112 / 140
6章 女神祭に行こう
24話 衣瑠とエルとエレーニア
しおりを挟む眩しい
眼がチカチカする
眼を開けても黒いというか紫色の残像で何も見えない。
『・・・%£・・+*~#・・・』
不思議な声が聞こえた、というより頭の中で響く。
途端に視界がひらけ、私は真っ白な空間にポツンと立っていた。
白一色と言うのではなく、雲か霞が漂っているかのような微妙な陰影がある。
そうだ、アレクス君達は?左には誰もいない、右を向くとそこには小さな白い動物。
「フェレット?」
真っ白ではなく部分的に茶色がかったフェレット、尻尾の先が黒い。
「……りゅー君?」
「キュ」
そうだ、うちで飼ってたフェレットのりゅー君。
全体に白くて頭と肩のあたりが少し黒と茶色が混ざってて。
りゅー君に手を伸ばした時自分の服が視界に入る。
セーラー服だ、これ。高校の制服、自分の身体を確かめる。
手はエレーニアの透き通る白さではなく日本人特有の肌色で、髪は黒い。
ふと目の前の霞に自分の姿が映る。曇った鏡のように。
倉橋 衣瑠、日本人の16歳
高校の制服はセーラー、本当はブレザーが着たかったなんて思い出す。
・・・
・・・・・
そう、思い出した。
あの日、りゅー君と公園に散歩に行った
中間テストが終わって午前で学校が終わったし
天気も良かったから久しぶりにりゅー君と公園の芝生に寝っころがろうと思って
でも歩道を歩いてたら突然トラックが突っ込んで来た。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
凄く痛かった
「キューッ、キュキュキュッ」
りゅー君が蹲る私に駆け寄る。
私はりゅー君を抱きしめる。
懐かしい毛並み、柔らかくって暖かくって。
でも最近も触れた気がする。
思い出したくなかったけど
思い出した
りゅー君の籠は私とトラックの間で潰れた
あの時倉橋 衣瑠とりゅー君は
死んだ。
『・・・%£・・+*~#・・・』
また頭の中で声がする。
眼を開けると、さっきよりは少し灰色がかった世界
ふと腕の中を見るとりゅー君がいない。
「りゅー君、どこ?」
そして違和感、自分の小さな手。子供の手。
顔を上げると靄に映るのは黒っぽい茶髪に藍色の瞳、黒いワンピースを来た10歳くらいの少女。
どことなくエレーニア、いやママンに似た顔を両手で撫でる。
霞に映る少女も顔を両手で撫でる。
誰?
これは誰?
倉橋 衣瑠でもない
エレーニアでもない
私は誰?
『・・・%£・・+*~#・・・』
また頭の中で声がする。
後ろから優しく誰かが抱きしめて来た。
ふわりと軽く、でもしっかりと。
耳元で優しく囁かれる。
「大丈夫、 今度は離さないから
ちゃんと守ってみせるから……」
振り返り、仰ぎ見ると
エレーニアが優しく微笑んでいた。
私が切ってしまった銀色の長い髪。いまは腰のあたりまで緩く波打って綺麗だ。
エレーニアが
ニッコリと微笑む。
「エルシーア…
ちゃんと守ってみせるから…」
「………姉様?」
『・・・エルシーア、思い出しましたか?』
頭の中で声が響く。
周りの霞が晴れ青空に囲まれた雲海の上に、エレーニア姉様と二人立っていた。
エレーニア姉様は私の手を握ってくれた。
目の前には神殿にあった大きな女神像によく似た女性
違う、反対だ。女神像がこの方の姿を写したものだ。
大地母神様が微笑んでいた。
そして全てを思い出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
話の加減で文字数少ないです。
途中文末に『。』がないのも、行間が空いているのも仕様です。
連載始めてちょうど半年目です。もうそんなに経ったかと驚きです。
0
あなたにおすすめの小説
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる