妻の「元カノ」が語る、旦那でも知らなかった彼女の一面

terabanosa

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(妻と自宅で)

あぁ、アナタ。

何だ、2階にいたのね。

全然気付かなかったわ。降りてこない物だから、てっきり外にでも出てるのかと思ってた。

折角の休日なのに仕事でもしていたの?

よかったら、コーヒーでも淹れる?

ソファー座ってくつろいでくれていていいわよ♪

…ってホラ、アナタ。

また背筋が曲がってる。

首も猫背になってるし、服もヨレてる。

家の中だからって、気を抜きすぎよ。

こういう何気ない立ち振る舞いが、その人の雰囲気になるんだから。

そんな姿じゃ、だらしない人間だって思われるわよ?

ダメでしょ、そんな事じゃ。

2階で何してたの?ひょっとして、前に喋ってた新しい仕事のプロジェクトリーダー任されたって奴の関係?

あなたって、確か初めてよね?プロジェクトリーダー任されるのって。

ま、私はリーダー慣れてるから、やり方もある程度は分かるけど、初めてならねぇ…。

後輩君の面倒っていうのも見てあげないといけないからね。

私の会社の後輩君も、悪い子じゃ無いんだけど、抜けてる所が多いのよね~。

ま、試しにバキバキに打ってみるわ。新人の内に言われておかないと、素直に聞けない物だから。

…最近は、すぐアカハラとかパワハラとか言われちゃうみたいね。

私も凄くキツく言う方なのかもしれないけれど、そういう報告をされた事は今日まで一度も無いわね。

だって、この人にならキツい事を言われてもいいかなって思う尊敬できる何かがあれば、アカハラとかパワハラとか思わないもの。

実際問題、その場の雰囲気が悪くなっても言った方が良い事って沢山あるじゃない?

それを悪い人って言うのは違うと思うわ。今の世の中、いい人と悪い人が良く分からなくなってるわよね。

もしそれで私のやり方がアカハラとかパワハラとか言われたら、私は仕事を辞めてもいいと思ってるわ。

むしろ、そう思ったのであれば、私はどんどん上層部の方に報告してもらいたいのよね。

そっちの方が、お互いにとっていいでしょ?

たまにニュースなんかなるじゃない?生徒に対する教師の暴力が…みたいな。

あれって、生徒以上に教師が未熟なのよね。

勝手に信頼関係を築けたと思って、自分一人盛り上がって手を出しちゃうんだから。

そんな人の見る目の無さに巻き込まれる生徒も気の毒だわ。

だから私、常々(つねづね)後輩の子達には言ってるのよ。

「あなたも私を不満に思っている点はあるでしょう。そういう時は、どんどん言って来なさいよ。もしそれで私が怒っても、それはそれでいいじゃない。あなただって意志を持った人間であって、頷(うなず)き人形では無いでしょう?そういう勉強も、していこうとする意志を持ちなさいよ。もし私にそれをしたくないんであれば、私以外の上の人間に、私の所業(しょぎょう)をバンバン報告しなさい」って。

だ~か~ら!あなたも姿勢をちゃんとする!

姿勢はどんなに遠くから離れていても、一番最初に目に入る物なんだから。

姿勢と表情は、その人間の玄関なんだからね。

これから人の上に立つんだから、尚更気を付けないと。

アナタの伸ばす所を伸ばしていなくて、張るべき所を張っていないような、ぐにゃぐにゃに歪んだその姿勢。まるで軟体動物だわ。

ほら、背中を前に突き出して。

胸を張る!

首は天井から常に糸で釣られているイメージで上に伸ばす!

視線は下じゃ無くて、前を見るの!

…うん。それで良し。

分かったら返事!

(旦那:は、はい)

…よろしい。

で、どうするの?これからずっと姿勢を正していようとする意志はある?

やるか、やらないかで答えて?

やるやらないを一番最初に決めないと、どっちつかずで迷いながら進めても上手くはいかないし、そういう進め方でやった仕事にしても大した出来にはならないわ。

アナタが決めなさいよ。

(旦那:やります)

…よし、やるのね。

もう一度だけ言うわよ。

背中を前に突き出して。

胸を張る!

首は天井から常に糸で釣られているイメージ。

視線は下じゃ無くて、前を見る!

…今私が言ったセリフを、ずっと頭の中で繰り返していなさい。

これからは、あなたの姿勢が悪くなっていたら、どんどん言ってあげるわ。

いいわね?

(旦那:はい)

…ん、よろしい。

(少し怖さが取れて優しい妻になった感じ)
そうだ、コーヒー淹れてあげるんだったわね♪

少し待っててね♪

(旦那:砂糖を一つ入れて欲しい)

砂糖を一つ?分かったわ。

…えっと…砂糖砂糖…。

上の棚に入れたと思うんだけど…。

…どうしたの?私のお尻ばっかり眺めて。

フフッ♪アナタ、そんなにお尻好きだったっけ?♪

…別にいいじゃない♪照れなくても♪夫婦なんだから、気にしないわよ♪

あ、あった。コレコレ。

…なんだかこうしてると、アナタと最初に出会った時の事思い出すわね。

私がまだ大学を卒業して社会人1年目だった頃に、あの時はあなたが私にコーヒーを入れてくれたんだったわ。

あなたが震える声で「彼氏いるんですか?」とか聞いてきたもんだから…

大学時代から、私は彼氏なんてずっと居なかったからね。

フフッ♪

「居ません」って答えた時の、あなたの目の踊り様(おどりよう)ったらなかったわ♪

今思い出しても、少し笑っちゃうくらい♪

…え?この前声を掛けてきた来た女性?

あ~~~~~~~………。

(少し呆れ気味で嘘を言う)
ううん。知らない知らない。全然知らない人。

…どの町にも、ああいう変な人っているものね。

ああいう人間は、まともに相手をするだけ時間の無駄なの。早く会話を切り上げるだけ正解よ。

(旦那:元カノとか言ってなかったか?)
…え?元カノとか言ってた?

あのねぇアナタ、だったらどうして私があなたと結婚してるの?

聞き間違えじゃない?聞き間違えじゃ無かったとしても、言葉の意味を考える必要も無いわ。

だって、変な人間なんだから。

今日まで連れ添って来た私と、いきなり出てきたその人間、どっちが信用できるって言うの?

…ほら、そんな事もう忘れちゃって、コーヒー出来たわよ。

はい、どうぞ♪

……ねえ、さっきから気になってたんだけど、あなたどうしてずっとワイヤレスイヤホン刺してるの?

会話に支障が無いと思ったから、言わなかったけど。

(旦那:付け心地チェックだよ)

…付け心地チェック?

…変な事してるのね、アナタ。

外では絶対にそう言う事しちゃダメよ。私は妻で、あなたに何をしているのか確認が出来るからいいけど、そういう距離感じゃない人の前でしてたら、無礼と捉えられてもおかしくないわ。

分かったら、返事。

(旦那:はい)

…ん、よし。

テレビのチャンネル借りていい?

何か面白い番組やってるかしら?

……

ゴミ屋敷特集…。

何やってるんだか…この人も情けない。

ゴミ屋敷なんて、私にとってはこの世で最も意味が分からない物よ。

一番理解不能。

取ったものを元の場所に戻していれば、どうすればここまで家が汚れるのよ?

もし火事になったら、あっという間に燃え広がって近隣住民の皆様の人生まで変えてしまうかもしれないのよ?

一番の独りよがりだわ、こんなの。

自分が今、ただ生きているんじゃなくて、人から生かされているって事を知っていれば、こんな事になるはずが無いのよ。

私の仕事だって、あなたの仕事だって、どんな仕事だってそう。人との繋がりの中でしか、人は生きて行けないって言うのに。

こういう礼節を知らない人間が一番嫌いなの。チャンネル変えましょ。

最近は規制の影響なのかしら?どのテレビ局も似たような番組ばっかりになったわよね。

カラオケ対決にグルメリポート。街ブラに、飲食チェーン店のランキング。

…私がこの組織の中に居たら絶対に我慢できないわ。

新しい事ドンドンやって、叱られたら叱られたでいいじゃない。

このままじゃ、ゆっくりと自分の首が閉まっていくだけよね。

まぁ、テレビ局も実は大まかな収入源は不動産業って言うし、この媒体が弱っていく事に、もう誰も興味は無いのかもしれないわね。

(旦那:嫁だったらどうする?)

…え?私だったらどう立て直すか?

そうねぇ…。素人考えだけど、今すぐに思い浮かぶのは、強みを生かした勝負をするしかないって事よね。

個人のインターネット配信者では出来ないような、チームでしか作れないような物…。ドラマとか。

爆笑っていうのは、一人の人間が一人のカメラの前でも取ろうと思えば取れるものだと思うけど、ドラマの中でしか体験できない喜怒哀楽は、やっぱりチームじゃないと作れないと思うの。

個人や少数では出来ない、チームでしか作れない物を出し続ける。裏方の力を合わせたチーム力(ちーむりょく)を前面に出した勝負する。そこに勝算はあると思うんだけど…。

(旦那:詳しいね)
え?

いやいや、全然詳しくないわよ、私なんて。思いつきで喋ったってだけだし。

でも、長い事リーダーやってるとね、やっぱり今あるチーム力で勝負しないといけない場面の方が圧倒的に多いのよ。

まぁ、当然と言えば当然だけどね。

(旦那:大学時代もそれで全国大会出れたんだ)

…そうそう、大学時代のチームも、お世辞にも最初は強いとは言えなかったんだけど、工夫を凝らしていく中で全国大会に…。

…って私、アナタに大学時代全国大会へ出場したって言った事あったかしら?

(旦那:あ、あったよ!)

…あった?

無かった…と思うけど。あったら絶対私も覚えてるし。

(旦那:お酒を飲んでいたから覚えてないんじゃない?)

お酒を飲んでいた時?

…それでも、お酒でアナタと喋っていた事を忘れたなんて事も無かったと思うけど。

…言ってたかしら?私。言って無かった…と思うけど。

うん……私、絶対に言って無い。

アナタ、一体どうやって知ったの?

(旦那:ほら、押し入れの胴着に都道府県名が書いてあったから)

…あ~!確かに押し入れの胴着には都道府県名が書いてあるわ。

全国大会の代表になった時に造った胴着だから。

それであなた、記憶が勝手に出来ちゃったのよ。

な~んだ、そういうことね。ま、あのチームで全国に行けたのはいい思い出だわ。

…そうだアナタ、弓道で大切な事が2つあるんだけど、アナタの参考になりそうだから教えてあげるわ。

それは「心技体(しんぎたい)」と「礼に始まり礼に終わる」という考えよ。

聞いたことがあるんじゃないかしら?

弓道は的当てじゃ無くて、品格も評価されるものなの。ちゃんとこの2つが備わった所作の振る舞いで無ければ、的に当たってもそれは点数として低い物になるの。

だから普段からそういった隙が無いような振る舞いをしておかないと、本番だけうまくやるなんて出来ないわ。

食事の作法と同じよ。

日頃から気を付けていないと、大切な場面だけ上手にやる何て出来ないでしょ?

勝ちたいんであれば、どんな状況であっても、取り乱すなんてもってのほか。

我を忘れて取り乱すというのであれば、尚更論外。

常日頃から誰かに見られていると思って、落ち着いている事が何よりも大切なのよ。

取り乱すというのは、どんな理由あれど、その人間が未熟者だという何よりの証拠なの。

平常心を忘れるような未熟者は、人に教える資格無しよ。

リーダーの器以上に、組織は大きくならないの。

組織やチームが大きくならないと悩んでいる時ほど、後輩のせいにしがちだけど、それは全く違うわ。

組織は、リーダーの写し鏡(うつしかがみ)そのものなんだから。

誰も見ていない場所でこそ、誰よりもしっかりするのが一番大切なのよ。

…あ、もうこんな時間。

そろそろ晩御飯の支度しないと。

少し待っててね♪すぐに美味しい料理作るから♪
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