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7章
2話 それはチームの方針
しおりを挟む「エル姉、レイディにご飯あげてきたよ」
アレクス君とミニアが厩舎から戻ってきた。
「朝食用意できてるから、ミニアはこっちのローストポークでいいの?」
『うん、焼いた肉も美味しい』
皆テーブルについたのでサラダとスライスしたお肉を甘じょっぱく痛めたのを挟んだドッグとコーンスープの朝食を食べた。
「今日はどうする、四季ダンジョン行って秋階層挑戦する?」
「そのことなんだけど……」
私は2人に北方連合国にある獣神神殿に行かなくてはならない事を打ち明けた。
「アレクス君前に言ってたよね。『強くなって、ダンジョンで稼いで戻りたい』って。ちょっと予定より早くなったけど……」
アレクス君とウリュ君がお互いを見てから、私の方を見る。
「オレは、そりゃあ帰りたいと……思ったけど……」
「……ちょれ、神ちゃまと何か関係ありまちゅか」
アレクス君がウリュ君の言葉になにそれって顔をした。
「ウリュ君は大地母神様の本神殿でお祈りした時のこと覚えてる?」
2人は? を浮かべている。アレクス君が訝しげに言う。
「えっと、そんなに日数経ってないし、エル姉の方こそボケた?」
「いや、そう言う意味じゃなくってね。あの時私女神様とお会いしたの。ウリュ君もだけど覚えてない?」
「ぢぇんぢぇん、覚え、ないでちゅ」
あの時、最初はりゅーくんの姿だったし、後半は意識がなかったように見えた。アレクス君は居なかったけど、あの時に加護がついたんだと思う。
「お祈りが終わった後、エル姉もウリュもちょっと変だったよな。オレもあったかいのに包まれたような、母ちゃんの抱っこ思い出したけど……あ」
アレクス君が言ってから「しまった」みたいな感じで、少し顔を赤らめ横を向いた。
『母ちゃんの抱っこ』の感覚は間違いじゃないのかも。
「多分アレクス君もその時大地母神様の加護をもらったんじゃないかと思う。私ね、やらなきゃならないことがあって、そのためにまず、獣神神殿に行かないといけないの」
真剣な顔で話を聞く姿勢に戻ったアレクス君。
ウリュ君は付いてきてくれる、と言うか多分ウリュ君を獣神神殿に連れて行かなきゃいけないんだと思う。だけどアレクス君は私達の事情とは関係ない。
「もし、アレクス君が行きたくないって言うなら「はあ、なに言ってんだよエル姉」って、アレクス君?」
こっちを睨みつつアレクス君が腕を組む。
「オレ達チームだろ、エル姉はリーダーだ。しゃんとしろって。女神様が行けって言ったんなら行かないとな。オレもなんとなくだけどそうしないといけないっつーのは解る」
「アレクちゅがかっこいいこと言ってる、あちたは雨?」
「なんだよそれ」
「でも、秋階層行きたかったんだよね」
「そりゃあ行きたいけど、1人で行きたいんじゃなくってみんなで行きたいんだよ。ダンジョンは無くならねえ、少し行くのが遅くなったっていいんだ。って用事が終わったら戻って来ればいいんだ。オレ達冒険者なんだしよ」
少し、自慢げに胸を張るアレクス君。肉のことしか考えてないかと思ったらそうじゃなかったんだね。
「用事済ますついでに村がどうなったか確認したい。もう2年経ってっから村が元の場所にあるとは思わねえけど……」
獣人の村は人買や盗賊に襲われると村を移転するらしい。もともと農耕はせず狩中心だから可能なんだとか。
「じゃあ、北方連合国に行くって事でいい?」
「おう」
「はいでちゅ」
思わず両手を伸ばし2人まとめてハグをする。
「なんだよ、変なエル姉」
そう言いながら背中をポンポンしてくれるアレクス君と頭を撫でてくれるウリュ君。
ちょっと、うるっときたのを隠すように眼を閉じ2人の暖かさを感じる。
「ありがとう、2人とも。じゃあ今後の予定話し合おう」
そう言って1枚の紙を取り出す。
この大陸の大雑把な地図だ。大雑把な国の位置と地形しか描かれておらず、街道や街の位置なども入って居ない。そんな詳しい地図は出回っていない。あるとしたら国の中枢部とかだろうか。領主は自分の領地や隣接する領の地図くらいは持っているが、それは自ら作成したものだ。
その大雑把な地図に自分の知っている事を描き加えて話を進める。
「ガガート帝国を通ることは出来ないから、こっちの砂漠地帯をぐるっと回って行くことになるわ」
獣人の2人を連れてガガート帝国を通るのは無謀すぎる。《隠蔽》や《認識阻害》をマントや服に付与する手もあるけどなにがあるかわからないからね。
「砂漠地帯を回らなくても、ここの山脈越えれば?」
アレクス君が砂漠地帯と北方を分断する山脈を指差す。
「ここってドラゴンの巣って呼ばれてまちゅ、ドラゴン種の住処でちゅ」
「うん、でも親父がここのどこかに抜けれる洞窟があるって言ってた。ただ場所がどこか知らないんだよな」
安全に山脈越えが出来る、というかトンネルがあるのか。でも場所が判らないなら探すのに時間がかかれば回った方が早いかも。
「麓を行きつつ見つかれば……土地の人に尋ねてもいいし、どちらも考えられるコースで行こう」
「砂漠地帯に国ってあるの?」
「国って言うか【砂の民】って呼ばれる遊牧民族がいるってきいたけど」
「ふーん」
行程はエオカからクロード辺境伯爵領都に行き、隣のヘンリー侯爵領を抜けて山脈の麓に近い街道(あれば)を行くことに決まった。
行くなら早い方がいいと言うことで早速明日出発となった。
ケルムの旅から戻ったばかりで疲れは残ってないかと聞くも2人とも「全然、なんともない」と。
まあ私も疲れ残ってないわ。
今日は特になにもすることがないので各自自由とした。
私は商業ギルドに街を出る事を伝えに行くことにし宿を出る。
「むう、そうか、それは残念じゃのう。秋階層も期待しておったんじゃが仕方ない。お前さんらは冒険者じゃからの」
そう言ってエドワード商業ギルドマスターは頷いている。
受付で移動する事を言って四季ダンジョンのコネリー所長にも伝言を頼もうと思ったのになぜかマスターの執務室に通されたよ。
「お前さん方の旅行きに商売の女神の幸運が訪れますように」
「ありがとうございます。エドワードギルドマスター。商売の女神の幸運が訪れますように」
挨拶をすまし部屋を出た。「最後までエド爺とは呼んでくれなんだのう」という呟きは聞こえなかったことにした。
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