時計の形をした心臓

茉莉花

文字の大きさ
16 / 19
第1幕

第十五話

しおりを挟む
 俺は黙って数歩後退り、足のバネを活かして一気に距離を詰める。

 同時に右ストレートをおもいっきりの力を込めて繰り出す。

 狙いは相手の顎だ。

 人間の急所は主に身体を半分で割った線上にあり、有名なとこだと顎、みぞおち、股間だ。

 人はここを狙われるとダメージを与えやすいのだ。

 案の定相手は、華麗なステップで攻撃を空振りさせ、カウンターを仕掛けてくる。

 飛んでくる右腕を見ながら俺は確信した。



 よし今だ。



 俺はそのカウンターを右前に足を出してかわし、そのまま右腕で首を掴み、そのまま押し倒す。

 児童養護施設の職員が暴力を振るう子どもによくやるやつだ。

 そしてそのまま馬乗りになり、相手を拘束する。

「さあ、降参するなら今のうちだぞ……? 別に命まで取ろうってわけじゃないんだ。別に時計を取るつもりもない。」

 彼は抵抗する気力を失ったのか、力ない声でつぶやく。

「何が目的だ」

「簡単なことだ、同盟を組みたい」

「同盟だと?」

 同盟を組むメリットは一つ、存在する。

 それは多くの人数で戦えばそのグループが生き残れる確率が大幅に上がるということ。どっからどう考えても一人で戦うより、複数人で戦ったほうが勝てる。

それぞれで潰し合うのはそれからでも遅くない。

「それで手を打てというのか」

「嫌なら別にいい。ここでお前の時計を取って、お前はゲームオーバーになるだけだ。なに、心配はいらない。すぐお前の兄貴とやらもそっちにいくさ」

「……兄貴は俺よりも強いぞ」

「そっか。それなら、なおのことお前たちと同盟が組みたいな」

 彼は大きくため息を付き、そして言った。

「兄貴、この勝負やめだ。こいつらの話をきいてくれ」

 すると鈴香たちの戦闘がピタッと止まる。兄貴とやらはこっちを凝視し、そしてこちらに近づいてきた。

「立のくせに、随分と情けないことになっているのだな」

「悪ぃ兄貴、負けちまった。そんなことよりさ、俺こいつらと同盟組むことにしたわ」

 おいおい、そんな簡単に決めて言う事なのか……。もし俺達が裏切ったら……。

「その心配はない。その時は僕がおもいっきり捻り潰すから」

 おっと……言うねぇ。

「まぁ、俺は正直ここでゲームオーバーする予定だったんだ。だから、正直裏切られようが裏切られなかろうが関係ねぇ。

 俺は眼の前にいる敵をぶちのめすだけだからよ」

「ちょっとまて、僕はまだ同盟組むとは言ってないし、どういうメリットがあるかも聞いてない。まぁ、自分の弟を手に掛けるのは嫌だから同盟組むが」

 結局組むのかよ。

 そして俺はメリットを兄の方に説明した。

 納得はしてもらえたようでこれで晴れて俺含む五人の仲間ができたってわけだ。

 なんかRPGみたいで楽しい。

 現実はだいぶやばいが……。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

それなりに怖い話。

只野誠
ホラー
これは創作です。 実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。 本当に、実際に起きた話ではございません。 なので、安心して読むことができます。 オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。 不定期に章を追加していきます。 2026/2/9:『ゆぶね』の章を追加。2026/2/16の朝頃より公開開始予定。 2026/2/8:『ゆき』の章を追加。2026/2/15の朝頃より公開開始予定。 2026/2/7:『かいぎ』の章を追加。2026/2/14の朝頃より公開開始予定。 2026/2/6:『きんようび』の章を追加。2026/2/13の朝頃より公開開始予定。 2026/2/5:『かれー』の章を追加。2026/2/12の朝頃より公開開始予定。 2026/2/4:『あくむ』の章を追加。2026/2/11の朝頃より公開開始予定。 2026/2/3:『つりいと』の章を追加。2026/2/10の朝頃より公開開始予定。 ※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...