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25.
「おかえりなさいませ!ご主人さ……ま」
「面白えことしてるじゃねえか、お前」
プライドを押し殺して働いていた、知り合いになど絶対に見られたくなかったはずの姿を、一番見られたくなかった相手に見られてしまった。
さて。私が何故メイド服を着て、この自分が言うのも聞くのもおぞましいような言葉を吐いているのか。その理由は1週間前に遡る。
私はこの地域で起きていた連続放火魔の調査及び捕縛の任務を受注していた。
調査の段階では良かった。筒がなく進んで、犯人は近くの魔法学校の不良生徒であることまで分かったからだ。しかし事件はその犯人を現行犯で捕縛する時に起こった。
炎の魔法が特に得意らしい犯人は、逃げながらも、いざとなればどこかに火をつけて私の気を引こうとしていることはわかっていた。だからずっと警戒して魔道具に強力な魔力を込め続けていた。そしていざ犯人が行動を起こしたと認識した瞬間、私の魔法は予想以上の火力で犯人を包んでいた。
そして一緒に破壊してしまったのだ。
この私が今働かされている店の系列店をーー。
ちなみに捕縛対象は予想以上に出てしまった出力の魔法をギリギリで私が店の方に逸らしたおかげで、服が弾け飛んで片腕に火傷を負う程度の怪我で済んだ。これは幸いである。キレ散らかしていたが。
「アンタねえ、確かにこの辺りを騒がせていた放火魔を捕まえてくれるのは有り難いのよ?」
「……じゃあ、今回の件は賠償金のみで不問とーー」
「でもね!アンタのイルハルト冒険ギルドは以前もこの店の系列店を破壊しているの。まるで狙ったように、ね」
「それはギルドマスターがやってしまったことだと思うので申し訳ないとは思いますが、私には関係があーー」
「だからね!!反省の色を見せて欲しいのよ。アンタ、顔綺麗だし、うちの壊れていない方の系列店で働くってことで。仕事終わりと休日に来てね」
そうして話は終わった。
一方的な会話だった。全ての話を、なんだか女性口調のゴリマッチョのおじさんに遮られて、何も言えずに終わったのだ。
そして反省の色を見せると言う意味で今に至る。
イルハルトにも相談したが、「あー、ごめんね。心当たりすごくある。頑張って、サブマスター」と丸投げされた。本当に無責任な男だと思う。しかし店を壊してしまった私にも責任はある。魔法で火をつけようとしているのを止めようとしたせいだとはいえ私の注意不足には変わりない。それに彼と同じように私まで無責任になってしまったら、色々な意味で崩壊してしまうだろう。自身の衣食住が保証されなくなるのは困る。だからこそ、私は責任を取ることにして休日にもおとなしく働いているのだ。
アレンの誘いを今回断ったのはこれが理由だったりする。これがなかったとしても断っていた可能性は高いが。
******
「で?メイドのステラちゃん?いつもはクソ生意気なお前からまさかそんな名称で呼ばれる日が来るとはなあ。俺が?ご主人さーー」
「何故、そんな意地悪なことを仰るのですか」
「え……は??」
「私はいつでもご主人様に従順なメイドだったと思います。もしかして何かご主人様の気に障ることをしてしまったのですか。申し訳、ありません。でもご主人様に嫌われて、こんなふうに意地悪な言葉を言われるのは悲しいです。貴方に必要とされなくなったら私はーー」
「えっと、その、ごめん」
ちょっとした意趣返しのつもりだった。
人が一生懸命、仕方なく働いている姿を見てこの男は私を揶揄っていたのだ。だから顔を伏せて悲しそうな表情を作った上で震わせた声で彼をご主人様扱いしてみた。
どうせもっとバカにされるか返答に全く応じない私に怒りを見せるかのどちらかだと思っていた。
しかしその反応は違うものだった。あの生意気で謝罪や反省、そして道徳という言葉を母親の母体に忘れてきたのかと思うほどに最低な男からの謝罪の言葉が口から出てきたのだ。自身の耳と目を疑う反応だった。
「面白えことしてるじゃねえか、お前」
プライドを押し殺して働いていた、知り合いになど絶対に見られたくなかったはずの姿を、一番見られたくなかった相手に見られてしまった。
さて。私が何故メイド服を着て、この自分が言うのも聞くのもおぞましいような言葉を吐いているのか。その理由は1週間前に遡る。
私はこの地域で起きていた連続放火魔の調査及び捕縛の任務を受注していた。
調査の段階では良かった。筒がなく進んで、犯人は近くの魔法学校の不良生徒であることまで分かったからだ。しかし事件はその犯人を現行犯で捕縛する時に起こった。
炎の魔法が特に得意らしい犯人は、逃げながらも、いざとなればどこかに火をつけて私の気を引こうとしていることはわかっていた。だからずっと警戒して魔道具に強力な魔力を込め続けていた。そしていざ犯人が行動を起こしたと認識した瞬間、私の魔法は予想以上の火力で犯人を包んでいた。
そして一緒に破壊してしまったのだ。
この私が今働かされている店の系列店をーー。
ちなみに捕縛対象は予想以上に出てしまった出力の魔法をギリギリで私が店の方に逸らしたおかげで、服が弾け飛んで片腕に火傷を負う程度の怪我で済んだ。これは幸いである。キレ散らかしていたが。
「アンタねえ、確かにこの辺りを騒がせていた放火魔を捕まえてくれるのは有り難いのよ?」
「……じゃあ、今回の件は賠償金のみで不問とーー」
「でもね!アンタのイルハルト冒険ギルドは以前もこの店の系列店を破壊しているの。まるで狙ったように、ね」
「それはギルドマスターがやってしまったことだと思うので申し訳ないとは思いますが、私には関係があーー」
「だからね!!反省の色を見せて欲しいのよ。アンタ、顔綺麗だし、うちの壊れていない方の系列店で働くってことで。仕事終わりと休日に来てね」
そうして話は終わった。
一方的な会話だった。全ての話を、なんだか女性口調のゴリマッチョのおじさんに遮られて、何も言えずに終わったのだ。
そして反省の色を見せると言う意味で今に至る。
イルハルトにも相談したが、「あー、ごめんね。心当たりすごくある。頑張って、サブマスター」と丸投げされた。本当に無責任な男だと思う。しかし店を壊してしまった私にも責任はある。魔法で火をつけようとしているのを止めようとしたせいだとはいえ私の注意不足には変わりない。それに彼と同じように私まで無責任になってしまったら、色々な意味で崩壊してしまうだろう。自身の衣食住が保証されなくなるのは困る。だからこそ、私は責任を取ることにして休日にもおとなしく働いているのだ。
アレンの誘いを今回断ったのはこれが理由だったりする。これがなかったとしても断っていた可能性は高いが。
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「で?メイドのステラちゃん?いつもはクソ生意気なお前からまさかそんな名称で呼ばれる日が来るとはなあ。俺が?ご主人さーー」
「何故、そんな意地悪なことを仰るのですか」
「え……は??」
「私はいつでもご主人様に従順なメイドだったと思います。もしかして何かご主人様の気に障ることをしてしまったのですか。申し訳、ありません。でもご主人様に嫌われて、こんなふうに意地悪な言葉を言われるのは悲しいです。貴方に必要とされなくなったら私はーー」
「えっと、その、ごめん」
ちょっとした意趣返しのつもりだった。
人が一生懸命、仕方なく働いている姿を見てこの男は私を揶揄っていたのだ。だから顔を伏せて悲しそうな表情を作った上で震わせた声で彼をご主人様扱いしてみた。
どうせもっとバカにされるか返答に全く応じない私に怒りを見せるかのどちらかだと思っていた。
しかしその反応は違うものだった。あの生意気で謝罪や反省、そして道徳という言葉を母親の母体に忘れてきたのかと思うほどに最低な男からの謝罪の言葉が口から出てきたのだ。自身の耳と目を疑う反応だった。
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