【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる

ちょんす

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終わりよければすべてよし。【END】

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「俺も……誠君のこと、好きみたい」

その言葉を口にした瞬間から、じわじわと嬉しさが込み上げてきた。何がどう嬉しいのかは自分でもよくわからない。ただ、気づけば顔が自然と緩んでしまっている。

思えば、ゆかりと別れてからというもの、誰かを好きになることは一度もなかった。もうあんな思いはごめんだし、何より【好き】だの【恋】だの【愛】だの――そういうもの自体に、不信感を抱いていた。
どんなに「好きだ」「愛してる」と言ったところで、「つまらない」の一言で終わってしまうものなんて、いらない。
だけど、今はどうだろう。そんな考えは全部、どうでもよくなっていた。過去の思考なんてなかったことにしてしまうくらい、ただ、今――目の前にいるこの男が、俺の言葉ひとつで、たったひとつで……

「まっ、誠君!? な、泣かないで、大丈夫だから!! わぁ~、どうしよ、わぁ~!」

泣くとは、思っていなかった。

「ぐず……公孝さんが……オデのこと……好きって……言っだ……」
「うん、言ったね」
「でも、でも! 公孝さんのその“好き”って、ライクのほうじゃなくてですか? 本当にラブのほうですか?」
「……たぶん、ラブのほう」
「たぶん!!!!」

俺の曖昧な言い方に、誠君はさらに眉尻を下げて泣き出す。その様子が少しおかしくて、思わず笑ってしまったが、こればかりは「たぶん」としか言えなかった。

「ごめんごめん。俺もさっき自覚したばっかりでさ、まだ頭の中が整理できてないんだ。でも――」

誠君の顔を見て、続ける。

「誠君が嬉しそうにしてくれるのも、笑ってくれるのも、幸せだって思ってくれるのも。それを全部、俺が感じさせてあげられたらいいなって思ったんだよね。これってもう……愛してるってことなのかなって思うんだけど、どうかな」

誠君はぐっと涙をこらえながら、小さな声で言った。

「……でも、俺も公孝さんも、男だし……」

ああ、なるほど。誠君はそこが一番心配しているのか。確かに、同性同士のカップルというのは肩身が狭い。偏見だってある。あるけれど、

「いいじゃん。男同士で恋したって」
「……え?」

きっと、たくさん悩んできたんだろう。同性を好きになったばかりの俺が、同性愛を簡単に語っていいわけじゃない。子供のこととか、親のこととか、問題が山ほどあるのも知っている。
でも――今、一番大事なのは。

「大事なのはさ、俺と誠君が、幸せでいることだよ」
「あ……」

そう言った途端、「オデの公孝さんが……イケメンだぁ……」と、またぐずぐずと泣き出す誠君を、俺はそっと抱き寄せた。落ち着くように背中を撫でてやると、誠君はぎゅっと抱きついてきて、俺の肩に顔を埋める。

「一生大事にします……ずっと一緒にいてください……」

その声はまだ少し震えていて、涙で滲んでいた。

「まるでプロポーズだね(笑)」

そう言ってから、俺は少し真面目に続ける。

「もちろん一緒にいるよ。俺も、一生大事にします」

俺の言葉に、誠君はぽろぽろと涙をこぼしながらも、心から嬉しそうに笑った。大好きな人気配信者が、まさか恋人になるなんて――そんな未来、少し前までは想像もしなかった。

「そういえばさ、誠君はいつから俺のこと……その、恋愛対象として好きだったの?」
「……それ、聞きます?」
「ぜひ」

鼻をかみながら、少し言いにくそうにもごもごしてから、誠君は照れたように言う。

「公孝さんの動画を見てるうちに……だんだんと、ですね」
「え、そんな前から!?」
「あ! 声をかけたのは本当に力になりたかったからですよ! ただ、ほんの少し仲良くなれたらな、とか……繋がれたらな、とか……下心がないって言ったら、嘘にはなるんですけど……」
「なるほど。俺は最初から狙われてたわけだ」
「ねっ! 狙ってたなんてそんな……ちょっとだけですよ……途中ヒヨりましたけど……」

拗ねたように口を尖らせる誠君を見て、思わず笑ってしまう。普段、誠君が俺のことを「可愛い」と連呼する理由が、少しだけ分かった気がした。好きな人って、こんなにも可愛く見えるものなんだ。
あまりにも可愛かったから、その尖らせた口に、軽くちゅっとキスをする。誠君は分かりやすいほど真っ赤になって、両手で口を押さえた。

「誠君が頑張ってくれたから、今があるんだな。こんな根暗な野郎を好きになってくれて、ありがとな」「ね、根暗はこんなことしませんよ!! ていうかずるい! 俺も! 俺もしたいです!」
「はい、閉店です。病み上がりなので、もう寝ますよー」
「ずるいって~!!」

俺の世界に、色をつけてくれた誠君。これからもきっと、たくさんの色が重なりながら、毎日は過ぎていくのだろう。

それがどんな色なのかは、まだわからない。俺たち自身にも、誰にも。
ただひとつ確かなのは――根暗な実況者は、気づかないうちに、人気配信者にしっかり狙われていて、見事に捕まったわけだ。

「公孝さーん!!ちょっとだけ!ちょっとだけだからー!」
「はい、また今度なー」



そして、それを悪くないと思っている自分が、ここにいたりもする。





終わり



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

書いててものすごくラストっぽくなったので、ラストにしてしまいました。
初めてのBLだったので、ちょっとと言わずかなりまとまりのない話になってしまったなと思っています。
書きながら、あそこはこうしとけばよかった、これ書こうとしてたのに忘れてた、おかしいなこんなキャラではなはずが笑
がやまもりです。
それでも面白いと言ってくださる方がいてくださったおかげで、二人の恋が実るところまで書くことができました。感謝です。

時間はかかると思うんですが、一旦この書いた話を見直して別の枠で上げ直せたらなーと思っていたりします。
あと、第二章も書けたらいいなーとも思っていますが、途中で止まってる話があるのでそちらを進めたいと思います。

短いのか長いのかわかりませんが、お付き合いいただきありがとうございました。
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感想 15

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みんなの感想(15件)

秋月
2025.12.31 秋月

執筆お疲れ様でした。完結おめでとうございます。ずっと読んでいたので、これで終わりかと思うとちょっぴり寂しいですけど、ちゃんと二人が付きあえて嬉しいです。途中、彼女の存在にムキッーってなりながらも、しっかり否定してくれた公孝さん、かっこよかったですよ。うん、もう、半分熱のせいでもあるんですけど、ホッとしました。
ずっとイチャラブ配信を続けて欲しいし、リスナーからも公認してもらえたら幸せだろうなって妄想しています。
素敵な作品、ありがとうございました。これからも頑張ってください。

2026.01.01 ちょんす

ありがとうございます( ◜︎︎𖥦◝ )
私も自分で書いておきながら、元カノの存在にはイライラしました(笑)
確かに熱のせいではあるんですが、彼もきっと色々溜まってたものがあったのでしょう(笑)
そしてきっとこのふたりは後に公式に言っちゃうんだろうな(笑)って作者は想像してます(笑)
最後までお付き合いありがとうございます!

とても励みになりました!

解除
しゃす
2025.12.31 しゃす

完結おめでとうございます❣️
とってもステキ😍✨️なお話で、更新🆙に気づいた時は逐一読んでおりました💖💖
最後まで読むことができてとても嬉しいです😭😭✨😭✨✨😭😭

2025.12.31 ちょんす

ありがとうございます✨️
ほんとにどう完結するんだろうかと、自分でもそわそわしながら書いてましたが、突然来ました(笑)あ、ここだってなりました(笑)
少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです!

感想ありがとうございましたー!✨️

解除
ユノ
2025.12.24 ユノ

執筆お疲れ様でした〜〜‼️😭💖お話やキャラ関係性が本当に大好きで、更新される度にいつも満面の笑みで陰からこっそり読ませていただいておりました…😌💝
そしてお2人ともお付き合いおめでとう……😭💞本当に素敵な作品をありがとうございました💖💖これからも応援しておりますт т♡

2025.12.24 ちょんす

うわーーーーーん!!!😭ありがどうございまず!!😭😭大好きって言って貰えるような話が書けてほんと嬉しいっす…
素敵な作品と言ってもらえることがどれだけ嬉しいかっ!!

本当にありがとうございましたー!!!

解除

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