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今年も、来年も
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「一年ぶりだね。」
沈黙に耐えられず、弱々しく声を出す。
「うん。」
隣にいるキミは幸せそうに口角を上げながら優しく頷いてくれる。
「今日1日どうする。」
静かな僕たちしかいなしこの空間に声が響いた。
「私は、アナタのいる場所ならどこだって着いていくよ。」
毎年のように笑顔でそう言ってくれる。
「今年はキミの行きたい所に行きたいな。」
今年こそは、キミの意見を聞きたい。
「なら、私はここがいいな。」
笑顔のままで下を向いて言う。
「じゃあ、ここにいよう。」
僕もキミに笑いかける。
だって、今日1日しか一緒に入れないんだから。
「ねぇ、アナタはこの生活に慣れてきた?」
キミは弱々しく聞く。
「うん・・・多分。僕が頑張らなくちゃこの世は成り立たないからね。今は大丈夫になったけど、1年目なんて・・・」
ふと隣を見るとキミは一年溜めた"何か"をいっぱい溢れさせて、俯く。
「ご、ごめんね。アナタにまた心配をさせてしまう。でも、私、怖くって・・・。ごめんね。」
必死に謝るキミに抑えてた"何か"が溢れそうになって、慌てて抑える。
「大丈夫。僕たちは会える。何回も何十回も何百回も何千回も。一生会えない人がいるこの時代に僕たちは会えるんだ。大丈夫だよ。」
僕はキミの涙に胸が締め付けられる。だから笑う。キミの笑顔が好きだから。見たいから。謝ってほしくない。
いつの間にか暗くなっていた風景に今日が終わってしまう。と怖くなる。
「今年の面会も終わってしまうね。」
キミはやっぱり辛そうだ。
「キミは星言葉って知ってる?」
あと数分で終わってしまう今年の面会(きょう)締めくくりを切り出す。
「少し聞いたことあるよ。」
そう言って、空を見上げる。
「僕もあまり知らないんだ。」
2人ですこし笑う。
「アナタが今年も元気なことがわかってよかったよ。」
安心したように笑うキミに僕はうれしくなる。
「僕も、キミの気持ちがわかってよかったよ。」
少し笑う、今年も最後が笑顔で終わるように。
「来年、私、星言葉を沢山覚えてくるね。」
弱く笑うキミに涙腺が緩くなる。
「じゃあ、僕は来年、沢山星を観察して、沢山星を好きになるよ!」
強く心に誓う。来年、楽しい話を沢山出来るように・・・。
キミも幸せそうに笑ってくれる。
「ありがとう。」
最期に聞こえた声はどっちの声だったのか。気付くといつもの仕事場に戻っていた。
「えっ、さっきの夢だったのかなー。」
夢だったら嫌だなと思いながら、服を見ると、一部だけ色が変わっていた。
「あはは。馬鹿だなぁー・・・自分。」
そう言ったものの、語尾はびっくりするぐらい震えていた。
沈黙に耐えられず、弱々しく声を出す。
「うん。」
隣にいるキミは幸せそうに口角を上げながら優しく頷いてくれる。
「今日1日どうする。」
静かな僕たちしかいなしこの空間に声が響いた。
「私は、アナタのいる場所ならどこだって着いていくよ。」
毎年のように笑顔でそう言ってくれる。
「今年はキミの行きたい所に行きたいな。」
今年こそは、キミの意見を聞きたい。
「なら、私はここがいいな。」
笑顔のままで下を向いて言う。
「じゃあ、ここにいよう。」
僕もキミに笑いかける。
だって、今日1日しか一緒に入れないんだから。
「ねぇ、アナタはこの生活に慣れてきた?」
キミは弱々しく聞く。
「うん・・・多分。僕が頑張らなくちゃこの世は成り立たないからね。今は大丈夫になったけど、1年目なんて・・・」
ふと隣を見るとキミは一年溜めた"何か"をいっぱい溢れさせて、俯く。
「ご、ごめんね。アナタにまた心配をさせてしまう。でも、私、怖くって・・・。ごめんね。」
必死に謝るキミに抑えてた"何か"が溢れそうになって、慌てて抑える。
「大丈夫。僕たちは会える。何回も何十回も何百回も何千回も。一生会えない人がいるこの時代に僕たちは会えるんだ。大丈夫だよ。」
僕はキミの涙に胸が締め付けられる。だから笑う。キミの笑顔が好きだから。見たいから。謝ってほしくない。
いつの間にか暗くなっていた風景に今日が終わってしまう。と怖くなる。
「今年の面会も終わってしまうね。」
キミはやっぱり辛そうだ。
「キミは星言葉って知ってる?」
あと数分で終わってしまう今年の面会(きょう)締めくくりを切り出す。
「少し聞いたことあるよ。」
そう言って、空を見上げる。
「僕もあまり知らないんだ。」
2人ですこし笑う。
「アナタが今年も元気なことがわかってよかったよ。」
安心したように笑うキミに僕はうれしくなる。
「僕も、キミの気持ちがわかってよかったよ。」
少し笑う、今年も最後が笑顔で終わるように。
「来年、私、星言葉を沢山覚えてくるね。」
弱く笑うキミに涙腺が緩くなる。
「じゃあ、僕は来年、沢山星を観察して、沢山星を好きになるよ!」
強く心に誓う。来年、楽しい話を沢山出来るように・・・。
キミも幸せそうに笑ってくれる。
「ありがとう。」
最期に聞こえた声はどっちの声だったのか。気付くといつもの仕事場に戻っていた。
「えっ、さっきの夢だったのかなー。」
夢だったら嫌だなと思いながら、服を見ると、一部だけ色が変わっていた。
「あはは。馬鹿だなぁー・・・自分。」
そう言ったものの、語尾はびっくりするぐらい震えていた。
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