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6章 女神祭に行こう
25話 転生と記憶と
しおりを挟む私は倉橋 衣瑠。
16歳のある日、トラックに轢かれて死んでしまった。
そして生まれ変わった。
エルシーア=クルスナ=ディヴァン
父、キースクリフ=オウル=ディヴァン
母、クラリッサ=エレナ=ディヴァンの次女として生を受けた。
何も覚えていない普通の赤子として、エレーニアの妹として生を受けた。
ただ、その身に膨大な魔力を宿して。
幸せな家族だった。父と母と姉と愛に囲まれた家族だった。
1歳の時、【邪神の現し身】として邪神教団に攫われるまで。
その時エルシーアの中で倉橋衣瑠が目覚めた。
出なければ1歳の赤ん坊が明確な自我を持って【邪神の現し身】となる事を拒めるはずもない。
私は【時間と空間の閉ざされた場所】で監禁されてしまった。
【邪神】をその身に降ろすため、私の【自我】が孤独と闇によって崩壊することを目論んだ【邪神の使徒】によって。
でも私は一人じゃなかった。
私達は【時間と空間の閉ざされた場所】で耐えた。
私を護る守護精霊のりゅー君と一緒に。
でもりゅー君の力が尽きて、りゅー君が【時間と空間の閉ざされた場所】から弾き出されてしまった。
だけどりゅー君は最後の力で【時間と空間の閉ざされた場所】を破壊した。
守護精霊がいなくなり、抵抗力の落ちた私一人では【時間と空間の閉ざされた場所】で耐えられなかっただろう。
【時間と空間の閉ざされた場所】から現実世界に戻ると、現実世界では4年もの月日が経っていた。
【時間と空間の閉ざされた場所】は現実世界とは時間の流れが異なったようで、4年が経っても私の身体は2歳ほどまでしか成長していなかった。
私は倉橋 衣瑠の記憶を使って【邪神教団】に洗脳された振り、従順になった振りをした。
まさか小さな子供が異世界のラノベ知識で大人を騙しているなんて思わないよね。
それから10年、なんとか逃げ出す機会を伺っていたのに。
【儀式の日】がやって来てしまった。
何人かの教団幹部は
「器の身体が幼すぎる、受け入れられず壊れてしまう」
と反対したが、強行派は
「もう14年待った。あと何年待てと言うのだ!」
と【儀式】を強行した。
【邪神の現し身】としてその身に【邪神】を降ろす儀式は強行され
私はエルシーアの身体から弾き出されてしまった。
身体をなくし魂だけになってしまった私は消えてしまうしかない。
もう、どうすることもできない
はずだった。
エレーニアが
姉様が私の魂を
大地母神様の力を借りて
自分を犠牲にして助けてくれた。
1つの器に2つの魂は入らない。
エルシーアの身体に邪神の魂が入り、私がはじき出されたように。
でも大地母神様の力を借りてエレーニアは眠りにつき、その身を私に貸してくれた。
『エルシーア。貴女は弾き出された衝撃で多くの記憶をなくしてしまったのです。でもようやくここに来たことで、集めた記憶を返すことができました』
暖かい風が大地母神様から漂い私を包む。
私の小さな手をぎゅっと握る姉様を見上げると優しく微笑んでくれる。
『守護精霊とも巡り会えたようでよかった。でも彼の記憶も力も封印されてしまっています。まずは彼と一緒に獣神の本神殿へ赴き獣神と会い、封印を解くのです』
守護精霊?りゅー君と巡り会えた?
ふわりと風が吹くと雲海が揺れりゅー君がこちらを向いて立ち上がる。
「キューッ」
りゅー君の身体が淡く霞みそこにウリュ君が立っていた。
意識がないのか眼を閉じたまま眠っているようだ。
「ウリュ君?」
『そうです。彼は弾かれたあと、北方連合国の1つのフェレントに生まれ変わりました。ですが記憶と能力を封印されてしまっています。まずはフェレントの獣神殿へ行きなさい。そして【助け手】を得て【邪なる魂】から身体を取り戻すのです』
それを最後に大地母神様は光の粒子になって溶けて消えた。
ウリュ君も光の粒子になって消えてしまった。
残ったのは私と姉様だけ。
姉様はしゃがんで目線を合わせると微笑んでくれた。
「ごめんなさい、綺麗な髪を切ってしまって」
謝るとそっと抱きしめてくれる。
「髪はまた伸びるわ。いいの。好きに使いなさい。
私の身体も、力も従魔も。彼らも貴女に力を貸してくれるわ。
大地母神様も獣神様も天空神様も力を貸してくれる。
そして身体を取り戻したら、お父様とお母様と、クリストフは別にいいかしら?
みんなでゆっくりお茶を飲んでお話ししましょう」
「 うん、頑張る、頑張って身体を取り戻す」
ぎゅっと抱きつきお胸様に顔を埋めると優しく頭を撫でてくれた。
姉様は光に溶けて消えてしまった。
あたりは雲海ではなく、最初の白い空間だった。
何をどうすればいいか今はわからないけど、絶対身体を取り戻す。
グッと小さな手を握るとあたりが眩しく光り出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
シリアス回終了?です。
エルは転生で憑依と言う落ちでした(全然落ちてない?)
これで5章1話が繋がるわけですね。あれはエルシーアの記憶です。
もう予想ついてた人いたかも。
これから真面目に身体取り戻しにいかんとダメなんですがどうなるのでしょう。
6章もあと少し……のはず。風呂敷広げすぎて辛い。゚(゚´Д`゚)゚。
しかし、エレーニアはクリストフに冷たいかも?
最初は普通に『悪役令嬢モノ』を書くつもりだったのにケモ耳少年が出てきたあたりで全然違う方向に話が進んでます。
だって最初『題:乙女ゲームか~』を思いついてそこから話考え出したのに、今じゃ『題』が内容に合ってないよ(´;ω;`)
2017.04.07
女神様のセリフ一部 修正いたしました。
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