黒柴犬召喚

長田弐円

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第一章 増える黒柴犬

12話 オーブ

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 第1階層でオーブがドロップした。
 ちなみにこのオーブ、ドロップした当人にしか見えない。
 他人は認識できないので、譲渡不可アイテムとなっている。
 権力者が税金のように集めたり、1人の英雄に結集したりは出来ないのだ。
 将来的には分からないけどね。
 今がゲームのチュートリアルなら、パーティーとかクランとかそういう機能が後々開放されるかもしれんから。

 【体術】【アイテムボックス】【MP+30】の選択肢から、【体術】を選択。
 オーブを使っても、新しい技は覚えなかった。
 【体術】の基礎性能が2割くらいアップしたようなので、今後は性能だけが強化されていく感じかな。コストも2ずつ低下した。
 これで黒柴犬【体術】が、体術なし黒柴犬と同じコスト30になった。
 もしもコストを下げ続ける事が可能なら、凄いことになるんだけど、さすがにそれはないようだ。【体術】を重ねても、基礎コストを下回る事は出来ないと感覚的に理解できた。

 黒柴犬は体術強化を一旦やめて、次のオーブで【アイテムボックス】を覚えることを決断した。その後は【マッピング】を覚える予定。

 実はかなり前から、ドロップアイテムの牙を拾っていない。魔石は全て食べていた。
 第4階層の【飲食物】も何1つお持ち帰りしていない。
 現状使い道のない物を拾って運ぶより、オーブ捜索に労力を割いたほうが良いよねという判断だ。中に物を詰めながらリックやダッフルバッグを引きずっていくのは大変だからね。ボロボロなるし。
 しかしわざわざダンジョンが落とすアイテムだ。将来的には利用価値があるかもしれない。自分たちで使えずとも、誰かとの交渉に使えるかもしれない。
 拾えるなら拾っといたほうが良いわけで。【アイテムボックス】でのお持ち帰りを計画している。

 もしも【アイテムボックス】を黒柴に覚えさせるコストが重かったり、そもそも覚えさせれないなら、この計画は頓挫する。
 それでもまあ覚える価値はあるのだよ。
 万が一の際に、俺だけでも【アイテムボックス】を持っていれば、俺の生存率がグッと上がるだろうから。
 ぶっちゃけ、ずっと早く覚えたいと思ってたんや。
 言うと黒柴に労働的行動を求められそうだから我慢して部屋で食っちゃ寝しながらネット見てたけど。黒柴もそれ知って焦らしやがったけど、ついに根負けしたようである。俺が俺らしく生きることは、誰にも止められねーんだ。

 黒柴犬から呆れと諦めの感情が伝わってくる。
 理解してくれた犬さん、ありがとう。
 噛むな噛むな。
 よだれ付くやろが。

\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\

 で、次の日にまた拾ってきたので、レベルアップもするために、女神像の間に移動。

 俺は雄叫びを上げた。

「黒柴ぁーーーーーーっ! 俺は、アイテムボックスを覚えるぞっーーーー!!」

 良いから早く覚えろわんと黒柴の冷たい以心伝心。

 覚えてみたけど、やっぱコスト重いな。10増えるわ。
 黒柴犬は黒柴犬【アイテムボックス】の召喚を拒否。
 まあそやね。今は数と戦闘力を優先して、オーブだけ集めた方が良い。
 黒柴犬はLRだが、大器晩成型だろう。
 名を売り始めた自称LRの怪物たちに、今は全頭どころか10倍の数で襲いかかっても、歯が立ちそうにない。自称UR相手でも厳しいかもしれない。
 まあ黒柴犬は遠隔の複数召喚なんで、直接戦闘型に正面からガチンコ勝負で勝てないのは、当たり前といえば当たり前だが。オーブの重ねれる数次第では、それが可能になりそうなんだよな。

 とりあえず、念願の【アイテムボックス】が手に入った。
 地上に帰ったら色々詰めよっと。なんか小学校時代の遠足思い出すなぁ。
 おやつ300円のところを3万円くらい買って行って、親が呼び出しになったけど両親とも無視してたの今思い出すと笑える。無視されて校長めっちゃビビってて、担任はキレてたな。あの担任元気かな。俺に常識を教育しようと2年くらい頑張ってたけど最後は諦めてた。良いやつだったよ。

 そんなことより早くレベルアップしろわんと黒柴から以心伝心。

 俺は女神に祈りを捧げた。
 レベル9に。
 そして体術免許皆伝の称号が貰えた。

 これでMPが920になった。
 レベルがこれだけ上昇すると、第2階層のゴブリンなら、オーラなしでも一方的に狩れる様になっている。
 今は再召喚でコスト30の黒柴犬【体術】を多めにして、1~2階層に派遣している。
 効率の上昇を感じるぜ。

\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\/\

 2日後にまたオーブゲット。

 【体術】【マッピング】【MP+30】の選択肢から、【マッピング】を選択。
 ちなみに【マッピング】を取得した次の三択では、【アイテムボックス】が復活することが判明済み。

 マッピングを俺が覚えた瞬間、黒柴犬たちの周辺がマッピングされた。
 黒柴犬の動きに合わせて、どんどんとマップが描かれていく。
 どうやら召喚獣を使った偵察って扱いみたいだな。
 つまりはコストを払って覚えさせなくても、全頭がマッパーになったわけだ。
 ありがてえ。
 まあコスト10掛かっても、マップが未完成の間だけ専属を1匹か2匹出すだけなので、そこまで大きな負担ではなかったけど。

 黒柴犬はオーブ集めと並行して、マップ埋めを開始した。
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