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6章 女神祭に行こう
37話 依頼終了
しおりを挟む「無事?帰って来れましたね」
ウィルさんが感慨深げにエオカの門を見て一言。
クッケで昼休憩をとってからは距離もしれているのでバイコーン達を歩かせての移動だ。
ここまでくればダンジョンを往き来する商隊や領都を目指す行商など、街道は賑わっている。
しかし、ここエオカはカーチス子爵の納める街。門に並ぶはずもなく、一般の門の横、貴族専用の門に向かい衛兵にウィルさんが声をかけるとかしこまった衛兵さんは検査も何もなく通してくれた。顔パスです。
ウィルさんはカーチス子爵家嫡男、次期代官様、すでに政務にも関わっておりこの街では顔は知られていて当然ですな。
そんな人がお嬢様のお守り…いやお嬢様だからこそその辺の人には任せられなかったのかも。
アレクス君はミニアの獣魔のネックレスの料金を自分で払いました。
「ミニアはオレのだから、オレが払う」
そして貰ったネックレスをつけてあげていた。なぜか周囲が微笑ましげにその光景を見ていたが。
通りを代官屋敷、カーチス子爵邸に向かって進む。
お屋敷の前まで来ると兵士が門を開けてくれた。
「「「「おかえりなさいませ」」」」
おおう、使用人や兵士がが並んでお出迎えです。そういえばノーハで速文出してたから今日帰って来るのわかってたんだろう。あと、門兵が帰宅を知らせたんだろうから待ち構えてたんだな。
あ、ロッテ嬢は門前でウィルさんのバイコーンに乗り換えてます。私がここまで着いて来たのは荷物を返すためです。まだインベントリに預かったままですから。
「皆、出迎えありがとう」
ロッテ嬢が使用人に挨拶をすると、1人の老紳士が前へ進みでる。
「長旅お疲れ様でございます。まずは旅の汚れを落とされますよう、湯を用意してございます」
そう言って頭を下げる老紳士はここの執事だろう。直ぐに行くかと思ったらクルリと振り返りこちらにやって来る。
ガシッ
両手を掴まれてしまった。
「エルさん。女神祭への道行
とってもとぉーってもたのしゅうございました。
これも全て【金色の翼】の皆さんのおかげです。
一生忘れませんわ。
レイディに乗れたことも。
夜営のお食事も
お茶の時のお菓子も」
最初は良かったんだが最後は食べ物のことになったよ。
「このご恩は忘れませんわ
何かあればいつでも領都の邸にお越しください。
わたくしにできることがあれば
いつでもおっしゃってくださいませね」
手を握られたままキラキラした瞳で見上げられて……いつ終わるんだろうと困っていたら後ろからため息が聞こえた。
「お嬢様、それくらいに、エルさんが困っております」
最後までお疲れ様ですトーナさん。
まあ、伯爵令嬢が護衛に雇った冒険者にここまで言うのはどうかと思う。
トーナさんと別のメイドさんに引き連れられてロッテ嬢は去って行った。
「では私もこれで、エルさん、アレクス君、ウリュ君。ありがとう、いい経験をさせてもらった」
レスさんが挨拶に来た。
「オレも、ありがとう。馬車の運転や馬の乗り方教えてくれて」
「ありがとうごぢゃいまちた」
「どういたしまして、皆元気で」
「ありがとうございました」
挨拶を交わしレスさんはバイコーンを連れて去って行く。
執事と何事か話していたウィルさんがこちらにやって来る。
「エルさん、荷物の受け渡しに、ここではアレなので中へ」
「じゃあアレクス君たちは先に宿に行ってて。冒険者ギルドの…あ~商業ギルドの方がいいかな?格安で宿舎利用できるんだった」
「わかった、商業ギルドに行ってる」
「ちゃきに宿取っておきまちゅ」
2人はレイディを連れて商業ギルドのに向かった。
執事さんに案内されたのは家具の少ない質素な部屋だった。
「申し訳ございませんがこちらに荷をお出しください。食料の方は『差し支えなければお持ちいただくように』と、若より言付かりましたが、いかがいたしましょう」
ぶ、ウィルさん『若』と呼ばれてるんだね。まあ遠慮なく頂いておきましょう。
「わかりました、では遠慮なくいただきます」
そして部屋の壁際に預かった荷物を出して行く。行きより荷物が多いので執事さんが『はて?』というような顔をしてる。
そりゃそうでしょう。ロッテ嬢が『荷物の心配がない』とばかりにお土産を購入したのだ。実はウィルさんの知らないものもあったりする。そこはロッテ嬢の自己責任です、私に責任はありませんよ。
一番嵩張ったのは【女神像レプリカ】でしょう。高さ1メートルもある木彫りの熊ならぬ木彫りの女神像。なかなか良い出来だと思います。土産でそんなの売っていいのかとも思ったけど、すぐ近くに女神様がいるところで何もないってことは大丈夫なんだろうな。
女神様は自分の似姿が拡散するのを認めてるんだろう。これが全然似てないとか不細工な出来なら別だけどね。
荷物を出し終わったら、執事さんに別の部屋に案内された。
今度は応接間っぽい部屋。一見質素かと思うほど装飾品が少ないがさりげなく飾られた絵や壺などは上品で落ち着いた品々だった。
ソファに座り、出されたお茶を飲んでいると、上品な貴族っぽい服に着替えたウィルさんが入ってきた。
「お待たせしました。エルさん。この度は護衛有り難うございました」
「いえ、こちらも楽しく仕事をさせて頂きました」
ウイルさんが後ろに控えていたメイドさんが差し出したトレーを受け取りテーブルの上に置く。
トレーの上には見慣れた依頼書と金貨が2枚。
「依頼の達成証明と依頼金です」
「ちょっと待ってください。1日1万、かかった日程は16日で、向こうで丸1日お休みを頂いてます。ですから15万メルの筈です」
「最初に20日の予定でお伝えしましたよね。日数が短縮出来たのはエルさん達のおかげ、グリフォンの速度と荷物を持って頂いたおかげですから、最初の提示通り20万メルをお渡しします」
真剣な、と言うか貴族の顔で伝えてきたウィルさん。今のウィルさんは次期子爵、次期代官様の顔なのでしょう。道中は気さくなお兄さんでしたが、今はその面影がありません。
「わかりました。遠慮なく受け取らせて頂きます」
私は金貨2枚と依頼書を受取る。
「今後はまたダンジョンへ行かれるのですか」
「いえ、旅の準備を整えてから北方連合国へ向かおうと思っています」
その言葉にウィルさんは少し考え込む。
「そうですか、エルさん達のおかげでエオカの商業ギルドが活気ついて、また多量のダンジョン素材が出回るかと期待したんですが、そうですね。現在、ガガート帝国との国境の検問はかなり厳しく制限されています。砦の責任者宛に紹介状をご用意しましょう、そうすれば検問も簡易で済ませれるでしょう」
ガガート帝国とウェイシア王国の国境はクロード辺境伯領とのみ接していて国境線には5つの砦が国境警備を担っている。
「お気持ちありがたく受け取らせて頂きます。ですが今回は砂漠地帯を廻って行こうと思っています。まあまだ2人と相談していないのですが」
「そうでしたね、アレクス君達にガガート帝国は相性が悪すぎます」
ガガート帝国には奴隷以外の獣人はいない、だから獣人=奴隷扱いされる。しかも2人はガガート帝国から逃げてきた元奴隷。厄介ごとしかないんだよあの国。ウィルさんはその辺りの事情は知らないけど。
「ロッテ嬢もしばらくすれば領都に戻りますし、その時は私もついて行きますのでこれでお別れですか。旅路の無事を」
立ち上がり手を差し伸べるウィルさん。私も立ち上がりその手を掴む。
「こちらこそ有り難うございました」
そうしてカーチス子爵邸を後にして商業ギルドに向かって歩き出す。
第6章ー終ー
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これにて6章終了です。途中グダグダですみませんでした。m(_ _)m
次の7章は獣神神殿を目指します。まだ章名考え中です。ここでウリュ君の過去が……なんてね。
ファンタジー小説大賞にこれと《異世界転生、神様に加護2人分貰いました》の2作品エントリーしました。ポチッと投票いただけるとりん太の励みになります。よろしくお願いします。
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