どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ

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2章-1

第3話

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 透き通った黒髪のポニーテールとアメジストの大きな瞳。
 なぜか白銀の鎧を身につけてるけど、服装が変わっても見間違えるはずがない。

「ヨル!」

 俺は思わず手を取った。

「ずっと心配してたんだぞ! どこを探しても村は見つからないし、これまでいったいどこに――」

 そこまで言いかけてハッとする。

(……違う、この子はヨルじゃない!)

 女の子の顔はヨルと瓜ふたつだ。

 けど。
 ヨルよりもかなり雰囲気が大人びていた。

 バストなんかかなりでかいし、背もすらっとして高い。
 意志の強そうな凛々しい眉はヨルにはなかったものだ。

 それになにより。

 俺に声をかけられて困惑した表情を浮かべたのが気になった。
 ヨルだったらこんな反応はしない。


 そんなやり取りを見てもうひとりの女の子が不思議そうに口にする。
 
「ヨル? ヨルって誰のこと?」

「……分かりません」

 鎧姿の女の子はポニーテールをなびかせながら一歩うしろに下がった。
 警戒されてしまったのかもしれない。

 一方でもうひとりの女の子はというと俺に興味津々といった様子だ。

 太陽のような笑みをぱっと輝かせながら近寄ってくる。

「でも驚いたよぉ~。まさか人族の男の人が盟主やってるなんて!」

 ブロンドの艶やかな三つ編みとエメラルド色のくりっとした瞳。
 整った小顔はまるでお人形さんみたいだ。

 煌びやかなドレスを着飾っているあたり、どこかいいところのお嬢様なのかもしれない。
 でも、その高貴な身なりとは対照的に性格は元気娘って印象だった。

「ワッハハ! ですなぁ! てっきり強面のオーガ族が出てくるものと思ってましたな。ティム殿……と言いましたか? よろしくお願いしますぞ!」

 うしろで控えていた大男のおっさんが前に出て手を差し出してくる。
 
 スキンヘッドの赤髪トサカがいやでも目につく。
 男は筋骨たくましい恵まれた体格にポニーテールの女の子と同じ鎧を身につけていた。

 見た目はけっこう怖そうだけど、話してみると案外気さくな人なのかもしれない。
 俺は握手しながらそんなことを思った。

「でもどうしてランドマン大陸に人族がいるんだろぉー? 不思議じゃない?」

「言われてみればたしかにそうですなぁ」

 ブロンド髪の女の子がおっさんに話しかける。
 それを見て一歩うしろへと下がった女の子が隣りのじいさんに小さく声をかけた。

「ブライさま。もしかしてこの方は」

「うむ」

 口元の大きな白ヒゲに手を当てると小太りなじいさんは静かに頷いた。

 黒色の丸帽子を頭につけて武道着を羽織っている。
 背も高くないから見た感じ気のよさそうなじいさんなんだけど……どこかただならぬ雰囲気があった。

「自由市国ルーデウス。その名を聞いてまさかとは思っておったが」

「? どーしたのふたりとも?」

「ウェルミィさま。驚かないでお聞きください。この御方こそ……兄上さまかと存じます」

「ええぇっ!? この人が……お兄さまっ!?」

 じいさんがそう告げるとブロンド髪の女の子は口元に手を当てて大きく驚いた。
 けどそれも一瞬で。
  
 すぐ納得したように頷くとなぜか俺に飛びついてくる。

「でもそうかもっ! 姿と名前が変わってもなんかお兄さまを感じる~! ずっと逢いたかったよぉ、お兄さまぁ~~♡」

「ちょ、おい……!?」

 く、苦しいっ……。
 なんて力だ。

 見ず知らずの女の子にぐりぐりときつく抱き締められながら考える。
 
(お兄さまだって?)

 たしかに口調はなんとなくヨルっぽいけど。
 でも……顔はぜんぜん違う。
 
 こんな妹、俺は知らないぞ。


 わちゃわちゃと場が騒がしくなる中。
 幹部のみんなも困惑してる様子だ。

 ガンフーが代表して訊ねてくる。

「どういうことでしょうか。このご令嬢は主さまの妹殿なのですか?」

「いや。悪いがまったく覚えがない」

「がーんっ!?」

 ショックを表現しながらブロンド髪の女の子が迫ってくる。

「ひどいよぉーお兄さまぁ……。どれだけお兄さまにお逢いしたかったことか。夢に何度も見たんだよー?」

「と言われてもな。つかそろそろ離れてくれ」

「むぅ~~!」
 
 なかなかしんどいぞこの状況。
 相手は謎に俺を兄って勘違いしてるわけだし。

(どうすればいいんだ?)

 だけど。

 なぜか女の子の声には聞き覚えがあるように思えた。

(なんだろう。はじめて会うはずなのに声は聞いたことあるような気がするんだよな)

 そんなことを考えていると霧丸が話しかけてくる。

「ですが、ティムさまには御令妹がおられたのではなかったでしょうか?」

「うん。たしかに妹はいるんだけど、そいつの名前はヨルって言って……」

 ふと白銀の鎧を身につけた女の子の姿が目に入る。
 不思議そうにこっちを覗く表情は大人びていた。
 
(ヨルに似てるけど……やっぱり違う)

「あーまたヨル? うちはヨルなんて名前じゃないよぉ~。妹の名前も忘れちゃったなんてお兄さまひどいっ~!」

「ウェルミィさま。今の兄上さまは記憶を失っておられます。順を追ってきちんとご説明しないとご理解いただけないかと」

「たしかにそうかもだけどぉ……。うちの顔見れば分かってもらえるって思ってたからかなりショックなんだよ……」

「ワッハハ! こればかりは仕方ないことですよ! 気を落とさないでください!」

「うぅ~~」

 ふたりにそんな風に言われるとブロンド髪の女の子は渋々頷いた。
 すぐにポニーテールの女の子が俺に向き直る。

「あの、突然のことで驚かれたと思います。ティムさん……と仰いましたね?」

「ああ」

「我々が訪ねてきた事情を詳しくお話したいのですがよろしいでしょうか?」

「それは構わないけど。でもお兄さまってたぶん誰かと勘違いしてると思うぞ」

 なんか記憶を失ってるとかヤバい話も聞こえてきたけど、それも含めてぜったいに勘違いしてる。
 でも女の子の方も一歩も引かない。
 
「きちんとご説明すればご理解いただけると思います」

「そうなのかなぁ」

 俺が渋っていると小太りなじいさんが口を開く。

「これから話すことはかなりナイーブな内容じゃ。できればそなたらの盟主殿とだけ話をしたいのじゃがよろしいかな?」

 主にまわりの仲間たちに向けて言ったようだ。
 
「そう言ってティムはんに危害を加えるつもりやないやろな?」

「そんなわけないじゃん! お兄さまに危害を加えるなんてあり得ないよ~!」

「んなの分からないやないか。アホなふりしてごまかそー思ってるんやろ? 人族なんて大抵ろくでもないんやからな!」

「むっきー! ろくでもないなんてひどい! それにアホなふりってなに!? アホって言った方がアホなんだよぉー!」

「な、なんやと……! アホはそっちや!」

「違うもんっ! アホアホアホぉ~~!」

 ブロンド髪の女の子とドワタンがむきになって言い争う。
 ふたりとも子供か。
 
「ティムさま、いかがいたしましょうか? 個人的にですがこの方たちはどうも信用に欠けるように思えます」

「うーん」

 たしかにルーク軍曹の言うとおり、この四人にはなんとなく得体の知れない不気味さのようなものがあった。

(だけど……)

 ヨルと瓜ふたつの女の子に目を向けて思う。
 彼女たちがいったい何者なのか、気になるのもまた事実だ。

 ここで帰ってもらうのは簡単だけどそれは真実を知る機会を失うことを意味してるわけで。

 いろいろと考えた末、俺は提案に乗ることにした。


「分かったよ。少しだけでいいなら話を聞こうと思う」

「え……本当によろしいのですか?」

「みんな。会議の途中で申し訳ないんだけどさ。集会の間に戻って少しだけ待っててくれないか? すぐに戻るから」

「……分かりました。ティムさまがそうおっしゃるのでしたら」

 俺がそう言うとルーク軍曹は納得してくれたようだ。
 
「なにかあれば近くの者にお知らせください」

「すぐに我々が駆けつけます」

「ありがとう。ふたりとも」

 霧丸とガンフーに礼を伝えると俺はポニーテールの女の子に向き直る。
 
「込み入った話をするにはちょうどいい場所がある。ついて来てくれ」

「ありがとうございます。ティムさん」

「ワッハハ! そうと決まれば行きますぞ、ウェルミィさま!」

「そうじゃな」

 未だにドワタンと言い争っているブロンド髪の女の子の手をおっさんとじいさんが引く。

「ちょ、ちょっとぉ……!? まだどっちがアホか決まってないのにぃ~!」

「せやせやっ! 今いいところなんやで!?」

 なにふたりとも仲良くなってるんだよ。
 少しだけ頭が痛くなりながら、俺は四人をある場所へと案内することに。
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