【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす

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君の元へ

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SED:キリト




あずさんに背中を押されたとはいえ、いまだ勇気は出ず、ひたすらスマホと睨めっこが続く。ヘタレだという自覚はあったが、まさかここまでとは自分でも思っていなかった。

「自分から距離取る行動しといて、どの面下げて、って感じが拭えないんだよなあ……」

でも、こんなこと言ってたら本当に何も進まない。進まないどころか、俺の手の中から全部消えちまう——そう思うと、手が震える。
そんな時、握っていたスマホが急に震えて着信を知らせた。誰だよ、こんな朝っぱらから……と思いつつ画面を覗き込む。

「……嘘だろ。公孝さんだ……」

とる?いや、無理。まだ勇気湧いてない。……いや、こんな時に逃げてどうする。
唾をひとつ飲み込み、俺は通話ボタンを押した。

「……あ、き、公孝さん? 急に電話来たんで、びっくりしました……」

声が緊張で震える。しかし、それ以上に公孝さんの様子が“変”だった。

『わぁ……誠君だぁ……』
「ん? 公孝さん? 大丈夫ですか? 酔ってます?」
『お酒? 飲んでないよ。朝だからね~……誠君は飲んでるの?』

会話が噛み合わない。ポヤッとしてて……いや、可愛いんだけど……可愛いどころじゃないくらい、何かおかしい。
平日の10時過ぎ。普通ならもう会社にいる時間なのに。

「今日、お休みなんですか?」
『うん、お休みだよ』

有給……かな?じゃあ忙しいの終わったのかと思って安心したのに。

『ん? 忙しいよ?』

キョトンと返ってくる。
やっぱり話が噛み合ってない。そして一つの可能性に辿り着く。

「……公孝さん。体調不良で休んでる、ってことですか?」

恐る恐る確認すると、「会社には行ったよ」とあっさり返ってくる。休みじゃない? じゃあ何なんだよ、と混乱していると、今度は「キリトくんと遊びたい」「話したい」とか言い出す。
……いや、嬉しすぎて死ぬんだけど、今はそこじゃない。
この人、明らかに様子がおかしい。
どこにいるのか把握しないと。こんな状態で外をふらついていたら、本気で誘拐されるレベルで可愛いんだから。

「公孝さん、今どこにいます? 家? 会社?」
『……家だよ? さっき帰ってきた……あのね、まことくん、俺——』

会社に行ったのに今家。つまり、早退だ。
忙しいのに早退——その理由はひとつ。

「公孝さん、具合悪いんですね? もう寝ましょ。ね?」

公孝さんがまた何か言い出しそうになるのを慌てて遮り、必死に休むよう促す。だが、公孝さんは何をどう勘違いしたのか、突然ぽつりぽつりと謝り始めた。

『ごめん、ごめん……ごめん……』

胸がぎゅっと締めつけられる。

「落ち着いてください。大丈夫ですから。ね? 今、誰か近くにいませんか? 公孝さんの様子を見てくれる人とか」

『……なぃ……』
「そっか。じゃあ住所教えてください。今から行きます。言えますか?」
『……ん……よこはまし……___』

たどたどしく教えてくれる住所をメモし、すぐ行くと伝えて電話を切る。
財布とスマホだけ掴んで飛び出した。走りながらマップに住所を打ち込む。距離はあるが、電車で45分ほど。
一本でも早い電車に乗ろうと全力で走る。駅に着く頃には息が切れ、体力のなさに軽く絶望するが、なんとか早い便に飛び乗れた。
最寄り駅に着くと、すぐ目に入ったコンビニへ駆け込み、スポーツドリンクとお粥などを買う。たまたま通りかかったタクシーを捕まえ、住所を告げると、アパートまではすぐだった。

「……確か105号室の角部屋……ここか?」

表札はない。不安になりながらインターホンを押すが反応なし。

「てか寝てるよな……どうしよ……」

起こしていいのか迷うが、ここで遠慮してる場合じゃない。もう一度押そうと指を伸ばした瞬間——
ゆっくりとドアが開いた。
そこには、青白い顔の公孝さんが立っていた。

「あ……公孝さん? 大丈夫? ごめん、寝てるの起こしちゃったよね……」

しかし公孝さんは、俺の顔をじっと見たまま動かない。

「公孝さん?」
「……まことくんだ……」

そう呟いた瞬間——足元から力が抜け、崩れ落ちた。
俺は反射的にコンビニ袋を放り出し、公孝さんを抱きとめる。

「っセーフ……! 公孝さん?」

ぐったりした体は驚くほど熱い。俺はそのまま抱き上げ、部屋に入りベッドに寝かせ、熱を確かめる。
玄関に落とした袋から冷えピタを取り、額へ貼る。次に必要なのは体温計と薬だ……と立ち上がった時、スマホが震えた。
仕事の連絡かと思い、バイブで起きないよう枕元のスマホを取って机に置こうとした——そのとき、再び震えた。
画面にはショートメッセージの通知。
見ちゃダメだと思いながら……目が吸い寄せられた。

『公孝君、私 今日仕事が終わるまで待ってるね』
「……おんな……?」

スマホを握ったまま、あまりの衝撃にその場から動けなくなった。







ーーーーーーーーーーーーーーー

公孝さんほどではないんだけど、私も風邪ひいてしまったわ。
ちょっと短いんだけど、今日はここまで。
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