迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ

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3章

第7話

 【天空の魔導団クランセレスティアル】の面々は、西のダンジョン・マウゼル洞窟の最下層でボス魔獣と対峙していた。

「ゼノ! バフを頼むぜっ!」

「分かった」

 ゼノは、魔導袋からクリティカル率を上げる《コンセントレーション》の魔石を取り出すと、それを素早く詠唱する。

 すると、アーシャのクロノスアクスは光とともに強化された。

「サンキュー! いくぜぇ! んおぉぉぉぉぉーーーっ!!」

 水棲系の魔獣であるダークホッパーの群れに突っ込んで、アーシャが〈斧術〉を繰り出す。

「〈アクセルトルネード〉!」

 ザッザッザッギギギギギーーーンッ!!

 縦横無尽に暴れ回る円状の衝撃波が一面に炸裂し、ダークホッパーの群れを一瞬にして吹き飛ばした。

「後は頼んだ、ゼノ!」

「任せてくれ」

 ゼノは☆3の魔石を取り出すと、聖剣クレイモアのガード部分にはめ込む。

「《超圧の水檻アクアオリハルコン》」

 剣を振り払いながらそう唱えると、

 バシャバシャバババババババーーーーンッ!!

 背後に控えていたボス魔獣プラチナゲーターの鋼のような体躯に、狂乱する洪水がぶち当たる。

「ホォォオオォオオッッ~~~!?」

 上下逆さまにぐるんぐるんと弄ばれると、渦巻く巨大な水の塊に押し潰されるようにして、プラチナゲーターは悲鳴を上げながら絶命した。

「よっしゃ、マウゼル洞窟のボス魔獣も倒したぜっ! やったな、ゼノ!」

「ああ……」

 プラチナゲーターがドロップした緑クリスタルを拾いながら、ゼノはアーシャを覗き見る。

(ほんと、朝とはまったくの別人だよなぁ……) 

「むぅ……」

 さすがのモニカも、アーシャの活躍には口を出せないようだった。



 ◆
 


 マウゼル洞窟の外へ出ると、まだ辺りは明るかった。

 どうやら今回は、いつもよりもだいぶ早くボス魔獣を倒せたようだ。
 
(この分だと、夜になる前にはマスクスへ着けそうだな)

 ゼノは少しだけホッと胸を撫で下ろす。

「んんっ~! 空気が気持ちいいぜ! 残すは南ダンジョンのダンタリオン落園だけだな。明日もがんばろうぜ、ゼノ!」

「その前に。アーシャさん、明日は本当にきちんと起きられますか?」

「んだよ。こうやって結果も残せてるんだから、そーゆう細かいことはいいじゃねーか」

「いーえ、ダメです! 毎回、夜中に帰ってこっちは大変なんですから。寝不足は美容の天敵なんですよぉ? ここ数日はお肌が荒れて荒れて……」

「アタシは気にならねーけどな」

「わたしが気になるんですっ!」

「でも、たしかにモニカが言うように、明日はもっと早めに出発したい。ダンタリオン落園のボス魔獣は4つのダンジョンの中で最強って言われてるから。アーシャ、大丈夫だよな?」

「ゼノまでんなこと言うのかよ~。こっちには切り札があるんだ。任せろって!」

「……なら、いいんだが」

 アーシャのことは信頼しつつも、彼女の言っていることが少しだけ気になるゼノであった。



 ◆



「今日は疲れたなぁ……。ここのところ、毎日ダンジョンに入っているもんな」

 ボス魔獣の討伐は、想像以上に精神をすり減らしていたようだ。
 ここ数日分の疲労が一気に出たような気がする、とゼノは思う。

「久しぶりに《リュート》の魔石が出たことだし、今日はこれを使って寝ようかなぁ」

 《リュート》の魔法を使うと、ヒーリング音楽が部屋全体に響き渡る。
 以前、これを使用した時は熟睡することができて、体力の回復も違った。

 魔導袋に手を伸ばし、これから就寝しようとしたところで。

 コンコン。

(ん……?)

 ゼノの部屋にノックの音が響く。

(なんだ? こんな時間に)

 すでに夕食と入浴も終え、3人はそれぞれの部屋へと戻っていた。

 どっちが訪ねて来たんだろうと思いながら、ゼノがドアを開けると……。

「ゼノ! 少し邪魔するぜっ!」

 いきなり、アーシャがドアを開けて飛び込んでくる。
 彼女はすぐに、ベッドの上へダイブした。

「お、おい……」

「へへっ♪ 今日は泊まらせてもらうからな!」

「は? いや……なんで!?」

「あん? アタシが朝ちゃんと起きられねーと困るんだろ?」

「いや……。それと、俺の部屋に来ることと、なんの関係が……」

「だってよ! ゼノの部屋に泊まれば、朝はゼノが起こしてくれるじゃねーか!」

 天真爛漫な笑みを浮かべながら、アーシャはなんでもなさそうにそんなことを口にする。

 彼女は、亜麻布のネグリジェ姿で、なかなかに無防備な格好をしていた。
 思わず、ゼノは目を逸らしてしまう。

「……さすがに、年頃の男女がこういうのは……マズいって」

「なんでだ? アタシは全然気にならないぜ?」

「俺が気になるんだよ!」

「ふーん……」

 そう口にしながら、にやにやとするアーシャ。

「普段はクールを気取ってても、ゼノも男だなっ! 安心したぜ! アタシのこと、ちゃんと女として見てるわけだな~。んひひ♪」

「と、とにかく……。出て行ってくれ……」

「なら、明日も寝坊だなぁー」

「というか、モニカの部屋に泊まりに行けば、それでいいじゃないか」

「それはねーぜ。アタシは、あの女がキライだ」

「なんで、いつもそう仲が悪いんだ……」

「べつに1日くらいいーじゃん? 明日でゼノとパーティー組むのも最後なんだし。それに、朝ちゃんと起きられた方がゼノも嬉しいだろ?」

「はぁ……分かったよ」

 ため息をつきつつ、ゼノはアーシャの強引さに押される形で宿泊を認めることに。

「へへっ、そうこうなくちゃな! このベッド、男の匂いがするぜ~!」

「えっ!? く……臭かったかっ?」

「いーや。アタシはゼノの匂い好きだ」

「……」

 どこか調子を崩されつつ、ゼノは椅子に腰をかけた。

「おい、一緒に寝ないのかよ?」

「……ベッドは使っていいよ。俺はここで寝るから」

「へぇー。あいかわらず紳士だな、ゼノは。んじゃ悪いな。一晩借りるぜ?」

「ふぅ……。明り消すぞ」
 
 こうして2人は一夜を共にすることになった。
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