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第63話 トリトニア王
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フォルテ達は、トリトニアの王都入りを果たし、国王が連絡を入れておいてくれたおかげで、スムーズにトリトニア王に会う事ができた。
「エルフ様方、それにアルヴの使者よ。よくぞ参られた」
アルヴというのは、フォルテが初めに訪れた国の名前で、ヤコブはアルヴの使者という立ち位置になっている。
因みに、レイアはフォルテの従者だ。
「アルヴ王から先立って書状を貰っている。なんでも、貿易を強化してお互いの国を豊かにしたいのだとか」
「まあ、そんな所だな」
国王に向かってだが、フォルテはいつもと変わらない様子で答えた。
一応、エルフというのは人の社会に囚われない存在である為、問題にはならない。
「それは願ったりな事だが、難しいと思う」
フォルテの言葉に、トリトニア王は苦笑いで返した。
「それはなぜだ?」
「我が国には、貿易するだけの力がない。ここに来てもらうまでの道中でわかるかと思うが、我が国は雪国だ。アルヴの国と取引できるようなものは無く、国民達の為に小麦を確保する事も難しいのが現実だ。残念だが……」
「俺がこの国に来たのは海産物の為だ。トリトニアとの取引は海産物。お主の国は自国で取れる強みを見せれば、豊かな国づくりができるはずだが、気づいておらぬのか?」
「海産物ですか?」
トリトニア王は、まさかの回答に驚いた顔をした。
フォルテ達が、宿屋で知ったように、この国での魚の価値は低い。
それに、フォルテがアルヴで手に入れた煮干し代用の小魚も、観賞用として生きたまま莫大な手間をかけて輸入された物であった。
現代日本のように冷蔵冷凍技術のないこの世界では、同じ国であろうと、魚は他の食材よりも、腐りやすく扱いにくい。
今のように冬であれば、国内には輸送できるが、国外だと、到着した時に腐っているなどのトラブルを考えれば、とても貿易の商品として考えられない物であった。
「やはりか。まずは海産物の価値に気づけ。そして、その価値ある自国の資産を使ってどうやって他国と取引を行い、自国に不足しているものを補うかだ。 お前、俺と一緒に海に来い。自国の海産物がどれほど素晴らしく、他国が喉から手が出るほどに欲しいものか、それを自らの目で舌で感じるといい」
「それは……」
トリトニア王は返事を言い淀んだ。
流石に自分の職務を放り出す事に二つ返事の返答はできなかった。
「私からよろしいでしょうか?」
横から、口を挟んだのは、王妃として紹介された女性であった。
「エルフ様、我が国の海産物はそれ程に価値のあるものなのですね?」
「ああ。少なくとも、俺とアルヴ王国は価値あるもので、そちらに価値あるものと、貿易したいと思っている」
フォルテの返答に、王妃は頷くと、国王に話をする。
「貴方が海で海産物の価値を調べてくる間、私や宰相、在中の貴族で貴方の仕事をなんとかしましょう。幸い、今の時期は雪のおかげで他国からの訪問は少ない。なんとかなります」
「しかし……」
トリトニア王の言葉に、王妃は首を横に振った。
「我が国が大きくなるチャンスなのです。城の仕事よりも、海に行く方が大きな仕事です」
「分かった。必ずや、国を豊かにする方法を知ってくるぞ!」
貿易の前に、価値を知って、海産物を商品とする為に、フォルテ達の旅にトリトニア王が動向知る事になった。
「エルフ様方、それにアルヴの使者よ。よくぞ参られた」
アルヴというのは、フォルテが初めに訪れた国の名前で、ヤコブはアルヴの使者という立ち位置になっている。
因みに、レイアはフォルテの従者だ。
「アルヴ王から先立って書状を貰っている。なんでも、貿易を強化してお互いの国を豊かにしたいのだとか」
「まあ、そんな所だな」
国王に向かってだが、フォルテはいつもと変わらない様子で答えた。
一応、エルフというのは人の社会に囚われない存在である為、問題にはならない。
「それは願ったりな事だが、難しいと思う」
フォルテの言葉に、トリトニア王は苦笑いで返した。
「それはなぜだ?」
「我が国には、貿易するだけの力がない。ここに来てもらうまでの道中でわかるかと思うが、我が国は雪国だ。アルヴの国と取引できるようなものは無く、国民達の為に小麦を確保する事も難しいのが現実だ。残念だが……」
「俺がこの国に来たのは海産物の為だ。トリトニアとの取引は海産物。お主の国は自国で取れる強みを見せれば、豊かな国づくりができるはずだが、気づいておらぬのか?」
「海産物ですか?」
トリトニア王は、まさかの回答に驚いた顔をした。
フォルテ達が、宿屋で知ったように、この国での魚の価値は低い。
それに、フォルテがアルヴで手に入れた煮干し代用の小魚も、観賞用として生きたまま莫大な手間をかけて輸入された物であった。
現代日本のように冷蔵冷凍技術のないこの世界では、同じ国であろうと、魚は他の食材よりも、腐りやすく扱いにくい。
今のように冬であれば、国内には輸送できるが、国外だと、到着した時に腐っているなどのトラブルを考えれば、とても貿易の商品として考えられない物であった。
「やはりか。まずは海産物の価値に気づけ。そして、その価値ある自国の資産を使ってどうやって他国と取引を行い、自国に不足しているものを補うかだ。 お前、俺と一緒に海に来い。自国の海産物がどれほど素晴らしく、他国が喉から手が出るほどに欲しいものか、それを自らの目で舌で感じるといい」
「それは……」
トリトニア王は返事を言い淀んだ。
流石に自分の職務を放り出す事に二つ返事の返答はできなかった。
「私からよろしいでしょうか?」
横から、口を挟んだのは、王妃として紹介された女性であった。
「エルフ様、我が国の海産物はそれ程に価値のあるものなのですね?」
「ああ。少なくとも、俺とアルヴ王国は価値あるもので、そちらに価値あるものと、貿易したいと思っている」
フォルテの返答に、王妃は頷くと、国王に話をする。
「貴方が海で海産物の価値を調べてくる間、私や宰相、在中の貴族で貴方の仕事をなんとかしましょう。幸い、今の時期は雪のおかげで他国からの訪問は少ない。なんとかなります」
「しかし……」
トリトニア王の言葉に、王妃は首を横に振った。
「我が国が大きくなるチャンスなのです。城の仕事よりも、海に行く方が大きな仕事です」
「分かった。必ずや、国を豊かにする方法を知ってくるぞ!」
貿易の前に、価値を知って、海産物を商品とする為に、フォルテ達の旅にトリトニア王が動向知る事になった。
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