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2巻
2-1
しおりを挟むプロローグ
俺の名前は天坂風舞輝、十七歳の高校二年生だ。
ある日教室で、幼馴染の笹橋雪音や、その友人の牧野奏多といるところに、いつものように竹中勇真が絡んできた。
そう、そこまではいつものことだった。
しかし、突然目の前が真っ白になったと思ったら、〝神〟と名乗る白い影が現れ、告げたのだ。
俺たちが『異世界に召喚された』と。
なんだそれ、流行りのラノベ的展開か? と突っ込む間もなく、〝神〟は俺たちに『帰れるようになるまで頑張れ』的なことを言い、生き抜くための力をくれた。
そして〝神〟から、光る魔法陣に乗り『決して陣から出るな』と言われたのに、俺は――
俺は魔法陣から突き落とされ、気がつけば一人森に立っていた。
俺たちが召喚された世界は、《ステータス》や《スキル》《魔法》が存在し、モンスターが跋扈する、ゲームみたいな世界。
俺が落ちた場所は、エバーナという大陸のど真ん中にある、ベルーガと呼ばれる森だった。ケモ耳の獣族が暮らし、多くのモンスターが生息する危ないところだ。
地球の〝神〟――この世界から見れば〝異世界神〟という扱いになる――が『異世界を生き抜く力を一つ授ける』と言っていたのだが……
俺の希望した力、スキル《ナビゲーター》の他に、なぜか《コピー》に《加護2人分》や、野宿生活ができるグッズ一式、携帯食などなど、たっぷりサービスされていた。
えっと……楽々ですみません。
《ナビゲーター》によれば、〝転移の力の残滓〟が南に向かっているらしい。雪音たちはきっとそこにいると、俺はなんとなく理解した。
ただ、大陸が違うらしく、まずは生きるために人里を探さねばと、見つけた川に沿って歩き出した。
しばらく行くと、RPGでお馴染み、ゴブリンを発見。襲われていた狼モンスターの親子を助けたが、無事だったのは子狼一匹のみ。
生き残った子狼に、ジライヤと名付けると、なんと俺の従魔になってしまった。
さらに翌日、ダークラフレシアという食虫植物モンスターに捕まっていた小猿モンスターと、この世界の人間を助けることに成功。
助けた小猿も、ツナデと名付けて従魔にした。そして、同じく助けた豹獣人(ケモ耳である)のルーナと一緒に(まあ、成り行きというか?)冒険者になって、人族が多く住むという、ラシアナ大陸を目指すことにしたのである。
今は、ベルーガの森の端にあるムル村で、テルテナ国に行くための金を稼いでいる。
〝神〟にもらった《加護》の影響で、ややチート気味……いやもう完全にチートだな、そんな力のおかげで、依頼をスイスイこなし中だ。
俺と従魔のステータスは現在こんな感じである。
名前・フブキ=アマサカ 年齢・17歳 種族・異世界人
レベル・13 職業・テイマー、冒険者
H P 450816/450790(409600+40960+180+50)
M P 449736/450764(409600+40960+144+60)
STR(筋 力)1436(1180+118+108+30)
DEF(防御力)1568(1300+130+108+30)
VIT(生命力)1586(1300+130+126+30)
DEX(器用さ)1301(1060+106+85+50)
AGI(敏捷性)1045(820+82+108+35)
MND(精神力)1552(1300+130+72+50)
INT(知 力)964(800+80+54+30)
LUK(幸 運)564(460+46+38+20)
【加護スキル】《アイテムボックス(時間停止)LV2》《パラメーター加算LV1》
【称号スキル】《言語理解LV4》《取得経験値補正LV1》《使用MP減少LV2》《スキル習得難易度低下LVMAX》《取得経験値シェアLVMAX》《従魔パラメーター加算LV1》
【職業スキル】《従魔契約LV2》《意思疎通LV2》
【補助スキル】《マップLV5》《オートサーチLV2》《鑑定LV7》《気配察知LV1》《気配隠蔽LV1》
【技工スキル】《細工LV2》《家事LV2》《解体LV2》《錬金術LV2》
【武術スキル】《槍術LV3》《棒術LV1》《格闘術LV2》《短剣術LV1》《双剣術LV1》《長剣術LV1》
【魔法スキル】《回復魔法LV2》《四属性魔法LV6》《氷魔法LV4》《雷魔法LV4》《光魔法LV3》《闇魔法LV3》《魔力操作LV3》《魔法構築LV4》《魔力感知LV1》
【ユニークスキル】《ナビゲーターLV2》《コピーLV3》
【加護】《異世界神の加護×2》
【称号】《異世界より召喚されし者》《落とされた者》《ジライヤの主》《ツナデの主》
地球の〝神〟のおかげで、俺のパラメーターの上昇率は正直おかしい……たぶん。
あと、スキルもどんどん増えていく。ただ、イマイチ使いこなせてないのが現状だ。
次はジライヤ。
名前・ジライヤ 年齢・0歳 種族・ハイブラックウルフ
レベル・9 職業・フブキの従魔
H P 1980/1980(1800+180)
M P 1408/1584(1440+144)
STR(筋 力)1188(1080+108)
DEF(防御力)1188(1080+108)
VIT(生命力)1386(1260+126)
DEX(器用さ)935(850+85)
AGI(敏捷性)1188(1080+108)
MND(精神力)792(720+72)
INT(知 力)594(540+54)
LUK(幸 運)418(380+38)
【称号スキル】《言語理解LV2》《パラメーター加算LV1》《取得経験値補正LV1》
【職業スキル】《意思疎通LV2》《取得経験値シェアLVMAX》
【補助スキル】《咆哮LV4》《瞬脚LV5》《突進LV2》《空中回避LV2》
【戦闘スキル】《爪の一撃LV5》《噛みつきLV5》
【魔法スキル】《風魔法LV4》《地魔法LV1》
【称号】《異世界より召喚されし者の従魔》
ジライヤは元々【ブラックウルフ】って種族だったが、俺の従魔になってある程度レベルが上がったら、進化できるようになった。従魔は一定のレベルに達すると進化できるみたいだ。
最初はチワワサイズだったのに、あっという間に大型犬サイズになってしまった。もう少し、小さいままでも……いや成長を喜ぶべきだよな、うん。
最後はツナデ。
名前・ツナデ 年齢・0歳 種族・リトルマンキーの特異体
レベル・1 職業・フブキの従魔
H P 550/550(500+50)
M P 348/660(600+60)
STR(筋 力)330(300+30)
DEF(防御力)330(300+30)
VIT(生命力)330(300+30)
DEX(器用さ)550(500+50)
AGI(敏捷性)385(350+35)
MND(精神力)550(500+50)
INT(知 力)330(300+30)
LUK(幸 運)220(200+20)
【称号スキル】《言語理解LV2》《パラメーター加算LV1》《取得経験値補正LV1》
【職業スキル】《意思疎通LV2》《取得経験値シェアLVMAX》
【補助スキル】《木登りLV4》《跳躍LV4》《巻きつきLV1》
【戦闘スキル】《引っ掻きLV3》《噛みつきLV3》
【魔法スキル】《木魔法LV4》《水魔法LV2》《地魔法LV2》《風魔法LV1》
【称号】《異世界より召喚されし者の従魔》
ツナデも【フォレストマンキー】っていう種族から、モンスターランクが一つ上の【リトルマンキー】に進化した。
アルビノという特異体で、標準より小さく弱かったが、レベル上昇と進化でだんだん強くなっていった。スキル《木魔法》が、なかなかいい仕事している。
種族の特性か、特異体だからか、ツナデはジライヤほどの大きさの成長はない。
この世界に飛ばされて、まだ一週間。雪音たちの居場所どころか、自分の位置も把握できていない。
ごめん雪音、もうちょっとかかりそうだ。
第一章 ベルーガの森での戦い
宿の部屋でツナデの進化を終えた俺は、夕食に誘おうと隣のルーナの部屋をノックする。
「ルーナ、食事に行こう」
「はい、今行きます」
返事の後に扉が開き、ルーナが出てきた。彼女は顔を合わせるなり、目を見開いた。
「あ、れ? ツナデちゃんが……」
ツナデは今、俺の後頭部にしがみつき、俺の頭の上に顎を載せている状態だ。
レベルアップと進化で、宿に戻ってきたときより少し大きくなったツナデは、もう俺のベストの中には入れない。
腕にしがみついたり、肩に乗ってみたりした結果、後頭部が収まりがよかったみたいだ。
俺としては頭を動かしにくいのだが、重さは特に負担になっていない。
「ああ、レベルが上がってでかくなったんだ。ジライヤだってついこの前までこれくらいだったんだぜ」
手でチワワサイズを表現してみる。テイマーの従魔が進化することが、一般知識として知られているのかどうかわからないので、そこは話さずにおく。
「言われてみれば、ジライヤちゃんも初めて会ったときより大きいですものね」
ルーナは割と単純だと思う。他のことに対しても、そう思ってくれるといいが。
「じゃあ食堂に行こう。親父さんがブレードディアを調理してくれるらしい」
階下にある食堂へ行くと、俺たちを見つけた親父が声をかけてきた。
「おう、来たか。ちょっと待ってろ、肉を焼いてやる」
食堂の親父は、ジライヤに肉と内臓を小さく刻んだもの、ツナデには蒸しテトポを出してくれた。ただ一日で大きくなったツナデを二度見すると、首をひねりながら厨房に戻り、テトポを二つに増やしてくれた。
待つことしばし、熱々のステーキが目の前に置かれる。俺の肉は、ルーナの倍はありそうだ。こんなに食えるかな? ナイフとフォークをステーキに突き刺しながら、ルーナに話しかけた。
「今日はブレードディアの肉で、明日はワイルドボアの内臓煮込みを作ってくれるって」
「ワイルドボアの内臓煮込みは美味しいですからね。明日が楽しみです」
今食べているブレードディアの肉は、俺がスキル《コピー》で出して親父に売った肉だ。ワイルドボアの内臓も、今日狩ったやつを親父に調理してくれるように渡したものだ。
「美味いな、このステーキ。俺が作ったのと同じ材料とは思えん。味付けと焼き加減でこんなに違うのか。……ところでルーナ、明後日の朝、防具を受け取ったら、ムル村を出ようと思う。ルーナもそれでいいか?」
「はい。テルテナ国に行くまでに、チェデという村と、ツルトという村を通りますが、はむはむ……美味しいです、このステーキ。ムグムグ、ごっくん。私たちの足なら、チェデ村まで一日で行けると思いますよ」
食事をしつつ今後のことを相談していると、入り口から客が数人入ってきた。
宿泊客以外も食事に来るので、別に珍しくはない。
「よお、兄ちゃん」
その中に、俺の肩をポンと叩いて挨拶をしてきた男がいた。
「確かギルド職員の……」
「おう、ジコって言うんだ。つーかワイルドボアの内臓煮込みじゃねえのか? ここの親父の得意料理だから楽しみにしてきたんだが」
「ああ、内臓煮込みは明日だ。今日はブレードディアのステーキだ」
「おお、それもいいな、酒が進むわ。楽しみが明日に延びたな」
そう言って、ジコと名乗った男は連れのいるテーブルに戻っていった。
なんだったんだろう?
食事を終え、それぞれの部屋に戻る。ジライヤもツナデも俺も、食事に大満足だ。これで風呂があれば言うことないんだが……。寝る前に身体を拭くかな。
ドアを開けると、灯りがないので部屋の中は真っ暗だ。俺には《光魔法》があるから、ランプも蝋燭も必要ないけどな。
「〈ライトボール〉」
『スキル《光魔法》のレベルが上がりました。条件が満たされたことにより、スキル《木魔法》を習得しました』
《木魔法》って、ツナデがよく使っている魔法だよな。そういえば、今まで習得条件を確認したことはなかった。
『イエス、マスター。《木魔法》習得の条件は《水魔法》《地魔法》《光魔法》のレベルが4以上必要となります。スキル習得条件は個体によって異なります。この条件はマスターの条件です』
まあそうだな。ツナデのように最初から持っていることもあるし。
今度〈蔓の鞭〉でも試してみよう。
◇ ◇ ◇
次の日、揃って冒険者ギルドに行く。
「このビタン五個納品の依頼を受ければ、七級依頼が五件連続達成になるから、昇級だな」
「ソレ受けるんですか?」
「採りに行かなくても、ツナデ用に持ってる分があるからな。七級になれば、六級の依頼も受けられるだろう?」
「八級からは、パーティーとして共同受注すれば、二級上の依頼を受けられますよ?」
あれ、そうだっけ。まあいいか。俺たちは依頼票を外してカウンターへ行く。今日はカビィはいないみたいだ。
「これをお願いします」
依頼票とギルドカードを先に渡し、カバンに手を突っ込んで《アイテムボックス》からであることをごまかしながら、〈複製〉したビタンの実を五個出した。
そして依頼料百二十テナと、ギルドカードを受け取る。ルーナに四割の四十八テナ渡そうとしたら、受け取りを辞退された。
「ビタンの実はフブキさんの持ち物ですし、共同受注として処理するだけでも悪いというか……」
それもそうか。そのまま金を巾着に入れて、ショルダーバッグにしまった。
冒険者ギルドカードは、表面が身分証になっており、裏面には達成した依頼の数と、倒したモンスターが表示される。
一種の魔道具で、魔力で個人認証ができ、本人が持つと文字がかすかに光るようになっている。他人のカードを身分証として使えない仕組みだった。魔力は、指紋のように一人ひとり違っているそうだ。内容は、ギルド職員が専用の魔道具で書き込んでおり、名前とか種族とかは自己申請。偽名でも問題ない、というか登録できるのだ。
ツナデの種族をリトルマンキーに変更してもらった。
で、裏面が――
【依頼達成】
十級・0/0/0
九級・5/1/0
八級・0/5/0
○七級・1/4/0
【討伐】
――――
こんな感じだ。
級の下に、それぞれ『優』『良』『可』の達成数がカウントされている。丸が付いているのが現在の級だ。受注できない級であっても、遭遇して倒したモンスターはちゃんと処理してくれる。
討伐も、今は冒険者ギルドで依頼達成の処理をしてもらった後なので何もないが、モンスターにトドメをさすと、モンスター名とその数が表示される。本当に謎システムだ。
これで俺たち二人は七級になった。単独なら六級、共同なら五級の依頼を受けられるということなので、あらためて依頼を探す。
「このあたりの五級は、護衛の依頼が多いですね、どうします?」
「う~ん……こっちの七級はモンスター討伐、八級で肉や毛皮の納品か。急いで級をあげたいわけじゃないしなあ。とりあえず資金稼ぎが目的だから、無理に五級依頼じゃなくてもいいかな」
なんのために級をあげたのかわからないけどな。うん? 六級のワイルドボア一頭納品か。依頼は『夜の憩い亭』って、泊まってる宿じゃないか。
そういえばジコが、ワイルドボアの内臓煮込みは親父の得意料理とか言ってたな。定期的に依頼を出しているんだろう。一つはこいつでいいか。
「ルーナ、良さそうなのあったか?」
「ビッグベアの討伐がありますね。熊系は稀に『聖なる川』を越えることがあるので、毎年秋になる前に間引く必要があるんです。秋になると凶暴化しますから」
六級か。じゃあこの二つの依頼でいいか。
「こっちの、宿の親父の依頼と二つでいいかな」
受注処理を済ませ、早速ベルーガの森に入った俺たちは、川沿いをしばらく遡る。
ルーナは川原を何度も確認していた。
「ありました、ビッグベアの足跡です。やつらは魚を好んで食べるので、無理してでも川に来るんですよ」
地面を見ても、俺にはよくわからない。ルーナはさすが狩人ってとこか。
『《スキル習得難易度低下》により、新たなスキル《追跡者の眼》を習得しました』
……どんな効果のあるスキルなんでしょうか、ナビゲーターさん?
『イエス、マスター。足跡や魔力残滓、痕跡などを視覚的に捉えることができます』
はい、便利スキルいただきました。
改めて川原を見ると、微妙に窪んだ場所がほんのり明るく見える。ああ、これがビッグベアの足跡なのか。目を凝らしてやっと捉えることができる『淡い光』が森から川へ、そしてそれより少し明るい『光』が川から森へ続いている。
スキル《追跡者の眼》で辿って移動してもいいが、この先を《オートサーチ》で確認した方が早いかな。探す方向がわかるから、便利っちゃあ便利だ。《マップ》を表示して《オートサーチ》を発動――
『スキル《オートサーチ》のレベルが上がりました。条件が満たされたことにより、スキル《マップ》《オートサーチ》が統合され、スキル《アクティブマップ》になりました』
……《アクティブマップ》って?
『イエス、マスター。《アクティブマップ》レベル1は一秒ごとに《オートサーチ》が自動発動し、対象の移動を追跡することが可能となります。《アクティブマップ》表示中は、毎秒1MP消費。範囲は半径百メートルです』
モンスターが移動しているのが一目瞭然、方向や速度もわかるんだ。ますますゲームっぽいな。
MPを五分で300消費というのは多そうだが、種族レベルが13になって、MP回復量が五分で4000超えな俺には全く問題なし。
というわけで、サーチ範囲は半径七百メートルから百メートルになってしまったが、《追跡者の眼》で足跡を辿れるので、周囲を警戒しつつ進むことにした。
『何か来る』
《アクティブマップ》になってサーチ範囲が狭くなったため、そこに光点が現れる前にジライヤが先に気配を捉えた。
数分後、マップ上に赤い点がいくつか現れた。こっちに向かって移動していることまで映し出される。さすが《アクティブマップ》だ。
過去に戦ったことのあるモンスターを、赤より暗い臙脂色に変更する。なんでもかんでも表示するとわけがわからないからな。
光点の表示を編集する。
臙脂・戦闘歴のあるモンスター種
赤・敵対、害意あり
橙・警戒
黄・関心なし
緑・好意的
青・仲間
白・飲食可能植物
桃・採取歴のある薬草
灰・生命活動停止
点滅・HP低下(瀕死、衰弱などヤバイ状態)
赤色の光点が、設定変更で臙脂色に変わる。タップすると=ゴブリン=と表示された。
すでにジライヤは警戒態勢だ。
「ルーナ、進行方向からゴブリンが五匹来る」
ルーナは頷き、身を低くして進む。すでにルーナも接近に気付いていたようだ。
ゴブリンの間近に迫り、藪に身を潜める。《気配隠蔽》も使っておくか。
『スキル《気配隠蔽》のレベルが上がりました』
しばらくすると、ゴブリンの声が聞こえてきた。
「ギヒッ、ギヒ〔エモノ、ニオイ〕」
「「「ギヒヒ」」」
間抜けなゴブリンどもが、藪の前を通り過ぎる。
『行くでジライヤ!』
ツナデが、《木魔法》の蔓でゴブリンの足を拘束する。ゴブリンたちがあわてふためく間もなく、ジライヤの《咆哮》を浴び、ピタリと動きが止まった。
俺とルーナが、ゴブリンの間を駆け抜ける。
ルーナの短剣が二匹の喉を裂き、俺の〈アイスランス〉も二匹の頭をすれ違いざまに撃ち抜いた。ツナデが最後の一匹に飛びかかって顔面を引っ掻くとすぐに離れ、すかさずジライヤの《爪の一撃》が頭部を吹き飛ばす。
ルーナと二人、立ち止まって振り向けば、五匹のゴブリンがドサドサドサと一斉に倒れていく。
『ツナデのレベルが上がりました。ツナデのレベルが上がりました』
ははは、なんか漫画みたいだな。
魔石だけ取ったら、埋めてさっさと進むことにした。《地魔法》便利。
しかし、ビッグベアもワイルドボアも見つからない。
さらに森を進むと、初お目見えのモンスターが出た。
=種族・フォレストスパイダー MR・E 固有名・─ 状態・普通
蜘蛛系モンスター。糸を飛ばして対象の動きを阻害する。牙には毒があり、拘束した対象を麻痺毒で仮死状態にして喰らう。スキル《跳躍》や《糸繰り》を持つ。フォレストマンキーが好物=
最後の一文が見逃せない。ツナデが狙われている気がする。
ツナデの後頭部にしがみつく力が増した。微妙に髪が引っ張られて痛い。フォレストマンキーの天敵なんだろうな。
後頭部に手を回してツナデを撫でてから、持ちあげてジライヤの背に預けた。フォレストスパイダーに《気配隠蔽》で近付き〈ウォーターカッター〉で狙い撃つ。
しかし水の刃は何かに当たり霧散した。雫を纏ったソレは、キラキラ光を反射して落ちていく。
「蜘蛛の巣か」
こちらに気付いたフォレストスパイダーは、勢いよく跳び上がる。あれがスキル《跳躍》だろう。隣の木の上方に移動した。
ツナデも《跳躍》を持っていたが、今まではスキルレベルが低くてあんまり高くまで跳べていない。進化でレベルが4に上がったから、今のフォレストスパイダーくらい跳べるかもな。
なんて考えながら、俺は〈ストーンバレット〉を放つ。今度は枝葉が邪魔をして当たらない。
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