ドラゴンレディーの目覚め

莉絵流

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相性

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アトランティーナやチェリーに言われてきたこと、
そして、今でも言われていることを今度は、私が誰かに伝えて行く・・・。
こういうの、良いなって思う。私もそうだったように、たぶん、
一度や二度言われてもピンと来ないとは思うけど、だからこそ、私が、
身をもって示していくことが大事なんだろうね。
誰かに話すことは、自分のためにもなるような気がする。
だって、今よりもっと気をつけようって思うから。

じゃ、そろそろ藤崎さんに電話しようかな。
今日も何か新しい情報をもらえたら良いな。

「おはようございます。シネムンドの久遠です。お世話になっております」

「おはようございます。藤崎です。お世話になっております。
最近、久遠さんからの電話を心待ちにするようになりましたよ(笑)」

「本当ですか?それは、嬉しいです。午前中の電話が習慣になって
しまいましたからね(笑)」

「ええ。それで、順調ですか?」

「はい。やっと、方向性が固まりました。今は、鋭意作業中といったところです」

「それは、楽しみですね。
チラッとで良いので、内容を教えて頂くことは出来ますか?」

「本当は、プレゼン当日まで内緒ですと言いたいところですが・・・。
じゃ、本当にチラッとだけお話しすると、ロビープロモーションと
イベントを考えています」

「おっ、それは楽しみですね。場所は、どちらをお考えですか?」

「新宿を考えております」

「新宿ですか、それは良いですね」

「ホントですか!?実は、候補として、六本木と渋谷も挙がっていたんです」

「そうなんですか。3ヶ所とも、魅力的なエリアですね」

「ありがとうございます。エナジードリンクの購入者層の多くが
足を運びそうなエリアを絞ってみました」

「そうだろうと思いました。でも、新宿が一番良いと思います。
理由は・・・内緒です」

「えっ、理由を教えて頂けないんですか?」

「理由まで話してしまったら、後で芳村に叱られてしまいますから(笑)
新宿が良いというところまでで、ご勘弁ください。
それにしても、久遠さんは、勘の良い方なんですね。先日の女性向け商品と良い、
今回の新宿と良い。先日、いらっしゃった時に盗聴器を仕掛けて帰られたのかと
思うほど、弊社のことをよくご存知で、驚いております」

「盗聴器ですか!?そんなものは、仕掛けてませんよ!」

「もちろん、分かっています。ただ、そのくらい、勘が良いという例えです。
お気を悪くされたのなら謝ります。あまり良い例えではありませんでしたね。
申し訳ありません」

「いいえ。褒め言葉として、受け取らせて頂きます」

「ありがとうございます。お許し頂けて良かったです」

「そんな、お許しだなんて!藤崎さんって、どこまでが本心なのか、
分かりづらい方ですね」

「ずいぶんとハッキリ言いますね(笑)おそらくですが、久遠さんも
気を遣っているでしょ?私もそうです。今は、お互いの立場があるので、
遠慮している部分もあるのではないかと思います。よかったら、今度、
食事にでも行きませんか?もちろん、プレゼンが終わってからになると
思いますが・・・」

「はい、ぜひ!」

「良かった。断られたら、どうしようかと思いました。
あっ、今はまだプレゼン前だから断らなかったとか?」

「勘繰り過ぎです(笑)」

「ははは(笑)では、プレゼン、楽しみにしていますね。明後日の電話も」

「はい。では、失礼いたします」

最初は、仕事が出来そうだし、隙がないし、ちょっと怖そうな印象だったけど、
毎日、電話しているうちに、ずいぶんと打ち解けてきたなぁ。
仕事を抜きにして話したら、楽しい人なのかもしれないって、思い始めてきた。
っていうか、ゆっくり、仕事抜きで話してみたいって言った方が正しいかな。
なにはともあれ、今は、プレゼンを成功させることに集中しよう!

今日も午前中は、あっという間に終わった。チーム会やったし、思わぬ方向に
話が飛んでしまったりしたしね(苦笑)でも、方向性が見えて、確定したから、
気持ち的には楽になったかな。あとは、ハートが『うん!』って言ってくれる
ものを創るだけ。ランチは、何も考えず、息抜きしよう。って思ってたら、
レオンくんが近づいて来た。どうしよう、ランチの誘いだったら・・・。
いつもお茶やご飯を断ってるから、ランチは断りづらいんだよなぁ(汗)

「レオンくん、何かあった?」

「いいえ、ランチのお誘いです」

「あっ、そう。良かったぁ。何かあったのかと思った(汗)」

「ウソですよね?ミウさん、僕がランチの誘いに来たこと、
気づいていたでしょ?」

「そういうこと、なんで言っちゃうかなぁ(苦笑)」

「それで、ランチは?また断るんですか?」

「ランチは、断ったことないでしょ?いいよ。どこに行く?
っていうか、何か話したいこととかあるの?」

「別にそういうわけではないです。ただ、一緒にランチに行きたいなって
思っただけです」

そんな不毛なやりとりをしているところに、谷潤也と三神優一が
割り込んできたんだよね。あ~、めんどくさい(苦笑)

「レオン、チーフのこと口説いてんの?(笑)」

「でも、レオンとチーフって、何気にお似合いですよね?」

途中から女性陣も加わり始めて、マジで面倒なんですけど・・・。

「私もそう思う!」

「なんか、息も合ってるし、デキるカップルって感じ!」

「レオンくんみたいなイケメンって、意外とバカみたいな女とくっついたり
しちゃうから、ちょっとイラッとしちゃうんだけど、チーフとだったら
応援しちゃう!」

「はぁ~。あのさ・・・そういうの、どうでもいいから。
早くランチ、行って来なよ」

「は~い」

ドッと疲れた。途端に不機嫌になった。別にレオンくんが悪いワケじゃないし、
レオンくんのことが嫌いなワケでもない。でも、今は、色恋のことを
考えたくないんだよね。わっかんないかなぁ。でも私、なんで、こんなに
イライラしてるんだろう?今は、あんまり考えたくもないかも。

「なんか、すみません。僕のせいで、イヤな思いをさせてしまって」

「いや、別にレオンくんのせいじゃないでしょ。で、ランチ、どこ行く?」

「とりあえず、席を立ちませんか?」

「あっ、そうだね。私、立つ気ない感じだったね。ごめん」

「いいえ。あの・・・今日のランチは、一緒に行くの、やめますか?」

「ううん。レオンくんがイヤじゃなかたら、私は大丈夫だけど」

「僕がイヤなはずがないじゃないですか!だって、僕から誘ったんですから」

「じゃ、行こう。で、どこに行く?って、さっきから私、
おんなじこと言ってるね(笑)」

「ミウさん、何が食べたいですか?」

「そうだなぁ・・・。お寿司!お寿司にしよう!
あっ、でも、レオンくん、お寿司、大丈夫?海外生活が長い人って、
たまにお寿司が苦手だったりするじゃない?」

「僕は、大丈夫です。食べられないものもありますけど、
それは、海外生活が長いからということではないので」

「私もお寿司は好きだけど、苦手なネタはあるよ。それとおんなじだね」

「はい。そうですね」

「ね、レオンくん。レオンくんって私より年上だよね?
敬語とか、別に良いよ」

「でも、ミウさんはチーフで、僕の上司ですから。年齢は関係ありません」

「ふぅ~ん、そういうとこは、日本人っぽいんだね。
あっ、悪い意味じゃなくてね。私さ、上司とかっていう意識、
あんまりないんだよね。だから、言葉もこだわりがなくてね。

いくら敬語で喋ってても、心の中であっかんべーされてたら、
その方が悲しいじゃない?言葉は、敬語じゃなくても心の中で、
多少なりともリスペクトされてる方が良いっていうかね。

もちろん、レオンくんが、心の中で、私に対してあっかんべーしてるって
言ってるんじゃないから、誤解しないでね」

「ミウさんらしいですね。形に拘らないっていうか・・・。
そういうところが、日本人っぽくないんですよね。
ミウさんは、日本の会社より外資系の方が合ってるような気がします。
自由な発想も出来るし、仕事も結果を残せる人だし。
なんで、外資系に入らなかったんですか?」

「私は、映画が好きだから、映画に関わる仕事がしたかったの。
もちろん、外資系でも映画に関わる仕事はあると思うけど、
英語がそんなに話せないからね(苦笑)学生時代の友達の中には、
就職したんだけど、会社を辞めて、語学留学して外資系の会社に
転職した子もいるの。そういう子にも<ミウちゃんは、外資系の方が合う!>
って言われた(苦笑)

でも、留学してまで語学を身につけようとは思わなかったんだよね。
日本企業の古い体質は、好きじゃないんだけど、こんな私が日本に
生まれたことにも意味があるような気がしてたから」

「それって、アトランティーナに出会う前のことですよね?」

「うん。そうだけど、なんで?」

「アトランティーナに出会う前から、日本に生まれた意味とか、
考えていたんだなぁと思って」

「うん。なんとなくだけど、あまりに合わなくて、合わな過ぎて、
そうなると考えちゃうよね。それも子供の頃からだから(苦笑)
だってね、小学生の時、友達に<お家に帰らないの?>って聞かれたの。
だから、毎日、お家に帰ってるよって答えたら、<そうじゃなくて、
宇宙船が迎えに来るんじゃないの?>って言われたの。
『はぁ~!?』って感じじゃない?(笑)私は、そこまで変わってるんだなって、
自分が人とは違うってことを実感したっていうか、自覚したのは、
あの時からじゃないかな」

「でも、人から変わってるって言われることをイヤだとは思って
いないんですよね?」

「そうだね。周りを見てて、自分が変わってるってことが分かってたし。
っていうか、みんなと足並み揃えることの意味が分かんなかったから、
変わってるって思われてた方が楽かな、みたいなところは合ったかな。
それに、変わってるって言われる自分が嫌いじゃなかったしね」

「それは良いですね。無理して周りに合わせて、自分のことが嫌いになったら、
それこそ本末転倒ですからね」

「だよね。なんのために生きてんの?って感じだもんね。
って、私、自分のこと、嫌いになったらダメって、知ってたんだね。
その割には、自分のこと認めてなくて、好きになれなくて・・・。
なんかヘンなの」

「きっと、大人になるにつれて、みんなと足並み揃えることの意味が
分からないから、このままで良いっていう思いと少しくらいは揃えた方が
良いのかなという思いがぶつかり合っていたんだと思います。
それで、自分で自分のことを見失ってしまったんじゃないかなって思います」

「なるほどね。確かに、そう言われれば、そうかもしれない。
大人になると色々な可能性を自分から退けてしまうって言うけど、
私もそうしていたのかもしれないね。だから、そんな自分が許せなくて、イヤで、
受け容れられなくてってことをしてたら、いつの間にか、自分のことが嫌いに
なってたのかもしれないし、自信を持てなくなってたのかもしれない。
レオンくん、思い出させてくれて、ありがとう!レオンくんといると、
何の遠慮もしなくて良いから良いんだよね」

「遠慮って?」

「アトランティーナのこととか、他の人には言えないでしょ?
阿刀田蘭子部長は、実は人間じゃなくて、なんて言えないじゃない(笑)
でも、レオンくんなら、全部知ってるし、自分の内側の話とかも出来るでしょ?

私ね、黙って静かに考えるとか、苦手なんだよね(笑)こうして、レオンくんと
話してると、レオンくんが何も言わなくても、勝手に自分の中で、まとまって
いって、『あっ、そういうことなのか!』って、色々な気づきを得られるって
いうの?そんな感じになるから、そういった意味でもレオンくんには、
助けられてるんだよね。ありがとう」

「いや、僕は何もしてないですよ。ミウさんが言う通り、何も言ってないですし」

「ううん。レオンくんの存在に感謝ってことだよ(笑)」

「ありがとうございます!存在に感謝って、一番嬉しい言葉ですね」

「あっ、そうかもね!確かに。私もそう言われたら、嬉しいかも。
でも、ホントにレオンくんが来てくれて、助かったよ。ありがとう」

「僕に出来ることがあったら、なんでも言ってください。
ミウさんの力になりたいと思っているので」

「ありがとう。じゃ、これからも遠慮なく、
いろんなこと話しちゃおう!ははは(笑)」

会社を出る時、イライラしてたことなんて、あっという間に吹き飛んで
っていうか、イライラしてたことさえ、お昼が終わる頃には忘れてた(笑)
レオンくんと私の相性が良いって、アトランティーナが言ってたけど、
こういうことなのかもしれないなって思った。

もし、独りでランチしてたら、ここまでのスッキリ感は得られなかったと思う。
今日の午前中も濃かったからね(苦笑)なんか、今日の分だけじゃなくて、
今まで私の中で、消化不良だったことが、一気に消化された感じっていうのかな?
とにかく、気持ちが良い。さすが、元守護天使。必要な時に必要なだけ、
手を差し伸べてくれる。こういう存在が近くに居てくれるって、
私は、やっぱり幸せ者だ!


<次回へ続く>
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