【堕天】スキルのせいで速攻島流しされたけど、堕天希望の天使達が割と多いので、一緒に楽園を創ることにします

ゴトー

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Falling 4

生えてた

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「っ……ぁ!」

 魔王城から無事帰還した俺達は、とりあえず全員拠点である城に居着く事になった。
 魔王が乗り気だったこともあるが、他の悪魔達も城での生活に興味があったらしい。到着するなり城内をあちこち観察し、満足すると全員で仲良く風呂に入り出した。やたら広く作ってあった城内の大浴場も、あれだけの人数がいれば無駄ではなかったと思える。
 そして、唯一の男である俺はいつもの露天風呂に浸かり、その心地よさに声にならない声をあげていた。

 それにしても、ついに魔王までこんな身近な存在になるとは……。
 ずっと右手にいた事も信じられないが、半日で一緒に入浴してるあいつらを考えると、何だかおかしくなって笑えてくる。 


「何を笑ってるんだい?」


 不意ににやけ顔の俺をからかうような声がした。 
 俺は嫌な予感を感じながら、後ろをそっと振り向いた。

「気持ちいいね、カイネの手から出たお湯は」

 そこには、気持ちよさそうな顔で呑気に湯に浸かっているギリィがいた。

「うおい!?何でお前がこっちに入ってんだよ!?」

 俺の風呂には何でこうも乱入してくるやつが多いのだろうか。
 この展開も3度目だ。
 これ以上は絶対に取り乱さないぞと、俺が心に強く誓っていると、ギリィはさらに爆弾を放り投げてきた。


「何でって、ボクも男だからだよ?」


 ……は?
 今までの常識を全て根底から覆されたような、そんな重厚な衝撃が俺を襲った。

「ん?もしかして、女の子だと思ってた?あれだけ女の子だらけで生活してるのに、まだ足りないなんて、カイネは相当な……」
「嘘だろ、おい!?お前、また俺をからかおうとしてるだけだろ!?そうだろ!?」

 今日も色々やばい事があったが、これがダントツで驚愕だった。

「嘘じゃないよ、証拠を見せようか?」
「いや、いい!そのまま肩まで浸かってろ!!」

 立ち上がる素振りを見せたギリィを全力で止め、俺は考えを整理する。
 そう言えば、女だとはっきりは言ってなかった。
 でも、普通性別なんて言ってこないだろ。
 見た目は完全に女なのに、どっちかって言うとルガルが男だって言われた方が、まだ信じられる。

「もう落ち着いた?」

 戸惑う俺を、楽しそうに見ながらギリィは言う。
 よく分からないが、すっごい悔しい気分になってきた。

「ところでさ、ボクも驚いたことがあるんだけど」

 俺がだんまりしていると、別の話題を振ってきた。

「何だよ?」
「今日、魔王様が皆から魔力を吸い取ってたけどさ……」

 湯で顔をすすぎながら、ギリィは続ける。

「何でカイネから魔力が出るの?」

 その質問の意味を俺はよく理解できなった。
 ルルフェル達と同じ様に、ずっとこのヘルヘイムにいたから魔力が蓄積していっただけだと思ったのだが、どうもそういう問題ではないらしい。

「魔力は人間が死んだ時に発生する力。堕天使の彼女達はいいけど、人間には入らないはずなんだよ」
「マジで?」

 俺はただただ言われるがままだ。
 だって、全然分かんねーんだもん。

「まあ、魔王様がずっと体に入っていたんだからね。イレギュラーがあっても、おかしくは無いんだけどさ」

 俺を置いてきぼりのまま納得すると、ギリィはその話を切り上げた。 

「さ、ボクはもう上がるよ。ずっと聖水に浸かってると、溶けちゃうかもしれないしね」

 妙に引っかかる事だけ言って、ギリィは湯から上がる。
 
「あ……」

 そして、立ち上がったギリィを正面から見て、俺はようやく確信できた。
 やっぱり、男というのは本当だった。


◇◇◇◇◇◇


「ふぅ、満足だ。なかなか良い風呂を作ったな、魔王賞をやるぞ」

 風呂から上がった魔王はご満悦の様子だった。

「おい!こいつ男だったんだけど!?お前ら、知ってたか!?」

 俺は開口一番、さっき分かった真実を告発する。

「そうだったんですか?」
「まあ、人は見た目じゃ分かりませんわね」
「すごーい!ギリィ姉ぇもカイ姉ぇと同じなんだ!」
「何スか、女の子じゃなくて残念なんスか?」
「カイネは思春期だものね」

 堕天使達はあまり驚いていないようだった。
 やっぱり、あまり性別にはこだわりがないのだろうか。
 俺だけが過剰に驚いているようでモヤモヤする。

「アハハ!お兄ちゃんの事女の子だと思ってたの!?キモーイ!」
「お兄ちゃんは綺麗な顔しとるもん。笑ったらカイネが気の毒やでぇ?」
「うるせえ!今更お兄ちゃん呼びしやがって!普段から言ってろよ!もう寝るぞ!」

 急にお兄ちゃんとか言い出したアリスとティアを叱責しながら、俺はやたらデカいベッドに飛び乗る。 

「あ!今日もカイ姉ぇのお腹で寝るぅ!」
「何じゃそれ!?わしもわしも!」

 エルに便乗してルガルまで腹に来てしまった。 
 
「お前!調子に乗る……あ、尻尾気持ちいい」

 搭乗拒否しようとしたが、尻尾のモフモフが心地よかったのでそのままにしておいた。
 そのままま各々ベッドに寝転び、寝る体勢へと入っていく。
 そして、夜の静寂が部屋を包み込み、エルがすやすや寝息を立て始めた頃……。


「お前達、睡眠導入に少し……昔話を聞かせてやろう」


 魔王は急にそう呟いた。

「そんなお母さんみたいな事すんの?」

 俺は思わずそんな事を口走ってしまった。
 まさか、一緒に風呂入って、読み聞かせまでしてくるとは……。
 
「いいから聞け、魔王命令」
「そうだぞ、黙ってありがたく聞け。人間のくせに」
 
 ……どうせこのまま寝るだけだ。
 魔王様のありがたい話を聞かせてもらおう。
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