レベル1の最強転生者 ~勇者パーティーを追放された錬金鍛冶師は、スキルで武器が作り放題なので、盾使いの竜姫と最強の無双神器を作ることにした~

サイダーボウイ

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2章

第16話

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「さすがに3人乗りは無理か」

 ホバーバレルを置いていた場所まで戻ると、俺たちはそこで立往生した。
 
「でしたら私が歩いてバルハラまで帰ります。マスターとディーネさんはこのままこの乗り物でお戻りください」

「いや。今のディーネがこれに乗ったら振り落とされる危険性がある。どのみちこいつは使えなそうだ」

 となると、徒歩で帰るしか選択肢は残されていない。
 
「エルハルト君……こんなんじゃお姉さん悪いよ。ウチはここで降りるから。2人で先にバルハラへ帰ってよ」

「ディーネだけを置いていくなんてそんなことするつもりはサラサラないぞ?」

「え?」
 
「それとも俺の背中は乗りづらいか?」

「ううん……。全然そんなことないんだけど……」

「だったら少しの間我慢してくれ。俺がこのまま背負って歩くから」

「う、うん……」

 ディーネは少しだけ顔を赤くさせると後ろから俺にぎゅっと抱きつく。
 本人は立派なお姉さんを演じたかったようだが、今のこの状況じゃそれも難しそうだ。

(悪いな。先輩)

 俺は心の中で詫びを入れるとディーネを背負ったまま歩き始めた。



 ◇◇◇



 そのまま広大な平原を歩き続けること数時間。
 
 ナズナは少し先行していて、近くに魔物がいないか《天竜眼》でチェックしながら歩いてくれていた。
 だから今はディーネと2人きりだったりする。

 ユリウス大森林からバルハラまで徒歩で戻るとするとかなり距離があるから、まだしばらくはこのままだ。

 だからかもしれない。
 この間、ディーネは俺を気遣うような言葉を何度もかけてきた。

「お姉さん、ホントに重くないっ?」
「平気だ」

「ちょっと強く抱き締めすぎだったかなぁ……?」
「まったく気にならんが」

「エルハルト君ってさ、体丈夫だよね~!?」
「無理に褒めなくてもいいんだぞ」

「にゃはは……ごめんね」

 まさかこんな形で世話になるとは思っていなかったんだろう。
 ディーネは俺におんぶされながら終始申し訳なさそうにしていた。

 これ以上気を遣われるのはなんだか悪い気がする。
 だから、俺はこう言うことにした。

「ディーネ。あんたが悪く感じる必要なんてないんだぞ? 俺はただ昨日助けてもらった恩を返しているだけだ」

「あれは……せ、先輩としてさ! 当然のことだったから……」

「ああ。だから俺も恩返しするために当然のことをしているんだ」

「なんかその返し、ズルくない?」

「何がだ?」

「だって……釣り合わないじゃん? ウチはただ不良に声をかけただけなのにエルハルト君はウチの命を救ってくれたわけでしょ? こんなことまでしてもらって悪いって……」

「なら俺もディーネに申し訳ないって思ってることがある」

「え?」

「ベルセルクオーディンを倒したっていうのは本当だが、何も俺は自分の力だけで倒したわけじゃないんだ」

「?」

「あんたの大剣を素材として使わせてもらった」
 
「大剣? あっ……」

 そこでディーネは何か思い出したように声を上げる。
 自分が【破幻の重叢剣】を所持していないことにようやく気付いたんだろう。

「ちょっと待って。素材って?」

「すまん、説明不足だったな。あの大剣を新たな武器を作るための素材にさせてもらったんだ」

「新たな武器を作る……? エルハルト君ってそんなこともできちゃうのっ?」

「錬金鍛冶師だからな」

「錬金鍛冶師って……えぇっ!? それって生産職だよねっ? それなのにベルセルクオーディンを倒しちゃったの……?」

「ああ」

「……ご、ごめん。ちょっと信じられないかも……」

 レベル1の生産職があの凶悪な魔物を倒すところを上手く想像できないんだろうな。
 
(まあ信じられなくて当たり前か)



 それからディーネがこの事実を受け入れるまでには少しの時間が必要だった。
 自分が殺されかけた相手をこんな新人が倒してしまったんだから当然だ。

 俺が転生者で前世は勇者だったってことを伝えられたら一番楽なんだが、規律違反だからそれはできない。

 最終的には俺の言っていることを無条件に信じてくれたようだ。
 やっぱりいいヤツだな、ディーネは。
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