迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ

文字の大きさ
84 / 90
6章

第3話

 ギュスターヴは、ゼノが話に乗って来ないのを確認すると、次の話に移った。

「レヴェナント旅団を捕まえた件についての礼も言わねばならぬな。この件に関しては、他国もそなたの働きぶりに感謝しているはずだ」 

 ギュスターヴの話によれば、ルーファウスは王国騎士団による詰問で、ついに旅団のアジトを白状したのだという。
 近々、三強国で連合討伐隊を結成し、レヴェナント旅団の鬼士確保に向かうという話であった。

「ルーファウスは旅団の中でも、一番の強さを誇る男と言われておる。それも、容易く捕らえてしまうとは、そなたには本当に恐れ入ったぞ。バハムートの時と同じような魔法を使ったのか?」

「えっと……。そんな感じです、はい」

「具体的には、どのような魔法を使ったのだ?」

「あ……いえ……。戦うことに必死だったので、あまり覚えてなくて……」

「……ふむ。だが、やはりそなたは、本当に未発見魔法を自在に操れるのだな。どのようにして、それらの魔法を発見したのだ? 余にだけ少し教えてくれ、ゼノ」

 ギュスターヴが妖艶に微笑みかけてくる。
 その美貌には、見る者を掴んで離さない不思議な力があった。

「それは……」 

 思わず、ホルスターに手を当てて、聖剣クレイモアや〔魔導ガチャ〕について、ゼノは口にしてしまいそうになる。

 だが、その時。

 何かを察したように、モニカが2人の会話に割って入ってくる。

「女王様。その前に、ゼノ様への褒美について教えていただけないでしょうか?」 

 モニカがそう訊ねると、アーシャとベルがその後に続く。

「きっと、ものすごい褒美なんですよね?」

「お兄ちゃん、がんばったから……いい物をあげてほしい」

 すると、隣りのモニカが密かにウインクする。
 それを見てゼノは、彼女らがフォローしてくれたのだということに気付いた。

 モニカたちは、ゼノがエメラルドを迷宮から救い出そうとしていることを知っている。
 だから、ギュスターヴに囲われないようにと、庇ってくれたのだ。

(ありがとう……みんな)

 そんなゼノの周りにいる3人の少女らの姿を、ギュスターヴは冷ややかな目で一瞥していた。

 が。
 
 すぐに表情を変える。

「……フフッ、なるほどな。そなたが、バハムートやルーファウスを倒せた意味が分かったような気がするぞ。なかなかに素晴らしいメンバーをパーティーに加えたようだな?」

「はい。俺の最高の仲間たちです」

 ゼノがはっきりそう答えるのを目にすると、ギュスターヴは一度、鎌をかけるのを取りやめたようだ。

「ふむ。たしかに、勿体ぶるものでもないか。先に伝えておいた方がよいな。では、今この場で褒美の内容を伝えることにする。ゼノ、そなたに授ける褒美は――」

 バタン!

 ちょうどそんなタイミングで、玉座の間の扉が開く。

 中に入って来た侍従は胸に手を当てながら敬礼すると、黄金の椅子に腰を掛けるギュスターヴに声をかけた。

「陛下。ハワード卿がお見えになりました」 

 その瞬間。
 ゼノは、アーシャと目を合わす。

「……おい、ゼノ。ハワード卿って……」

「……っ」 

 そして。
 入口の方へ目を向けると、そこでゼノは信じられない光景を目撃する。

(!!)

 なんとそこには、ゼノの父ウガンの姿があったのだ。

(……ち、父上……!?) 

 ウガンはまだ、ゼノの姿に気付いていなかった。
 侍従と共に玉座の間へと足を踏み入れると、頭を深々と下げる。

「じょ、女王陛下っ……。この度は、誠に申し訳ございませんでした……。愚息アーロンを引き取りに参りました……」

「来たか、ハワード卿。すまぬが先客がおってな。暫しその場で待たれよ」

「……か、かしこまりました……」

 ウガンはうなだれるようにして、じっと黙り込む。

 久しぶりに見る父親の姿は痩せこけていて、あれだけ威圧感のあった風体は、今は見る影もなくなっていた。

 ――しかし。

「っ……」 

 ゼノの中には、ウガンに激しく罵られた時のトラウマが一気に甦ってくる。
 緊張から、手足も途端に震え始めた。

 背中には、べっとりとした嫌な汗が流れ落ちてくる。

 そんなゼノの異変に、真っ先に気付いたのはアーシャであった。 
 覇気を無くして、ゼノがまったく動かなくなってしまったことが分かったのである。

「……ゼノ……」 

 その姿を、アーシャは痛ましそうに見つめた。





「――して、なんだったか? あぁ、そうだ。褒美の件だ。喜べゼノ。そなたには、新たな領地を授けようと考えておる」

「領地っ!? すごいじゃないですかぁ、ゼノ様っ!! 領地ですよぉ~!?」

「お兄ちゃんだけの土地……!!」

 モニカとベルは目を輝かせながら、ギュスターヴの言葉に嬉しそうに手を取り合う。
 
 その時。
 ちょうどゼノに注目が集まってしまったせいか、ついにウガンがその存在に気付いてしまう。

「!? お、お……お前、まさかッ…………」

 ウガンはゼノの姿を見て、恐れ戦くように後ずさった。

「……ルイスッ!? ルイスなのか!? い、いやッ……こんな所に……ルイスがいるわけがっ……」
 
 その異様な豹変ぶりに、ギュスターヴもすぐに気付く。

「なんだ? どうしたのだ、ハワード卿?」

「い、いえッ……。見覚えのある顔が、あったように思えたもので……」

 ウガンがゼノの顔を覗き込もうとすると、アーシャがわざとらしく前に出た。

「女王陛下っ! それで、ゼノにはどこの領地をいただけるんでしょうか!?」

「……うむ。余が治める王領には、未開拓の広大な領地が余っているのでな。そこをゼノに与えたいと考えておる」

「す、すげぇぜ! やったな……モニカ、ベルっ!」

「はい。今から見るのが楽しみですねっ♪」

「アーシャ姉も嬉しい?」

「もちろんだ! アタシはそこに、品揃えの豊富な武器屋を開きたいぜ……!」

 良かれと思ってのアーシャの行動だったが、それがかえってゼノの存在を際立たせることになる。

 ウガンは一瞬の隙を突くようにして、ゼノの顔を覗き込むと、やがて確信する。

「(……ッ、やはり間違いないぞ……。この黒髪に、面影を残した顔つき……絶対にルイスだッ。しかし……。こいつは5年前に迷宮に廃棄したはずで……)」 

 異様な目つきでゼノを睨みつけるウガンの存在に気付き、モニカがふと声を上げる。

「……あの、ゼノ様? そちらの殿方と、もしかしてお知り合いですか? さっきからずっと、ゼノ様のことを見てますけど……」

「馬鹿っ! アホピンク!」

 慌てながら、アーシャがモニカの頭を叩く。

 ポカン!

「ぁいたっ!? ちょっと……急になにするんですかぁ!?」

「少しお前は黙ってろーーッ!!」

「ふひぇ、なんでぇぇ……!?」

 どうやら、2人とも騒ぎ過ぎてしまったようだ。
 その結果により、さらにウガンの注目を集めてしまう。

「(……ゼノ……?)」 

 そこでウガンは、自分の息子が〝ゼノ〟と呼ばれていることに気付いた。

「(まさか……。獄獣バハムートを倒したと噂の、マスクスの〝ゼノ〟という魔導師は、ルイスだったのかっ……!? いや、そんなことあるわけが……)」

 だが、そこでウガンはハッとする。
 あることを思い出したのだ。

「(……いや、待て。ルイスは元々、魔力値9999を持って生まれてきたのだ……)」

 将来、新たな魔法を発見するような、偉大な魔導師になるのではないか、と。
 ルイスは、周りからそう期待されていた。 

 何かの拍子で覚醒したという可能性もゼロではない、とウガンは思う。

 そして、同時にある悪知恵を思い付いてしまう。



「(……そうか、そうなのだな……。クククッ……。ならば、利用させてもらうぞ……ルイス!)」 

 これこそがウガンの十八番。
 彼が貴族としてこれまで生き残ってこられたのは、こうした悪知恵を働かせてのことだった。

 それがたとえ、身内であろうとも容赦はしない。
 元々ウガンは、息子が偉大な魔導師となったら、それを自分のために利用するつもりでいたのだ。

「(ようやく、コレが役に立つ日がやって来たか。貴様は、私のための犠牲となれ……)」
感想 5

あなたにおすすめの小説

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!