とあるアイドルの物語

美花(ミハナ)

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キミノアト

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『アイドルになるために、上京する』


突然、私がこんな事を言ったからキミは固まっていたね。


「どういう事?」


「ともくんとは、お別れする。この夢が、大事だから。ともくんよりも、大事だから。ともくんとはもう、付き合ってられないの。」


そう言って私は、キミを突き放したね。





出会ったのは3年前の冬。

隣の街まで電車で出かけていたその帰り。

いきなり降り出した雨。

帰れなくてどうしようかと思った時に、ともくんが傘に入れてくれた。

ともくんとはおなじ小学校に通っていたから、顔見知りではあったけど話したこともなかったし、正直驚いた。


でも、嬉しかった。



月日が経って私たちは付き合うことになった。


ともくんになら、何でも話せた。

アイドルになりたいっていう夢を初めて話したのは、ともくんだった。

親に反対された時
「自分の人生は自分で決めなくちゃ」

と、後押ししてくれたのもともくんだった。


ともくんが、勇気をくれて答えまで導いてくれた。

ともくんの笑顔にいつも支えられていた。


一緒に行ったあのカフェも
あの遊園地もあの公園も

私のかけがえのない場所になっていた。

すごく、すごく好きだった。




誰か1人を愛するような

こんな日が来るって知らなかった。


なのにもう・・

大好きだと、声に出せないんだ





季節は過ぎていって、上京してから2年が経った。

私も、なんとか一人前のアイドルになれた。


なのに、いつも心にいるのはともくんの笑顔。


「ともくん、今日はどこにいく?」
「ともくん!今日もかっこいいね~」
「ともくんなんてもう知らない」

ずっとずっと、呼んでいたキミの名前

今は違う誰かが呼んでいるのかな・・







上京した日の事、今でも鮮明に覚えてる。


電車から見える街並み、

いつも見ていた街並みなのに

なぜか懐かしいのは、キミとこの景色を見過ぎたせい。




『サヨナラ、これからもずっと愛してる』


そんな風に言って抱きつきたかった。

せめてそんな風にサヨナラをしたかった。

私はなんて、バカなんだろう


そう、泣き続けてた。




どうせダメだって

離れてたら、絶対私たちはダメだって

言い聞かせていた。


でも今更そのウソに気がついた。




はじめて会ったあの雨の日を思い出した


『ねえ、よかったら…入る?』


今でも頭の中でリピートされるのは、キミの声だけ。











『ドアが閉まります、ご注意下さい』


ともくんは息を切らしてやってきたね。


何も言わずに、微笑むような泣いてるような笑顔で何か伝えてくれたよね。



きっと、あれはともくんからの最後の




「頑張れ」


だよね?












キミノアト -ももいろクローバーZ-


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