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第2章
24話 レモンSIDE
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「この青銅の剣は飾りみたいなものでして。実はダンジョンのモンスターはほとんど魔剣で倒してました」
「だから、そっちの剣はあまり使わなかったんだ?」
そこでレモンは気づく。
肝心の魔剣をゲントがどこにも持っていないことに。
それどころか、そんなものを使っている様子をこれまで一度も目にしたことがなかった。
「えっと、魔剣はヒト族の目には視えないみたいでして・・・」
「視えない?」
「魔王と同じですね。だから、レモンさんには俺がなにもしてないように映ってたんだと思います」
「なるほど・・・」
その話を聞いて一瞬納得しかけるも、レモンはある矛盾に気づく。
(え? じゃあなんでゲントは魔剣が使えるんだろう? ヒト族には視えないはずなのに・・・)
ただそこまで深くレモンは詮索しなかった。
姿の視えないモンスターが視えた彼なのだから、視えない魔剣が扱えたとしてもべつに不思議ではなかったからだ。
「ゲントの強さが本物だってことはよーく理解できたよ」
「ありがとうございます。それと、これまで黙っててごめんなさい」
「べつに謝ることじゃないよ。こうして助けてくれたんだし。それだけでウチは十分。そろそろ戻ろっか」
「そうですね」
見ればあたりは徐々に陽が傾きはじめていた。
「帰りは歩きになっちゃいますけど、疲れてないですか?」
「へーきだよ?」
「足が疲れるようでしたら言ってください。背負うことくらいはできると思いますので」
「だいじょーぶ。普段から鍛えてるし」
「わかりました。それじゃ、ゆっくり歩いて帰りましょう」
それからレモンはゲントとともに大草原を歩いてエンペルト領へと向かった。
その間、ほとんど会話らしい会話はなかったが。
それでも。
そんな一時がレモンにとってはとても心地が良いものだった。
***
2人がエンペルト領の領都――ロゲスに到着する頃にはすでに夜となっていた。
そのままいつもたむろしている酒場へと向かう。
この酒場はバヌーの父親である領主が所有する店のため一般人は近寄らない。
人目を気にせず騒ぐには打ってつけの場所だった。
カウンターではエール片手に騒ぐバヌーたち3人の姿があった。
すでにかなり出来上がっているようだ。
「おっ! ゲントのおっさん~! ちゃんと帰って来たじゃねぇ~かぁ!」
「お疲れさまです、皆さん。レモンさんと一緒にクエストをこなしてきました」
「でかしたぞぉ~~!!」
バヌーがふらふらと千鳥足でレモンのもとまでやって来ると、首に腕をまわしながら耳打ちしてくる。
「おいレモンぁ~。んであのおっさんよぉ、どうだったー?」
「間違いなかったよ」
「あんっ?」
「本物ってこと」
「くっくっく~! そっかぁそっかぁ~! 報告ご苦労さん~~!!」
その間、ゲントはダンジョンで拾ったアイテムをすべてジョネスに渡していた。
それを確認すると、ジョネスがバヌーに手を振る。
「間違いない。戦利品はぜんぶ戴いたぞ」
「よぉーし! 『幻影飛魔天』をクリアしたってことはよぉ、オレサマがきちーんとギルドに報告しておいてやっからぁ! おっさん、あんたは今日はゆっくり休んでくれやぁ~!!」
「すみませんが、よろしくお願いします」
「あいよ。これが今日のあんたの報酬ね」
「ありがとうございます」
ゲントはアウラから報酬の金貨2枚を受け取った。
「また次も頼むぜぇ、ゲントのおっさん~!」
「はい。それでは連絡をお待ちしてます。レモンさんも今日は疲れたと思いますので、ゆっくり休んでください」
「ウチはべつに・・・。疲れてなんかないよ」
「そうですか。それではまた」
ゲントは一礼してからその場を去っていった。
その姿を見送ったあと。
レモンはバヌーに声をかける。
「ちょっといい」
「あんっ?」
「いくらなんでも報酬少なすぎだよね?」
「ハァ? 先に金貨3枚も渡してんだぞぉ? いーんだよぉ、あんなもんでよぉ~!」
レモンは知っていた。
これからバヌーがその10倍近い報酬を冒険者ギルドから受け取るということを。
「あのおっさんはバカだからなぁ~。ひゃはははぁ! 気分よく帰って行きやがったぜぇっ~!」
「でも、やっぱり本来の報酬分は・・・」
「んあぁぁぁ~!? てめぇレモンぁ! オレサマに逆らうってのかぁ、オイィ? ガキどもがよぉ! どーなってもいいってのかぁぁ!?」
ガシャン!!
カウンターにグラスを叩きつけると、バヌーはレモンの胸倉に掴みかかる。
「べつに・・・」
その光景を見てジョネスもアウラも面白おかしそうに野次を飛ばした。
「バヌー。そのへんにしておいてやれよぉ。そいつ泣きそうじゃねーか、ひっひっひ」
「アタイは1発ぐらい殴ってもいいんじゃね?って思うけどねぇ~。その女、いつも生意気なんだし~」
「てめーらは黙ってろぉ! んでどーなんだァ? オレサマに逆らうってのかぁぁ? オイッ! レモンァァ!!」
「ち、違う・・・。逆らわないよ・・・」
レモンのその言葉を聞いて、バヌーは満足そうにエールをあおる。
「ひゃははは! てめぇはそれでいーんだよぉ~! 余計なことはなーんも考えなくて~。ただオレサマの命令に従ってりゃいいんだからよぉ! ハハハッ!!」
それからバヌーたち3人はバカ騒ぎに戻る。
(ゲント・・・)
レモンはひとり、ゲントが消えていったドアに静かに目を向けるのだった。
「だから、そっちの剣はあまり使わなかったんだ?」
そこでレモンは気づく。
肝心の魔剣をゲントがどこにも持っていないことに。
それどころか、そんなものを使っている様子をこれまで一度も目にしたことがなかった。
「えっと、魔剣はヒト族の目には視えないみたいでして・・・」
「視えない?」
「魔王と同じですね。だから、レモンさんには俺がなにもしてないように映ってたんだと思います」
「なるほど・・・」
その話を聞いて一瞬納得しかけるも、レモンはある矛盾に気づく。
(え? じゃあなんでゲントは魔剣が使えるんだろう? ヒト族には視えないはずなのに・・・)
ただそこまで深くレモンは詮索しなかった。
姿の視えないモンスターが視えた彼なのだから、視えない魔剣が扱えたとしてもべつに不思議ではなかったからだ。
「ゲントの強さが本物だってことはよーく理解できたよ」
「ありがとうございます。それと、これまで黙っててごめんなさい」
「べつに謝ることじゃないよ。こうして助けてくれたんだし。それだけでウチは十分。そろそろ戻ろっか」
「そうですね」
見ればあたりは徐々に陽が傾きはじめていた。
「帰りは歩きになっちゃいますけど、疲れてないですか?」
「へーきだよ?」
「足が疲れるようでしたら言ってください。背負うことくらいはできると思いますので」
「だいじょーぶ。普段から鍛えてるし」
「わかりました。それじゃ、ゆっくり歩いて帰りましょう」
それからレモンはゲントとともに大草原を歩いてエンペルト領へと向かった。
その間、ほとんど会話らしい会話はなかったが。
それでも。
そんな一時がレモンにとってはとても心地が良いものだった。
***
2人がエンペルト領の領都――ロゲスに到着する頃にはすでに夜となっていた。
そのままいつもたむろしている酒場へと向かう。
この酒場はバヌーの父親である領主が所有する店のため一般人は近寄らない。
人目を気にせず騒ぐには打ってつけの場所だった。
カウンターではエール片手に騒ぐバヌーたち3人の姿があった。
すでにかなり出来上がっているようだ。
「おっ! ゲントのおっさん~! ちゃんと帰って来たじゃねぇ~かぁ!」
「お疲れさまです、皆さん。レモンさんと一緒にクエストをこなしてきました」
「でかしたぞぉ~~!!」
バヌーがふらふらと千鳥足でレモンのもとまでやって来ると、首に腕をまわしながら耳打ちしてくる。
「おいレモンぁ~。んであのおっさんよぉ、どうだったー?」
「間違いなかったよ」
「あんっ?」
「本物ってこと」
「くっくっく~! そっかぁそっかぁ~! 報告ご苦労さん~~!!」
その間、ゲントはダンジョンで拾ったアイテムをすべてジョネスに渡していた。
それを確認すると、ジョネスがバヌーに手を振る。
「間違いない。戦利品はぜんぶ戴いたぞ」
「よぉーし! 『幻影飛魔天』をクリアしたってことはよぉ、オレサマがきちーんとギルドに報告しておいてやっからぁ! おっさん、あんたは今日はゆっくり休んでくれやぁ~!!」
「すみませんが、よろしくお願いします」
「あいよ。これが今日のあんたの報酬ね」
「ありがとうございます」
ゲントはアウラから報酬の金貨2枚を受け取った。
「また次も頼むぜぇ、ゲントのおっさん~!」
「はい。それでは連絡をお待ちしてます。レモンさんも今日は疲れたと思いますので、ゆっくり休んでください」
「ウチはべつに・・・。疲れてなんかないよ」
「そうですか。それではまた」
ゲントは一礼してからその場を去っていった。
その姿を見送ったあと。
レモンはバヌーに声をかける。
「ちょっといい」
「あんっ?」
「いくらなんでも報酬少なすぎだよね?」
「ハァ? 先に金貨3枚も渡してんだぞぉ? いーんだよぉ、あんなもんでよぉ~!」
レモンは知っていた。
これからバヌーがその10倍近い報酬を冒険者ギルドから受け取るということを。
「あのおっさんはバカだからなぁ~。ひゃはははぁ! 気分よく帰って行きやがったぜぇっ~!」
「でも、やっぱり本来の報酬分は・・・」
「んあぁぁぁ~!? てめぇレモンぁ! オレサマに逆らうってのかぁ、オイィ? ガキどもがよぉ! どーなってもいいってのかぁぁ!?」
ガシャン!!
カウンターにグラスを叩きつけると、バヌーはレモンの胸倉に掴みかかる。
「べつに・・・」
その光景を見てジョネスもアウラも面白おかしそうに野次を飛ばした。
「バヌー。そのへんにしておいてやれよぉ。そいつ泣きそうじゃねーか、ひっひっひ」
「アタイは1発ぐらい殴ってもいいんじゃね?って思うけどねぇ~。その女、いつも生意気なんだし~」
「てめーらは黙ってろぉ! んでどーなんだァ? オレサマに逆らうってのかぁぁ? オイッ! レモンァァ!!」
「ち、違う・・・。逆らわないよ・・・」
レモンのその言葉を聞いて、バヌーは満足そうにエールをあおる。
「ひゃははは! てめぇはそれでいーんだよぉ~! 余計なことはなーんも考えなくて~。ただオレサマの命令に従ってりゃいいんだからよぉ! ハハハッ!!」
それからバヌーたち3人はバカ騒ぎに戻る。
(ゲント・・・)
レモンはひとり、ゲントが消えていったドアに静かに目を向けるのだった。
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