れんしう 短編

3回目 冒頭一文:「おはよだよー☀️」上機嫌にそう言うと、さも当たり前の顔で隣りに腰を下ろした。

「おはよだよー☀️」上機嫌にそう言うと、さも当たり前の顔で隣りに腰を下ろした。彼女とは家が隣で小さい頃からいつも一緒にいた。
それにしても最近は距離が近い気がする、気にしすぎだろうか？なんて考えていると。
「あ、ほらー、また寝癖ついてるよー？」
なんて言って手櫛で整えてくる。
「いっ、いいから！」
「よくないよー、寝癖つけたままだと学校で笑われちゃうよ？」
学校で笑われるより今の状況が辛いです！近いし！周囲の視線が生温いし！
なんてしている間に駅が近づいてくる。
早くこの視線がむず痒い空間から出たい、なんて思っていると。
「あ、そうだ、みてみてこれ、星が綺麗でしょー？」
なんて言って彼女は星空を模したアクセサリを見せてくる。そういえば、丁度想いを伝えるのにもそんな言葉があったな、と思って。
「確かに、いい感じだね。でも前のアクセ、月の方が綺麗で好きかな、僕は」
なんて言ってみるけど
「そう？あっ着いた！行くよー！」
なんて言って凄い勢いで行ってしまった。
やっぱり、ちゃんと言葉にしないと気付いてくれないかな、なんてその勇気のない自分には無理な事を考えながら、僕は彼女を追った。