スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助

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27 遺跡の悪魔

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 今よりはるか昔、世界征服まであと一歩という国があった。その名はグレゴミラ王国。
 その文明は他国よりもはるかに進み、のちにオーパーツと呼ばれる物が多数発見される。
 そんな先進した国でも1つだけ作り出せなかった物がある。

【不老不死】

 世界も財宝も手に入れた者が次に望むもの、それは不老不死。

「国王陛下、準備が整いました」 
「うむ。すぐに参る」
「大臣派の動きに何やら変化が・・」
「もはやここまできたら何もできまい」
「はっ。一応、監視は続けます」
「これで余もようやく永遠の命を手に入れられる」
「ええ。この国のも未来永劫、安泰ですな」
「ははは・・」

 床には巨大化な魔法陣、中央には生贄の女性がいる。魔法陣の周りには魔術師、錬金術師、呪術師など様々な分野の精鋭が配置され、古代魔術らしき詠唱を行っている。

「陛下、中央に」
「うむ」

 国王が中央に行くと生贄の女性の心臓部に短剣が・・・。
 その瞬間、魔法陣が紫色の色を放つ。あまりの輝きにざわめきがおこる。
 国王は恍惚こうこつとした表情で立ち尽くしている。
 魔法陣から黒の稲光が生じる。なにやら様子がおかしい。稲光がより強くなる。
 国王も異変に気付いた。魔法陣から出ようとする。が、魔法陣からは出られない。
 稲光はついに魔法陣の周りにいた魔術師たちを焼き尽くし始めた。国王も恐怖でその場に座り込んだ。

「誰か、誰か、助けてく・・」

 魔法陣の光が膨張を始め国中を覆い、その光が消えたとき全てが消えていた。
 

 幸也はギルドに来ていた。もちろん仕事である。
 依頼のボードを眺めるが・・。面白そうな依頼はない。1つだけ気になる依頼があった。

【古代遺跡発掘の警備】

 おお!古代遺跡とか、なにかワクワクする。実際オーパーツとか好きなのだ。
 今日の受付は新人さんらしい。ミレイユさんと同じくらい可愛い。ギルドマスターは顔で選んでないか?と思わせるほどだ。

「お願いします」
「遺跡の警備ですね、先にもう1組受け付けております」
「もう1組?」
「えぇ。ランク【B】ラミアサークルの方達です」
「ラミアサークル・・」

 どうやら合同で依頼にあたるらしい。このギルドから2組。他のギルドからも参加があるようだ。
 幸也は、一緒に参加するラミアサークルに会いに行く。

「宮原幸也です。よろしくお願いします」
「私はラミアサークルのリーダー、リリス。こっちがミルルとネームル」
「幸也です。よろしくお願いします」
「若いのにユキヤ君は礼儀正しくのね。お姉さんが相手してあげましょうか?」
「えぇ・・あはは」

 この手のことはもうこりごりだ。
 さっそうと挨拶を済ませ2日後の出発に備えた。
  久しぶりに武器屋へ顔を出してみる。

「ボウズ。久しぶりじゃないか?」
「最近、色々ありまして・・」
「女遊びもほどほどにしとけよ?」
「はい。気をつけます(遊んでないのに、こりごりです)」
「不知火はどうだ?」

 幸也はアイテムボックスから不知火を取り出し、オヤジさんに渡す。オヤジさんは不知火を一通り見た後、

「刃こぼれすらしてない・・」
「すごいですよね?結構、ブン回しているのに」
「誰が作ったんだろうな?これ」
「知らないんですか?」
「知らん!俺はただ売りつけられただけだしな・・」
「すごい刀鍛冶の人そうですよね・・」

 武器屋のオヤジさんとの武器談義は楽しい。魔剣について聞かされると欲しくなる。
 この店にある魔剣の最低価格は金貨14枚。うーん、欲しい。
 だが耐久度は弱いらしく壊れやすいとのことだ。また今度だね。


 依頼当日、集合場所に向かうと既にラミアサークルの人達が来ていた。とにかくここの冒険者達は集合が早い。日本人のようだ。

「おはようございます。今日からよろしくお願いします」
「おはよう。困ったことあったら、お姉さんに言ってね」
「分かりました(絶対に困っても頼るのは止めよう)。荷物を俺のアイテムボックスに入れますか?」
「いいの!?助かっちゃう~」
「大丈夫ですよ。どうぞ」

 リリスさん達の荷物をアイテムボックスにしまい馬車に乗る。
 1人なら【エアウォーク】で移動したほうが速いのだが仕方ない。
 座ってる椅子の上にそってアイテムボックスを展開する。宙に浮いているので振動がこないからお尻が痛くならないのだ。

「ほんと!ユキヤ君がいると便利よね~。ウチのパーティに入らない?」
「か、考えておきます(これ入ったらダメなヤツだ・・)」

 快適な馬車の旅も終え、ついに目的地である古代遺跡後に着いた。何回パーティに勧誘されただろう?帰りもか・・・。
 学者風の男がかなりいる。警備の冒険者らしい人達もだ。それだけこの遺跡の重要性が感じられる。
 学者風の人が説明してくれた。

「かつてグレゴミラ王国は、この筒によって水を運んでました」
「筒?(これ水道じゃないか!?)」
「そうです。この筒の行き止まりにあった蓋を外すと水が流れたと言われています」

 なんてすごいのだろう。1500年も昔に水道が。
 その後、色々な説明を聞いたが楽しくて仕方がない。
 そして初日が終わった。
 いよいよ明日から遺跡の中に入る。幸也のワクワク感は最高潮に達した。
 
 翌日は、遺跡の中に入るメンバーの厳選が行われた。学者2人に護衛4人で何組か作る。
 もちろん幸也はラミアサークルの人達と組む。学者の人達は男女1人ずつだ。
 順番に遺跡に入っていくが、どこに行くかは自由らしい。幸也達の組みはどんどん奥へ進んだ。
 しかし、行けども行けども何も無い。魔物もいなければ金銀財宝もない。学者達も諦めムードだ。

「何もありませんね」
「そろそろ帰りましょうか?」
「ちょっと待って!ここに地下へ降りる階段がある」
「地下へ?!さらに地下がある?」
「行こう、行ってみよう」

 幸也達は地下へ続く階段を降りていく。
 だがこの時は知らなかったんだ。
 これが地獄へ続く階段だったなんて・・。

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