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6章 女神祭に行こう
22話 神獣フェンリル
しおりを挟む『ん?エレーニアか?いや他の気が混じっておるな、どう言うことだ?あ、女神の……そうかまあいい。久しいのエレーニア』
白銀の狼は殺気を引っ込め、前に歩み出す。身体が完全に出た途端空間の亀裂が閉じた。
『パパ!』
子狼がグランザに擦り寄っていく。
『おお、ミニア元気だったか』
『パパ遅いよ、ママ怒ってるよ』
『ウッ…そ、それは』
殺気が無くなったことでアレクス君は立ち上がり、ウリュ君は私の後ろにしがみつく。
アレクス君も珍しくしがみついてきた。
「エ、エル姉、フェンリルと知り合い?」
「あー、うん。彼はグランザって言ってギルデ山脈中央の主なんだけど。彼の奥さんのカレラニアってフェンリルと従魔契約してるの」
「「えええぇぇ」」
で、今熊肉をみんなで食べつつ話しをしてたりする。
「で、どうしてここに?」
『まあ、なんだ。カレラニアが次の子は実家で産むと言ってな、里帰りをしとるのだ』
ばくばく熊肉を食べつつそう言うグランザ。
トコトコとミニアが私の方に寄ってくる。
『違うよ、夫婦喧嘩してママが「実家に帰らせていただきます!」って言ってこっちにきたんだよ』
『おい、ミニア!そんな話は……』
そういえばカレラニアの母親は龍峰出身だったと聞いたような。だけどギルデ山のフェンリルに惚れて押掛女房的に引っ越したそうで。
今は龍峰にフェンリルは住んでいないみたい。
じゃあ最近龍峰に現れたフェンリルってカレラニアのことか。
『もうすぐ弟か妹が産まれるんだよ。パパそれまでにちゃんとママにごめんなさいしてね』
『あわわわ、そんな話をエレーニアにしなくとも良いだろう』
グランザとミニアと会話ができるのは、一年前ミニアが生まれた時、パスをつないだから。
カレラニアの家族ということで一種の仮契約みたいな?
生まれたてのミニア可愛かった…とエレーニアの記憶を掘り起こす。
ミニアを見た時、大きくなってたのと、ギルデ山脈にいるって思ってたから最初気がつかなかった。
ミニアの方も何か違うって気がしたらしい。
私は二頭と会話出来るが、アレクス君とウリュ君は二頭の言ってることはわかってない。
でもさっきからミニアとアレクス君がじゃれあっております。
もふもふがじゃれあっているのっていいよね~
「カレラニアは今どこにいるの?」
『この近くにいるはずだ。気配を探って空間跳躍してきたからな』
「じゃあ、こんなところで熊肉食べてる場合じゃないんじゃ?カレラニア、グランザの気配察知してるんじゃないの?」
ビクッ
白銀の巨体がプルプル震えている。
『エレーニアも久しぶりだし、カレラニアに会いに行かぬか?』
「いや、ここに呼んであげるよ《サモン》」
『ちょ、ちょっとまて、まだ心の準備が!』
ワタワタしだすグランザの目の前に直径3メートルほどの魔法陣が現れ眩い輝きを放つ。
『お、おい…』
光が収まったそこには青銀の狼が佇んでいた。
『あーたっ!来たなら直ぐに顔を見せるのが当然でしょう!どこで油売って……エレーニア?あらでもなんだか…は?大地母神様?え、ああ、はい』
カレラニアは前足でグランザの頭を踏みつけたまま、こちらを見て何かを言っている。
レイディを召喚した時もそうだったけど、やっぱり倉橋 衣瑠はエレーニアに転生したんじゃないみたいだね。多分グランザもミニアも違和感を感じてる。私エレーニアに憑依してるのかな。
でもエレーニアの記憶覗けるんだよ。まるで自分の記憶みたいに。
憑依ってそんなものなのかな、今まで憑依した人の話を聞いたことないし。
さっきのグランザやカレラニア見てるとどうもこれって神様が関係してそうだな。
『聴いてちょうだい、エレーニアこの人ったらね、身重の妻を放ってルダリア(魔国領内にある大森林)に若い雌がいるって聴いてわざわざ見に行ったのよ!妻の妊娠中に浮気をするなんて!』
『違う違う、まだ小娘が縄張りを荒らさんように釘をだな…』
『そんな言い訳誰が信じるもんですか』
『カレラニア、俺にはお前だけだ。身重のお前の周りを小娘がうろちょろせん様にだな…』
う~ん。夫婦喧嘩は犬も食わないって狼だけど。
フェンリルって生涯番は変えないんだよね。もともとグランザはカレラニアにべた惚れだし。
カレラニアのマタニティブルーかも。
「グランザって浮気しないタイプだと思うけど」
『ほら、エレーニアもこう言ってるし…』
『じ~~』
『カレラニア、愛してるのはお前だけだ』
『本当に?』
『本当だ!』
『あなた』
『お前』
・・・なんじゃこの夫婦。
ちょんちょん
ミニアが足でつついてきた。
『ああなったら当分いちゃいちゃするから、みんなで向こうのあったかいお池で泳ごうよ』
「ミニア場所知ってるの?」
『うん、こっち。ついてきて』
「2人ともミニアが温泉に案内してくれるって」
ラブラブ夫婦は放置して温泉に行こう。
これぞ【ザ・秘湯】という雰囲気の露天風呂があった。
樹々に三方を囲まれ、残りの一方は麓を見渡せる。
ゴツゴツとした岩に囲まれた直径25メートルほどの三日月型で、山頂側の底から乳白色の湯が湧き出している。
溢れたお湯は流れ出した先15メートルほどのところで小さな滝となって地中に流れ込んでいる。
硫黄臭くはないので獣人やミニアも大丈夫そうだ。
温度は湧き出し口が熱めで45度かもう少し熱いくらい。
真ん中あたりは良さげな温度だ。
「エル姉、ここ、泳いでもいい?泳いでいい?」
ワクワクで耳がピクピク、尻尾プルンプルンのアレクス君です。
「ここは他に人がいないからいいよ」
「よし!ウリュ、ミニア!行くぞ!」
「あ、アレクちゅ、服ちゃんとたたんで」
「そんなのあとあと~」
アレクス君の脱いだ服を拾いながら《ストーンクリエイト》で台を作り服を置く。
「ヒャッホーウ」
「Kayu~n」
ザッパーン
アレクス君とミニアが勢いよく飛び込んだ。
「ほら、ウリュ君も行っておいで」
「うん、行ってきまちゅ」
ザパーン
なんだかんだ言いつつウリュ君も飛び込みました。
さすが鼬獣人、スイスイ泳いでます。
さあ私も入ろう。さすが裸は気がひけるので衝立出して湯衣に着替えましょう。
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生活時間がズレて0時更新がキツクなったので当分10時更新。
夜22時以降に執筆タイムになるので0時に書き上がらないε=ε=ε=┌(; ̄◇ ̄)┘
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