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リコールですよ亮君
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なあ、王道学園ものって知ってるか。特殊な嗜好を持つ人々が、ボーイズラブって呼んでいる世界ではありふれたものらしい。なぜか山奥とか郊外にある金持ちばかりが入学する全寮制男子校が舞台でさ。そんでもって寮の部屋はカードキーでな。そのカードキーが猫型ロボットも驚くくらい万能な代物なんだよ。クレジットカード機能は当たり前で、身分証明書にもなってさあ。更に学生の身分によっては、エレベーターにカードキーを差し込まなきゃ行けないような、選ばれし者の専用フロアなんてものまであって。ついでに言うとそんな身分の高い生徒のカードキーは、学内のどこでも開けれちゃうマスターキーにまでなるらしい。
因みにそんな高い御身分の学生様は、どの話の中でも悉く他人のプライバシーや人権は微塵も考えてねえんだよ。すげえよな。今時そんな法令遵守を無視する奴がいることに驚きだよ俺は。社会に出たら真っ先にリストラ候補になっちゃうと思わねえか。経営者だったとしても、労基に駆け込まれたら一発アウトだし。権力でごまかせても、社員が自殺でもして社会問題になったらもう目も当てられねえよ。
え、話がそれたって。悪い悪い。つい怒りが間欠泉のようにぶわっと湧きあがっちゃって。それで身分ってなんだってか。ああ、身分っていうのはだな。なんかよく分からん理由で全校生徒が対象に人気投票をしてな。そうそう人気者になるには、実家の権力と金に如何に端正な顔立ちかという事だけが重要だ。能力があるとか勉強ができるとか。そんなのは高身分の学生様には標準装備らしいから、ちっともアピールポイントになりゃしねえ。
まあそんな意味不明な理由で選ばれた上位数名が、生徒会と風紀委員に割り振られるんだよ。もちろん一位が生徒会長な。そんで大体風紀委員長は生徒会長と犬猿の仲らしいから、二位なんだけど風紀にするわとか言って委員長になるらしい。まあそんで生徒会と風紀は有り得ないくらい権力持ってて。授業免除から始まって。学園を運営する権利と、さっき言った校内のどこでも開けれちゃうマスターキーを持つ権利と、どこのハリウッド映画の登場人物ですかっていうような、寮にやたらと凝ったカラクリが仕掛けられたエレベーターでしか行けない専用の階にホテルのスイートみたいな一人部屋を持ってんだよ。そんでこれもなんか知らねえけど。食堂も専用の貴族席みたいなのがあって。そこで毎日、下々を見下しながら昼食と夕食をとらなきゃならないらしい。
そもそもさあ。学生なのに授業免除とか本末転倒じゃね。学生に学校を運営する権限と仕事与えるって、理事会その他職員は怠慢にも程があんじゃね。ていうか普通に考えたら学校自体が潰れるよな。社会に出た事すらない。実家が金持ちなだけのガキに何が出来るっていうんだよ。
そんでさらに凄いことに王道転校生ってのが、時季外れに転校してきて。そいつには三十年くらい前に流行った黒縁眼鏡と、どこのサイババだってくらいモジャモジャのヅラは必需品らしい。え、ボンちゃん風の眼鏡は最近また流行ってるって。ほお、そうなんだ。
まあ極めつけは、どの話もほとんど同じ理由で生徒会長以外の役員を、そのモジャモジャが籠絡しちゃって。腹黒の副会長は笑い方がキモイ。無理して笑わなくていいんだぜ。チャラ男の会計はセフレなんてダメだぞ。お前本当は寂しいんだろ。あと双子の。ああここ双子がポイントらしいぜ。そう双子の書記はどっちがどっちだか初対面で当てられたからって理由で。え、うちは双子書記がいないって。ああ、そういう場合はな。無口ワンコ書記ってのがいて。うちはそれだな。そのワンコ書記は、しゃべらなくても思っていることを分かってくれるっていう電波な理由だ。
そんなこんなで初めての恋で。ちょ、高校生にもなって、初めての恋が男って笑っちまうよな。まあそのモジャモジャに役員が夢中になっちゃって仕事全然しなくなってさ。一人で会長が仕事しちゃうんだよ。その間も会長になんでか執着しちゃったモジャモジャが引っ切り無しに邪魔しに来るし。仕事量もブラック企業も目じゃないくらいの真っ黒さで。過労死寸前のところで会長職を解かれんの。それもモジャモジャが会長にご執心なのが気に食わない嫉妬に狂った役員の手によってな。
ああ、長々と語って悪かったな。まあ、何が言いたいかっていうとだな。この理不尽三昧で非常識まみれのなか。俺はよく頑張った方だと思うんだけど。お前らどう思う。俺としてはさ。残りの学生生活は、のびのびと楽しんでもいいんじゃないかって思うんだよね。まだ二年の一学期だし、学生らしいことして遊びたいんだよ俺も。いわゆる遅れて来た高校デビューっていうの。あれ、やってみたいわけよ。
「三分の二の賛成により、会長である柏木亮の免職が決定しました」
全校生徒が集まる講堂の中から、副会長が高らかに宣言をする声が聞こえた。そうして間髪を開けずに大勢から歓喜の声が上がった。
ところが渦中の人物である柏木亮は、講堂裏で数人の不良少年と一緒に炭酸ジュースを飲んでいた。亮はまるで酒を飲み、ぐでんぐでんに酔った質の悪いおっさんのように彼等に絡んでいたが、派手な見た目に反して優しい不良少年達は、ただただ彼の話を聞き大変だったんだなと労わっていた。
「お前気に食わねえ奴だと思ってたのに。なんか不憫な奴だったんだな」
ショッキングピンクの髪色の少年が、憐れな生き物を見る目で亮を見た。
両耳に多数のピアスを付けている一見強面の彼は、他人を気遣う事のできるとても良い奴だ。なぜなら彼は限界まで腹を空かせ、動けなくなっていた亮を見付け、初対面だというのにコンビニ弁当を恵んでくれたのだから。
亮は今まで一度もそういったものは不味いに違いないと勝手に決めつけ、食べたことがなかったのだけれども、それを一口含んだ途端に彼の箸は止まらなくなった。なんかあれだ。色々疲れてて頭も働いてないし、語彙もないから上手く言えないけれど。なんか癖になる味だ。安っぽい味なのに、だからこそ美味い。
「ほら、これも食えよ。元気出せって」
かき氷のシロップのような青い髪色の少年が、出来立てのカップラーメンを亮に差し出した。彼も良い奴だ。ビビッドカラーな見た目と違って優しい。弁当一つじゃ満たされなかった亮にお菓子を恵んでくれた。
「ああ、みんな優しいなあ。優しすぎて泣けてきた」
亮は麺を咀嚼し飲み込むと、カップ麺をじっと見つめ呟いた。
亮に親切にしてくれた不良の彼等も。恵んでもらったジャンクフードも。親から全てくだらないものだと教えられて育ち、今まで疑う事なく生きてきた。
けれど、どうだろうか。彼らはとても親切で良い奴らだし。ジャンクフードは、これはこれで美味い。
親が推奨する良家の子息だけれど。目の前の彼等よりも、ずっと冷たい生徒会の奴等。亮の人間性を見ているのではなく、実家の権力と金。それに亮の容姿にしか興味のない親衛隊とかいう金魚の糞達。そんな奴等よりも、ずっとずっと彼等の方が人として優れているのではないか。
亮はその事実に気付き、狭い世界で生きていた己を恥じた。
「お前なにそれ。有り得ねえ。こんなんで優しいとか。今までどんな殺伐とした環境で生きてきたんだよ」
銀色の髪色をした別の不良少年が、堪らずといった感じで笑った。彼もまた良い奴だ。亮がまだまだ足りないと言ったら、追加でお菓子や飲み物を買いに行ってくれ、悪いから代金を払うと言ったのに彼はそんなの気にするなと、出会ったばかりの亮に言ってくれたのだから。
ああ、本当に涙が出てきた。
「だって俺。箱入りのお坊ちゃんなんだもん。これから高校デビューすんの。明日からF組だし。これからやりたい事バンバンやってくんだもん。夏休みに海水浴とかしてロケット花火打ち合うんだもん」
無駄に過ごした青春をこれから取り戻してやるんだと。亮はこぼれた涙をこぶしで拭い、鼻息荒く意気込んだ。
「なんだよ、だもんって。しかも今から高校デビューかよ。遅えよ。そんでなんで、高校デビューがロケット花火なんだよ。お前中学生かよ」
「でもロケット花火の打ち合い楽しいよな。なんか久しぶりにやりたくなってきたな」
「おし、麓の町まで買いに行こうぜ。あそこの駄菓子屋なら置いてるだろ。おい、亮。それ早く食えよ。食ったら二ケツして買いに行くぞ」
不良少年達は立ち上がり、もそもそとカップ麺を食べていた亮を急かした。
「え、みんな。俺とロケット花火してくれんの」
目を丸くする亮に、彼らは笑って言った。お前、明日からF組なんだろ。だったら、もう仲間だろうと。
「な、仲間。それって友達」
「仲間も友達も一緒だろうが。いいから早く食えよ」
それに勢い良く頷いた亮は、早く食べようとして気管に麺が入りかけた事で激しく咽てしまった。すごく苦しいはずだというのにも関わらず、亮は咳き込みながらそれでも満面の笑みを浮かべていた。大丈夫かなんだと心配し、背をさすってくれる友人たちの優しさが、堪らなく嬉しかったのだった。
「あ、爺やからのラインだ。え、なんだ。さすが爺やだな。なんかうちの爺やが、ロケット花火を沢山買ったから、今日の夕方までに届けてくれるって」
買いに行かなくて済んだなという亮に友人たちは驚き、爺やってなんだよとか。お前どんなお坊ちゃんだよと各々ツッコミをいれたが、それに対し亮は満面の笑みでこう答えた。
「だって俺。箱入りのお坊ちゃんだもん」
因みにそんな高い御身分の学生様は、どの話の中でも悉く他人のプライバシーや人権は微塵も考えてねえんだよ。すげえよな。今時そんな法令遵守を無視する奴がいることに驚きだよ俺は。社会に出たら真っ先にリストラ候補になっちゃうと思わねえか。経営者だったとしても、労基に駆け込まれたら一発アウトだし。権力でごまかせても、社員が自殺でもして社会問題になったらもう目も当てられねえよ。
え、話がそれたって。悪い悪い。つい怒りが間欠泉のようにぶわっと湧きあがっちゃって。それで身分ってなんだってか。ああ、身分っていうのはだな。なんかよく分からん理由で全校生徒が対象に人気投票をしてな。そうそう人気者になるには、実家の権力と金に如何に端正な顔立ちかという事だけが重要だ。能力があるとか勉強ができるとか。そんなのは高身分の学生様には標準装備らしいから、ちっともアピールポイントになりゃしねえ。
まあそんな意味不明な理由で選ばれた上位数名が、生徒会と風紀委員に割り振られるんだよ。もちろん一位が生徒会長な。そんで大体風紀委員長は生徒会長と犬猿の仲らしいから、二位なんだけど風紀にするわとか言って委員長になるらしい。まあそんで生徒会と風紀は有り得ないくらい権力持ってて。授業免除から始まって。学園を運営する権利と、さっき言った校内のどこでも開けれちゃうマスターキーを持つ権利と、どこのハリウッド映画の登場人物ですかっていうような、寮にやたらと凝ったカラクリが仕掛けられたエレベーターでしか行けない専用の階にホテルのスイートみたいな一人部屋を持ってんだよ。そんでこれもなんか知らねえけど。食堂も専用の貴族席みたいなのがあって。そこで毎日、下々を見下しながら昼食と夕食をとらなきゃならないらしい。
そもそもさあ。学生なのに授業免除とか本末転倒じゃね。学生に学校を運営する権限と仕事与えるって、理事会その他職員は怠慢にも程があんじゃね。ていうか普通に考えたら学校自体が潰れるよな。社会に出た事すらない。実家が金持ちなだけのガキに何が出来るっていうんだよ。
そんでさらに凄いことに王道転校生ってのが、時季外れに転校してきて。そいつには三十年くらい前に流行った黒縁眼鏡と、どこのサイババだってくらいモジャモジャのヅラは必需品らしい。え、ボンちゃん風の眼鏡は最近また流行ってるって。ほお、そうなんだ。
まあ極めつけは、どの話もほとんど同じ理由で生徒会長以外の役員を、そのモジャモジャが籠絡しちゃって。腹黒の副会長は笑い方がキモイ。無理して笑わなくていいんだぜ。チャラ男の会計はセフレなんてダメだぞ。お前本当は寂しいんだろ。あと双子の。ああここ双子がポイントらしいぜ。そう双子の書記はどっちがどっちだか初対面で当てられたからって理由で。え、うちは双子書記がいないって。ああ、そういう場合はな。無口ワンコ書記ってのがいて。うちはそれだな。そのワンコ書記は、しゃべらなくても思っていることを分かってくれるっていう電波な理由だ。
そんなこんなで初めての恋で。ちょ、高校生にもなって、初めての恋が男って笑っちまうよな。まあそのモジャモジャに役員が夢中になっちゃって仕事全然しなくなってさ。一人で会長が仕事しちゃうんだよ。その間も会長になんでか執着しちゃったモジャモジャが引っ切り無しに邪魔しに来るし。仕事量もブラック企業も目じゃないくらいの真っ黒さで。過労死寸前のところで会長職を解かれんの。それもモジャモジャが会長にご執心なのが気に食わない嫉妬に狂った役員の手によってな。
ああ、長々と語って悪かったな。まあ、何が言いたいかっていうとだな。この理不尽三昧で非常識まみれのなか。俺はよく頑張った方だと思うんだけど。お前らどう思う。俺としてはさ。残りの学生生活は、のびのびと楽しんでもいいんじゃないかって思うんだよね。まだ二年の一学期だし、学生らしいことして遊びたいんだよ俺も。いわゆる遅れて来た高校デビューっていうの。あれ、やってみたいわけよ。
「三分の二の賛成により、会長である柏木亮の免職が決定しました」
全校生徒が集まる講堂の中から、副会長が高らかに宣言をする声が聞こえた。そうして間髪を開けずに大勢から歓喜の声が上がった。
ところが渦中の人物である柏木亮は、講堂裏で数人の不良少年と一緒に炭酸ジュースを飲んでいた。亮はまるで酒を飲み、ぐでんぐでんに酔った質の悪いおっさんのように彼等に絡んでいたが、派手な見た目に反して優しい不良少年達は、ただただ彼の話を聞き大変だったんだなと労わっていた。
「お前気に食わねえ奴だと思ってたのに。なんか不憫な奴だったんだな」
ショッキングピンクの髪色の少年が、憐れな生き物を見る目で亮を見た。
両耳に多数のピアスを付けている一見強面の彼は、他人を気遣う事のできるとても良い奴だ。なぜなら彼は限界まで腹を空かせ、動けなくなっていた亮を見付け、初対面だというのにコンビニ弁当を恵んでくれたのだから。
亮は今まで一度もそういったものは不味いに違いないと勝手に決めつけ、食べたことがなかったのだけれども、それを一口含んだ途端に彼の箸は止まらなくなった。なんかあれだ。色々疲れてて頭も働いてないし、語彙もないから上手く言えないけれど。なんか癖になる味だ。安っぽい味なのに、だからこそ美味い。
「ほら、これも食えよ。元気出せって」
かき氷のシロップのような青い髪色の少年が、出来立てのカップラーメンを亮に差し出した。彼も良い奴だ。ビビッドカラーな見た目と違って優しい。弁当一つじゃ満たされなかった亮にお菓子を恵んでくれた。
「ああ、みんな優しいなあ。優しすぎて泣けてきた」
亮は麺を咀嚼し飲み込むと、カップ麺をじっと見つめ呟いた。
亮に親切にしてくれた不良の彼等も。恵んでもらったジャンクフードも。親から全てくだらないものだと教えられて育ち、今まで疑う事なく生きてきた。
けれど、どうだろうか。彼らはとても親切で良い奴らだし。ジャンクフードは、これはこれで美味い。
親が推奨する良家の子息だけれど。目の前の彼等よりも、ずっと冷たい生徒会の奴等。亮の人間性を見ているのではなく、実家の権力と金。それに亮の容姿にしか興味のない親衛隊とかいう金魚の糞達。そんな奴等よりも、ずっとずっと彼等の方が人として優れているのではないか。
亮はその事実に気付き、狭い世界で生きていた己を恥じた。
「お前なにそれ。有り得ねえ。こんなんで優しいとか。今までどんな殺伐とした環境で生きてきたんだよ」
銀色の髪色をした別の不良少年が、堪らずといった感じで笑った。彼もまた良い奴だ。亮がまだまだ足りないと言ったら、追加でお菓子や飲み物を買いに行ってくれ、悪いから代金を払うと言ったのに彼はそんなの気にするなと、出会ったばかりの亮に言ってくれたのだから。
ああ、本当に涙が出てきた。
「だって俺。箱入りのお坊ちゃんなんだもん。これから高校デビューすんの。明日からF組だし。これからやりたい事バンバンやってくんだもん。夏休みに海水浴とかしてロケット花火打ち合うんだもん」
無駄に過ごした青春をこれから取り戻してやるんだと。亮はこぼれた涙をこぶしで拭い、鼻息荒く意気込んだ。
「なんだよ、だもんって。しかも今から高校デビューかよ。遅えよ。そんでなんで、高校デビューがロケット花火なんだよ。お前中学生かよ」
「でもロケット花火の打ち合い楽しいよな。なんか久しぶりにやりたくなってきたな」
「おし、麓の町まで買いに行こうぜ。あそこの駄菓子屋なら置いてるだろ。おい、亮。それ早く食えよ。食ったら二ケツして買いに行くぞ」
不良少年達は立ち上がり、もそもそとカップ麺を食べていた亮を急かした。
「え、みんな。俺とロケット花火してくれんの」
目を丸くする亮に、彼らは笑って言った。お前、明日からF組なんだろ。だったら、もう仲間だろうと。
「な、仲間。それって友達」
「仲間も友達も一緒だろうが。いいから早く食えよ」
それに勢い良く頷いた亮は、早く食べようとして気管に麺が入りかけた事で激しく咽てしまった。すごく苦しいはずだというのにも関わらず、亮は咳き込みながらそれでも満面の笑みを浮かべていた。大丈夫かなんだと心配し、背をさすってくれる友人たちの優しさが、堪らなく嬉しかったのだった。
「あ、爺やからのラインだ。え、なんだ。さすが爺やだな。なんかうちの爺やが、ロケット花火を沢山買ったから、今日の夕方までに届けてくれるって」
買いに行かなくて済んだなという亮に友人たちは驚き、爺やってなんだよとか。お前どんなお坊ちゃんだよと各々ツッコミをいれたが、それに対し亮は満面の笑みでこう答えた。
「だって俺。箱入りのお坊ちゃんだもん」
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