迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ

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4章

第1話

 〝渦〟討伐のチェーンクエストを達成してから数日が経過した。
 このクエストの達成は、ゼノたちが思っていた以上に大きな反響があった。
 
 魔導師と聖女と令嬢という非常に珍しい組み合わせのパーティーの噂は、あっという間に、マスクス全体に広がった。

 町を歩けば、周りの人たちから感謝の言葉を伝えられ、宿舎には連日のように贈り物を持った人たちが訪れた。
 特にアーシャは、領主の娘ということもあり、町の英雄として大々的に領民から称えられた。

 冒険者ギルドからも大きなクエストを依頼されることもなく、ゼノたちは束の間の平穏な日々を過ごしていた。

 モニカとアーシャは、すっかり一緒にいることが当たり前になっており、小競り合いをしつつも、なんだかんだ気が合う部分があるようだ。
 2人は、それなりに毎日を楽しんでいる様子だった。

 が。

 一方のゼノはというと、1人密かに焦りを抱えていた。





「〔魔導ガチャ〕――発動」

 食堂で3人での朝食を終えて、自分の部屋に戻って来ると、ゼノはいつものようにガチャで魔石を召喚する。 

 シュピーン!

 青色のサークルとともに、10個の魔石がゼノの周囲に浮かび上がった。

----------

〇ガチャ結果

①☆1《子守歌》
②☆1《舗装》
③☆1《スキンケア》
④☆1《装着》
⑤☆1《アイテムボックス》
⑥☆1《美人化》
⑦New! ☆1《洗濯》
⑧New! ☆1《植物学》
⑨New! ☆1《チアダンス》
⑩New! ☆1《酒造》

----------

 最近は、緑クリスタルを使うことが多かったが、残り数が少なくなってきたので、今日は青クリスタルを使ってのガチャだ。

 だが、さすがに1ヶ月近く召喚し続けていると、新しい魔石を手に入れることが少なくなってくる。

「はぁ……。ダブりが多いよなぁ……」 

 少しだけため息をつきつつ、ゼノは自身のステータスを確認する。

----------

【ゼノ・ウィンザー】
[Lv]56
[魔力値]0 [術値]0
[力]25 [守]15
[魔攻]420 [速]20 
[スキル]〔魔導ガチャ〕
[魔石コンプ率]163/666
[所持魔石]
☆1《子守歌》 ☆1《洗顔》
☆1《トリック》 ☆1《装着》
☆1《アイテムボックス》 ☆1《美人化》
☆1《舗装》 ☆1《植物学》
☆1《チアダンス》 ☆1《酒造》
☆2《地雷》 ☆2《もの化け》
☆2《クルージング》 ☆2《脱出》
☆2《状態異常回復》 ☆2《MPドレイン》
☆2《雷帝の独楽》 ☆3《大恋愛》
☆3《被魔法ダメージ増加》 ☆3《肉体強化》
☆3《ミスリード》 ☆3《無拍子》
☆3《双翼の三竜旋エアリアルドラゴーン
[所持クリスタル]
青クリスタル×32
緑クリスタル×1
[Ωカウンター]013.58%

----------

 魔石コンプ率も気になるところだが、ついΩカウンターの数値に目が行ってしまう。
 すでに、カウンターは10分の1を越えてしまっていた。

「これが100%になると、死ぬんだったよな」

 たしかに、これだけ未発見魔法を自由に使っているのだから、代償があるのは当然と言えたが、たった1ヶ月ですでに10分の1まで上昇してしまったことに、ゼノは不安となってくる。

 Ωカウンターは、レアリティの高い魔石であればあるほど、その上昇率も高くなることが分かっている。

 このままだと、魔大陸へ渡って希少性の高いクリスタルを集める頃には、あっという間に半分くらいまでは、カウンターが上昇してしまっているかもしれなかった。
 
 すべての魔法を列挙するには、運も味方にする必要があるのだ。

「……とにかく。今は、なるべく早く魔大陸へ渡れるように、依頼されたクエストはしっかりと達成して、実績を積み上げるしかないな」

 Lvも上げて日々の鍛錬も怠らなければ、いずれ目的は達成されるはずだ、とゼノは思う。

(もう少し待っていてください……お師匠様)



 ◆



 ゼノたち3人は身支度を整えると、いつものように冒険者ギルドへと向かう。
 
 Sランク冒険者がいるパーティーは、ギルドの顔でもあるため、難易度の高いクエスト以外は、まったくと言っていいほど依頼されなくなる。

 しかし、だからと言って、宿舎でダラダラ過ごしているわけにもいかない。

 なので、毎回こうして新たなクエストが舞い込んでいないか、ギルドに確認をしに行くのだ。
 これも、今のゼノたちにとって重要な仕事と言えた。

「今日も、なんも依頼が届いてねーかもなー」

「ですね~。ゼノ様が受けるとなると、それ相応のクエストでないと釣り合いが取れませんし」

「おっ! 珍しくモニカと意見が合ったぜ! ゼノに相応しいクエストがありゃいーんだけどよ」

 呑気にそんな会話をするモニカとアーシャの後に続く形で、ゼノもギルドの中へと足を踏み入れる。

 すると、ちょうどそのタイミングで――。

「あっ、ゼノさん! よかった、ちょうどいいところに!」

 入館して来たゼノたちの姿を目にして、ティナが手招きながら声を上げる。
 すぐに、3人は受付カウンターへと向かった。

「何かあったんですか?」

「分かったぜっ! 依頼が届いたんじゃねーのか!?」

「さすが、アーシャ様です。実はたった今、カロリング領イニストラードの冒険者ギルドからクエスト依頼の手紙が届いたんです」

「イニストラード? イニストラードって、マスクスよりも大きな町ですよね? なんで、そこのギルドから依頼が……」

 疑問の声を上げるモニカ同様に、ゼノも首を傾げる。
 
 イニストラードのことは、もちろんゼノも知っていた。
 カロリング侯爵が治める領地の中で一番大きな町であり、領都でもある。

 カロリング領はゴンザーガ領と隣接しており、マウゼル洞窟からさらに西へ進むとイニストラードの町がある。
 
 モニカが言うように、イニストラードはマスクスよりも大きい。
 アスター王国の中でも、1位、2位を争うほどに栄えた町とも言われている。

 当然、そこの冒険者ギルドも巨大であるはずだった。

「どうやらイニストラードの冒険者は、誰もこのクエストを受注しなかったみたいなんです。それで、〝渦〟討伐のチェーンクエストを達成したっていう報告を聞いたあちらのギルドが、今回ゼノさんたちに依頼を出してきたみたいなんですよ」

「誰も受注しなかったってことは……そちらのSランク冒険者の方も受けなかったんでしょうか?」

 ゼノがそう訊ねると、ティナはゆっくりと頷く。

「はい。そのようです」

「Sランク冒険者ってのは、そのギルドの顔じゃねーか。受けねぇーなんて、んなことあんのかよ。随分と骨のない連中だぜ」

 両手のひらを見せて呆れたポーズを取るアーシャの横で、ゼノは改めてティナに訊ねた。

「クエストの内容を聞かせてもらってもよろしいですか?」

「あ、はい。ですが、あの……私の口からは、少しお願いがしづらいところがありまして……」

「大丈夫です。なんでも言ってください」

「そうですか? でしたら……お話させていただきます。イニストラードのギルドから届いたのは、レヴェナント旅団の確保という依頼でして……」

「えっ! レヴェナント旅団……ですか!?」

 モニカが驚きの表情を浮かべる。

「うわぁ……マジかよ……」

 それに続くように、アーシャも眉をひそめるのだった。
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