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第九章 遠征討伐訓練
9-27 召喚獣科・特殊クラス
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湿地帯に入り、アクセン先生が危惧したとおり皆の進行速度が素人目でもわかるほどに落ちた。
水分の多い地面に足を取られ、伸び放題になっている植物が足元の視界を遮り、不用意に足を進めれば深みにはまり抜け出せなくなる者もいる始末だ。
ボーボの上から周囲の状況を確認出来るからわかったことだが、こんな状態が続けば隊列が乱れ、到着予定時刻から大幅に遅れて現地へ辿り着くのは明白であった。
「思った以上にひでーな……お前ら、俺たちが進む道を追ってこい。それ以外に道はねーと思って進め」
見かねたリュート様がそう言うと、レオ様を筆頭に、リュート様や黒の騎士団が辿った道を追うように歩き出す。
慣れているのか、それともこういう地帯での訓練も積んできたのか……そう考えて、騎士科の方を見ると、彼らも危なげなく湿地帯を歩いている。
なるほど……騎士科でこういう訓練をしていたわけですね!
経験値は違うので足の運び方やスピードに違いはあるが、それでも、他の科と比べものにならない動きだ。
「翼が無いって不便だよねー」
暢気にそんなことを言っている真白は、飛ぶより弾けるほうが多い気もするのだが、そこを突っ込んではいけないのだろうか。
もの言いたげに見ている私の視線に気づかないのか、真白は眠そうにあくびをして目をこすっている。
やはり、疲れているのかと思う反面、それほど疲れるまでに何をしてきたのだろうという心配が拭えない。
今頃、真白の尻拭いで奔走しているだろうオーディナル様と紫黒が不憫でならないが、とりあえずここで大人しくしているなら問題は無いだろう。
「しかし、以前よりも動けるようになっているではないか。いつもなら、もうバテて動けなくなっていたのにな」
「お転婆なファスを追いかけているからかもしれませんわ……」
荒い息をしながらも、何とか歩いているイーダ様の横で元気づけようと声をかけているレオ様との会話が聞こえてきたのだが、いつもイーダ様を振り回しているファスは現在、ボーボの上で団子状態になっているところである。
『だって、イーダは体力が無いんだもん。追いかけっこするくらいしか、動かないし……アレじゃ、体に良くないもん』
不満げにそう言ったファスは、意図的にイーダ様を走らせているのかと感心していたのだが、そこで鼻を鳴らしたのはガルムであった。
『自分の好奇心が優先のくせに、何言ってんだ』
『一応、これでもイーダのことは考えているもん』
『お前の主もそうだけど、レオも……ヴォルフってヤツのこと、考えすぎなんだよな』
『もう居ない人に、どうしてそんなに気を遣うのか私にはわかんない。結局、弱い個体だったってだけじゃん』
ガルムとファスの会話を聞いていて、この言葉を彼らの前で口にしていないか心配になってしまう。
レオ様とイーダ様にとって、ヴォルフ様は忘れられない幼なじみなのだ。
ファスはおそらく、『死=弱い』という考えを持つ世界で生きてきたのだろうが、そこまで考えを巡らせる事が出来るほど、今のイーダ様に余裕はなさそうだ。
「ファス……それをイーダ様に言ってはいけませんよ」
『どうして? 事実なのに?』
「もしも……と、仮定しますね? もし、ファスが死んでしまったとき『弱い個体だったとして忘れ去られる』のと『大切な仲間だったとして思い出して貰える』のは……どちらがよいですか?」
『そ、それは、思い出して……欲しいかも……』
「私も同じです。出来れば忘れないで欲しい。でも、私の事を思い出すのが辛くて苦しいのなら、忘れて笑っていて欲しい。それはきっと、残して去っていった者のエゴですね。残された者は、そう簡単に割り切れないでしょうし……」
『……ルナはまるで、そんな経験をしたような事を言うのね』
家族を思い語る言葉は、ファスに……いえ、召喚獣達にどう響いたのだろうか。
ただ、皆は心配そうに私を見上げてくるので、そんなに酷い顔をしているのかと心配になる。
無言でぎゅっと抱きしめてくれるチェリシュが心配しているのだと伝わってきて、安心させるために翼で彼女の手に触れた。
「つまり、故人を想う気持ちはデリケートな問題なので、安易に口にしない方が良いということです」
『んー……わかった、ルナがそう言うなら、気をつけるね』
イマイチわからないといった表情をしていたファスは、「デリケートな問題」として捉えたようで、無神経なことをしてはいけないと判断したようだ。
このクラスの召喚獣は、基本的に賢い子が多いのも特徴のように思える。
「主と召喚獣といっても、全てわかりあえるわけではありません。他の世界で今まで生きて暮らしてきたのですから、価値観や考え方の違いはあります。それは当たり前のことです。ですが、頭から否定をせずに、相手の考えに少しだけ耳を傾けてください。考えることは難しく、否定することは容易いのですから……」
私の言葉を真剣に聞いていた召喚獣達には、何か思うことがあったのだろう。おずおずと、ボリス様の召喚獣であるレイスが小さな声で尋ねてくる。
『あのね……違っても……いいの? ボクが変なんじゃ……ないの?』
「変なのでは無く、違うというだけです。それで、自分を責める必要はありません。そして、相手を責めてもいけませんよ? 生きる世界、生きてきた時間、全てが違うのだから、考え方や思いが違っても当然なのですもの」
『怒られない?』
ロヴィーサ様の召喚獣であるプルルが、半透明な体を不安げに揺らす。
「怒られたら相談してください。私たちは、召喚獣科・特殊クラスの仲間ですから!」
『召喚獣科……特殊……クラス……?』
何ソレ――期待と不安と好奇心が入り交じった召喚獣達の視線を受けながら、私はニッコリ笑って見せた。
何も不安に思うことがないように、この先に明るい未来が待っているのだと告げるように、この子達の中にある不安を払拭するように、明るい口調で話しかける。
「そうですよ? だって、主は召喚術師科・特殊クラスの生徒なのですもの。私たちは、召喚獣科なのです。仲間なのですから、お互いに助け合って、わからないことは相談して、この世界に馴染んでいきましょうね」
「そのクラスの担任は、ルナさんでしょうかねぇ」
「ひゃあぁっ! あ、アクセン先生、聞いていたのですかっ!?」
突然声をかけられて焦ったのだが、ボーボの様子を見るために近づいてきていたアクセン先生が此方を見上げてにこやかに話しかけてくる。
「いやはや、召喚獣達が何を話しているのかわかりませんが、ルナさんの言葉は、この周囲にいる人たちには聞こえておりましたからねぇ」
「……え、えっと……あの……その……」
「召喚獣科・特殊クラスですか……良いですね! その副担任は、是非とも私に!」
「いや、ダメだろ」
すかさずリュート様のツッコミが入り、ボーボのそばにいた人たちも深く頷く。
「何故ですかっ!?」
「お前の召喚獣愛が重すぎるんだよ!」
「貴方ほどではありません」
「はぁっ!? 誰が重いだとっ?!」
目をつり上げてアクセン先生に食ってかかるリュート様は、グロッキー状態で突っ伏しそうになっているイーダ様や、それを支えているレオ様に比べると、今でも駆け出しそうなくらい元気そうだ。
体力が有り余っているというのも問題ですね……
「あの、今の話……聞こえて……」
「アイツらは聞こえて無いっていうか……ほら、あの状態だから、聞く余裕が……」
それは良かった……レオ様とイーダ様を見ても何ら変化は無く、更にシモン様とトリス様のサポートを受けながら、何とか休憩地点へ向かって足を進めている状態だ。
「悪先、早めに休憩したほうが良いぞ。こりゃダメだ。昨年よりも体力の無いヤツが多いだろ。弱体化してんじゃねーか? 魔物は……強くなっているんだがな……」
最後の低く鋭いリュート様の言葉に、アクセン先生も苦笑を浮かべ、まるで「同意見ですねぇ」とでも言いたげである。
「今のところ問題無く動けているのは、特殊クラス、騎士科……くらいでしょうか」
「イーダの様子を見ていると、特殊クラスも入れて良いのか迷うが……問題は魔法科と聖術科だな。隊列が乱れて話になってねーぞ」
「ヤレヤレですねぇ……それに比べて黒の騎士団の元気なところは見習いたいですねぇ」
「アイツら、体力と耐久力だけはあるからな」
湿地帯の中を、ケタケタ笑いながら走り回る余裕を見せる元クラスメイトたちへ視線を向け、リュート様は呆れたような苦笑を浮かべた。
どうやら、湿地帯の食材を探しているようである。
このままでは訓練にならないと判断したロン兄様が、班に分かれて食材をどれだけゲットできるか競争させているらしい。
後続を考えて、進行速度をかなり落としましたものね……
「あーいうことしているとさ、俺もうずうずしちまうな……食材だろ? 湿地帯の食材か……ルナ、何が欲しい?」
とても良い笑顔で問われたのだが、リュート様が参戦することによって、確実に元クラスメイトたちが違う意味で窮地へ追い込まれる予感がする。
さすがに可哀想なので、「今日のリュート様は、私から離れすぎなのです」と言って翼をぱたつかせてジーッと見つめていると、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてから頬を赤らめて「す、すみません」という謝罪をいただいた。
元クラスメイトのみなさま、私、やりましたよ!
「リューがベリリなのーっ!」
「チェリシュ! 音量、声の音量落として! そういう報告はしなくていいからっ!」
チェリシュの絶叫のようなベリリ報告に、うとうとしていた真白はたたき起こされ、「なにっ!? ベリリっ!?」と周囲を見渡している。
「ルナちゃんが尻に敷いてる……」
「ああ、もう完全に確定だよな……」
「まさかの、嫁さんが強いパターンか……」
「魔王の奥さんが女神で強いとか、最強かよ」
おかしいですね。結婚した覚えが無いのに、どうして私たちはそういう風に捉えられてしまうのでしょう。
小首を傾げている私に習って、召喚獣団子と真白とチェリシュが一緒になって首を傾げる。
その姿が気に入ったのか、リュート様は無言でカメラを取り出して撮影をしはじめ、それを目ざとく見つけたロン兄様とマリアベルが「あとで見せて!」と約束を取り付けていた。
水分の多い地面に足を取られ、伸び放題になっている植物が足元の視界を遮り、不用意に足を進めれば深みにはまり抜け出せなくなる者もいる始末だ。
ボーボの上から周囲の状況を確認出来るからわかったことだが、こんな状態が続けば隊列が乱れ、到着予定時刻から大幅に遅れて現地へ辿り着くのは明白であった。
「思った以上にひでーな……お前ら、俺たちが進む道を追ってこい。それ以外に道はねーと思って進め」
見かねたリュート様がそう言うと、レオ様を筆頭に、リュート様や黒の騎士団が辿った道を追うように歩き出す。
慣れているのか、それともこういう地帯での訓練も積んできたのか……そう考えて、騎士科の方を見ると、彼らも危なげなく湿地帯を歩いている。
なるほど……騎士科でこういう訓練をしていたわけですね!
経験値は違うので足の運び方やスピードに違いはあるが、それでも、他の科と比べものにならない動きだ。
「翼が無いって不便だよねー」
暢気にそんなことを言っている真白は、飛ぶより弾けるほうが多い気もするのだが、そこを突っ込んではいけないのだろうか。
もの言いたげに見ている私の視線に気づかないのか、真白は眠そうにあくびをして目をこすっている。
やはり、疲れているのかと思う反面、それほど疲れるまでに何をしてきたのだろうという心配が拭えない。
今頃、真白の尻拭いで奔走しているだろうオーディナル様と紫黒が不憫でならないが、とりあえずここで大人しくしているなら問題は無いだろう。
「しかし、以前よりも動けるようになっているではないか。いつもなら、もうバテて動けなくなっていたのにな」
「お転婆なファスを追いかけているからかもしれませんわ……」
荒い息をしながらも、何とか歩いているイーダ様の横で元気づけようと声をかけているレオ様との会話が聞こえてきたのだが、いつもイーダ様を振り回しているファスは現在、ボーボの上で団子状態になっているところである。
『だって、イーダは体力が無いんだもん。追いかけっこするくらいしか、動かないし……アレじゃ、体に良くないもん』
不満げにそう言ったファスは、意図的にイーダ様を走らせているのかと感心していたのだが、そこで鼻を鳴らしたのはガルムであった。
『自分の好奇心が優先のくせに、何言ってんだ』
『一応、これでもイーダのことは考えているもん』
『お前の主もそうだけど、レオも……ヴォルフってヤツのこと、考えすぎなんだよな』
『もう居ない人に、どうしてそんなに気を遣うのか私にはわかんない。結局、弱い個体だったってだけじゃん』
ガルムとファスの会話を聞いていて、この言葉を彼らの前で口にしていないか心配になってしまう。
レオ様とイーダ様にとって、ヴォルフ様は忘れられない幼なじみなのだ。
ファスはおそらく、『死=弱い』という考えを持つ世界で生きてきたのだろうが、そこまで考えを巡らせる事が出来るほど、今のイーダ様に余裕はなさそうだ。
「ファス……それをイーダ様に言ってはいけませんよ」
『どうして? 事実なのに?』
「もしも……と、仮定しますね? もし、ファスが死んでしまったとき『弱い個体だったとして忘れ去られる』のと『大切な仲間だったとして思い出して貰える』のは……どちらがよいですか?」
『そ、それは、思い出して……欲しいかも……』
「私も同じです。出来れば忘れないで欲しい。でも、私の事を思い出すのが辛くて苦しいのなら、忘れて笑っていて欲しい。それはきっと、残して去っていった者のエゴですね。残された者は、そう簡単に割り切れないでしょうし……」
『……ルナはまるで、そんな経験をしたような事を言うのね』
家族を思い語る言葉は、ファスに……いえ、召喚獣達にどう響いたのだろうか。
ただ、皆は心配そうに私を見上げてくるので、そんなに酷い顔をしているのかと心配になる。
無言でぎゅっと抱きしめてくれるチェリシュが心配しているのだと伝わってきて、安心させるために翼で彼女の手に触れた。
「つまり、故人を想う気持ちはデリケートな問題なので、安易に口にしない方が良いということです」
『んー……わかった、ルナがそう言うなら、気をつけるね』
イマイチわからないといった表情をしていたファスは、「デリケートな問題」として捉えたようで、無神経なことをしてはいけないと判断したようだ。
このクラスの召喚獣は、基本的に賢い子が多いのも特徴のように思える。
「主と召喚獣といっても、全てわかりあえるわけではありません。他の世界で今まで生きて暮らしてきたのですから、価値観や考え方の違いはあります。それは当たり前のことです。ですが、頭から否定をせずに、相手の考えに少しだけ耳を傾けてください。考えることは難しく、否定することは容易いのですから……」
私の言葉を真剣に聞いていた召喚獣達には、何か思うことがあったのだろう。おずおずと、ボリス様の召喚獣であるレイスが小さな声で尋ねてくる。
『あのね……違っても……いいの? ボクが変なんじゃ……ないの?』
「変なのでは無く、違うというだけです。それで、自分を責める必要はありません。そして、相手を責めてもいけませんよ? 生きる世界、生きてきた時間、全てが違うのだから、考え方や思いが違っても当然なのですもの」
『怒られない?』
ロヴィーサ様の召喚獣であるプルルが、半透明な体を不安げに揺らす。
「怒られたら相談してください。私たちは、召喚獣科・特殊クラスの仲間ですから!」
『召喚獣科……特殊……クラス……?』
何ソレ――期待と不安と好奇心が入り交じった召喚獣達の視線を受けながら、私はニッコリ笑って見せた。
何も不安に思うことがないように、この先に明るい未来が待っているのだと告げるように、この子達の中にある不安を払拭するように、明るい口調で話しかける。
「そうですよ? だって、主は召喚術師科・特殊クラスの生徒なのですもの。私たちは、召喚獣科なのです。仲間なのですから、お互いに助け合って、わからないことは相談して、この世界に馴染んでいきましょうね」
「そのクラスの担任は、ルナさんでしょうかねぇ」
「ひゃあぁっ! あ、アクセン先生、聞いていたのですかっ!?」
突然声をかけられて焦ったのだが、ボーボの様子を見るために近づいてきていたアクセン先生が此方を見上げてにこやかに話しかけてくる。
「いやはや、召喚獣達が何を話しているのかわかりませんが、ルナさんの言葉は、この周囲にいる人たちには聞こえておりましたからねぇ」
「……え、えっと……あの……その……」
「召喚獣科・特殊クラスですか……良いですね! その副担任は、是非とも私に!」
「いや、ダメだろ」
すかさずリュート様のツッコミが入り、ボーボのそばにいた人たちも深く頷く。
「何故ですかっ!?」
「お前の召喚獣愛が重すぎるんだよ!」
「貴方ほどではありません」
「はぁっ!? 誰が重いだとっ?!」
目をつり上げてアクセン先生に食ってかかるリュート様は、グロッキー状態で突っ伏しそうになっているイーダ様や、それを支えているレオ様に比べると、今でも駆け出しそうなくらい元気そうだ。
体力が有り余っているというのも問題ですね……
「あの、今の話……聞こえて……」
「アイツらは聞こえて無いっていうか……ほら、あの状態だから、聞く余裕が……」
それは良かった……レオ様とイーダ様を見ても何ら変化は無く、更にシモン様とトリス様のサポートを受けながら、何とか休憩地点へ向かって足を進めている状態だ。
「悪先、早めに休憩したほうが良いぞ。こりゃダメだ。昨年よりも体力の無いヤツが多いだろ。弱体化してんじゃねーか? 魔物は……強くなっているんだがな……」
最後の低く鋭いリュート様の言葉に、アクセン先生も苦笑を浮かべ、まるで「同意見ですねぇ」とでも言いたげである。
「今のところ問題無く動けているのは、特殊クラス、騎士科……くらいでしょうか」
「イーダの様子を見ていると、特殊クラスも入れて良いのか迷うが……問題は魔法科と聖術科だな。隊列が乱れて話になってねーぞ」
「ヤレヤレですねぇ……それに比べて黒の騎士団の元気なところは見習いたいですねぇ」
「アイツら、体力と耐久力だけはあるからな」
湿地帯の中を、ケタケタ笑いながら走り回る余裕を見せる元クラスメイトたちへ視線を向け、リュート様は呆れたような苦笑を浮かべた。
どうやら、湿地帯の食材を探しているようである。
このままでは訓練にならないと判断したロン兄様が、班に分かれて食材をどれだけゲットできるか競争させているらしい。
後続を考えて、進行速度をかなり落としましたものね……
「あーいうことしているとさ、俺もうずうずしちまうな……食材だろ? 湿地帯の食材か……ルナ、何が欲しい?」
とても良い笑顔で問われたのだが、リュート様が参戦することによって、確実に元クラスメイトたちが違う意味で窮地へ追い込まれる予感がする。
さすがに可哀想なので、「今日のリュート様は、私から離れすぎなのです」と言って翼をぱたつかせてジーッと見つめていると、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしてから頬を赤らめて「す、すみません」という謝罪をいただいた。
元クラスメイトのみなさま、私、やりましたよ!
「リューがベリリなのーっ!」
「チェリシュ! 音量、声の音量落として! そういう報告はしなくていいからっ!」
チェリシュの絶叫のようなベリリ報告に、うとうとしていた真白はたたき起こされ、「なにっ!? ベリリっ!?」と周囲を見渡している。
「ルナちゃんが尻に敷いてる……」
「ああ、もう完全に確定だよな……」
「まさかの、嫁さんが強いパターンか……」
「魔王の奥さんが女神で強いとか、最強かよ」
おかしいですね。結婚した覚えが無いのに、どうして私たちはそういう風に捉えられてしまうのでしょう。
小首を傾げている私に習って、召喚獣団子と真白とチェリシュが一緒になって首を傾げる。
その姿が気に入ったのか、リュート様は無言でカメラを取り出して撮影をしはじめ、それを目ざとく見つけたロン兄様とマリアベルが「あとで見せて!」と約束を取り付けていた。
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