寿命530字

ぜふぃら

文字の大きさ
上 下
4 / 4

報告書1

しおりを挟む
2023年10月11日 14時45分
VWMZ1「文字の世界」報告書1

 本報告書は、VWMZ計画の第一段階の実験です。文字の世界とその特性に関する事実と考察。具体的には、文字の世界が二次元空間であり、平坦であること、そしてこの世界での寿命が終わると文字が二進数表記に変換されるという仮説に焦点を当てます。

1.文字の世界の性質
 文字の世界は、平坦で何もない二次元空間で構成されています。この世界は抽象的な存在であり、物理的な法則に従わないため、我々の現実世界とは異なる性質を持っています。
 何も設定を書かずにここに入った三名の人間は、例外なく寿命を迎えた時点で接続が出来なくなりました。彼ら、彼女らは死亡したとみなして調査を進めています。

2.寿命と二進数変換
 文字の世界において、VWMZで入り込んだ人間は寿命を迎えると、その存在が終了すると仮定します。しかし、偽の寿命を人間に与えたところ、本来の寿命を過ぎてもすぐには終了しないことが分かりました(本人が偽の寿命について信じているか否かは問わない)。この場合、文字は二進数表記に変換されます。
 この変換は、文字の世界が二次元であり、また電子的な文字により文字を起こしているため、情報を表現するための適切な方法として二進数が採用されると仮定されます。

3.疑問点
 現段階では文字の世界をデジタル的に文字起こしして再現していますが、仮にアナログ的に再現した場合、文字の世界で寿命を迎えた人間は二進数表記で終了していくのか否かを調べる必要があります。
 寿命を迎え、二進数表記となった人間は「UTF-8」「日本語」でのデコードが可能でしたが、なぜこの条件になったのか。
 アナログ的に文字の世界が実現した場合、その文字を記した媒体(例:方眼紙)を損傷させた場合、文字の世界にはどのような影響が起こるのか。
 二人以上が文字の世界に入った場合はどうなるのか。
 文字を加筆した場合、文字の世界にはどのような影響が起こるのか。
他数十の疑問点。

4.報告
 少数の犠牲を払い、多次元空間における文字の世界を突き止めました。今後は三次元的空間にて彼/彼女を再現させるため、引き続き調査を進めます。
 予定される次の実験は「文字の世界における加筆について」です。

報告書作成:カリフレラ・リテラチャル
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...