時空戦記オーバークロス

矢嶋 優

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第25話:奪われた生命の時間

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痺れと対立

時田瑛二と黒崎奶斗は、時空戦記ローズクロスの解毒剤を持つ蛇女ガンマと、その護衛であるコマンダー・ベータと激しく交戦していた。
「あなた達の『秩序』も『修復』も、私のバイオ・パラリシスの前では無力よ!」
蛇女ガンマの放つ神経毒性の電気は、瑛二のオーバーマックスクロスの装甲を貫通し、瑛二の神経伝達速度を著しく鈍らせた。
「くっ…!体の時間の流れが…遅くなる!」
瑛二が動きを鈍らせる間、黒崎奶斗がベータと対峙した。奶斗は、ローズクロスへの「愛の記憶」によって論理回路が不安定になりながらも、「彼女の犠牲を無駄にしない」という秩序を貫き、ベータを押し戻す。
「コマンダー・ベータ。 私の秩序固定は、貴様の不安定な時空ノイズを凌駕する!」

蛇女の新たな契約

蛇女ガンマは、瑛二と奶斗がローズクロスに囚われていることを確認すると、一瞬だけ攻撃の手を緩めた。
「まあ、熱心ね。でも、時空戦記オーバークロス。あなたの『修復』の心が、ここでローズクロスの解毒を待っている余裕があるかしら?」
蛇女ガンマは、空間に新たなホログラムを映し出した。そこには、現代の街並みと、二人の若い女性の姿があった。
『瑛二さん!新たな時空の歪みよ!彼女たちの『時間資源』が狙われている!』伊賀崎ともかの声が響く。
「次のターゲットは、天野 美柑(あまの みかん)と赤坂 恵美(あかさか えみ)よ。見て。この天野美柑は、同僚の赤坂恵美が持つ『輝く生命力』、つまり『老化の遅い時間資源』に激しく嫉妬している。」
蛇女ガンマは、愉悦に満ちた声で契約の内容を説明した。
「美柑の願いは、恵美の『若さと活力の時間』をすべて奪い、自分自身のものにすること。我々ガンマ軍団は、その『生命の時間』を、我々の幹部延命のためのバイオ・タイム資源として抽出するわ。」
瑛二は怒りに燃えた。「卑劣な!人間の嫉妬を利用して、命の時間を奪うだと!」

ヒーローの選択

蛇女ガンマは、悪魔的な選択を瑛二に突きつけた。
「さあ、オーバークロス。あなたの『修復の心』は、どちらを選ぶ?」
「一つは、あなたの『愛する者の恩人』、ローズクロス。彼女を救う鍵は、この私よ。ここで私を追えば、彼女の解毒剤を奪えるかもしれない。」
「もう一つは、『現在進行形の犠牲者』、赤坂恵美。彼女の『生命の時間』は、あと30分で尽きる。私を追うのを止め、そちらに向かわなければ、恵美の時間は永遠に失われる。」
瑛二は、激しく葛藤した。ローズクロスを救うことは、黒崎奶斗の人間性を回復させ、二人の協力体制を確固たるものにするための最優先事項だ。しかし、目の前で別の無辜の命が失われるのを、時空戦記オーバークロスとして許すことはできない。
黒崎奶斗:「…行け、時空戦記オーバークロス。彼女の犠牲は、私自身が秩序の名の下に守り抜く。」奶斗は、ローズクロスのカプセルから一歩も動かず、ベータに相対した。
「黒崎…!」
瑛二は、友の覚悟と、ローズクロスへの信頼を感じ取った。彼は、オーバーマックスクロスの力を全身に漲らせた。
「蛇女ガンマ。あなたの悪意は、俺が叩き潰す!」
瑛二は、ローズクロスを奶斗に託し、赤坂恵美を救うため、高速で現代の座標へと転移を開始した。
「コマンダー・ベータ!ローズクロスと蛇女ガンマは、黒崎に任せる!俺は、赤坂恵美の『生命の時間』を、必ず修復して戻る!」
現代の東京。新たな戦場へ向かう瑛二の背中には、生命の時間を巡る激戦の重さがのしかかっていた。
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