どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ

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1章-3

第36話

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 翌朝、山でも作れそうなほどの大量の聖金貨を渡すとドワタンたちはそれを手土産に帰っていった。

 それから。
 武器と防具、資材購入の約束を取りつけてきたことをキングに評価されてドワタンたちの勘当は無事取り消されたようだ。

 のちほど商材を持って伺うっていう感謝の言葉も微精霊を通じて同時に送られてくる。

 とにかくよかった。

 三人が無事に集落へ戻ることができて俺はホッと胸を撫で下ろしていた。



 ◇◇◇



 数日後。
 約束どおりドワタンたちが街にやって来た。

「失礼します支配者さま。ドワタンさんたちが約束の品をお持ちになって来られました」

「おー。そうか」

「今街の入口でお待ちいただいております」

「うん分かった。準備してから顔を出すよ」

 自室のベッドから起き上がって身支度をはじめるもズーポの様子がどこかおかしい。

「どうした?」

「あ……いえ。この件については直接その目で確認された方がよろしいかと思いまして」

「?」

 少しだけ不思議に思いながら俺は街の入口へと向かった。
 そこにいたのは……。

(え、誰!?)

 モスグリーン肌のマッチョな大男たちが笑顔で手を振っていた。
 俺に手を振ってるんだよな?

 少しだけ不思議に思いながら近づくと金髪の男が声を上げる。 

「ティムはーん! わざわざおおきに~!」

「まさか……ドワタン!?」

「大正解っ! こんな格好になってちと驚かれたんとちゃいますかぁ~?」

「ちょっとどころじゃないぞ……。どうしたんだその姿……」

「アニキ、真っ先に盟主さんにこの姿お見せしたいって張り切ってましたー!」

「向かってる最中からワクワクだったんッスよ~!」

「アホっ! んな恥ずかしいこと言わんでええねん!」

 なるほど。
 ズーポが言い淀んでいたわけが分かった。
 
 この見違えるようにたくましくなった体つきで思い当たることはひとつしかない。

「種族進化を果たしたのか?」

「ヘヘッ、さすがはティムはん! なんでもお見通しやで~」

「おめでとう! まさか種族進化してやって来るとは思ってなかったぞ」

「これもすべて盟主さんのおかげなんですよ!」

「そうッス! オイラたちが進化できたのはぜんぶ盟主さんの力なんスよ~!」

「? なんで俺のおかげなんだ?」

 話が飲み込めず詳しい事情を三人から聞く。 
 それを耳にして俺は驚いた。

 なんでも俺が支払った大量のルビーによってドワーフ族は種族進化できたっていうのだ。

「今は刀鎧始祖族エルダードワーフと名乗っとりますわ」

「そうだったんだ」

 ドワーフ族の進化条件は全員が一定のルビーを手にすることだったみたいだな。
 思わぬ形で役に立ててよかった。

「父上もティムはんにごっつ感謝してますさかい。種族進化は一族の念願やったんですわ」

「キングもアニキのことすごく見直してたッス!」

「そんなすごい方と仲良くなったのか!って上機嫌でしたねぇ~」

「なに失礼なこと言ってんねん。仲良くなんて恐れ多いで」

「べつに失礼でもなんでもないよ。俺もみんなと仲良くなれてうれしいし」

「ヘヘッ。そう言っていただけるとこっちもうれしい限りですわ」



 ◇◇◇



 そのあと。
 三人を集会の間に招くとそこで俺は大量の武器、防具、資材を受け取った。

「おぉっ! これだけの武器が揃えばモンスターはもう怖くありませんね!」

「さすがはドワーフ族……いや今は刀鎧始祖族だったか。主さま、防具はどれも上等な品が揃っております」

 ルーク軍曹とガンフーが納得したように頷くとドワタンは張り切って口にする。

「商材にはぜったいの自信があるんやで! すべてミカエリス大陸から運んできたもんやから品質は保証するで~!」

「たしかに。これだけの資材があれば居住スペースも問題なく作れそうですが……」

 霧丸はそう口にしつつもどこか不安そうな表情を浮かべた。
 それが気になって俺はこっそりと訊ねる。

 返答は予想どおりのものだった。

「やっぱり資材だけあってもダメか」

「はい……申し訳ございません。開発計画は進めておりますが実際に作れる者は限られておりまして……」

 これだけの資材があっても建造物を作り上げる者がいなければ意味がない。
 蒼狼王族サファイアウルフズの中には、ある程度知識を持った仲間がいるんだけど専門ってわけじゃないし。

「我らオーガ族もお力になれたらよかったのですが……。なにぶん加減ができない不器用な者が多く情けない限りです。お役に立てずすみません」

「いや、もともと無茶な注文してるのは俺なわけだし。ふたりが謝る必要なんてないよ」

 でも困ったな。
 街を発展させるためにはまず居住区を整備しないとならないわけで。

 このままのペースで進めていたらいつまで経ってもオーガ族はバラバラのままだ。


「なんや? 街の開発に関してなんか悩みでもあるみたいやな?」

 俺たちの話を聞いてドワタンが近寄ってくる。
 その口調にはどこか確信のようなものが含まれていた。

「あぁ、ちょっとね」

「ヘヘッ、そういうことなら心配ないでティムはん! ワイらが来たんは商材を届けるだけやなかったんですわ」

「? どういうこと?」

「この前言ったやないですか。この恩は一生忘れまへんって」

「アニキは盟主さんのお役に立ちたいんですよー」

「そうッス! めちゃくちゃ張り切ってたッス~!」

「お前らアホっ! だからそーゆう恥ずかしいことは言わんでええねんっ!」

 三人がわちゃわちゃと騒ぐ中、俺の頭にはハテナマークが浮かんだままだ。

「役に立ちたいって……もう十分役立ってると思うけど」

「あきまへんっ! こんなもんで恩を返せたとは言えまへんで~!」

「キングの許しを得られたのも盟主さんのおかげですし」

「種族進化の手助けもしていただいたッス!」

「?」

「つまり……ワイらが力になりまっせ! 街の開発に関してはお任せあれや!」

 とドワタンたちが胸を張る。
 それはまったく予想してなかった申し出だった。

 たしかにドワーフ族はもともと建築に関して豊富な知識を持っている。
 三人に手伝ってもらえるんならこんなうれしい話はないけど。
 
「でもせっかく集落に戻れたのにいいのか? ドワーフキングの許可だって貰わなきゃだろうし」

「むしろ父上は大いに賛成してくれましたで! しっかり恩を返して来い言うとりましたわ~」

「そうなのか?」

「キングはアニキが変わってうれしくて仕方ないみたいなんッスよー!」

「盟主さんの好意がなければ自分たちはモンスターに食い殺されてたかもしれないですし」

「だからティムはんが困ってるんなら助けになりたいんや! 遠慮なんかしなくてええねんで? 刀鎧始祖族となった今、ワイらにとってモノづくりは朝飯前になったんやから」

 キラキラとした目で三人が迫ってくる。
 
 うん。
 なんかもうなにを言っても無駄って感じだ。

「このとおりお願いや! 力になりたいんやティムはん!」

「そりゃこっちとしては願ってもない申し出だけど……本当にいいの?」

「もちろんやで! ワイらに恩を返させてくれや!」 

「というのは口実で。アニキはどうしても盟主さんのおそばにいたいみたいなんですよねぇ~」

「素直にそう言えないところがなんともアニキらしいッス!」

「な、なに言ってくれてんねんっ!? お前ら……また余計なことを……!」

 そのとき、集会の間にドッと笑い声が起こった。
 幹部の全員も笑顔だ。

(数日前の言い争いが噓みたいだな)
 
 みんなドワタンたちが気持ちのいいやつらだって分かってくれたみたいだ。

「分かった。ぜひ協力してくれると助かる」

「うひょっ~! その言葉待ってましたで! ティムはんのためなら協力は惜しみまへん!」

「盟主さんのお役に立てるなんて夢のようです!」

「しっかり役に立つッスよ~!」

「三人ともよろしく頼むよ」

 こうして。
 ドワタンたちの協力を得ることになるのだった。
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