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Falling 2
二人きりで
しおりを挟む「あー、疲れた……」
俺は聖水露天風呂に浸かり、大きなため息をつく。
今日は色々あった。
狩りに行って、魔王の配下を復活させたら、ルルフェルがやたら強くて……。
ざっと思い返しただけでお腹いっぱいだ。
俺はルガルに火傷させられた部分をそっと撫でる。
この風呂には打ち身、切り傷等々色んな効能があるが、火傷にも効くようだ。
すっかり痛みは無くなっている。
「凄いな、これ。俺の手からこんなのがドバドバ出るなんて……」
1人だけだと気が緩んでいたのか。
どこへともなくそう独り言を呟いていたら……。
「源泉垂れ流しですもんね 」
「嫌な言い方すんな、何か汚……」
ん?
今誰と会話したんだ、ここには俺しかいないはず……?
恐る恐る後ろを振り向いた。
すると……。
「うおお!?何でいるんだよ、お前!?」
そこにはいつの間にか湯船に、ちゃぽんと浸かっているルルフェルがいた。
「や、お風呂の方がゆっくりお話しできるかと……」
「全体的に倫理観が欠如してんだよ、お前はぁ!」
風呂に入ってるということは、お互い無防備な状態なはずだ。
少なくとも俺はそうだ。
ということは、しっかり確認してはいないが、恐らく今あいつは……。
俺は脳内で悶々とし、咄嗟に背を向ける。
「大丈夫ですよ?着てますし」
「え?いや、でも着てても濡れたりしたら、その……」
何か過剰に意識してしまったみたいで恥ずかしくなった俺は、ルルフェルの方を恐る恐る向く。
「……って、着てねえじゃえか!!あっぶねえ!!」
湯に浸かっていてはっきり見えなかったが、思いきり生まれたままの姿だった。
何だ?からかわれてんのか、俺?
アハハハと笑うルルフェルを背に、俺は少し不貞腐れる。
「……………」
しばらくの間、静寂が二人を包み込む。
聞こえるのは俺達を煽るような風音だけだ。
何で黙ってんだよ、こいつ?自分から乱入しておいて……。
あまり沈黙が続くので、さすがの俺も少し気まずさを感じてきた。
先に上がったら負けたみたいで嫌だし、何か話そうと話題を探した。
適当な話なら普段いくらでもするのに、意識すると途端に何も思いつかなくなる。
一生懸命考えに考え、そして……。
「なあ……」
「あの……」
同時に話し出してしまった。
「な、何ですか!?」
「いや、お前から話せよ!どうでもいい話だし……」
互いに譲り合う。
新感覚だ、こいつと話しててこんな気を遣うことなんてあるのか……。
「分かったよ……。あのさ、お前の能力ってさ」
仕方ないから俺から話すことにした。
「体に悪いとかってある?」
「……?どういうことです?」
ルルフェルは困惑している。
急にこんなこと言われたら無理もないか。
「あの白い光をさ、出力を最小にして細くして毛穴にさ……」
「毛穴に!?」
湯船をばしゃっと叩く音が聞こえた。
「照射したらツルツルになったんだけど……。問題ないよな?」
「事後ですか……」
こいつ今どんな顔しているんだろう。
多分ドン引きしているんだろうな。
「ほ、ほら、ユールがうるさいだろ?俺の風呂の後、変な毛が浮いてるって!だからさ……」
無理矢理捻り出したにしても、どうしてこんな話題を振ってしまったのだろう。
少し絶句した後、ルルフェルは答えた。
「問題はないと思いますよ。その部分は、二度と生えてこないと思いますけど」
「二度と!?」
図らずも永久脱毛を施術していたらしい。
まあ無くても……。いや、でもちょっとは無いと……。
「じゃあ次は私の番ですね」
「え?ああ、そうだな」
自分の今後の毛事情を心配していると、今度はルルフェルのターンになった。
そして……。
「あの……すいませんでした」
突然謝りだした。
「……何がだよ?」
正直、心当たりが多すぎてどのことか分からない。
「私が大天使で、戦えるのを黙ってたことです」
ああ、それか……。
「隠そうとしてた訳じゃないんです。何て言うか、言うのが怖くて……」
強い力を持っていると知られるのが怖い。
正直それが「怖い」というのはよく分からなかったが、とにかく何か言葉を返さなくてはと思った。
「……別にいいんじゃねーか?」
我ながら適当な返答だと思った。
でも、こいつのしおらしい声を聞くと後ろ向きなことは言えなかった。
「で、でも、そのせいで今まで何回も危険な目に遭わせてしまいましたし……」
だから、そのしおらしいのをやめてくれ。
調子が狂うだろ。
俺は浮かんだ言葉をそのまま口にした。
「本当に危険な時は戦ってくれただろ?誰だって、秘密の1つや2つあるだろうし……。俺も貴族だった時、ずっと猫被ってたし…… 」
「カイネさん……」
何かを堪えるような声が聞こえた。
もしかして、泣いてるのか?
俺の言葉が優し過ぎたから。
そんなことを思っていたら……。
「アハハハハ!ですよね!普段のカイネさんだと、貴族でやってけないですよね!ずっと不思議でした、言葉遣いとか賊ですもんね!」
爆笑された。
そして賊扱いされた。
「うるせえよ!急に元気になりやがって!」
「アハハ……。それじゃあ元気になったついでに、もう少しお話に付き合ってくださいよ」
こいつの頬を思いっきり引っ張ってやりたかったが、残念ながら今後ろは振り向き辛かった。
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