迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ

文字の大きさ
33 / 90
2章

第7話

 話がまとまったところで、ゼノとモニカは野宿の準備を始めた。

(とりあえず、聖水があるから幻獣に襲われる心配はないけど……)

 幻獣対策はそれでどうにかなる。
 だが、寝床のことまでは考えが至っていなかった。

「どうしましょうか? ここにそのまま寝ます?」

「うーん」

 草むらを指さしてモニカが言う。
 2人とも泊りがけの準備をして出発して来なかったため、結局はそうする他なさそうであったが……。

(あっ。そういえば、今日はまだ〔魔導ガチャ〕してなかったんだっけ?)

 今日は、朝一ですぐに宿舎を出たため、魔石を召喚している余裕がなかったのだ。
 
「ちょっと待って。もしかしたら、なんとかなるかもしれないから」

 ゼノはそう言うと、魔導袋の中に手を伸ばす。
 一度青クリスタルを手にするも、昨日、緑クリスタルを手に入れたことを思い出して、そっちを手に取ることに。

「何するんですか?」

「〔魔導ガチャ〕さ」

「ガチャ?」

「そうか。モニカには、まだ言ってなかったな。えっと……。俺が持っている魔石は、〔魔導ガチャ〕で手に入れてるんだよ」

「?」

「まぁ、口で言ってもよく分からないと思うから。ちょっと見ていてくれ」

 ゼノは、足元に魔法陣を発生させると、その中に手にした緑クリスタルを投げ入れる。

「〔魔導ガチャ〕――発動!」

 シュピーン!

 すると、光り輝く緑色のサークルがゼノの周りに出現し、10個の魔石が浮かび上がった。

「なっ……!?」

 モニカは驚きの表情をもって、ゼノに目を向けていた。

----------

〇ガチャ結果

①☆2《鍛冶》
②New! ☆2《テント》
③New! ☆2《地震》
④New! ☆2《監視》
⑤New! ☆2《バックボーン》
⑥New! ☆2《ディフェンスチャージ》
⑦New! ☆2《雷帝の独楽エレキインパクト
⑧New! ☆3《透明》
⑨New! ☆3《泥喰の貯蔵マッドイーター
⑩New! ☆4《時渡り》

----------

「えぇっ、嘘っ……マジで!? ☆4じゃんっ!?」
 
 まさか、☆4の魔石が召喚できるとは思っていなかったゼノは、モニカのことも忘れて思わず大きな声を出してしまう。

 緑クリスタルにおける☆4の出現確率は1%だ。
 かなり運が良いと言えた。

 すぐに魔石を魔導袋の中にしまうと、光のディスプレイを出現させて、《時渡り》の項目をタップする。

----------

☆4《時渡り》
内容:対象者全員を指定した過去の日時へと送ることができる/1回

----------

「おぉ……。なんかよく分からないけど、すごいぞこれ……」

 つまり、やろうと思えば、エメラルドが大賢者ゼノに囚われの魔法をかけられる前に戻ることもできるというわけだ。

(ただ、戻ったところで、どうすればいいか分からないけど)

 だが、どういった状況だったのか、一度それを確認することはできる。
 ひょっとしたら、そこで歴史を変えられたりするかもしれないのだ。

「ゼノさん! 一体、何をやったんですかっ?」

「えっ? ああ、こうやって毎回魔石を召喚しているんだよ」

「この周りに石が浮かび上がったのが、〔魔導ガチャ〕の力ってことですか?」

「うん。今回はかなり運が良かったよ。それと今、《テント》っていう魔石が手に入ったから。多分、これで寝泊まりする場所は確保できそうだ」

 ゼノは《テント》の魔石を取り出すと、聖剣クレイモアにセットして詠唱する。
 すると、2人の目の前に大型のテントが出現した。

「す、すごいっ……。こんな魔法を使うこともできるんですねっ……」

「全部で666種類あるらしいから」

「そんなに!?」

「もちろん、俺も全部知っているわけじゃないよ。でも、本当に多種多様な魔法があるみたいだ」

 それは、これまでゼノがガチャで魔石を召喚してきて実感していたことだった。
 中にはこんな魔法どこで使えばいいのか、というものもある。

 それだけ今回のように、どんな場面でも対応できるのが未発見魔法の魅力と言えた。



 ◆



 2人はそれから、近くで木の枝を集めてくると、それを火起こしの材料として使用する。

 本来はこのように使うものではなかったが、ほかに代用できそうな魔石がなかったので、ゼノは《鍛冶》という魔法を使って火を起こした。

 その後、木の枝と一緒に拾ってきた長石に、《晩餐》の魔法で豪華な料理を出現させる。

 薔薇の花びらが入れられたフィンガーボールの横には、焼け焦げた白鳥の丸焼きが大きく鎮座し、またその他にも、アスパラガスのサラダやセロリを塗した鶏肉の蒸し煮、レモンで味付けがなされた牛肉のシチュー、林檎のタルトや葡萄の入ったエールなど、色とりどりの食事がそこには並んだ。

「ごくり……。こんな豪勢な料理、本当に食べてよろしいんでしょうか……?」

「もちろんだよ。言ったでしょ? おいしい夕食を用意するって」

「魔法でこんなことまでできるなんて……。ますます、その剣が気になります!」

「?」

「い、いえ……! こっちの話ですっ!」





 2人は火を囲みつつ、テントの前でささやかな夕食会を開くことになった。

 モニカは、これまでの態度が嘘のようによく話して笑った。
 そんな彼女の笑顔を見て、ゼノも安心感を覚える。

 これまでずっと、こんな親しい間柄だったように、2人は楽しい一時を過ごした。
 
 やがて――。

 お腹もたっぷりと満たされると、話は自然と初めて2人が出会った時のことについて及ぶ。

「……あははっ♪ それで、ゼノさんを初めて見た時は〝何なんですか、この人!〟って感じだったんですよぉ?」

「ごめん。あの時は、俺も後先考えずに行動してしまったよ」

「違いますって。べつにゼノさんを責めてるわけじゃないんです。わたしもあの時は、なんていうか、すごいケンカ腰でしたし……。反省してるんです」

「あっ。そういえば、ティナさんから聞いたよ。一週間くらい、傍で俺のこと見てたんだよね? 今回の件、俺にずっと話そうと思ってたんでしょ?」

「うえぇっ!? バ、バレてたんですかぁ……!?」

「なんかそうみたい」

 顔を真っ赤にするモニカだったが、ゼノはそれを焚火によるものだと勘違いする。

「その、悪かったな。全然気付けなくて」

「い、いいんですよっ!? 声をかけられなかったこっちが悪いんですから!」

「でも、聞こうと思ってたのはさ。どうして俺の居場所が分かったんだ? あの時、マスクスへ行くなんて言ってなかったよな?」

「……っ、それは……」

 村に噂が広まって居づらくなり、それで文句を言いに来たというのは分かる。
 だが、ゼノはそのスピード感も気になっていた。
 
 ティナの話によると、ワイド山のクエストを受注した時にはすでに、モニカはマスクスの冒険者ギルドまで来ていたようだ。

 《疾走》の魔法が使えるということを知っていた件も、ゼノは引っかかりを覚えていた。

 まだ、彼女には、何か話していないことがあるのではないか、と。
 ゼノはそんな風に考えていた。

 暫しの沈黙の後。
 モニカは、白状するように本当のことを口にする。

「……実はあの後、ゼノさんの後をつけて追ったんです」

「あの後? フォーゲラングの村で別れた直後ってことか?」

「は、はい……。その剣を奪おうって思って……」

 ゼノが腰にぶら下げた聖剣クレイモアをモニカは指さす。

「でも、どうしてこの剣を?」

「もちろん、理由はちゃんとあるんです。その剣があれば……わたしも以前と同じような力で、人々を癒すことができるんじゃないかって、そう思ったんです」

 それを聞いて、ゼノは昼間のモニカとポーラのやり取りを思い出した。

 〝今のわたしの力ではすべての人を癒せないということに気付きました〟
 〝それはそうでしょう。貴女は〈ヒーリング〉しか使えないのですから〟

 何か引っかかりを感じてゼノが黙っていると、モニカは焚火に目を向けながら静かに口にする。

「……ゼノさんに、まだ話していないことがあります。聞いていただけますか?」

 それは、彼女のさらなる過去の扉を開く言葉となった。
感想 5

あなたにおすすめの小説

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!