凄腕女鍛冶師は氷の騎士の心を溶かす〜冷酷と噂の騎士様、本性はデロ甘でした〜

ひゅっげ

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再会と劣情

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 初めて彼女の工房を訪れた日を、今でも鮮明に覚えている。

 焼けた鉄の匂いと、炉の熱気に満ちた空間。汗に濡れた額を腕で拭いながら、黙々と槌を振るうその姿は、俺の知るどんな職人とも違っていた。
 女で鍛冶屋? 初めはそう思った。細い腕で、どうやって鉄を打つというのかと。だが、俺のその浅はかな疑問は、最初の火花が散った瞬間に打ち砕かれた。

 彼女の打つ音は美しかった。規則的で、力強くて、まるで楽器のように俺の胸に響いた。

 それから、何度も足を運ぶようになった。最初は剣の修理、次は手入れ。次第に理由を見つけることさえ、くだらなく思えてきた。ただ、あの工房に足を踏み入れるたびに、彼女の気配に触れたくなった。

 イリヤは美しい。そう形容するには単純すぎるほどに。
 きりりと結い上げたポニーテールから零れる髪の艶。火の粉に照らされた肌の滑らかさ。指先に力を込め、鋼を叩くたび揺れるその体。だが、それだけではない。

 誰にでも優しく、けれど媚びない。
 仕事には真摯で、愚かな騎士たちに言い寄られても、決して崩れない芯の強さ。
 女であることを誇りとせず、卑下もせず、ただ職人として立っている。――その姿が、俺にはまばゆすぎた。

 誰にも頼らず、孤独に立つ姿に、かつての自分を重ねていたのかもしれない。
 だが気づけば、彼女の姿を目で追っていた。
 声を聞けば心が落ち着いた。
 彼女に他の男が近づけば、手が震えるほどの苛立ちを覚えた。

 そして、唇を重ねた日。
 彼女の細い身体に触れたとき、俺の中で何かが壊れた。
 冷酷だと呼ばれ続けていたこの心の奥に、あんなにも柔らかな熱が宿るとは、思ってもみなかった。

 ――イリヤ。
 お前が欲しい。すべてを捧げたい。
 お前が俺を見てくれる限り、俺はこの命を差し出してもいいと思える。

 誰かを守るために剣を振るったことはある。
 だが、誰かの傍にいるために生きたいと願ったのは、お前が初めてだった。



――――――

 (デュラン……)
 
 私は唇を噛んだ。涙が込み上げてくる。
 
 「戻った。……お前に会いに」

 ──もう、限界だった。
 堰を切ったようように涙がこぼれた。パタパタと工房の床に涙の染みがひろがっていく。
 言いたいことも言葉にならない。

 彼の手は私の肩に置かれたまま動かない。少しひび割れた指先。鍛錬の痕が残る、節だらけの男の手。
 それが今、信じられないほど優しく、私の肌を確かめるように触れている。

 (ああ――夢じゃない。)
 
 本当に、彼が戻ってきたんだ。あれほど長く感じた時間が、今になって一瞬に縮んでいく。

 私は目を伏せ、震える指で彼の胸元に手を添えた。
 鎧を脱いだあとの、分厚い上衣の下から伝わる心臓の音。
 それが、私の震えよりもずっと速くて、苦しくて、切なかった。

 「……逢いたかった」
 
 思わずこぼれた言葉に、自分で驚く。けれど、それは嘘じゃない。本心だった。
 何度もそう思ったのに、ずっと言葉にできなかった気持ちが、彼を前にした今、勝手に口をついて出てしまった。

 デュランの指先が、私の頬をそっと撫でた。

 まるで、硝子細工に触れるような手つき。
 こんな風に、また彼に触れられる日が来るなんて、想像もできなかった。

 「……俺もだ」
 
 低く、喉の奥で掠れたような声。
 いつもの無表情とは違って、彼の顔にはかすかな戸惑いと、熱が浮かんでいた。

 私は顔を上げた。
 彼の瞳に、私の姿が映っていた。

 冬の空のような綺麗な青い瞳。
 いつも冷たいはずのそれが、今はまるで火を宿したように、私を焼いてくる。
 体が、勝手に震える。寒さじゃない。炉の熱があるこの工房で、私の頬は火照り、心臓はまるで逃げ出しそうに跳ねていた。

 「……もっと、イリヤに触れたい」

 彼がそう言った瞬間、私の中で何かが壊れた。

 ほんの一瞬、唇と唇がふれあっただけで、頭の奥が白くなる。
 それでも、足りなかった。彼も、そう思ったに違いない。

 唇を押しつけられ、今度は深く、強く、確かめるように貪られた。

 空気が奪われていく。
 でも、苦しささえ心地よい。
 彼の熱が、唇から、肌から、全身に染み込んでいく。

 私の背に回された腕が、ぎゅっと抱きしめてくる。
 まるで、二度と離さないと誓うように。

 私も、腕を回した。もう離れたくなかった。
 この瞬間を逃せば、またあの夜のように、胸を裂かれるほどの寂しさに戻ってしまう気がして。

 「イリヤ……」

 名前を呼ばれたとたん、涙がにじんだ。

 私は、ずっと彼を――デュランを――――。

 その想いを彼に伝えたくて、目の前の胸元をグッと押すと、デュランはそれすらも許さないとばかり私の肩を強く引き寄せ、息をする間もなく再び唇が塞がれた。まるで、長く押さえ込んでいた何かが決壊するような衝動に任せたキスだった。唇から熱い舌が入り込んで来て、上顎を撫でられられれば、頭の中が甘い霧でいっぱいになる。

「あ、……ぁ、ふ……ぅ……、ンン……っ」
 
(息が……。)
 
 思わずデュランの背中を叩くと、彼は下唇に吸い付きながら離れていった。同時に、頬に添えられた大きな手が、壊れ物を触るように私の涙の跡を拭う。
 
 「……離れたくない」
 
 唇を離した彼が、今まで聞いたことのない柔らかく甘い声で呟いた。
 それなのに目の前のデュランの息は荒い。瞳は熱に濡れて、私しか見ていない。頬を優しく撫でる手は、そのまま私の髪に愛おしげに触れた。
 見上げるその顔が、獣のように飢えていて、でもどこか苦しそうだった。

 「……ずっと、何をしてても頭から離れなかった。……鉄の匂いも、お前の声も。ずっと、俺の中にいた。寝ても覚めても、ずっとだ」

 その言葉が、脳の奥にまで響く。彼の頭が私の首筋に埋まった。少しの隙間もないくらいに、強く強く抱きしめられている。
 その様子に、熱に浮かされた頭が少し冷静になった。

(氷の騎士なんてありえない。……まるで大きな犬みたい。)

 「戦ってる時は流石にないでしょ?」

 そう小さく笑いながら言えば、急に首筋につねられたような痛みが走った。思わず小さく声を上げると、彼は耳の中に吹き込むように囁いた。もうどうしたって彼のペースのようだ。

「信じてないのか」

 デュランはその唇で、耳の輪郭を確かめるように何度も私の耳を食んだ。彼の息が耳にかかって、下腹がじんを熱くなる。デュランの左手は覆うように私の頭をかき抱いて、右手が腰から太もものラインをゆっくりと往復しては、時折その指先が布越しに皮膚に沈んだ。

「どれだけ剣を振るっても、頭から消えないんだ。」
「そんなの、私だって――」
「俺のはきっと、イリヤが思うような綺麗な思いじゃない」

 彼の唇が首筋に落ちた。ゆっくり、噛み締めるように。
 そしてそのまま、滔々と語り出した。

「知らないだろう。この首に何度、噛みつきたいと思ったか。男たちがお前の体に視線を落とすたびに、どれだけこの腕を伸ばしたいと思ったか。――お前は、自分が思うよりずっと俺を惑わせてるぞ。」

 不意にデュランが私を押して、背中に冷たい壁が当たった。さっきから腰の辺りを触っていた右手が、また頬に添えられた。彼の頭は相変わらず私の首筋に埋まったままで、緊張とこもった熱で流れた汗を執拗に舐めている。

「~~~っ……汗、舐めないで」
「無理だな」

 頬をすりすりと撫ででいた手がゆっくりと下に下に降りていく。大きく開いたタンクトップの胸元で、指先が止まった。

「この薄着も、ずっと気に入らなかった」
「そ、んなこと、言われて――っ!?」

 胸元の肉を押していた彼の指先が、急にするりと動いて布越しに先端を掠めてびくりと肩が跳ねる。

「不用意に人前でエプロンを外すな。俺の気が狂いそうになる」

 彼は言いながら、引っ掛かりを楽しむようにそこを何度も引っ掻いた。その度に、自分の口から短く声が漏れて、どうしようもなく腰が揺れ動く。もう片方の手で掬うように胸を揉まれれば、恥ずかしさと気持ち良さで頭がとろけそうになる。

「あ、ぅ、ぅう……ん、ンッ」
 
 私の甘い声が漏れた瞬間、彼の体が震えたのがわかった。
 ぐっと腰を押し当てられて、彼の体温と下腹の硬さが、着ている布越しにまざまざと伝わってくる。
 そして行為を連想させるようにぐっぐっとそこを押しつけては、耳元に熱い吐息を漏らした。
 
 デュランが私を求めてる……。

 ただそんな事実が堪らなくてデュランの背に手を回すと、彼は私の首筋から顔を離して唇を啄んだ。
 そのままバードキスを繰り返しながら、胸元に辿り着く。見下げる彼の綺麗な黒髪が愛おしくて撫でいると、今までの優しさが嘘のように、彼の歯が乳首を噛んだ。声にならない嬌声が漏れて、彼の肩を掴む手に力が入った。

「っ――」

 肩で息をしながら下を見ると、ばっちりと彼の瞳と視線が交わった。無表情なのに、その頬だけ桃色に染まっていて、こんな状況なのに、可愛いと思ってしまった。
 そんな私の気配を感じ取ったのか、デュランは片眉を釣り上げて片手でジンジンと痺れたままのそこをピンと弾き、震える私を見てニヤリと笑った。らしくない彼の表情に、また自分の秘部がぬめりを帯びた。
 そして分厚い舌を伸ばして、薄い布の上から何度もそこを舐めては吸って、空いた手で同じように擦られてつままれば、服の上からでもわかるくらいに先端が布から透けていた。

「はっ……、可愛い」

 デュランが満足げに笑って、下から顎を捉えられて唇が重なった。
 当たり前のように舌が絡み付いてくる。
 
「っも、しんどい……っ」
「俺は足りない」

 彼の人差し指がタンクトップの襟ぐりにかかったかと思うと、一気に胸下まで引き摺り下ろされて、縮こまってしまった私の両腕を優しく肩紐から引き抜いた。
 こうなることはわかっていたけれど、いざ曝け出すとなるととても恥ずかしかくて、なけなしの理性で両手を胸元で組む。けれど彼がそれを許すはずもなく、いとも容易く私の腕は解かれた。
 彼の目の前にまろびでた胸に、デュランの指が性急に沈んだ。無駄に育った胸は、彼の掌の動きに合わせて別の生き物みたいに自由に形を変えた。彼の口に自分の乳首が吸い込まれていくのを見ていられなくて思わず顔を逸らすと、こっちを見ろとでもいうように、先端を強く吸われて、前のめりに倒れそうになる。
 デュランは倒れそうになる私を片手で支ながら、チロチロと舌先で赤く色づいたそこを執拗に舐めた。

(デュラン、もしかして……)
 
「っん――胸、すき?」

 彼は舌を伸ばしたままに、私を見上げて頷いた。そこからは、甘い地獄のようだった。吹っ切れたディランは、中々そこから顔を上げてくれず、穏やかな快感の波がもうずっと続いていた。
 しかし穏やかだったはずの波も次第に大きくなり、腰が小さく震え始めて、お腹の奥からとてつもなく甘い疼きが脳天まで上がろうとしていた。
 彼の肩を押し返そうと強く押してみるけれど、相手は歴戦の騎士。びくともしなかった。

「!……だめっ、待って、デュラン……!」
「……ん、無理」
「――いっ……!!」

 腰が強く震えて、果てた。頭がぼうっとして、体から力が抜ける。それからじんわりと汗がでて、顎先から彼の肩にぽたりと落ちた。
 
「も、気持ち良すぎて、無理――」
 
 息も絶え絶えに呟いた次の瞬間、私は軽々と持ち上げられていた。自分の胸元を晒したままだったけれど、そんなこともうとうにどうでも良くなっていた。
 少し揺られて工房の2階、以前彼に貸したベッドのシーツが背中に当たる。軟い夕日が、ベッドに斜めに橙色の光を落としていた。
 熱い吐息が、首筋に落ちる。

「……いいな」
「早く……」

 その言葉が合図だった。
 デュランは性急に汗で張り付いたシャツを脱ぎ去り、鍛えられた肉体を惜しげもなく朝日の元に晒した。
 騎士の割に傷がない、ついでに毛穴さえ見当たらない体は汗に濡れていて、その下、スラックスの中で強く主張しているそれが酷く目に毒だった。
 彼の手が私のカーゴパンツを下着ごと引き摺り下ろし、生まれたままの姿になった。

 私だけ裸なのが少し気に食わなくて、起き上がって彼のベルトに手を伸ばした。

「っな、何を――」

 彼が何かを言う前にその口を塞いで、舌を差し込む。さっきの仕返しと言わんばかりに上顎を下で撫でながら、素早くベルトを外してスラックスの前を寛げた。彼の手が後頭部に回ってキスに夢中になっているのをいいことに、彼の怒張を下着越しに人なでしてやると、体が大袈裟に震えた。
 見なくても、下着の布が先走りでぐっしょりと濡れているのがわかる。何度か下着越しにそれを擦ると、デュランが喉の奥を鳴らしながら腰をゆるゆると揺らした。
 その様子が可愛くて、下着を脱がせるために指を引っ掛けると、彼はおとなしく腰を浮かせて自ら全て脱ぎ去って、ベットに後ろ手をついた。上気した顔で、試すようにこちらを見つめている。
 自分が先に手を出した手前、引き下げれないけれど、視線の降ろした先にあるそれがあまりにも凶暴そうで、思わず息を呑んだ。

(おっきすぎじゃない……?)

 彼の美しい顔にあまりに不釣り合いなそれに恐る恐る手を伸ばすと、それだけで彼は声を漏らした。
 そのまま優しく上下に軽くしごいてやると、次から次へと透明な汁が先から滴り落ちていく。最初は見ているだけだったのに、なんだか勿体なく思えてきて、気づいたら自分の顔の目の前に聳り立つソレがあった。
 ゆっくりと舌先を伸ばして棒の裏側を下から上へ舐める。

「…ッ、ぅ…」

 デュランの息がどんどん熱く、荒くなっていく。
 上からねっとりと咥え込んで、吸い上げる。それを繰り返して行く度に、私の口の中でどんどん硬く大きくなっていく。彼がびくりと震えるたびに、私のソコから蜜が垂れているのに気づかないフリをして、終わりに向かって一定のリズムで頭を上下に動かした。

「あ゛っ……くそ――~~っ!!」

 一際大きく腰が跳ね、口の中で脈打ち、喉の奥に精液が当たった。中々終わらない射精をじっと受け止めていると、ゆっくりと口からそれが引き抜かれて、彼が引き止める間もなく大量の濃い精液を嚥下した。
 味は最悪だけど、彼のものと思うと、そんなのどうでもよかった。デュランは喉を動かす私を見て、指先で顎を掬ってとんでもないことを囁いた。

「それはココに出すつもりだったんだが」

 片手が私のヘソの下辺りを撫でた。
 その言葉にギョッとして思わずその手を掴む。
 
「……子供でも作る気?」

 そう問えば、彼は未だ上気した頬で首を傾げた。

「当たり前だろう。俺は不用意に女を抱いたりしない。」

 言いながら、彼は眩しそうに瞳を細めて私の高く結い上げたポニーテールを解き、その髪を優しくすいた。
 髪の毛に括った跡が残って、そこがくびれておかしなことになっていても、デュランはそれすら指先でなぞって遊んでいる。
 
(あ、これは、逃げられない。)

「それで、もう休憩終わりでいいよな」
「えっ――」

 紡いだ言葉は言葉にならないまま、彼の唇が攫っていったかと思うと、優しく押し倒されていた。
 くちゅり。と明らかな水音がなったと自覚した時には、彼の指が私のそこに埋まりかけていた。
 もうずっと、自分の密でぐちゃぐちゃになっていたそこは、彼の指先が沈むごとにいやらしい音を立ててはまた蜜をどぷりとこぼす。恥ずかしすぎて、近くにあった枕をたぐり寄せて顔を埋めた。
 デュランはそんな私の様子を見て、さらに指を奥深く差し込んで、さっき散々いじられた乳首にまた唇を這わせた。
 もうバカになっている先端は、触れられただけで嘘みたいに気持ちがいい。カリカリと柔く噛まれるそこに集中していると、中に埋まっていた指が急にお腹の方へと折り曲げられた。

「あっ、ッ――……?」
「……可愛い」

 折り曲げられた指先がぐっぐっとそこを押すたびに、痺れるように気持ちが良かった。上も下も丁寧に愛撫されれば、絶頂を迎えるのなんてあっという間だった。

「ね、デュランっ――やっ……~~!!」
 
 弓形に体が跳ねた。デュランは私から枕を強引に奪って、口を塞いだ。それなのに、彼の手は私の中に入ったままで、今だと言わんばかりに2本目が侵入してきていた。それだけで息が詰まった。

「んっ……ね、1回、休憩しよっ……?」

 キスの合間にそう乞うも、彼はキスを止めるだけで、指を抜いてくれる気配はない。

「女鍛治師の体力はそんなものか?」

 そんな軽口を叩きながら、デュランは下へと体ごと下げていく。
 それをみて嫌な予感がした私は腰を上へ逃がそうとするけれど、片手で制されて引き戻される。
 両足を強引に開かされ、太ももの裏にさえキスを降らせるデュランは、砂糖よりも一層甘い顔つきだった。

 グチュ……クチュ……。

 ゆっくりと粘着質な音が部屋に響いた。
 視線を自分の下腹部の方へやると、彼のアイスブルーの瞳がソコをまじまじを見つめていた。

「あ、ねっ――見ないで……。」
 
 私がそう言ったのが切掛だったのか、急に指の抽送が激しくなって両手でシーツを手繰り寄せる。
 ぐちょぐちょとなる音も、全てが快楽だ。
 それに身を委ねていると、一際大きな快楽が脳天を貫いた。

「!!……――――~~~ああッ!!!」
 
 まさかと思って彼をみると、予想通り、彼の舌が敏感な蕾をちろちろと舐めていた。

「やだ、デュラっ――デュランっ……!」
 
 目が合った瞬間に思い切り吸われて、彼の指を締め付けながら大きく腰が跳ねる。まただ、またイってしまった。
 頭がおかしくなりそうだった。でも彼はやめてくれない。イったばっかりなのにずっと吸い付いてくるし、ジュルジュルと中の蜜も吸い取られて、目の前がチカチカして気絶そうだった。
  指の動きもただの抽送から、最初のようにお腹側を押さえつけるように動き始めた。

「あ、ぅ、……っ、ん、んん、ああっ」

 口からはだらしなく喘ぎ声が漏れ、はあはあと漏れる吐息がどんどん激しくなる。
 また気をやってしまう。そう思って足先に力を入れたとき、スッと全ての快感が引いていった。
 荒く息を乱しながら彼をみると、口元を拭いながら覆い被さってきた。太い腕に顔を挟まれ、唇と唇が触れるか触れないかのところでぴたりと止まって、デュランは低い魅惑的な声で私に囁く。

「言うのを忘れていたが――」
「……な、に」
「イリヤを愛してる。何よりも」

 ずっと、欲しかった言葉だ。胸の奥がじんわり溶けていって、こめかみが痺れて涙が出た。嬉しくて、愛しくて、次から次へと涙が出た。デュランはそんな私を見て、美しく、そして優しく笑う。その顔に氷の騎士の面影は一切無い。

「今日はよく泣くな」
「誰のせいだと――」
「悪かった。で、お前はどうなんだ」

 聞かせてくれ。そう続けた彼の言葉に被せるようにして口を開いた。

「愛してるに決まってるでしょ」
「…………。」

 (あ、あれ……?無言……?)

 デュランは私の言葉に無言、無表情のまま胸元に顔を突っ伏した。よく見ると、耳が真っ赤だ。
 その耳を指でスッとなぞると、彼の肩がぴくりと揺れて、ぬちゅっと私の濡れそぼったその場所に彼のモノが押し当てられた。
 今にも割りいってきそうな彼の先を感じていると、不意に彼の指が下腹に伸びて、真っ赤に腫れた蕾を優しく擦った。

「っん――」

 消えかけていた昂りがまたぶり返して、求めるように彼の首に腕を回した。
 本当はもう余裕なんてない。このまま敏感なところを擦られたら、すぐにでもイってしまいそうだった。

「デュランので、イかせ――――っっ!!?」

「イかせて」そう懇願した直後、彼のものがいきなり奥を貫いた。
 
「……可愛すぎるだろ」

 デュランは唸るように呟いて、私の口に噛み付くようにキスを落とす。その間、馴染ませるように動かない彼のものを、私は勝手に締め付けていた。舌を絡め取られる口内が気持ちいい、裸同士の密着が気持ちい、頭を撫でてくれるその手が気持ちいい。
 全てが快楽に変換されるせいで、彼が少し腰を動かしただけで、私はイってしまった。

「やっ、ああっ、ダメっっ!」

 割れ目からピュッピュッと潮が噴き出してシーツを濡らした。しかも、それが止まる様子もなくて、あまりの羞恥でどうにかなりそうになる。それなのに、彼の息はどんどん荒く、低く、獰猛になっているようだった。
 そんな彼のギラついた目を見た時に、デュランが一層深くため息をついた。
 
「はっ、限界」

 デュランは小さく呟くようにそう溢すと、私の腕を自分の首にまわし、足をぐっと開脚させた。
 ――そこから先は、もはや言葉では表せない嵐だった。
 ぐっと腰を引き寄せられ、浅さも深さも関係なく、奥を掻き回される。
 汗が滴り、肌が擦れ、ぱんぱんとぶつかり合う音が室内に響いた。壁にかけられた時計が震え、微かに揺れる。

 彼の腕が私の脚を抱え込み、逃がさないように押し広げる。

 「だめ、……そこ、ずっと当たって、っ、ああぁ……!」

 鋭い突き上げが、快感の波を一気に引き上げていく。
 私の体は震え、背筋が弓なりに跳ね上がる。

「イリヤ…っ…、気持ちい、か?」
「んっ、気持ちいっ――イくっ、だめっまた、イっちゃう――!」

 また、ガクガクと体を震わせて果てた。デュランはその姿を見ながらゆっくりと中を擦り上げて、私が落ち着くと体をひっくり返して腰を高く持ち上げられた。
 繋がったままのそこからぽたりと蜜があふれたのを見て、中がキュンとしまった。
 デュランの両手が腰に添えられて、後ろから穿つようにどちゅどちゅと突かれ始める。

「あぁっ、あっはぁ、ああっ!」
「……はっ、出る……っ!」

 彼の抽送が激しくなって、奥まで叩きつけられる。じんわりとお腹の中が暖かくなって、本当にここに出されたんだと実感して、くたりとシーツにうつ伏せになった。のに、デュランが私の尻を持ち上げて、さっき出したばかりのそこに中指を差し入れてぐちゃぐちゃと掻き回し始めた。

「ちょっ、とっ……!、ああっ、ダメっ、あっ、やだ、なんか出ちゃう、」
「ちゃんと奥まで入れないとな」
 
 プシップシっと透明な液体が勢いよく飛び出して、後から白濁した精液がとろとろと内腿を伝っていった。

「まだ、いけるだろ?」

 デュランはそう言って、あぐらをかいて自分のモノを片手でゆるくしごいて見せた。
 確かに彼のそこは、さっきと寸分違わず立派にそそり立っている。

(絶倫なんて聞いてないわよ……!!)

 心の中でそう叫ぶも、彼の手はすでにイリヤの腕を掴んで離さない。
 引き寄せられて彼の胡座を跨いで膝立ちすると、先端が私の入り口をぬちゅりと撫でた。
 ただそれだけで彼のしたいことがわかってしまって、ゆっくりと腰を下ろすと、デュランが目の前にある胸の先を舐め上げては吸って、引っ張った。

「も、おかしくなるから。これで最後――」
 
 言葉の端々が、快感に震えた声で歪んでいく。
 そんな私に、彼は満足げな笑みを浮かべながら、さらに腰を強く沈めた。

 「無理だ。全部俺のにする。……どこにも行けないように」

 突き上げられるたびに奥が擦れ、絶頂の波が幾度となく押し寄せてきた。
 彼はそのたびに私の名を、子どものように愛おしげに呼ぶ。まるで長い時間を埋めようとするみたいに、何度も、何度も。

 「好きだ……イリヤ……好きで、仕方なかったんだ……っ」

 私は彼の背を引き寄せ、爪を立てた。
 言葉にならない。けれど、同じ想いを、身体ごと伝えようとした。

 そして何度目かの絶頂のあと、彼は私の奥へと深く達し熱いものを吐き出す。
 びく、と震えながら、私の名前を叫んで――

 「イリヤ……ッ」

 その日、彼は深夜まで眠ることを許してくれなかった。
 甘えるように、貪るように、何度も私を抱いて、後ろから私をしっかりと抱きしめて眠った。


 ――――

【翌朝】

 痛む腰を抑えながら一階の工房へ降りると、柔らかな陽が高窓から差し込んでいた。
 すっかり冷えた炉の前で、デュランは上半身裸のまま、乱れた黒髪に櫛も通さず椅子に座ってコーヒーを飲んでいた。

 あれだけ激しく抱き合ったあとでも、彼の腕は優しく私を包んでいた。
 力強くて、安心できて……胸の奥が、きゅうと締め付けられた。

 ――会いたかった。
 触れたかった。
 その全部を叶えたはずなのに、もっと彼を知りたいと思ってしまう。

 彼のまつげが、ぴくりと揺れた。
 
 「……おはよう、デュラン」
 「……おはよう。こっち来て」

 手招きされるがまま、彼の膝の上に腰を下ろすと、彼の手が私の腰を撫でるように動き、耳元でそっと囁いた。

 「イリヤ」

 彼は優しく私の名を呼ぶ。
 私は頷いた。涙が滲みそうになって、慌てて目を伏せた。

 「分かってる。私はもうデュランのものよ」
 
 彼の手が私の頬に添えられ、今度は静かで深いキスが落ちてきた。
 熱も荒々しさもない、ただ「愛してる」が詰まった、やさしい口づけ。

 朝日が、二人を照らしていた。
 まるで、ようやく戻るべき場所に辿り着いたと、祝福してくれるように。
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