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3章
第3話
「はぁ? 女の子だぁ……? 舐めんなっ! アタシは1人前の戦斧使いだぜ!」
「違う、舐めているわけじゃない。その逆だよ。君に勝てる気がしないんだ」
「おいおい……嘘だろ? んなこと言う相手は初めてだぜ。その腰にぶら下げた剣は飾りかよっ? 男なら黙って剣を抜け!」
「この剣は武器としての性能はない。魔法を使うための発動具だから」
「あんっ? 今、なんて言った? 魔法って、そう言ったのか?」
「そうだけど」
「お前……まさか、魔導師なのかよ!?」
「? 知っていて戦いを挑んできたんじゃないのか?」
「……っ、マジかよ。だから、ゼノって言うのか……」
アーシャは、今それを初めて知ったような反応をしつつ、ひとり言を口にする。
「魔導師で、しかも名前はゼノ……。くははっ! こりゃおもしれーぜ! なおさら勝負しなくちゃ気が済まねぇ……!」
その時。
彼女の目の色が変わることにゼノは気付いた。
「なぜなら……アタシは、この世で一番魔導師がキライだからだ!」
その瞬間、アーシャがクロノスアクスを大きく振りかぶりながら攻撃を仕掛けてくる。
「っ!」
ゼノは、それを寸前のところで回避した。
「いい避けっぷりだぜ! 次いくぞっ!」
振り抜いた大斧を前方に構えると、アーシャはそれを使って突撃しようとしてくる。
が。
ゼノは大きく両手を挙げて、彼女に待ったをかけた。
「待ってくれっ! その前に一つ教えてほしいんだ」
「あんっ?」
「君は、ゴンザーガ伯爵家の令嬢なんだろう? なら、どうして〈斧術〉が使えるんだ?」
「んだよ、アタシが〈斧術〉を使っちゃ悪りぃーのか?」
「いや……」
そこでゼノは、これ以上深くつっこむべきかどうか一瞬迷った。
何かプライベートなことに関わるかもしれないと気付いたからだ。
(普通、貴族は術式を使えないはずだ。なのに、どうしてこの子は……)
そんな風にゼノが躊躇していると、アーシャは何か悟ったようにクロノスアクスを握り直す。
「そうか、分かったぜ。どうでもいい質問をしてその隙に逃げるつもりだな? んな手に引っかかるかよっ……!」
鋭い刃先をキラッと光らせると、アーシャは改めて突撃を仕掛けてきた。
「ゼノ様!」
モニカの言葉に、ゼノの足はとっさに反応する。
「ちっ……また避けたか」
ゼノはもう一度、アーシャの攻撃を回避することに成功した。
赤髪の少女は、クロノスアクスを肩に預けると、苛立たしそうに声を荒げる。
「おい、なんで魔法を使わねーんだよ! Sランク冒険者に任命されたくらいなんだ。13種類の魔法、すべて使えるんじゃねーのかっ!?」
「それは……。ていうか、そもそも俺は君と戦いたくないんだ」
「へっ! まだんなことほざくのかよ。そっちがやる気ねーなら……ワイアット!」
「畏まりました」
アーシャが声を上げると、素早い身のこなしでワイアットがモニカの体を拘束する。
「ひえぇっ!?」
ワイアットはそのまま背後に回ると、モニカの首筋に短刀を突きつけた。
寸分の狂いもない神業だ。
「モニカっ!?」
「ゼノさまぁぁ~~……」
「ご無礼申し訳ございません。ですが、貴女には少しの間、人質となっていただきます」
「やめろ! 彼女は解放してやってくれっ……!」
「聞けねぇーな。んなことしたら、あんたは戦わねーだろ? このまま逃げ続けるのなら、その女の命はないぜ。さぁ、分かったらアタシと真剣勝負しろ!」
「……くっ。分かった……」
さすがに、仲間に危害が及ぶかもしれないような状況で、戦わないわけにはいかなかった。
ゼノはホルスターから聖剣クレイモアを抜き取ると、それを構える。
(相手は確実に俺よりも強い。モニカを助け出す隙ができるまで、なんとか耐えないと……)
「へへっ、よっしゃ! これで、あんたと本気の勝負ができる!」
アーシャはスッと目を据わらせると、クロノスアクスを水平に構えて鋭利な刃をゼノに向ける。
「この攻撃を受けて避けられた者はいないぜ! 行くぞ!」
そのまま一気に駆け出したアーシャは、寸前で飛び上がると〈斧術〉を撃ち込んできた。
「〈アクセルトルネード〉!」
体を回転させたアーシャが、クロノスアクスを振り回した瞬間。
ザッザッザッギギギギギーーーンッ!!
巨大な円状の衝撃波が高速でゼノに目がけて飛んでいく。
が。
シュン!
ゼノはそれをなんなく回避してしまう。
「……嘘だろ、マジかよ……!?」
地面に着地し、クロノスアクスのグリップをぎゅっと握り締めながら、アーシャは驚きの表情を浮かべる。
(え? まさか、これが本気ってことはないよな?)
一方のゼノはというと、あっさりと回避できてしまったことに拍子抜けしてしまう。
いくら以前よりもLvが上がったとはいえ、自分の[速]は並みだと思っていたからだ。
けれど、すぐにあることを思い出す。
これまでの5年の修行の中で、ゼノはエメラルドから攻撃魔法を受けることによって、回避の特訓に励んできた。
条件反射的に反応したことから、体が自然と覚えてくれていたのだろう、とゼノは思った。
「やるじゃねーかっ! けど、まだこれからだぜ……! 次はブッ倒すっ!」
アーシャは再び斧をゼノに向けて構えると、威勢よく言い放つ。
(……だよな、さすがに手加減してくれたのか。だとすると、次は俺も反撃に出ないとやられるっ……)
女の子と戦うことはどうしても避けたいゼノだったが、モニカのことを思えば、そうも言っていられない状況だ。
仕方なく、魔導袋の中から攻撃魔法の魔石を取り出す。
《獄炎の麓》という☆3の魔石だ。
(今持っている魔石の中だと、これが一番強力のはず。頼んだぞ……!)
これまでの経験から、ゼノは手元を見ずとも、魔石を聖剣クレイモアにセットできるようになっていた。
アーシャからしてみれば、何をしているか、ほとんど分からなかったに違いない。
光を帯びた剣を横に向けると、ゼノは剣身に手を当てながら詠唱する。
「《獄炎の麓》」
ゼノがそう口にした、その刹那。
ジュゴゴゴゴゴゴルルルルルルーーーーッッ!!
灼熱の業火が、その場のものをすべて飲み込むような勢いで聖剣から放たれる。
ほとんど不意打ちも同然だった。
「なにぃ!?」
まさか、こんな見たこともない魔法が放たれるとは思っていなかったのか。
アーシャはとっさに、クロノスアクスを盾代わりにして、攻撃魔法を防ごうと試みるのだったが――。
「ひやぁあぁあぁっ~~!!?」
勢いよくぶち当たる煉獄の魔炎に押し流される形で、アーシャの体は吹き飛ばされてしまう。
「お嬢様っ!」
モニカから手を離すと、ワイアットはすぐにアーシャのもとへと駆けつける。
その場で倒れたアーシャにワイアットが気を取られている隙に、ゼノはモニカに声をかけた。
「モニカ、無事か!?」
「うわぁぁ~~ん! ゼノさまぁぁーー……怖かったですぅぅ……」
「ああ。もう平気だ」
ゼノは、モニカの前に立ちながら、アーシャとワイアットに目を向ける。
ワイアットがすぐさまポーションで治療したことにより、アーシャは大事には至らなかったようだ。
彼女が無事であることが分かると、ワイアットは立ち上がってゼノの方を見る。
「……噂には聞いておりましたが、どうやら貴方が未発見魔法を使えるというのは、本当のようですね」
「はい」
「まさか、お嬢様に傷を負わせることができるとは思っていませんでした。少し私も甘く見ていたようです。このまま、お嬢様に恥をかかせるわけにはいきません」
ワイアットは短刀を握り直して、それをゼノに向けて構えた。
「貴方たちに恨みはありませんが……殺させていただきます」
「っ」
ゼノは魔導袋に手を伸ばし、ワイアットの攻撃に備えようとするが。
「――やめろっ!」
そこでアーシャの声が上がった。
「……お嬢様……?」
ワイアットが不思議そうに振り返ると、アーシャは笑みを浮かべながら立ち上がる。
「あいたた……へへっ……。あんた、すげぇーぜ……。あんなとんでもない魔法があったんだな。未発見魔法って言ったのか? ワイアット、そういうのは早く教えてくれよ」
「……申し訳ございません、お嬢様。まさか、このような魔法が扱えるとは思っておりませんでして……」
「まぁいい。アタシに攻撃を当てたのは、たしかなんだからな。んなヤツ、あんたが初めてだ。やっと会えたぜ。アタシよりも強い相手に」
「えっ?」
「アタシの負けだ。ゼノ、あんたスゲー強いんだな! 今度こそ、ダニエルのおっさんの目に狂いはねーぜ!」
「いや、まだ勝負は……」
ゼノがそう口にすると、モニカが間に割って入ってくる。
「こんな卑怯なやり方をするから負けるんです! 分かりましたか? ゼノ様はお強いんです! マスクスで一番なんてレベルじゃありません。ゼノ様は、アスター王国で……いえ、この世界で最強の魔導師なんですっ!」
「恥ずかしいからやめてくれ……買いかぶりすぎだよ」
しかし、モニカはゼノの言葉などお構いなしに続ける。
「さぁ! そうと分かったら、早く消えてください! ゴンザーガ伯爵のご令嬢でも関係ないです。わたしたちのラブラブな生活に水を差さないでくださいっ!」
「あと、色々と誤解を招くような発言もやめて」
「えぇっ~? なんでですかぁ? 毎夜毎夜、愛を誓い合っているじゃないですか♡」
「誓い合ってない」
「わたしの脳内では誓い合ってるんですよぉ~うふふ♪」
「なんかすごい怖いんだが」
モニカのペースに乗せられて、そんな風に話していると……。
スリットのスカートを払いながら、納得したように呟く。
「……なるほどな。世界最強の魔導師か……。未発見の魔法なんてものが扱えるんなら、その言葉も嘘じゃなさそうだぜ……」
そこで一度小さく頷くと、アーシャは突然ゼノを指さしながら口にする。
それは、ゼノもモニカも、まったく思ってもいなかった宣言だった。
「決めたぜ! アタシはあんたらのパーティーに加入する!」
「違う、舐めているわけじゃない。その逆だよ。君に勝てる気がしないんだ」
「おいおい……嘘だろ? んなこと言う相手は初めてだぜ。その腰にぶら下げた剣は飾りかよっ? 男なら黙って剣を抜け!」
「この剣は武器としての性能はない。魔法を使うための発動具だから」
「あんっ? 今、なんて言った? 魔法って、そう言ったのか?」
「そうだけど」
「お前……まさか、魔導師なのかよ!?」
「? 知っていて戦いを挑んできたんじゃないのか?」
「……っ、マジかよ。だから、ゼノって言うのか……」
アーシャは、今それを初めて知ったような反応をしつつ、ひとり言を口にする。
「魔導師で、しかも名前はゼノ……。くははっ! こりゃおもしれーぜ! なおさら勝負しなくちゃ気が済まねぇ……!」
その時。
彼女の目の色が変わることにゼノは気付いた。
「なぜなら……アタシは、この世で一番魔導師がキライだからだ!」
その瞬間、アーシャがクロノスアクスを大きく振りかぶりながら攻撃を仕掛けてくる。
「っ!」
ゼノは、それを寸前のところで回避した。
「いい避けっぷりだぜ! 次いくぞっ!」
振り抜いた大斧を前方に構えると、アーシャはそれを使って突撃しようとしてくる。
が。
ゼノは大きく両手を挙げて、彼女に待ったをかけた。
「待ってくれっ! その前に一つ教えてほしいんだ」
「あんっ?」
「君は、ゴンザーガ伯爵家の令嬢なんだろう? なら、どうして〈斧術〉が使えるんだ?」
「んだよ、アタシが〈斧術〉を使っちゃ悪りぃーのか?」
「いや……」
そこでゼノは、これ以上深くつっこむべきかどうか一瞬迷った。
何かプライベートなことに関わるかもしれないと気付いたからだ。
(普通、貴族は術式を使えないはずだ。なのに、どうしてこの子は……)
そんな風にゼノが躊躇していると、アーシャは何か悟ったようにクロノスアクスを握り直す。
「そうか、分かったぜ。どうでもいい質問をしてその隙に逃げるつもりだな? んな手に引っかかるかよっ……!」
鋭い刃先をキラッと光らせると、アーシャは改めて突撃を仕掛けてきた。
「ゼノ様!」
モニカの言葉に、ゼノの足はとっさに反応する。
「ちっ……また避けたか」
ゼノはもう一度、アーシャの攻撃を回避することに成功した。
赤髪の少女は、クロノスアクスを肩に預けると、苛立たしそうに声を荒げる。
「おい、なんで魔法を使わねーんだよ! Sランク冒険者に任命されたくらいなんだ。13種類の魔法、すべて使えるんじゃねーのかっ!?」
「それは……。ていうか、そもそも俺は君と戦いたくないんだ」
「へっ! まだんなことほざくのかよ。そっちがやる気ねーなら……ワイアット!」
「畏まりました」
アーシャが声を上げると、素早い身のこなしでワイアットがモニカの体を拘束する。
「ひえぇっ!?」
ワイアットはそのまま背後に回ると、モニカの首筋に短刀を突きつけた。
寸分の狂いもない神業だ。
「モニカっ!?」
「ゼノさまぁぁ~~……」
「ご無礼申し訳ございません。ですが、貴女には少しの間、人質となっていただきます」
「やめろ! 彼女は解放してやってくれっ……!」
「聞けねぇーな。んなことしたら、あんたは戦わねーだろ? このまま逃げ続けるのなら、その女の命はないぜ。さぁ、分かったらアタシと真剣勝負しろ!」
「……くっ。分かった……」
さすがに、仲間に危害が及ぶかもしれないような状況で、戦わないわけにはいかなかった。
ゼノはホルスターから聖剣クレイモアを抜き取ると、それを構える。
(相手は確実に俺よりも強い。モニカを助け出す隙ができるまで、なんとか耐えないと……)
「へへっ、よっしゃ! これで、あんたと本気の勝負ができる!」
アーシャはスッと目を据わらせると、クロノスアクスを水平に構えて鋭利な刃をゼノに向ける。
「この攻撃を受けて避けられた者はいないぜ! 行くぞ!」
そのまま一気に駆け出したアーシャは、寸前で飛び上がると〈斧術〉を撃ち込んできた。
「〈アクセルトルネード〉!」
体を回転させたアーシャが、クロノスアクスを振り回した瞬間。
ザッザッザッギギギギギーーーンッ!!
巨大な円状の衝撃波が高速でゼノに目がけて飛んでいく。
が。
シュン!
ゼノはそれをなんなく回避してしまう。
「……嘘だろ、マジかよ……!?」
地面に着地し、クロノスアクスのグリップをぎゅっと握り締めながら、アーシャは驚きの表情を浮かべる。
(え? まさか、これが本気ってことはないよな?)
一方のゼノはというと、あっさりと回避できてしまったことに拍子抜けしてしまう。
いくら以前よりもLvが上がったとはいえ、自分の[速]は並みだと思っていたからだ。
けれど、すぐにあることを思い出す。
これまでの5年の修行の中で、ゼノはエメラルドから攻撃魔法を受けることによって、回避の特訓に励んできた。
条件反射的に反応したことから、体が自然と覚えてくれていたのだろう、とゼノは思った。
「やるじゃねーかっ! けど、まだこれからだぜ……! 次はブッ倒すっ!」
アーシャは再び斧をゼノに向けて構えると、威勢よく言い放つ。
(……だよな、さすがに手加減してくれたのか。だとすると、次は俺も反撃に出ないとやられるっ……)
女の子と戦うことはどうしても避けたいゼノだったが、モニカのことを思えば、そうも言っていられない状況だ。
仕方なく、魔導袋の中から攻撃魔法の魔石を取り出す。
《獄炎の麓》という☆3の魔石だ。
(今持っている魔石の中だと、これが一番強力のはず。頼んだぞ……!)
これまでの経験から、ゼノは手元を見ずとも、魔石を聖剣クレイモアにセットできるようになっていた。
アーシャからしてみれば、何をしているか、ほとんど分からなかったに違いない。
光を帯びた剣を横に向けると、ゼノは剣身に手を当てながら詠唱する。
「《獄炎の麓》」
ゼノがそう口にした、その刹那。
ジュゴゴゴゴゴゴルルルルルルーーーーッッ!!
灼熱の業火が、その場のものをすべて飲み込むような勢いで聖剣から放たれる。
ほとんど不意打ちも同然だった。
「なにぃ!?」
まさか、こんな見たこともない魔法が放たれるとは思っていなかったのか。
アーシャはとっさに、クロノスアクスを盾代わりにして、攻撃魔法を防ごうと試みるのだったが――。
「ひやぁあぁあぁっ~~!!?」
勢いよくぶち当たる煉獄の魔炎に押し流される形で、アーシャの体は吹き飛ばされてしまう。
「お嬢様っ!」
モニカから手を離すと、ワイアットはすぐにアーシャのもとへと駆けつける。
その場で倒れたアーシャにワイアットが気を取られている隙に、ゼノはモニカに声をかけた。
「モニカ、無事か!?」
「うわぁぁ~~ん! ゼノさまぁぁーー……怖かったですぅぅ……」
「ああ。もう平気だ」
ゼノは、モニカの前に立ちながら、アーシャとワイアットに目を向ける。
ワイアットがすぐさまポーションで治療したことにより、アーシャは大事には至らなかったようだ。
彼女が無事であることが分かると、ワイアットは立ち上がってゼノの方を見る。
「……噂には聞いておりましたが、どうやら貴方が未発見魔法を使えるというのは、本当のようですね」
「はい」
「まさか、お嬢様に傷を負わせることができるとは思っていませんでした。少し私も甘く見ていたようです。このまま、お嬢様に恥をかかせるわけにはいきません」
ワイアットは短刀を握り直して、それをゼノに向けて構えた。
「貴方たちに恨みはありませんが……殺させていただきます」
「っ」
ゼノは魔導袋に手を伸ばし、ワイアットの攻撃に備えようとするが。
「――やめろっ!」
そこでアーシャの声が上がった。
「……お嬢様……?」
ワイアットが不思議そうに振り返ると、アーシャは笑みを浮かべながら立ち上がる。
「あいたた……へへっ……。あんた、すげぇーぜ……。あんなとんでもない魔法があったんだな。未発見魔法って言ったのか? ワイアット、そういうのは早く教えてくれよ」
「……申し訳ございません、お嬢様。まさか、このような魔法が扱えるとは思っておりませんでして……」
「まぁいい。アタシに攻撃を当てたのは、たしかなんだからな。んなヤツ、あんたが初めてだ。やっと会えたぜ。アタシよりも強い相手に」
「えっ?」
「アタシの負けだ。ゼノ、あんたスゲー強いんだな! 今度こそ、ダニエルのおっさんの目に狂いはねーぜ!」
「いや、まだ勝負は……」
ゼノがそう口にすると、モニカが間に割って入ってくる。
「こんな卑怯なやり方をするから負けるんです! 分かりましたか? ゼノ様はお強いんです! マスクスで一番なんてレベルじゃありません。ゼノ様は、アスター王国で……いえ、この世界で最強の魔導師なんですっ!」
「恥ずかしいからやめてくれ……買いかぶりすぎだよ」
しかし、モニカはゼノの言葉などお構いなしに続ける。
「さぁ! そうと分かったら、早く消えてください! ゴンザーガ伯爵のご令嬢でも関係ないです。わたしたちのラブラブな生活に水を差さないでくださいっ!」
「あと、色々と誤解を招くような発言もやめて」
「えぇっ~? なんでですかぁ? 毎夜毎夜、愛を誓い合っているじゃないですか♡」
「誓い合ってない」
「わたしの脳内では誓い合ってるんですよぉ~うふふ♪」
「なんかすごい怖いんだが」
モニカのペースに乗せられて、そんな風に話していると……。
スリットのスカートを払いながら、納得したように呟く。
「……なるほどな。世界最強の魔導師か……。未発見の魔法なんてものが扱えるんなら、その言葉も嘘じゃなさそうだぜ……」
そこで一度小さく頷くと、アーシャは突然ゼノを指さしながら口にする。
それは、ゼノもモニカも、まったく思ってもいなかった宣言だった。
「決めたぜ! アタシはあんたらのパーティーに加入する!」
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