ミッドナイト・レイダース

ジントニ9

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本編

嗜虐者の尋問

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「さあ、話してみろ」
 
 総統の人差し指が悟の口腔からゆっくりと引き抜かれた。艶やかな黒革の手袋が唾液で光る様は卑猥だ。大きく吐き出された悟の息が唇を湿らせる。
 
「うぅ……」
 
 嗚咽とも喘ぎともつかない声が漏れる。視線を逸らそうとした刹那──顎を掴む指に力が込められた。仮面の奥で暗く光る眸が、捕まえた獲物を見定めるかのように細められる。
 
「なぜ黙っている?まさか、思い出せないとは言わせんぞ」
 
 愉しげに嘲るような声色が悟の耳朶に絡みつく。
 
「お前の脳裏に刻まれているはずだ。男との経験など、どうせ初めてだったのだろう」
 
 総統の言葉は針のように悟の心臓を刺し貫いた。羞恥で全身が熱く火照り、背中を冷たい汗が流れ落ちる。頬を抉る黒革の感触が皮膚に食い込み、反射的に瞼が痙攣する。喉仏がこくんと上下し、呼吸が浅く速くなっていくのを止められない。
 
「言え」
 
 低く重い命令が空気を震わせる。
 
「言わないならお前の身体に直接訊くまでだが」
「……ッ!」
 
 漆黒の調度品達は二人のやり取りを冷ややかに見つめている。ここはダーク・タワーの中枢──総統のプライベート執務室。どんな悲鳴も懇願もこの密室からは一滴たりとも漏れることはない。それが分かるからこそ悟の背筋が寒くなる。
 
 
「答えないつもりか?」囁きが甘く脅迫的に響き渡る。
 
『どうやって……何から話せば……』
 
 悟の唇が震えているのが分かる。出そうとする声は言葉にならず、ただの悲鳴にも似た音になって飲み込まれる。そんな悟の様子を見て、仮面越しの目元が愉しげに細められた。
 
 
 沈黙が一秒一秒と重くのしかかる。
 
 
「……っ…接敵せってき……しました……」

 掠れた声がようやく少しずつ絞り出される。喉の奥が灼けるように熱い。声が震えるたび、総統の視線が更に鋭く研ぎ澄まされていくのを感じる。
 
「詳しく」

 短く命じる声は鋭利な刃のようだった。空気そのものを切り裂く冷たさ。
 
「あ、あの日……モンスターに急襲され……奴が助けてくれたのですが……」

 悟の目が泳ぐ。夜の廃ホテルの光景が脳裏に鮮明に甦る──悟にとって衝撃的な体験だった。本当は思い出すまでもなく全部覚えている。しかし総統の前で口に出すことが恐ろしい。特に……、その先を言い淀む悟。
 
「それで」
 悟の顎を掴む総統の指が再び強まる。顎関節が軋む気持ちがした。黒革越しに伝わる圧迫感が頬に食い込む感触に背筋が粟立つ。視線を逸らそうとしても強制的に正面を向かされる。仮面の奥で総統の目が愉しげに歪むのが見えた気がした。
 
「奴にそのまま……襲われてしまいました」
 婉曲的な言葉をなんとか繋ぐが最後の声は消え入りそうに小さい。吐息が熱く湿っているのが自分でもわかる。耳朶まで火照っていく。

 
「襲われたとは?」
 
「え……、あ……」
 絶句した悟の耳元で総統が微かに嗤う。

「詳細を伝えろ。何もかもだ」

 容赦ない総統の命令に悟の心臓が早鐘を打つ。頭の中は真っ白になる。逃げ場はもう無い。羞恥と恐怖が頂点に達し、瞳に反射的な涙が滲む。だが唇は総統に服従し、勝手に震えながら形を作り始める。
 
「奴……は…、俺を組み伏せて……無理やり……その、姦……淫…しました」
 
 声が途切れ途切れになる。屈辱的な言葉を紡ぐたび唇が乾き割れそうだ。あの夜──ブルーファルコンの鋭い眼光。鋼のような筋肉の重み。熱い吐息と激しい行為──その全てが克明に想起される。頬に食い込んだ総統の指から伝わる冷えた黒革の感触が、皮肉にも現実へ引き戻す錨となり悟を苛む。
 
「ほう」
 
 総統の指がゆっくりと悟の下唇をなぞる。少し厚みのある手袋が宥めるように上下するたび、その硬質な布地と柔らかい唇の境界がぼやけていくような錯覚に囚われる。指先を受容するように、思わず口元がわずかに緩みそうになるのを必死に堪えた。
 
「やはり隠していたな。敵の男に犯された事実を私に伝えるのがそんなに恥ずかしかったのか?」
 声の温度がゆっくりと降下する。同時に唇を弄ぶ指先は不気味なほど優しい。二律背反の刺激に悟の頭は段々と思考を奪われていく。

「あぅ……お許しを……」

 悟の肩が小さく跳ねる。全身が燃えるように熱い。けれど視線を逸らせない。仮面越しに否応なしに注がれる総統の視線が皮膚を蛇のように這い、羞恥心を更に炙る。喉仏が上下するのを止められない。
 
「許すかどうかはお前次第だな」

 微かに首を振り、微笑みながら語りかける総統の声はあくまで穏やかだ。
 
「続きを話せ。どうだったのだ?ブルーファルコンとの交わりは」
 あまりに露骨な問いに悟が耳まで赤くなる。しかし命令には逆らえず、逡巡しながらも口を開く。喉が干からびたような感触に唾を飲み込む音が異様に大きく響いた。

「………や、奴のものはとても大きくて………苦しかったです……」

 まるで自ら恥部を開示させられるような苦痛。言葉が唇から零れるたびに体内で熱が渦巻く。あの夜の痛みや羞恥がリアルに蘇る。ブルーファルコンの猛々しい雄芯が何も知らなかった自分の秘部を蹂躙した記憶──その圧迫感と侵入感は今も生々しく身体に刻まれている。喉の奥が詰まり息が荒くなる。

「そうか」総統の指が悟の顎を軽く持ち上げる。「その“大きいモノ”にどうされて苦しんだ?」
 
 声には嗜虐的な響きが濃厚に漂う。仮面の奥で総統の唇が薄く弧を描いているのが分かる。その愉悦に満ちた表情を見てしまった瞬間、悟の背筋に電流が走る。あの夜とは別の形で──別の男に支配されている感覚に身震いが止まらない。
 
「奥まで……いっぱいに……つ、突かれ……て……」
 語尾が震える。羞恥で全身の血が沸騰するようだ。脳裏にブルーファルコンの荒々しい吐息が蘇る。力強く掴まれた太腿の痛み。抵抗しても無駄だった絶望感。だが同時に──あの行為の中で確かに感じてしまった自分がいる。胸の内で渦巻く、相反する感情が悟を狂わせる。
 
「ほう、奥までな」

 総統の囁きが耳元で響く。大きな掌が悟の頭を優しく撫でる。
「お前のその細い腰では牡の激しい衝動を上手に受け止めきれなかったであろう?可哀想に」
 
 総統の指先がゆっくりと下へ移動し、悟の制服の襟元を寛げる。冷たい空気が露出した鎖骨に触れ、汗が玉になって流れ落ちる。シャツの生地が肌に張りつく感覚が不快なはずなのにどこか心地よい。
「ふ…うっ……」呻き声が漏れる。瞳の奥に宿りだす熱を総統に見透かされる気がして、悟は視線を合わせられない。
 
 
「だが……」嗜めるような総統の声。「徐々に苦しみだけではなくなったはずだ。先程の情報を見れば明らかだ」
 
「そ……そんなこと……!」
 思わず言い返した悟の声はどこか弱々しい。ブルーファルコンの巨根を受け入れながら──確かに感じてしまった電流が走るような快感。憎むべき敵の男によってそれを与えられたという覆せない事実が悟を混乱させる。
 
「嘘を付くな」総統の冷笑が部屋に響く。「身体は正直なものだ」
 
 総統が笑って一瞥した先に視線を落とせば──自分の股間部分が幹部制服を僅かに押し上げているのに気づく。その瞬間、血の気が一気に引いていった。鼓動が肋骨を打ち、全身の毛が逆立つ。
 
「っ……!」
 絶句する悟。羞恥で全身が火照る。「これは……ちが……!!」
 
 否定の言葉は途中で掻き消えた。総統の膝が悟の太腿の間に容赦なく割り込んできたからだ。固い膝頭が敏感な部位を押し潰すように圧迫する。思わず腰が跳ね上がる。
 
「ひあぁっ!?」
 突然の刺激に喉が詰まる。制服の上からでも伝わる確かな重量感と力強さ。布越しに感じる膝の尖った角度が股間を上下に擦るように動く。その度に幹部制服の下で硬くなったものが擦られ、背筋に電流のようなものが走った。
 
「ほら」総統の声が催促する。

「その時の様子をお前の口から説明してもらおうか。あの若造との交尾でどのように感じたか、告白しろ」
 
 総統の声は低く抑えられているが、その奥には明らかな嗜虐の愉悦が滲んでいる。囁く言葉で羞恥を限界まで掻き立て追い詰めながら、爛々と輝く仮面の奥の瞳が悟の魂を縛りつける。
 
「いやだ……そんな……!言えない……んっ!」

 拒絶の言葉はすぐに霧散する。膝頭が布地ごと陰茎を押し潰すたび、甘い痺れが脊髄を駆け上がる。羞恥で顔が火照るのに比例して鼓動が激しくなり、呼吸は浅くなる。
 
「正直になれ」

 総統の命令は嗜めるようでいて冷酷だ。膝の動きが徐々に速くなる。大腿筋が反射的に収縮するが無駄だ。総統の膝は巧みに逃げ場を塞ぎ続け、悟の腰をソファに押さえつける。内側から突き上げる制服の生地が摩擦で熱を帯びる。額から流れた汗が頬を伝い、顎へと垂れる。

「あああっ……もうやめて……下さい……!!」

 歯を食いしばって耐えているうち、ふっと膝の圧迫が解かれる。安堵と同時に物足りなさが入り混じる奇妙な感覚。股間が切なげに疼き、もっと強い刺激を求めていることを悟ってしまい愕然とする。
 
「……ほう、どうしても言えないという訳か」

 総統の吐息が悟の耳元で弾ける。膝が離れたと思ったのも束の間──今度は両脚を大きく開かされる。

「なっ……!!」
 ソファの座面に足を乗せられ、強制的に開脚姿勢を取らされる。抵抗しようにも上半身に添えられた黒革の掌が枷のように動きを封じる。

「お前の場合、身体に確認するほうが手っ取り早いようだな」

 仮面の奥の瞳が笑う。悟の視線は自然と自身の下半身に落ちる。黒い幹部制服の股間のシルエットが、もはや言い訳できないほど不自然に膨らんでいる。その輪郭が布地越しにくっきりと浮かび上がり、悟自身を裏切るように内側の欲望を誇示している。
 
「いや……だあっ!!」
 羞恥に耐えきれず頬だけでなく耳朶まで紅潮していく悟。全身を熱が駆け巡るのが分かる。

「こんな淫乱な身体で正義の戦士を誘ったのか?」

 黒革の指先がその膨らみを意地悪に弾く。制服の上からでも伝わる微妙な力加減が、布地越しに確かな刺激を伝え、腰が跳ねる。反動で悟の身体が僅かに前後し、そのたびに股間の布地が擦れ合う。既に湿り気を帯び始めた先端部分がより敏感になり、新たな蜜を溢れさせるのを感じる。

「ん……ん……!」
 喘ぎが漏れる。拒絶の意志と裏腹に、肉体は正直すぎる反応を見せている。総統の指先がその膨らみを嬲り続ける。そのたびに腰が勝手に反応し、快感の波が全身を覆い尽くす。

「違う……!俺は誘ったんじゃ……!」
「だが身体は欲していたんだろう?」

 掌が円を描くように布地を撫でる。その微細な振動が蓄積していく。悟の呼吸が荒くなり、瞳が潤み始める。
 
「もっと素直になれ」

 総統の膝が再び悟の腿を跨ぐ。今度は体重をかけるのではなく──股間のファスナーに手を伸ばす。
 
「やめ……て、くださいっ……」

 声が弱々しい。抵抗の意思はあるのに身体は動かない。ファスナーを下ろされる音が死刑宣告のように響く。下着ごと制服を膝まで脱がされると、解放されたペニスが天井を向いて勃起し、透明な先走りが糸を引く。
 
「イヤらしいな」

 総統の囁きが耳朶を犯す。冷たい革手袋が亀頭を包む。ひんやりとした感触と温かい粘液が混ざり合って不思議な感覚になる。
 
「ああっ……そんな……!」
 制止の言葉は途中で途切れた。総統の指先がカリ首をくすぐるように撫でる。神経の集まった部分への愛撫に思わず腰が浮く。悟の内腿は痙攣し、ソファの座面に爪を立てて襲い来る波を耐えようとする。
  
「ここはどうだ?」

 裏筋を辿る指先。皮膚の薄い部分が鋭敏に反応する。悟の背中が大きく仰け反る。ソファの革張りが背中を強く押しつけ、冷たい感触が体温を奪う。

「あっ……んんっ!」
 声にならない悲鳴。総統の手が根本から先端へと扱き始める。そのリズムはゆっくりと焦らすように。時折親指が鈴口を押し潰す。先走りの粘液が黒革の指先に絡みつき、艶やかな光沢を放つ。

「や……めてぇ……」
 涙が溢れる。屈辱なのに快楽が勝る。矛盾した感情が脳内で渦巻く。脳裏にフラッシュバックするのは廃ホテルでの忌まわしい出来事。ブルーファルコンの猛攻で刻まれた快楽の記憶が総統の愛撫と重なり合う。

「泣くほど良いのか?」

 嘲笑混じりの問いに首を横に振る。でも身体は正直だ。ペニスが更に硬度を増しビクビクと震える。下腹部が熱を持ち、先端からは止めどなく透明な蜜が溢れ続ける。総統の手袋に染み込んだ自分の体液の匂いが鼻腔を擽る。

「ほら」

 総統のもう片方の手が睾丸を包む。優しく揉みしだかれる感覚に腰が砕けそうになる。睾丸が緊張と弛緩を繰り返し、射精への準備が始まっているのを感じる。

「あぁっ……んっ……ふっ!も、だめです……総統……」
 涙で滲んだ視界に総統のダークグレーの仮面が浮かぶ。メタリックの素材が照明を反射し、快感に歪んだ悟の顔を映し出す。惨めでいやらしい姿――それが総統の目に映る今の自分。

 総統の手が根本から先端へと扱くリズムが早まる。親指が執拗に鈴口を押し潰し、ぱくぱくと開閉する先端から先走りの量が増える。
 悟の抵抗はすでに形骸化していた。両膝が開いて腕はだらりと下ろされたまま、腰だけが揺れる。己の意思に反して快楽を求める本能を止められない。

「気持ちいいか?」

 低く耳元に囁く声が悟の脳髄を痺れさせる。総統の艷やかな声は甘い毒のように思考を麻痺させる。段々と堕ちる悟を見守りながら、仮面の奥の瞳が愉悦に満ちて光るのを感じる。

「……は、……はい……」
 唇からついに肯定の言葉が漏れ出す。自尊心を粉々に砕かれながらも悟の肉体は正直に反応する。尿道口が痙攣し始める。限界が近い。
  
「ちゃんと認めたな、褒美をやろう」
  
 囁きとともに総統の空いた手が腹筋を這う。その動きは愛撫のように丁寧で執拗だ。
 総統の掌が悟の下腹部に覆いかぶさり、鼠径部を撫で下ろす感覚に背筋が震える。やがて革手袋の指先が臀部の割れ目に沿って滑り──ついに小さな窄まりに到達する。
  
「この中に正義の戦士を迎え入れたのだな?」
  
「やめてください……そこだけは……」
  
 懇願する声は掠れて力がない。だが総統の指先は止まらない。むしろその抵抗が愉悦を煽っているかのようだ。仮面の奥で瞳が愉悦に歪むのが見なくてもわかる。
  
「力を抜け」
  
 低く囁く声に反射的に従ってしまう。総統の指が肛門の周囲をゆっくりと円を描く。手袋越しの冷たさと指先の堅さが相反する刺激となる。革の表面が皮膚を擦るたびに微細な摩擦が腰を震わせる。

「こんなこと……」
 恥辱に顔が火照る。なのに身体は容易く裏切る。後孔への緩やかな刺激で更に硬度を増した悟のペニスは、総統の掌に包まれ嬉しそうに脈打ち熱を放つ。先走りが糸を引き、射精の予兆が下腹部全体を締めつける。
  
「ここにブルーファルコンを迎え入れたのだな」

 総統の声が甘く苛烈に響く。指先が窄まりを押し広げるように圧迫する。黒革手袋越しの硬い感触が皮膚を擦り、無意識のうちに括約筋が収縮する。その動きが総統の指を自ら受け入れてしまう結果を招く。

「ん…うんんっ……!」
「沢山突かれて気持ちよかったか?」

 卑猥な問いに羞恥で全身が硬直する。総統の指が悟の穴への圧力を高め始める。革越しの硬い感触に身体が敏感に反応する。内側から熱いものが込み上げ、意思に反して腸壁が収縮する。汗で濡れた肌がソファの革と密着し、不快な湿り気を帯びる。

 ……ツプッ……!
「っ!……あうっ!!」
 体内に侵入してくる黒革の感触に、嗚咽とも喘ぎともつかない声が漏れる。総統の掌中にある陰茎がビクンと脈打つ。先走りが黒革の皺に沿って滲み出し、その光沢が増す。
  
「答えないなら指ではなく私の陰茎を使って強制的に思い出させてもいいが?」
  
 総統の提案に恐怖が走る。この男の言葉はきっと冗談ではないだろう。仮面の下の端正な男の顔が嗜虐の愉悦に歪んでいるのが幻視できるようだ。悟の喉が上下に動く。呼吸が浅く速くなる。酸欠に似た感覚が脳を靄で覆う。
  
「……っ、最初は痛くて……でもだんだん……」
  
 屈辱的な告白に涙が滲む。なのに声は甘く掠れている。自己嫌悪と被虐による快感が渦巻く。悟のペニスからは透明な液体が止めどなく溢れ続け、総統の革手袋を汚していく。滴り落ちた粘液が黒革のソファの座面に染みを作る。
  
「ほう」
  
 中指の先端が肉を掻き分け微かに潜り込んだ。全身が震える。異物挿入の違和感と共に広がる甘い痺れ。総統に排泄器官を侵犯されているという倒錯的な状況なのに興奮を止められない。総統の指は器用に蠢き、肉の襞を押し広げていく。
  
「敵のペニスで快楽を貪ってしまったのか」
  
「だって、大きく……て…熱くて……、俺の中……いっぱいになって……」
  
 声が震える。自分でももう何を言っているか分からない。頭の中は羞恥と快感で飽和状態だ。視界の端で揺れる総統の姿が不気味に揺らめく。
  
「続けるんだ」
  
 中指が更に数センチ押し込まれる。「あうっ!」背中が弓なりに反る。括約筋が総統の指を強く締め付ける。同時に肉壁が蠕動し内部の熱が増す感覚。汗と先走りで汚れた臀部がソファを濡らす。
  
「……奴は、激しく…抱いて……、俺を……求めてきて……!」
  
 言葉が途切れ途切れになる。ブルーファルコンとの記憶と現在の感覚が重なり合い、脳髄を灼く。
  
「それで、最後は?お前はどうなった」

 言葉に詰まる。一番の痴態を自ら曝け出してしまうことへの抵抗と困惑、そして微かな興奮が入り混じる。悟の葛藤を、総統の瞳が仮面の奥で笑っているように見える。
  
「全てを曝け出してしまえ。楽になれるぞ」

 催促の声とともに中指が一気に根本まで押し込まれる。腸壁を押し広げる異物感と、それによって生まれる未知の快感が混ざり合い、全身が激しく粟立つ。
  
「あああっ!……気持ちよくなってイかされて……失神してしまいましたっ……!」
  
 ついに言ってしまった。羞恥で全身が燃えるようだ。額から噴き出した汗が目に入って視界を滲ませる。けれど同時に妙な安堵が広がる──告白したことで逆に枷が外れたような解放感。
  
 肛門を犯す指が2本に増え、激しいピストンが始まる。黒革越しでもわかる男の長い指の存在感。悟の膝がガクガクと震え、開かれた腿が揺れる。完全に心と身体の防衛線を突破された感覚。もはや抵抗する余地はない。
  
「あっ……やああーーーっ!!」
  
 総統の手が加速する。激しい抽送に悟の腰が跳ね上がる。快楽の奔流が下半身を支配する。括約筋が総統の指をきつく締め付け、その動きが更に腸壁を刺激する悪循環。
  
「ここはどうだ?」
  
 指が腸壁を探るように動く。特定の一点──前立腺に触れた瞬間、
  
「あっ!あっ!あっ!ああっ!!」
  
 悟の背中が弓なりに反る。これまでより格段に強烈な電流が脳天を貫く。指先がその小さな器官を捉え、圧迫し、こね回すたびに悟の口から甲高い嬌声が迸る。
  
「ここだな」
  
 総統の息が微かに乱れている。普段感情を見せない男の、仮面の奥で確かに興奮が昂っているのを感じ悟もまた激しく興奮してしまう。
  
「良いんだろう?」
  
 指の動きが速くなる。断続的な刺激に腰が浮き上がり、臀部がソファから離れかかる。下腹部全体が収縮し、射精の予兆が走る。
  
「ああっ……出ちゃ…うッ……!!」

 悟の声が切迫する。理性のたがが外れ、原始的な衝動だけが残る。総統の指が前立腺を押し潰すたびに腰が浮き上がり、その動きとタイミングを合わせるように陰茎を扱く手が速度を増す。
  
「出せ」

 簡潔な命令とともに総統の指が激しく抽送される。指先は悟の弱点を正確に把握し、的確に刺激を与える。まるで彼との擬似的な交わりに堕落させられる感覚。黒革の無機質な感触と、腸壁の内側からの熱さが交錯し、異質な快感が全身を駆け巡る。
  
「あああああぁぁッ!!!」

 絶叫とともに悟の身体が硬直する。極限まで引き絞られた筋肉が一気に弛緩する瞬間、絶頂を迎えた悟のペニスが脈動し、大量の白濁液が飛沫となって飛び散った。それは黒革の手袋はもちろんのこと、ソファの黒い表面や自分の胸元まで汚す。
 同時に、射精に合わせて悟の肉壁が総統の指を喰むように断続的に収縮し、招き入れた男の器官を一滴残さず搾り取ろうとするかのような動きを見せる。
  
「はぁ……はぁ……」
  
 荒い呼吸が静寂の中に響く。疲労感と虚脱感が全身を包み込む。悟はぐったりとソファに沈み込み、四肢を投げ出したまま放心状態で天井を仰ぐ。汗で濡れた前髪が額に貼り付き、吐息が白く曇る。
  
「よくやった、ブラックパンサー。いや……悟」
  
 黒革手袋の上に悟の精液を広げながら総統の囁きが耳元で響く。白い粘液が革の皺に沿って滴り落ち、淫靡な香りが二人の間に立ち込める。仮面越しの瞳が妖しく輝いているのが分かる。
  
「お前の身体は最高の玩具だな。あの若造が柄に合わず狂った理由が分からなくもない」
  
 賞賛と嘲笑が混じる総統の声音。掛けられる言葉の意味もろくに理解できないまま、悟は放心状態で天井を見つめるしかできない。


 屈辱感と解放感が入り混じった奇妙な充足感が心を支配している。被虐にくすぶる身体が寒さと熱さを交互に感じながら、この圧倒的な支配者の薄暗い執務室でただ荒い息を吐くことしかできなかった。


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