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見つからない居場所
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好きなこと。やりたいこと。 それが何なのか、いつだって霧の向こうにあるようで、はっきりと見えてこなかった。 ぼんやりと生きてきたつもりはない。むしろ、必死に自分の居場所を探していた……はずだった。
だけど、気づけば足元は動かないまま。 世界だけが、勝手に進んでいってしまっていた。
「このままじゃダメだ」
そんな思いが、心の底からふつふつと湧きあがったのは、いつだったか。 行動を起こしたのは……なんとも無謀な挑戦。俺は、ゲーム実況者になるという道を選んだ。
別に、ゲームが死ぬほど好きなわけじゃない。 かといって、他人に自慢できるほど上手いわけでもない。
それでも、この道を選んだのは——きっと、誰かに“俺”という存在を見つけてほしかったからだ。 そう。いわゆる“承認欲求”ってやつだ。
ゲーミングPCを買って、録画と配信のやり方をネットで調べまくって、やってみたいゲームをダウンロードして……いよいよ初めての実況を投稿したときのことは、今でもはっきりと覚えている。
ワクワクして、ドキドキして。 自分の声がネットに流れるなんて、何か世界が広がる気がしていた。
——でも、それから約二年が経った。
登録者数、八十二人。 投稿数はそれなりに増えてきた。でも、数字は伸びない。 気づけば、自分よりあとから始めた実況者たちが、次々に登録者百人を突破していった。
焦りがないと言えば、嘘になる。 比べたって仕方がないと、何度も自分に言い聞かせた。でも、気持ちは追いつかない。
それでも——それでも、俺はやめられなかった。 作ってきた動画たち。録ってきた声。積み重ねてきた時間。 それらを、まるごと捨ててしまうことが、どうしてもできなかった。
再生数の伸びない動画を、今日もまた一人編集して、アップロードする。
「そんなにつまんねぇかな……」
ぽつりと漏れた独り言が、部屋の静けさにやけに響いた。 むなしい。苦しい。報われなさすぎて、笑えてくる。
悪あがきみたいなものだと思いながら、独り言アプリ『ゼット』に、動画をアップしたことを呟き、フォロワー達のつぶやきにいいねを押していく。 地道な営業活動。……それも、またむなしい。
いいねはつく。リプライも、たまにくる。
だけど、実際に動画を見にきてくれる人は——ほぼゼロ。
それでも、「諦めたらダメだ」「コツコツと続けていくことが大事なんだ」そんなふうに自分を励ましながら、PCの電源を落とす。ベッドに潜り込んで、目を閉じる。
(……でも、本当はもう限界かもしれない)
「もう……やめてしまおうか……」
ぽつりと呟いた瞬間、胸の奥からこみあげる無力感に、全身が押しつぶされそうになった。
このまま、誰にも見つけてもらえず終わっていくのか。 俺が積み上げてきたものは、なんだったのか。
そんな思考が渦を巻いて、眠れない夜になる予感がした——その時だった。
ピリリ、と短く震える音。 枕元に置いていたスマホが、通知をひとつ鳴らした。
(……いいねか)
繋がらない誰かが、反応してくれたのだろう。それだけのことなのに、なぜだろう。
ほんの少し、心の中がふっと軽くなった気がした。
——誰かが見てくれている。 たった一人かもしれないけれど、確かに反応してくれた。
その小さな事実に、ほんの少しだけ救われた気がして。俺はそのまま、ゆっくりと眠りへと落ちていった。
まさか——この通知が、“一人だけの世界”を大きく変えることになるなんて。 そのときの俺は、知る由もなかった。
だけど、気づけば足元は動かないまま。 世界だけが、勝手に進んでいってしまっていた。
「このままじゃダメだ」
そんな思いが、心の底からふつふつと湧きあがったのは、いつだったか。 行動を起こしたのは……なんとも無謀な挑戦。俺は、ゲーム実況者になるという道を選んだ。
別に、ゲームが死ぬほど好きなわけじゃない。 かといって、他人に自慢できるほど上手いわけでもない。
それでも、この道を選んだのは——きっと、誰かに“俺”という存在を見つけてほしかったからだ。 そう。いわゆる“承認欲求”ってやつだ。
ゲーミングPCを買って、録画と配信のやり方をネットで調べまくって、やってみたいゲームをダウンロードして……いよいよ初めての実況を投稿したときのことは、今でもはっきりと覚えている。
ワクワクして、ドキドキして。 自分の声がネットに流れるなんて、何か世界が広がる気がしていた。
——でも、それから約二年が経った。
登録者数、八十二人。 投稿数はそれなりに増えてきた。でも、数字は伸びない。 気づけば、自分よりあとから始めた実況者たちが、次々に登録者百人を突破していった。
焦りがないと言えば、嘘になる。 比べたって仕方がないと、何度も自分に言い聞かせた。でも、気持ちは追いつかない。
それでも——それでも、俺はやめられなかった。 作ってきた動画たち。録ってきた声。積み重ねてきた時間。 それらを、まるごと捨ててしまうことが、どうしてもできなかった。
再生数の伸びない動画を、今日もまた一人編集して、アップロードする。
「そんなにつまんねぇかな……」
ぽつりと漏れた独り言が、部屋の静けさにやけに響いた。 むなしい。苦しい。報われなさすぎて、笑えてくる。
悪あがきみたいなものだと思いながら、独り言アプリ『ゼット』に、動画をアップしたことを呟き、フォロワー達のつぶやきにいいねを押していく。 地道な営業活動。……それも、またむなしい。
いいねはつく。リプライも、たまにくる。
だけど、実際に動画を見にきてくれる人は——ほぼゼロ。
それでも、「諦めたらダメだ」「コツコツと続けていくことが大事なんだ」そんなふうに自分を励ましながら、PCの電源を落とす。ベッドに潜り込んで、目を閉じる。
(……でも、本当はもう限界かもしれない)
「もう……やめてしまおうか……」
ぽつりと呟いた瞬間、胸の奥からこみあげる無力感に、全身が押しつぶされそうになった。
このまま、誰にも見つけてもらえず終わっていくのか。 俺が積み上げてきたものは、なんだったのか。
そんな思考が渦を巻いて、眠れない夜になる予感がした——その時だった。
ピリリ、と短く震える音。 枕元に置いていたスマホが、通知をひとつ鳴らした。
(……いいねか)
繋がらない誰かが、反応してくれたのだろう。それだけのことなのに、なぜだろう。
ほんの少し、心の中がふっと軽くなった気がした。
——誰かが見てくれている。 たった一人かもしれないけれど、確かに反応してくれた。
その小さな事実に、ほんの少しだけ救われた気がして。俺はそのまま、ゆっくりと眠りへと落ちていった。
まさか——この通知が、“一人だけの世界”を大きく変えることになるなんて。 そのときの俺は、知る由もなかった。
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