと言いますが商魂逞しいですね。

 温泉にはまだ行ってないですが湯衣を扱っているお店があり、ロッテ嬢、トーナさんがシンプルな白から赤やピンクのほか色鮮やかな湯衣を眺めていた時でした。


   ドン

「っつ、何しやがる」

   トーナさんめがけてふらつくをしながらぶつかりそうになった男の腕を、アレクス君がガシッと掴んでおります。

「オッチャン、ちゃんと前見て歩かねえとに狙われるぜ」

   ニカッと笑いながら男の手を離すアレクス君。微妙に殺気冷気を放っております。

   ・・・なぜに冷気、そこまでママンに仕込まれた?いつの間に。

「う、うるせーっ」

   男はそそくさと人混みに紛れて行く。

「アレクス君、よく解ったね、トーナ、少し気を緩めすぎだ」

   ウィルさんはアレクス君を褒めトーナさんを警める。頭を下げるトーナさん。

「申し訳ありません」

「この人出ですから、あの手のスリやゴロツキは一杯です。ロッテ嬢もご注意くださいね」

   ロッテ嬢とウリュ君ははぐれないように手を繋いでおきましょう。小さいと見失いますからね。
   まあ《エリアサーチ》とかですぐ見つけられますが。

 ウィルさんはロッテ嬢に問いかける。

「明日までは神殿の温泉は利用できますが祭り期間は閉められ、参拝も神殿の外からになるようです。今のうちに一度神殿に行きますか」

   湯衣の専門店は神殿直営店のようです。他にも売ってますが湯衣を扱うには神殿の許可がいるようだ。
   湯衣は袖なしの浴衣と言うか、病院の寝間着みたいな形です。
   ロッテ嬢が選んだ湯衣はパステルカラーの大きな花柄で縁に刺繍が入っていて高級品。
   たった一回(もしかしたらもう一回くらいは使うかも?)の為に1000リムスはちょっと・・・

   最低の生成りが200リムス、白が300リムス、単色染めが500リムス、柄物が800リムスで、それぞれ裾襟袖の縁に刺繍が入った奴はプラス200リムスです。

   ウリュ君、アレクス君、レスさんは生成り、ウィルさんは白、トーナさんは薄桃色、私は薄紫色を購入しました。

   そして神殿に到着。あ~~、湯衣のリースあります。生成りの奴、一回50リムスですね。
   神殿手前であんなに売ってると買わないとダメみたいな気になってました。
   まあいいけど。

   湯殿(温泉)には武器持ち込み禁止なのですがインベントリ持ちの私には関係ありません。いざと言う時用に全員の武器を預かります。
   男女別れて更衣所に行き脱いだ服などを預り所(有料)に預けます。

   さあ、温泉です。更衣所から湯殿に行くと隣にアレクス君が。あれ?
   温泉混浴なんですね。まあ湯衣来てるし、外国の温泉って水着で入るところもあったしそんな感じかな。

   そして目の前にはどこのプールランドか、と言うくらい広い温泉が。
   広さはテニスコート2面ぶんくらいでしょうか。自然にできた池のようです。
   奥が崖のようになっていて、高さ3メートル位の位置にいくつか穴があり、そこからお湯が滝のように降り注いでます。
   真下で打たせ湯…は湯量が多すぎて無理だな。
   湯船と言っていいのか、半分くらいの面積には屋根が付いてます。雨でも入れますが、屋根を支える柱が神殿建築様式、イオニア式という奴に近いのでしょうか。

   健康ランドかよ。

   まあいいけど。
   あ、アレクス君、飛び込んじゃいけません、泳ぐのもダメです。
「え~~」って不貞腐れてもダメですから。
   あ、ロッテ嬢が犬掻きしてトーナさんに叱られてるし。

「身を清める」と言うけどお風呂と違って洗わないのでただ「湯に浸かる」と言う行為が「清め」に当たるようです。
   滝の方が深くて高温。源泉掛け流しで反対方向から排水されて行く滝壺みたいな感じですね。
   下流の方が温くなって行くので自分の好みの温度のところに行きます。
   座るんじゃなく立って入るのでお風呂というより温水プールだよな。
   湯上りに冷えた果実水用意するか。

 
 

 
 
 
   山の3合目にある本神殿の周りには管理されていない自然の温泉もいくつかあり《秘湯巡り地図》と言うのが売られていた。
   ほぼ売れていない。
   なぜかって?本神殿に至る道と本神殿周辺には結界が張られているが、それ以外は魔物が出る【龍峰】なのだ。
   カリオソの森以上の強い魔物が住んでいる。ここ何十年は見かけないが龍もいる。【龍峰】の名は飾りじゃないのですよ。
   ただここに住む龍は大地母神の友たる古代龍エンシェントドラゴンなので大地母神の加護があれば龍峰では魔物に襲われないと言われている。
   〈女神の加護〉と銘打った高額商品お札が売られている。効果は1週間とか。なんて怪しい商品。

   加護の話がマジなら私とウリュ君は襲われないってことね。
   信じてないけど。

   明日のお休みにアレクス君達と秘湯巡りしようって話になって地図だけ買ったらお店の人に驚かれた。
   そんな怪しいお札いりませんて。



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2017.04.25
20.1話と合体しました。
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