37 / 53
本編
38話・御伽噺
しおりを挟む
え?リセット?君何言ってるの?アタマ大丈夫?
へぇ、君が主人公なんだ。世界を何周もしてる?今回は周回特典のフリーモード?
……因みに何周したの?六周?あぁ、なるほど……そうか、君は夢見の能力もあるんだね。治癒能力に魅了、夢見までとか君凄いね。
夢見の能力?そうかー、あんま知られてないかなぁ。
端的に言えば【神様の見る夢と繋がる能力】って感じかなぁ。
ぼくの妻の故郷に夢見能力に関するおとぎ話があってね。知らない?
長い長い旅の話。
終わらない絶望と、後悔と、憎悪を抱えて、旅人は円環の悪夢に囚われる。愛しい人を救えないと嘆き、それでも諦めきれずに長い旅をしてセカイを渡る。
繰り返す悪夢の果てに旅人はそんな絶望のセカイを作った神をも殺した。
──喜べ旅人よ!お前は閉じた六つのセカイの円環を切り裂き、七つ目の世界へたどり着いた!
──世界を切り裂いた刃を捨て、愛しき人に白い花を贈り、鮮血の赤い花を川に流せ!さすればお前の悪夢の旅は終わり、愛しき人と新たな旅路を歩めるだろう!
誰かの声に導かれて、円環のセカイの果てに旅人は未来ある世界へたどり着いた。
そして旅人は刃を捨て白い花を手折る。愛しい人のために。悪夢を終わらせるために。
鮮血の赤の花を持った愛しい人に白い花を贈り、共に赤い花を川に流す。
──悪夢の旅は終わり、幸せな旅が始まった。
円環のセカイは何度も繰り返す神様の夢。旅人はそのセカイを渡る……いや覗き見る夢見。夢は所詮夢。
うん?現実?違う違う。夢だってば。神様の見た夢。
だから旅人が神様を引きずり下ろしたら夢を見る者がいなくなり、円環の夢と繋がれなくなって、現実世界……おとぎ話でいう七つ目の世界で目覚めるんだよ。そう、正確には【七つ目の世界へたどり着いた】じゃなくて【七つ目の世界へ帰還した】なんじゃないかって個人的には思うんだけどねぇ。
あぁでも、夢見はずっと七つ目の世界にいるわけだから帰還もおかしいのかなぁ。え?夢だってば。君が見る夢が神様の夢と繋がってた感じ?ここにいながら神様の夢に繋がって、そのセカイを疑似体験する。
神様の夢っていうのは可能性の数だけあるんだって。凄いよね。
夢見の中にはたまに預言者って呼ばれる人もいるけど、きっと神様の夢でここに似たセカイを見て現実世界の未来だと錯覚するんだろうね。まぁ、当たるも八卦、当たらぬも八卦。
神様?あぁ、ぼくは神様信じてないんじゃなくて、神様と呼ばれるモノはもういないって言ってるんだ。だって旅人が引きずり下ろしちゃったし?神殿が祀ってるのは嘗ていたけどもういない神様の残滓。うん。君はもう夢に繋がれないからここにいる。ある意味夢見の能力は失われているに等しい訳だ。
そう。夢見の君の感覚で言えばここは最後の世界ってこと。
そうかー、神様の夢と混同してたからリセットとか言い出したのかぁ。ないよ?くどいようだけど。
ゲーム?異世界転生?……転生はまぁあるかなぁ。異世界に生まれ変わるかは体験したことがないからわからないけど。
へぇ、転生前にこの世界に似たゲームで遊んだのかぁ。それだったら、転生前の世界の夢見が神様の夢を元にゲーム作ったとかなんじゃないの?まぁ、そのセカイも違う神様の夢かもしれないけど。
うん?神様?いいんじゃないかなぁ、神様たくさんいるし。この世界に似たセカイの夢を見た神様を夢見が引きずり下ろしたってだけの話だってば。きっと探せば違うセカイの夢を見る神様もいるよ。っていうか、君が望んで神様引きずり下ろしたんじゃないの?
なんで泣いてるの?円環の悪夢が終わったんだから喜ぶべきところじゃないの?
えぇ??ぼくに言われても知らないってば。帰りたいってどこに?
また違うセカイに行きたいなら新しい夢を見る神様待つしかないんじゃないかなぁ。いつ来るか知らないけど。けど、君の人生は結局ここにしかないよ?
もう帰っていい?君の能力はだいたいわかったし、ぼくお腹空いてきた。アクセも待ってるんだよね。あんまり待たせたら怒られるんだよ。
これから?知らないけど。えー、ぼくに聞かないでよ。ぼくとしては消し炭にしたいんだけどアクセやイリスがだめっていうから我慢してるんだよ。感謝してね?
……ヴァイス君?あぁ、彼も夢見だね。それが君になにか関係ある?同じ夢に繋がってただけじゃないの?探せばきっと他にもいるんじゃないかなぁ。
あー!はいはい!ごめんてば。もう終わるから置いていかないでアクセ!ぼくも一緒に帰りたい!!
――じゃぁね■■を円環の悪夢から解放した夢見。
へぇ、君が主人公なんだ。世界を何周もしてる?今回は周回特典のフリーモード?
……因みに何周したの?六周?あぁ、なるほど……そうか、君は夢見の能力もあるんだね。治癒能力に魅了、夢見までとか君凄いね。
夢見の能力?そうかー、あんま知られてないかなぁ。
端的に言えば【神様の見る夢と繋がる能力】って感じかなぁ。
ぼくの妻の故郷に夢見能力に関するおとぎ話があってね。知らない?
長い長い旅の話。
終わらない絶望と、後悔と、憎悪を抱えて、旅人は円環の悪夢に囚われる。愛しい人を救えないと嘆き、それでも諦めきれずに長い旅をしてセカイを渡る。
繰り返す悪夢の果てに旅人はそんな絶望のセカイを作った神をも殺した。
──喜べ旅人よ!お前は閉じた六つのセカイの円環を切り裂き、七つ目の世界へたどり着いた!
──世界を切り裂いた刃を捨て、愛しき人に白い花を贈り、鮮血の赤い花を川に流せ!さすればお前の悪夢の旅は終わり、愛しき人と新たな旅路を歩めるだろう!
誰かの声に導かれて、円環のセカイの果てに旅人は未来ある世界へたどり着いた。
そして旅人は刃を捨て白い花を手折る。愛しい人のために。悪夢を終わらせるために。
鮮血の赤の花を持った愛しい人に白い花を贈り、共に赤い花を川に流す。
──悪夢の旅は終わり、幸せな旅が始まった。
円環のセカイは何度も繰り返す神様の夢。旅人はそのセカイを渡る……いや覗き見る夢見。夢は所詮夢。
うん?現実?違う違う。夢だってば。神様の見た夢。
だから旅人が神様を引きずり下ろしたら夢を見る者がいなくなり、円環の夢と繋がれなくなって、現実世界……おとぎ話でいう七つ目の世界で目覚めるんだよ。そう、正確には【七つ目の世界へたどり着いた】じゃなくて【七つ目の世界へ帰還した】なんじゃないかって個人的には思うんだけどねぇ。
あぁでも、夢見はずっと七つ目の世界にいるわけだから帰還もおかしいのかなぁ。え?夢だってば。君が見る夢が神様の夢と繋がってた感じ?ここにいながら神様の夢に繋がって、そのセカイを疑似体験する。
神様の夢っていうのは可能性の数だけあるんだって。凄いよね。
夢見の中にはたまに預言者って呼ばれる人もいるけど、きっと神様の夢でここに似たセカイを見て現実世界の未来だと錯覚するんだろうね。まぁ、当たるも八卦、当たらぬも八卦。
神様?あぁ、ぼくは神様信じてないんじゃなくて、神様と呼ばれるモノはもういないって言ってるんだ。だって旅人が引きずり下ろしちゃったし?神殿が祀ってるのは嘗ていたけどもういない神様の残滓。うん。君はもう夢に繋がれないからここにいる。ある意味夢見の能力は失われているに等しい訳だ。
そう。夢見の君の感覚で言えばここは最後の世界ってこと。
そうかー、神様の夢と混同してたからリセットとか言い出したのかぁ。ないよ?くどいようだけど。
ゲーム?異世界転生?……転生はまぁあるかなぁ。異世界に生まれ変わるかは体験したことがないからわからないけど。
へぇ、転生前にこの世界に似たゲームで遊んだのかぁ。それだったら、転生前の世界の夢見が神様の夢を元にゲーム作ったとかなんじゃないの?まぁ、そのセカイも違う神様の夢かもしれないけど。
うん?神様?いいんじゃないかなぁ、神様たくさんいるし。この世界に似たセカイの夢を見た神様を夢見が引きずり下ろしたってだけの話だってば。きっと探せば違うセカイの夢を見る神様もいるよ。っていうか、君が望んで神様引きずり下ろしたんじゃないの?
なんで泣いてるの?円環の悪夢が終わったんだから喜ぶべきところじゃないの?
えぇ??ぼくに言われても知らないってば。帰りたいってどこに?
また違うセカイに行きたいなら新しい夢を見る神様待つしかないんじゃないかなぁ。いつ来るか知らないけど。けど、君の人生は結局ここにしかないよ?
もう帰っていい?君の能力はだいたいわかったし、ぼくお腹空いてきた。アクセも待ってるんだよね。あんまり待たせたら怒られるんだよ。
これから?知らないけど。えー、ぼくに聞かないでよ。ぼくとしては消し炭にしたいんだけどアクセやイリスがだめっていうから我慢してるんだよ。感謝してね?
……ヴァイス君?あぁ、彼も夢見だね。それが君になにか関係ある?同じ夢に繋がってただけじゃないの?探せばきっと他にもいるんじゃないかなぁ。
あー!はいはい!ごめんてば。もう終わるから置いていかないでアクセ!ぼくも一緒に帰りたい!!
――じゃぁね■■を円環の悪夢から解放した夢見。
2
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
貴方の知る私はもういない
藍田ひびき
恋愛
「ローゼマリー。婚約を解消して欲しい」
ファインベルグ公爵令嬢ローゼマリーは、婚約者のヘンリック王子から婚約解消を言い渡される。
表向きはエルヴィラ・ボーデ子爵令嬢を愛してしまったからという理由だが、彼には別の目的があった。
ローゼマリーが承諾したことで速やかに婚約は解消されたが、事態はヘンリック王子の想定しない方向へと進んでいく――。
※ 他サイトにも投稿しています。
完璧すぎると言われ婚約破棄された令嬢、冷徹公爵と白い結婚したら選ばれ続けました
鷹 綾
恋愛
「君は完璧すぎて、可愛げがない」
その理不尽な理由で、王都の名門令嬢エリーカは婚約を破棄された。
努力も実績も、すべてを否定された――はずだった。
だが彼女は、嘆かなかった。
なぜなら婚約破棄は、自由の始まりだったから。
行き場を失ったエリーカを迎え入れたのは、
“冷徹”と噂される隣国の公爵アンクレイブ。
条件はただ一つ――白い結婚。
感情を交えない、合理的な契約。
それが最善のはずだった。
しかし、エリーカの有能さは次第に国を変え、
彼女自身もまた「役割」ではなく「選択」で生きるようになる。
気づけば、冷徹だった公爵は彼女を誰よりも尊重し、
誰よりも守り、誰よりも――選び続けていた。
一方、彼女を捨てた元婚約者と王都は、
エリーカを失ったことで、静かに崩れていく。
婚約破棄ざまぁ×白い結婚×溺愛。
完璧すぎる令嬢が、“選ばれる側”から“選ぶ側”へ。
これは、復讐ではなく、
選ばれ続ける未来を手に入れた物語。
---
婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!
みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。
幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、
いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。
そして――年末の舞踏会の夜。
「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」
エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、
王国の均衡は揺らぎ始める。
誇りを捨てず、誠実を貫く娘。
政の闇に挑む父。
陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。
そして――再び立ち上がる若き王女。
――沈黙は逃げではなく、力の証。
公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。
――荘厳で静謐な政略ロマンス。
(本作品は小説家になろうにも掲載中です)
【本編,番外編完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。
ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの?
お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。
ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。
少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。
どうしてくれるのよ。
ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ!
腹立つわ〜。
舞台は独自の世界です。
ご都合主義です。
緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる