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Falling 4
魔王様(?)
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「何てもの出してんのよ、あんた……」
静まり返った場を濁すようにユールが呟いた。
「いや、今の見てたろ!明らかにこいつが何かやったろ!」
「私は妙な気配を感じたから、思いっきり引っこ抜いてやっただけだ!」
俺も自分の手から、謎の少女が出てくるという非常事態に、かなり混乱していた。
別に責任の押し付け合いをするために、こいつを助けに来た訳ではないのだが。
「とりあえず……この子をどうにかしましょうよ?」
言い争う俺達の間に入り、ルルフェルがなだめる。
「大丈夫ですか?起きてください、堕天使ですよ?堕天使が来ましたよ?」
「おーい、生きてるッスか?堕天使に囲まれてるッスよ?」
声をかけて揺さぶってみても、少女が目覚める気配はない。
「聖水かけてみる?」
「私の花の香りを嗅がせてあげますわ」
「エルはどんぐり置いてあげる!」
堕天使達は、意識不明のやつの頭に水をかけたり、中毒性のある粉を吸わせようとしたり、どんぐりをお供えしたりと、好き勝手にやり始める。
「いや、あの……。キミ達、あんまり無闇に刺激しない方が……」
ギリィが3人の好奇心を制止しようとする。
「こいつに引かれるって相当だぞ」と思い、身内の蛮行を止めようと俺が動いたその時だった。
「うわ!?何だ急に!?」
今の嫌がらせのような行為のどれに反応したのか。
突然、その少女の体が輝き出したのだ。
「ほぅら!!やっぱり聖水じゃない!困った時は聖水が一番なのよ!」
「お前、いい加減その危険思考止めろよ!明らかにやばい事なってんだろ!」
根拠のない持論に確信を持つユール。
反射的にツッコんでしまったが、目の前ではさらにおかしな現象が起きている。
「な、何じゃ!?体から力が吸い取られて……」
「何なん?体がめっちゃだるいんやけど……!?」
「むにゃ……何だか眠くなって……」
謎の光と同時に、その場にいた全員の体から、何か黒い物が抜け出していったのだ。
特に悪魔側のやつらの方から、その何かは大量に放出されているようで、アリスに至っては力が完全に抜け切って眠ってしまっている。
そして、その黒い何かの全てが、横たわる少女に吸収されていく。
「……終わったか?」
少女の発光が終わったのは、全員がその場に崩れ落ちた後で、俺達は体に力が入らなくなっていた。
各々がふらふらと立ち上がり、互いに困惑を口にしながら、無事を確認し合う。
「あ……あ……あ……!!」
俺が悪態をついたり、エルがでかいどんぐりの中に隠れたりしている中で、何やら1人とんでもなく取り乱した様子だったのがアンリスだった。
アンリスは溢れる言葉を喉に詰まらせながら、ふらついた足取りのまま少女の方に駆け寄る。
「魔王様ぁ!!!」
アンリスは最初に俺に向けて言った言葉を、今度はその少女に向けたのだった。
さっきまで、「何だこれは?」とか言っていた少女を、急に魔王だと言い出したのだ。
俺は半ば呆れ気味に他の悪魔達に、「またあいつ何か言ってるよ」と、同意を求めようとしたのだが、残念ながら俺の望む答えは得られなかった。
「さっきまでは何の力も感じなかったんじゃが……。この魔力は……」
ふわふわの尻尾をぴーんと立てたルガルは完全に動揺した様子だ。
「間違いない、これは魔王様の魔力だ……。外見はなぜか小さいけど」
ギリィまでもがそう言っている。
瞳孔をしっかり開いて驚いている様子は、いつもの冗談を言っている時のものとは違う。
悪魔達の重苦しい雰囲気を受け、アンリスのこの取り乱し具合が、ただの妄言ではない事を確信する。
「魔王様ぁ!!魔王様ぁ!!起きてください!!アンリスです、アンリスですよぉ!!」
形振り構わず懸命に声をかけ続けるアンリス以外は、驚きと困惑で絶句しているだけだった。
しばらくして、ようやく口を開いたのはラピスだった。
「……カイネっち、何で手から魔王出すんスか?」
その当然の疑問に、こっちが聞きたいくらいの俺は何も答えられなかった。
静まり返った場を濁すようにユールが呟いた。
「いや、今の見てたろ!明らかにこいつが何かやったろ!」
「私は妙な気配を感じたから、思いっきり引っこ抜いてやっただけだ!」
俺も自分の手から、謎の少女が出てくるという非常事態に、かなり混乱していた。
別に責任の押し付け合いをするために、こいつを助けに来た訳ではないのだが。
「とりあえず……この子をどうにかしましょうよ?」
言い争う俺達の間に入り、ルルフェルがなだめる。
「大丈夫ですか?起きてください、堕天使ですよ?堕天使が来ましたよ?」
「おーい、生きてるッスか?堕天使に囲まれてるッスよ?」
声をかけて揺さぶってみても、少女が目覚める気配はない。
「聖水かけてみる?」
「私の花の香りを嗅がせてあげますわ」
「エルはどんぐり置いてあげる!」
堕天使達は、意識不明のやつの頭に水をかけたり、中毒性のある粉を吸わせようとしたり、どんぐりをお供えしたりと、好き勝手にやり始める。
「いや、あの……。キミ達、あんまり無闇に刺激しない方が……」
ギリィが3人の好奇心を制止しようとする。
「こいつに引かれるって相当だぞ」と思い、身内の蛮行を止めようと俺が動いたその時だった。
「うわ!?何だ急に!?」
今の嫌がらせのような行為のどれに反応したのか。
突然、その少女の体が輝き出したのだ。
「ほぅら!!やっぱり聖水じゃない!困った時は聖水が一番なのよ!」
「お前、いい加減その危険思考止めろよ!明らかにやばい事なってんだろ!」
根拠のない持論に確信を持つユール。
反射的にツッコんでしまったが、目の前ではさらにおかしな現象が起きている。
「な、何じゃ!?体から力が吸い取られて……」
「何なん?体がめっちゃだるいんやけど……!?」
「むにゃ……何だか眠くなって……」
謎の光と同時に、その場にいた全員の体から、何か黒い物が抜け出していったのだ。
特に悪魔側のやつらの方から、その何かは大量に放出されているようで、アリスに至っては力が完全に抜け切って眠ってしまっている。
そして、その黒い何かの全てが、横たわる少女に吸収されていく。
「……終わったか?」
少女の発光が終わったのは、全員がその場に崩れ落ちた後で、俺達は体に力が入らなくなっていた。
各々がふらふらと立ち上がり、互いに困惑を口にしながら、無事を確認し合う。
「あ……あ……あ……!!」
俺が悪態をついたり、エルがでかいどんぐりの中に隠れたりしている中で、何やら1人とんでもなく取り乱した様子だったのがアンリスだった。
アンリスは溢れる言葉を喉に詰まらせながら、ふらついた足取りのまま少女の方に駆け寄る。
「魔王様ぁ!!!」
アンリスは最初に俺に向けて言った言葉を、今度はその少女に向けたのだった。
さっきまで、「何だこれは?」とか言っていた少女を、急に魔王だと言い出したのだ。
俺は半ば呆れ気味に他の悪魔達に、「またあいつ何か言ってるよ」と、同意を求めようとしたのだが、残念ながら俺の望む答えは得られなかった。
「さっきまでは何の力も感じなかったんじゃが……。この魔力は……」
ふわふわの尻尾をぴーんと立てたルガルは完全に動揺した様子だ。
「間違いない、これは魔王様の魔力だ……。外見はなぜか小さいけど」
ギリィまでもがそう言っている。
瞳孔をしっかり開いて驚いている様子は、いつもの冗談を言っている時のものとは違う。
悪魔達の重苦しい雰囲気を受け、アンリスのこの取り乱し具合が、ただの妄言ではない事を確信する。
「魔王様ぁ!!魔王様ぁ!!起きてください!!アンリスです、アンリスですよぉ!!」
形振り構わず懸命に声をかけ続けるアンリス以外は、驚きと困惑で絶句しているだけだった。
しばらくして、ようやく口を開いたのはラピスだった。
「……カイネっち、何で手から魔王出すんスか?」
その当然の疑問に、こっちが聞きたいくらいの俺は何も答えられなかった。
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