迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ

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序章

第1話

「この出来損ないの欠陥品が!」

 アスター王国ハワード領の領都ドミナリア。
 その一等地に大邸宅を構えるハワード家の執務室に、当主ウガン・ハワードの怒鳴り声が響き渡る。

 彼の面前にいるのは、次男であるルイス・ハワード。
 今日は、彼の10歳の誕生日だった。

 ルイスは晴れて【魔力固定の儀】を迎え、これから魔導師の仲間入りとなるはずであった。
 
 ――だが。

「貴様には、どれだけ金をかけたと思ってるんだ! 魔法適性ゼロだと? ふざけやがって!」

「……ご、ごめんなさい……父上……」

「もう貴様に父親と呼ばれる筋合いはない! おい、お前!」

 ウガンは近くにいた鑑定士を呼びつける。
 そして、きつくこう言い放った。

「コレは廃棄処分とする。宮廷には、儀式の最中に魔力の暴走によって死亡したとそう伝えろ!」

「しかし、お館様。そのような虚偽の報告をするわけには……」

「金なら後で嫌というほど積んでやる! 我がハワード家の存続がかかっているのだ。ここは大人しく私に従ってもらうぞ!」

「か、かしこまりました……」

 その瞬間、ルイスの追放が決定した。

「これまで散々期待させおって。貴様には、苦しんで野垂れ死んでもらうことにする」

「父上っ……僕、なんでもしますから……。お願いします……追い出さないでくださいっ……」

 ルイスは床に額をつけて、大粒の涙をこぼしながら懇願する。
 けれど、ウガンがそれで許すようなことはなかった。

「ぅっ!?」

 ウガンはルイスの頭をブーツで踏みつけながら吐き捨てる。

「貴様の顔など二度と見たくないわ! 早くこの出来損ないを連れ出して行け!」

 ウガンが使用人の男にそう命令すると、ルイスは強制的に執務室から追い出されてしまうのだった。

「父上ぇ……ごめんなさぁいぃ……」



 ◆



 賢神暦392年。

 ルイスは、ハワード伯爵家の次男として誕生する。
 そして、その誕生は父親であるウガンにとって大きな喜びとなった。

 なぜなら、ルイスは魔力値9999を持った状態で生まれてきたからだ。

「間違いないのだな!?」

「は、はいっ……。この赤子の生まれ持った魔力値は9999です……!」

 鑑定士はさらに、「正直言って信じられませんっ……」と驚きの言葉を口にする。

「おぉ、なんということだ! やったぞ、ナタリー! これで我がハワード家も安泰だ!」

「ええ……。この子は……大事に育てましょう……」

「もちろんだとも!」

 ウガンは妻ナタリーと抱き合って、ルイスの誕生を心から喜んだ。
 
 しかし――。
 妻のナタリーがルイスの成長を見届けることは叶わなかった。

 彼女は、ルイスを産み落とした3日後に、その短い生涯に幕を下ろすことになる。



 ◆



 それからルイスはすくすくと成長していった。

 ウガンは、最愛の妻を亡くした悲しみを紛らわせるように、ルイスを溺愛して育てた。
 幼い頃から優秀な家庭教師をつけさせて、ルイスは魔法の知識を貪欲に吸収していく。

 また、ルイスは周りの子供たちと比べて、魔力値の減るスピードが遅かった。
 その事実は、ウガンにさらなる期待を与えることになる。



 ここで魔力値についての説明が必要だ。

 人族は、誰もが魔力値と術値という2つの数値を持った状態で生まれてくる。
 それは、歳を重ねるに従って減っていき、その後増えるようなことはない。

 魔力値が高く、魔導師としての素質がある者は、10歳を迎えるまでに、己の中でしっかりとした魔法理論を構成していく必要がある。

 そして、晴れて10歳の誕生日を迎えると、【魔力固定の儀】で魔力値を固定することになる。
 固定をしてしまえば、それが自分の正式な魔力値となるのだ。

 理論的には、生まれたばかりの赤子の魔力値が一番高く、そこで固定することができればよいのだが、赤子では魔法理論を理解することができない。

 ゆっくりと時間をかけて、魔法についての知識を学んでいく必要があるのだ。

 しかし、大抵の者は、この【魔力固定の儀】を迎える前に、魔力値は0となってしまう。
 それほど、魔導師になれる者というのは限られていた。

 その希少性から、魔導師は国に重宝される存在となっている。
 また、魔力値は遺伝するということもあり、そのほとんどは王族か貴族によって占められていた。

 ルイスはその中でも、規格外の魔導師になるのではないかと周りから期待されていた。

「こいつは将来、まだ発見されていない未発見の魔法も扱えるようになるかもしれん」

 ハワード家には、ルイスの3つ上にアーロンがいたが、ウガンは長男には目もくれず、ルイスに付きっきりだった。
 それが、アーロンの嫉妬を生む結果となり、ルイスは陰で兄のいじめを受けることとなる。



「ぅぅっ……や、やめてください……兄様っ……」

「お前さえいなけりゃ! 僕がお父様の一番だったんだ!」

 たいまつをルイスに近付けて、何度も火を押し付けようとする。
 おかげで、ルイスの体には火傷の跡ができてしまっていた。

「熱いですっ……助けてぇっ……やめてくださいぃ……!」

「いやだね! 僕はお前のことを絶対に許さない! 呪ってやる! お前に不幸が訪れますようにって、ずっと呪ってやるからな……!」

 その〝呪い〟の言葉通り、それからしばらくしてルイスの身に異変が起こり始めた。

 これまで減りの遅かった魔力値は、ある日を境に、急速にそのスピードが速くなってしまったのだ。

 綺麗なブロンド色の髪は、徐々に色が抜け落ちていき、【魔力固定の儀】を迎える頃には、ルイスの髪は真っ黒になってしまった。



 ◆



 使用人の男に強引に手を引かれてルイスが執務室を出ると、そこにはアーロンの姿があった。

「ハッハッハ! ざまぁないね、ルイスぅ~! 僕が期待した通りのことが起きたよ!」

「……に、兄様……」

 どうやら、ドア越しに聞き耳を立てていたようだ。
 アーロンは、ルイスが廃棄されることを面白おかしそうに笑った。
 
「ハワード家は今後、僕が背負っていくんだからな! お前じゃ無理だよ!」

 アーロンはすでに【魔力固定の儀】を終えて、魔力値を固定している。
 ルイスに比べたら、目立たない魔力値であったが、アーロンが魔法適性ゼロとなることはなかった。

 今後、15歳となって成人を迎えれば、魔導官として宮廷で働くことになる。
 ルイスとは異なり、アーロンには輝かしい未来が待っていた。

「このハワード家の面汚しが! 二度と我が家の敷居をまたぐなよ!」
 
「ぅぅっ……」

 ルイスは最後までアーロンに罵られ、失意の中でハワード家の大邸宅を後にするのだった。
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