悪役令嬢、シンデレラの姉。

キツツキのつき

文字の大きさ
3 / 3
悪役令嬢が婚約破棄しようとするのは当然です

002 計画的婚約破棄

しおりを挟む

   二

「それで、昨日のことですが……」
「え、それだけ?聞かないの、昨日何をしていたか?」
「聞いても無駄というとこはわかりきっていますからね。もう諦めてますよ」
「今日のルシは話しわかるね」
 小馬鹿にした様子で私は笑う。いつもなら私の主張に反駁をし、終わるまで待つ展開が続くけど、今日はそれがないようだ。でも、私は同時に不安な気持ちになった。
「聞かせて」
「はい、国の方針を決める大事な会議、軍国会議がありました。その内容についてです」
「あったことは知っているの。わざわざ、朝から来るってことは、内容が私に関係あるってことよね」
「見抜いていらっしゃいましたか、その通りです。軍国会議において予算、税、皇子の婚約者の3つが議題に上がりました。そこで、婚約者にお嬢様が選ばれました」
 遂に、この日が……。半年前、姉が婚約に行ったことでうすうす勘づいていた。もうすぐ、なのだと。
 けれど、ニヶ月前から考えが変わった。どうすれば回避できるのか、闇雲に反対しても意味はない、ここでまず味方にするべき人物。
「ルシ、どっちの立場なの?」
「旦那様が決めたです。本来なら異論はないはず、ですが、後に起こる面倒事を考えると私はお嬢様側に付きます」
「よくわかってんじゃん、ルシ」
「まだまだ新入りですが、長いことお嬢様と関わってましたから。あの表情、嘘ではないと誰が見ても理解出来ます」
「ふふ、ありがと」
 何度も何度も繰り返した喧嘩、価値はあったようだ。普段もこうであれば楽なのに。

「よし、じゃあ婚約破棄計画について、話し合いを始めましょうか」
「はい、まずですが、今の現状を確認するとしましょう。現在、旦那様のお決めによって、お嬢様と皇子様を婚約をしています。お嬢様はそれを破棄したいということで宜しいですか」
「うん、宜しいです」
 ふざけた様子でいる私に呆れたのか、ルシは何も反応もせず続けた。
「では、私はまず、旦那様を説得するのが良いかと」
「私もまずはそれを考えたけど、何日も旅行するとか言っていたし、会うのを避けてると思う」
「婚約破棄の相談をさせない意思が旦那様に見えますね」
「だから、皇子にまずは会ってみようと思うの」
「いいですが、会ってどうするおつもりですか」
「どういう性格か判断して決める。でないと話しにならないと思うから」
「わかりました。それなら、向こう側と話しをつけましょう」
 こうして、二日後に皇子と私の面談が始まった。

ブヒ、ブヒヒヒこ、こんにちわ
「あの~、皇子様で合ってますか?」
「当たり前でしよ!皇子様に失礼よ」
 甲高い声で侍女と見られる人物が言う。どう見ても尻尾生えてるし、ブヒブヒ言ってるし、豚に見えるのは私だけでしょうか。
 侍女が皇子を落ち着かせ、ゆっくりと話し始めた。
「すいません、焦ると、豚が出てきて、しまって」
 やっと人が理解できるまでに皇子の口調が変わった。豚が出てくるって何?と思うが、会話はできそうだ。
「今日は相談したいことがありまして……」
「婚約の件、ですよね」
 核心をついた議題がいきなり来たことに私はそうですと歩調を合わせた。まぁ、でも、それしか私が来る理由がないし、気づくか。さらに私は一歩進んだ質問をする。
「婚約破棄をしたいのです。今の私には好きな人がおりますし……」
「ハァぁー!逆じゃないのかしら。皇子様が婚約破棄を言うなら納得できますけど、あなたは言える立場じゃないでしょうが!」
「いいんだ、止めてくれ。それで、私にはどうしろと、言うのですか?」
「お父様に打診してほしいのです、婚約破棄の件を。私のお父さんは強制的に結婚をさせるつもりです」
「そうでしたか、私も、突然の婚約に、戸惑いを隠せませんでした。私でそうなら、好きな人がいるあなたの困惑は、より酷いものでしたでしょう。お父様に相談してみたいと思います」
「ですが、皇子様……」
「ありがとうございます!」
 話しな割り込もうとする侍女を強引に押し切る。
「こちらで話しは進めていきましょう」
 最初はどうなるかと思ったけど、皇子様、意外といい人ポジじゃん。これでもうちょいビジュアルが良ければなぁ。

 長いこと喋りすぎてしまった。朝から向かったはずなのに昼過ぎを指す時計に目を丸くする。帰り道、皇子との会話を思い出し笑ってしまった。
 思い出し笑いって、少しばかり自分がアホらしくなる。
 ガタンゴトン、ガタンゴトン。馬車はリズミカルに気持ち良く揺れていた。帰りの馬車で急な眠気に襲われ、眠ってしまった。

 チュン、チュン。鳥のさえずりは朝が来たことを知らせる。もう朝、はやくない?夜までにルシに相談をするつもりだったのに。
 コン、コン。ドアの音が聞こえる。私ははーいと返事をした。
「おはようございます、お嬢様。失礼致します。昨日のことで相談があります。」
 執事、ルシファーだった。私が起きるのを待っていてくれたのかな。ルシの魅せる優しさに謝らくてはと「ごめん」がまず初めに出る。
「はやくに寝ちゃって。昨日の件で話しをしよっか」
「わかりました。昨日の軍国会議のことですが……」
「何言っての?私が皇子に会った話じゃん」
「そんなことはなかったですよ、お嬢様」
 ……え……?
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。

風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。 ※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。

悪意には悪意で

12時のトキノカネ
恋愛
私の不幸はあの女の所為?今まで穏やかだった日常。それを壊す自称ヒロイン女。そしてそのいかれた女に悪役令嬢に指定されたミリ。ありがちな悪役令嬢ものです。 私を悪意を持って貶めようとするならば、私もあなたに同じ悪意を向けましょう。 ぶち切れ気味の公爵令嬢の一幕です。

私は《悪役令嬢》の役を降りさせて頂きます

・めぐめぐ・
恋愛
公爵令嬢であるアンティローゼは、婚約者エリオットの想い人であるルシア伯爵令嬢に嫌がらせをしていたことが原因で婚約破棄され、彼に突き飛ばされた拍子に頭をぶつけて死んでしまった。 気が付くと闇の世界にいた。 そこで彼女は、不思議な男の声によってこの世界の真実を知る。 この世界が恋愛小説であり《読者》という存在の影響下にあることを。 そしてアンティローゼが《悪役令嬢》であり、彼女が《悪役令嬢》である限り、断罪され死ぬ運命から逃れることができないことを―― 全てを知った彼女は決意した。 「……もう、あなたたちの思惑には乗らない。私は、《悪役令嬢》の役を降りさせて頂くわ」 ※全12話 約15,000字。完結してるのでエタりません♪ ※よくある悪役令嬢設定です。 ※頭空っぽにして読んでね! ※ご都合主義です。 ※息抜きと勢いで書いた作品なので、生暖かく見守って頂けると嬉しいです(笑)

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。 幼馴染に婚約者を奪われたのだ。 レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。 「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」 「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」 誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。 けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。 レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。 心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。 強く気高く冷酷に。 裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。 ☆完結しました。ありがとうございました!☆ (ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在)) (ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9)) (ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在)) (ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

「そうだ、結婚しよう!」悪役令嬢は断罪を回避した。

ミズメ
恋愛
ブラック企業で過労死(?)して目覚めると、そこはかつて熱中した乙女ゲームの世界だった。 しかも、自分は断罪エンドまっしぐらの悪役令嬢ロズニーヌ。そしてゲームもややこしい。 こんな謎運命、回避するしかない! 「そうだ、結婚しよう」 断罪回避のために動き出す悪役令嬢ロズニーヌと兄の友人である幼なじみの筋肉騎士のあれやこれや

悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ
恋愛
カーティア・メラーニはある日、自分が悪役令嬢であることに気づいた。 断罪イベントまではあと数ヶ月、ヒロインへのざまぁ返しを計画…せずに、カーティアは大好きな読書を楽しみながら、修道院のパンフレットを取り寄せるのだった。悪役令嬢としての日々をカーティアがのんびり過ごしていると、不仲だったはずの婚約者との距離がだんだんおかしくなってきて…。

【短編】その婚約破棄、本当に大丈夫ですか?

佐倉穂波
恋愛
「僕は“真実の愛”を見つけたんだ。意地悪をするような君との婚約は破棄する!」  テンプレートのような婚約破棄のセリフを聞いたフェリスの反応は?  よくある「婚約破棄」のお話。  勢いのまま書いた短い物語です。  カテゴリーを児童書にしていたのですが、投稿ガイドラインを確認したら「婚約破棄」はカテゴリーエラーと記載されていたので、恋愛に変更しました。

処理中です...