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第2章
23話 レモンSIDE
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グガングガン!! グガングガン!!
その時。
またもフロア全体が揺れはじめる。
(え? なんで・・・)
今度のそれは甲高い地鳴りとともに揺れが強まっていく。
この場所に居てはいけないという予感めいた警告がレモンの頭の中で鳴り響いた。
「まだほかにボスがいるってこと?」
「それはないと思います。これはひょっとすると・・・。ルルム、その穴から急いで下へ降りて様子を見てきてくれるかい?」
誰に向けたかわからないそんなひとり言を呟くと、ゲントは一瞬この場を離れる。
そのあと。
すぐにレモンのもとへ戻ってくると、彼は驚きの言葉を口にした。
「すみません、レモンさん。どうやらダンジョンの崩壊がはじまってるみたいなんです」
「崩壊っ? そんな・・・」
「今回はちょっと早いですね」
すでに崩壊がはじまっているのだとすれば、今から来た道を戻っていてはぜったいに間に合わない。
「あのボスでこのダンジョンのモンスターはぜんぶだったみたいですね」
「そんな分析してる場合じゃないって! 早く抜け出さないとあなたも危ないんだよ? どうすればいい? なにか手はあるんだよねっ?」
自分でも気づかないうちにレモンはゲントを頼っていた。
この場でこの状況を打開できるのは彼しかいない。
自然とそう考えるようになっていたのだ。
一瞬考える素振りを見せたあと、ゲントはゆっくりと頷く。
「ひとつだけ考えがあります。レモンさん、俺のそばまで来てください」
「えっ・・・ちょっと・・・?」
そのまま強引に抱き寄せられると、レモンはゲントの胸の内に収まってしまう。
「ち、近いんだけどっ!?」
「ごめんなさい。少しの間だけ我慢しててください」
ゲントの表情は真剣そのものだ。
下心があってこんなことをしているわけじゃないということにレモンも気づく。
(もぅ・・・。なんなんだよ・・・)
心を決めると、レモンは目の前の中年男に自分の身を預けることにした。
グガンッグガンッ!! グガンッグガンッ!!
先ほどよりも揺れは激しくなっている。
もうほとんど時間は残されていないのかもしれない。
レモンはぎゅっとゲントに抱きついた。
「・・・今から走って戻ってももう間に合わない。ならできることは・・・」
集中するようにゲントはひとり言を口にする。
「これまでいろいろ乗り越えてきたんだ。この魔剣なら・・・きっとできるはず。ルルム、準備はいい?」
自身を奮い立たせるようなそんな言葉を口にすると、ゲントは片手を大きくかかげた。
そして。
その手を勢いよく振り下ろすと。
しゃきーーん!!
(!?)
ゲントが腕を振り下ろした瞬間、信じられないことに空間に裂け目が生じた。
「やりました、レモンさん!」
「ちょっと・・・これって、なにしたの・・・!?」
「今は脱出が先です! しっかり俺に掴まってください。行きますよ!」
「きゃ!?」
レモンはゲントに抱きついたまま、次元の渦へと飛び込んでいく。
次の瞬間。
2人は大草原の上に飛び降りていた。
(・・・ここは・・・)
レモンがあたりを見渡すと、ちょうどそこに『幻影飛魔天』の入口が見えた。
それを確認した直後。
ドズッーーン!!!
大爆発とともにダンジョンはもろとも消滅してしまう。
***
そんな光景を草原の上で眺めながら、レモンはしばしの間唖然としていた。
「レモンさん。お怪我はありませんでしたか?」
「え? あ、うん・・・」
「よかったです。なんとか無事に脱出できたみたいで」
ホッと胸を撫で下ろすゲントの姿を見ていると、レモンは自然とこんな言葉を漏らしていた。
「・・・ごめん・・・」
「はい?」
「あなたにいろいろと酷いこと言った気がする・・・。ホントにごめんなさい・・・」
レモンは深く頭を下げる。
それは本心からの言葉だった。
けれど。
ゲントは首を横に振る。
「酷いことなんてなにも言われてないですよ」
「でも・・・」
「俺はぜんぜん気にしてないんで顔を上げてください。それよりもレモンさんになにもなくて本当によかったです」
「~~!」
眩しい笑顔を覗かせるゲントの姿を見て、レモンは思わず顔を赤くさせた。
見かけがかっこいいわけじゃない。
なんなら、相手は中年のおじさんだ。
だが、レモンは自分でも気づかないうちに、彼のその真摯な態度に惹かれていた。
この時になってはじめてレモンは自身の想いを悟る。
その気持ちに気づきつつも、レモンは関係ない言葉で誤魔化していた。
「で、でもさ・・・。どうしてそんなに強いの?」
「それは、たぶん【抜剣覚醒】のスキルがあるおかげですね」
「スキル・・・? なんだろう? 魔法のこと?」
「チートスキルとかって、そういう言い方しません?」
それを聞いてもレモンはなんのことだかよくわからない。
続くゲントの言葉でさらに混乱することになる。
「それになによりも。俺には魔剣があるんで」
「えっ・・・?」
「さっきは言いかけて途中でやめちゃいましたけど。でも、もう隠してても意味はないと思うので」
「ちょっ、ちょっと待ってよ・・・。魔剣って・・・まさか、魔王が突き刺して大地を腐らせたっていうあの魔剣のこと!?」
「はい。たぶん、それを引き抜いたから、魔境の浸食が止まったんだと思います」
「魔境を消滅させたって・・・そういうことだったんだ・・・」
やはりこの男は只者ではないとレモンは思った。
(魔王の魔剣を持ってるなんて・・・凄すぎだよ)
その時。
またもフロア全体が揺れはじめる。
(え? なんで・・・)
今度のそれは甲高い地鳴りとともに揺れが強まっていく。
この場所に居てはいけないという予感めいた警告がレモンの頭の中で鳴り響いた。
「まだほかにボスがいるってこと?」
「それはないと思います。これはひょっとすると・・・。ルルム、その穴から急いで下へ降りて様子を見てきてくれるかい?」
誰に向けたかわからないそんなひとり言を呟くと、ゲントは一瞬この場を離れる。
そのあと。
すぐにレモンのもとへ戻ってくると、彼は驚きの言葉を口にした。
「すみません、レモンさん。どうやらダンジョンの崩壊がはじまってるみたいなんです」
「崩壊っ? そんな・・・」
「今回はちょっと早いですね」
すでに崩壊がはじまっているのだとすれば、今から来た道を戻っていてはぜったいに間に合わない。
「あのボスでこのダンジョンのモンスターはぜんぶだったみたいですね」
「そんな分析してる場合じゃないって! 早く抜け出さないとあなたも危ないんだよ? どうすればいい? なにか手はあるんだよねっ?」
自分でも気づかないうちにレモンはゲントを頼っていた。
この場でこの状況を打開できるのは彼しかいない。
自然とそう考えるようになっていたのだ。
一瞬考える素振りを見せたあと、ゲントはゆっくりと頷く。
「ひとつだけ考えがあります。レモンさん、俺のそばまで来てください」
「えっ・・・ちょっと・・・?」
そのまま強引に抱き寄せられると、レモンはゲントの胸の内に収まってしまう。
「ち、近いんだけどっ!?」
「ごめんなさい。少しの間だけ我慢しててください」
ゲントの表情は真剣そのものだ。
下心があってこんなことをしているわけじゃないということにレモンも気づく。
(もぅ・・・。なんなんだよ・・・)
心を決めると、レモンは目の前の中年男に自分の身を預けることにした。
グガンッグガンッ!! グガンッグガンッ!!
先ほどよりも揺れは激しくなっている。
もうほとんど時間は残されていないのかもしれない。
レモンはぎゅっとゲントに抱きついた。
「・・・今から走って戻ってももう間に合わない。ならできることは・・・」
集中するようにゲントはひとり言を口にする。
「これまでいろいろ乗り越えてきたんだ。この魔剣なら・・・きっとできるはず。ルルム、準備はいい?」
自身を奮い立たせるようなそんな言葉を口にすると、ゲントは片手を大きくかかげた。
そして。
その手を勢いよく振り下ろすと。
しゃきーーん!!
(!?)
ゲントが腕を振り下ろした瞬間、信じられないことに空間に裂け目が生じた。
「やりました、レモンさん!」
「ちょっと・・・これって、なにしたの・・・!?」
「今は脱出が先です! しっかり俺に掴まってください。行きますよ!」
「きゃ!?」
レモンはゲントに抱きついたまま、次元の渦へと飛び込んでいく。
次の瞬間。
2人は大草原の上に飛び降りていた。
(・・・ここは・・・)
レモンがあたりを見渡すと、ちょうどそこに『幻影飛魔天』の入口が見えた。
それを確認した直後。
ドズッーーン!!!
大爆発とともにダンジョンはもろとも消滅してしまう。
***
そんな光景を草原の上で眺めながら、レモンはしばしの間唖然としていた。
「レモンさん。お怪我はありませんでしたか?」
「え? あ、うん・・・」
「よかったです。なんとか無事に脱出できたみたいで」
ホッと胸を撫で下ろすゲントの姿を見ていると、レモンは自然とこんな言葉を漏らしていた。
「・・・ごめん・・・」
「はい?」
「あなたにいろいろと酷いこと言った気がする・・・。ホントにごめんなさい・・・」
レモンは深く頭を下げる。
それは本心からの言葉だった。
けれど。
ゲントは首を横に振る。
「酷いことなんてなにも言われてないですよ」
「でも・・・」
「俺はぜんぜん気にしてないんで顔を上げてください。それよりもレモンさんになにもなくて本当によかったです」
「~~!」
眩しい笑顔を覗かせるゲントの姿を見て、レモンは思わず顔を赤くさせた。
見かけがかっこいいわけじゃない。
なんなら、相手は中年のおじさんだ。
だが、レモンは自分でも気づかないうちに、彼のその真摯な態度に惹かれていた。
この時になってはじめてレモンは自身の想いを悟る。
その気持ちに気づきつつも、レモンは関係ない言葉で誤魔化していた。
「で、でもさ・・・。どうしてそんなに強いの?」
「それは、たぶん【抜剣覚醒】のスキルがあるおかげですね」
「スキル・・・? なんだろう? 魔法のこと?」
「チートスキルとかって、そういう言い方しません?」
それを聞いてもレモンはなんのことだかよくわからない。
続くゲントの言葉でさらに混乱することになる。
「それになによりも。俺には魔剣があるんで」
「えっ・・・?」
「さっきは言いかけて途中でやめちゃいましたけど。でも、もう隠してても意味はないと思うので」
「ちょっ、ちょっと待ってよ・・・。魔剣って・・・まさか、魔王が突き刺して大地を腐らせたっていうあの魔剣のこと!?」
「はい。たぶん、それを引き抜いたから、魔境の浸食が止まったんだと思います」
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ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。
その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。
彼らは通称カーヴァント。
カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。
カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。
しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。
また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。
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