【堕天】スキルのせいで速攻島流しされたけど、堕天希望の天使達が割と多いので、一緒に楽園を創ることにします

ゴトー

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Falling 2

天使を何だと思ってるんですか

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(カイネ、カイネ…) 

 ……何だろう、誰かの声が聞こえる気がする。

(カイネ、聞こえますか…?) 

 気のせいじゃない、誰かが俺を呼んでいる。
 俺は眠っていたはずだが、脳内に直接響くようなこの感覚……。
 夢か…?

(楽園を……楽園を創るのです。全ての種族が、何にも縛られる事のない自由な世界を) 

 その声の主は、自由な世界、楽園を創れと言った。
 このヘルヘイムに、それを創るのがルルフェルと交わした約束だ。
 でも、一体誰が……。
 声の主はなぜ俺にそんな事を求めるんだ?

(そして……) 

 今度は何だ?

(あなたの身近な堕天使達に優しくするのです) 

 ……は? 

(特に白い髪の元気な子に。手とかも握っちゃったりして……) 

 そこで俺は目を覚ました。


◇◇◇◇◇◇


「あ、おはようございます!」

 目を覚ますと俺の隣にはルルフェルが座っていた。

「…おい、お前何やってんだ?」
 
 ルルフェルは口元に手でメガホンを作っていた。
 明らかに何かやってたろ。

「天啓ごっこです。寝てる人間の耳元で囁くと、神託っぽい事ができるんですよ」
「人の枕元で妙な事してんじゃねえ!」

 あのそれっぽい夢はそういう事か。
 朝一でツッコミをさせられた俺に、ユールが不必要な補足をしてきた。

「人間が感じる天啓の9割は、全部天使のお茶目な悪戯と言われてるのよ」 

 9割……9割?

「つうか、体おっも……」

 寝起きから飛ばし過ぎたのだろうか?
 俺はだるさを感じる部位に視線を落とす。

「あ……」

 既に体の一部と化していて気付かなかった。
 エルが熟睡しながら俺の腹にしがみついたままだったのだ。

「おーい、エル?起きろ、ていうか降りろ。カブト虫かよ」

 エルの頭をわしゃわしゃしながら起こしてやった。

「むにゃむにゃ……。一審無罪なのぉ……」

 エルはまだ寝ぼけているようだ。
 瞳を閉じたまま、寝言を言っている。
 それにしても何て夢見てやがるんだ、人の腹でよぉ。

「ん、カイ姉ぇ…?どうしてここに……」

 俺は瞼が開ききっていない堕天使を引き剥がす。
 すると、口が当たっていた部分がなぜかしっとりと濡れていた。
 多分、よだれだ。

「ココナッツミルクみたいな匂いがする…… 」

 しかも、ココナッツのようなふんわり甘い匂いがする。
 どんぐり関係ないだろ、ココナッツにすり寄ってんじゃねえよ。
 図々しい。

「やだぁ、おねしょ?カイネ、あんた今年でいくつよ?」 
「この位置から何をお漏らししたって言うんだよ」 

 両手を口に当てて煽ってくるユールを軽く流し、何か拭くものがないか辺りを見回す。

「あれ、それよりメルメルはどこだ?」

 俺は一人足りない事に気づいた。

「メルちゃんならお花を見に行きましたよ。毎日声かけてあげるのが大切なんだとか……」

 そう言えばメルメルのリクエストで、食べられるもの以外に観賞用の花も生やしたんだ。
 あの時はすっごい嬉しそうにしてたな、頭の花もひくひくさせて。
 聖水と並んで仕組みが謎だよな、あの花。

── ガチャ

 そんな事を思い出していると、不意にドアが開く音がした。
 メルメルが帰って来たのだろうか。


「どもッス~」


 しかし、ドアを開けたのはメルメルではない。
 見知らぬ女だった。
 褐色で金髪のギャルっぽい見た目の全くの別人だ。
 軽いノリで顔を覗かせるその女に、一同ポカンとしている。

「あれ?堕天屋さんってここじゃなかったッスか?」

 堕天……屋さん?
 ドアが半開きで分かりにくかったが、よく見れば彼女にも天輪と羽の天使セットが付いている。
 何て事だ、中々集まりの悪かった天使が二日連続で来訪したって言うのか?
 いや、それよりも……。


「天使ってそんな登場の仕方も出来んのッ!?」


 俺はこいつらに慣れてしまったらしい。
 「天使は変な方法で出没する」という先入観をいつの間にか抱いていた。 
 逆に何の捻りもなく、普通に登場した彼女にひどく驚いてしまったのだ。
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