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幼少期 クラレンス王国編

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アルクが王都の正門に着くと試験監督のクラークは既に正門に到着していた。

「クラークさん!お待たせしました。」

「いえいえ。僕が少し早く到着しただけですし、時間に遅れているわけではないですから。」

現在の時刻は11時55分である。

「では、少し早いですが、試験開始と言う事で、正門を出ましょうか。」

クラークは正門の外へ歩いていく。

「「はい!」」

アルクと一緒にクラークの後を追うように正門から外に出た。
外は辺り一体の見晴らしのいい草原で正面への直進のみ道が整備されている。
少し風が吹いているがそれも今の自分には心地がいい。

「さて、今回の試験は西の森林地帯です。道は正面にありますが、今回は道を逸れましょう。着いてきてください。」

クラークは整備されていない草原を歩いていく。
その後に2人も続いていく。

「そーいえば、アーシャはモンスターを倒す武器は用意してないのか?」

「え?うん。今回はいいかなって…。そのうち何か買おうかなって思ってるけど、今はそんなにお金もないしね。」

「そうか。俺もこれは親父から貰ってるからあるだけで、それがなかったら中々武器なんて用意出来ないもんな…。」

アルクはそう言うと自分の腰に着いてる剣を握った。

「それってお父さんから貰ったんだ!いいお父さんだね。」

「そうだな…。でも、今日の試験の事を親父に黙っててさ、それが昨日バレて大喧嘩…親父には嫌いだ、とか心にも無い事を言って今日も無言で家を出てきちまった…。本当何やってるんだろうな…」

「そっかぁ…じゃあ無事に試験を終わらせてお父さんと仲直りしないとね。」

「そうだな…。よしっ!試験を合格して、その勢いで親父にもちゃんと謝ろ!」

「うん!そうしよ!」

「だなっ!聞いてくれてありがとな。」

「いえいえ~?お安いご用意だよ。」

2人は楽しそうに話をする。

「2人ともリラックスされてるようで何よりです…。ただ、もう直ぐで森林地帯に入ります。入ると魔物が出てきますので、気をつけて下さいね。」

「「はい!」」

2人はクラークの後を歩きながら目の前に広がる森林地帯を見る。

「俺、ここから先行くのは初めてだな。」

「私も初めて…」

今世では初めてだ、なんて考えながら目的地に向かう。

クラークに連れられアルクと森林に入る。流石に入って直ぐに魔物に遭遇する事は無いが、警戒はしておくべきであると考えていた。

今回の試験の前に前世の知識も使って結構鍛えてはいるから、よっぽど大丈夫だと思っているが、心配なのは前世と今で身体の発達が全然違うから自分が考えているより身体が動かないことである。

「2人とも、僕に着いてきて下さい。」

クラークはそう言うと木陰に隠れる。
2人もクラークの続いて木の裏に身を潜める。

「見えますか?あれがスライムです。」

クラークが指を指す先に青い色のスライムが3体いる。

「はい。」

アルクがそれに返事をする。

「おや…スライムを見た事があるようですね。2人で試験を受けている以上スライムは各々で3体ずつ討伐してもらう必要があります。部位が無くならないように討伐して下さいね。」

「はい」

「アルク、どうする?先にやる?」

「いや、3体いるし、アーシャが先に達成しちゃいなよ?」

「う~ん。それは悪いから、アルクも1体討伐して!」

「わかった。」

「じゃあ、やろっか。」

2人はそう言うと木の陰から出てスライムを狙う。

「ハッ!」

アルクは腰にある剣を抜きスライムを切り裂く。スライムは音もなく形を崩し、中心の核だけが残った。

「えい!」

私はスライムに対して特に魔法も使わずに拳で殴り付けた。
スライムは粉砕され、核だけが綺麗に残った。

「え…まさかの素手…。」

「え?うん?おかしい?」

アルクが若干引いている。
引かれるような事をした自覚はないが、心外である。

「おぉ!2人共、お見事です!アーシェンリファーさんは少し大胆でしたが、この調子なら問題なさそうですね。では、次のスライムを探しましょう!」

「「はい!」」

「次はご自分達でスライムを見つけて貰います。僕が2人について行きますので、2人で好きなように進んでみて下さい。」

「わかりました。アーシャ、行こう。」

「うん。」

アルクがクラークの言葉に返事をすると私の腕を引き次のスライムを探す。

さっきのスライムも上手く力を調整して討伐出来た。やはり今までの修行の成果はしっかり出ていたと感じる。毎日、精神統一とランニング、筋トレと、あと魔法の訓練等々頑張って来たかいがある。

先ほどのスライムの討伐が想像以上に上手く行ったことが嬉しくて今までの修行の日々を思い出していた。


森林地帯に入ってから早くも1時間が経過していた。

「…おかしいですね…。こんなに探索してもスライムの一匹も出てきませんね…。」

クラークが後ろで呟く。


「ですね…。こんなに探索してて魔物が一匹もいないなんて…あり得るんですかね?」

クラークの言葉にアルクが返す。

「わかりませんが…油断は出来ません。気をつけて行きましょう。」

「わかりました。」
「はい。」

2人はほぼ同時に返事をする。

その後も探索を森林地帯の深部にまで入ろうとしたタイミングでオレンジ色のスライムに遭遇し、それぞれ1体ずつ討伐。核を回収することができた。

「おめでとうございます。アーシェンリファーさんは無事3体討伐完了です。あとは、ギルドに戻り、スライムの核を受付に納品すれば無事合格です。後は、アルクさんの分のスライムを見つけましょう。」

「はい!」

「良かったな!アーシャ!」

「うん!ありがと。これからはアルクの分を一緒に探そう!」

「おう!サンキュー。」

2人とクラークは再びスライムの探索を再開した。
すると、森林地帯も深部に差し掛かっているためか、スライムはそれなりの数が生息しており、アルクのノルマも直ぐに達成する事が出来た。

「よし!俺の分も完了だな…むしろここにきて少し余分に討伐出来たな。」

アルクが自分の討伐したスライムの核を見で言う。

「そうだね…私もこれで7体目だ…。まぁ核を売れば少しでもお金になるし…いっか。」

「だな。」

アルクとそんな話をしていると

「2人共、おめでとうございます!この後無事にギルドに核を納品できれば、無事にEランクに昇級です。時間も15時になりました。暗くなる前にギルドに戻りましょう。」

「「はい!」」

クラークが森林地帯から出るために帰路へ歩いていく。私達もそれに続いた。


それから少し歩き、森林地帯の深部を抜けようとした時だった

ガサガサッ…

木々の間から大きな物音がする。

「2人共、下がってください…。物音が大きいです…。後ろの木に隠れてください。」

クラークがそう言うと2人の前に出る。

「わかりました。アーシャ、こっち!」

「うん。」

アルクが私の手を引き近くの木に身を潜める。

クラークは物音がした方を警戒しながら少しずつ近づく。

するとクラークが近づいた木が半回転し、動き出した。

「なっ!コイツはっ!」

クラークが少し驚いたようなリアクションをとったが、直ぐさま火炎魔法でその木を焼き払った。

「危なかったですね…。」

「クラークさんがいて良かったです!」

アルクがそう言うとクラークの元に駆け寄った。

「えぇ。2人共、無事で良かったです。」

「ありがとうございます。」

アルクに続きクラークの元に駆け寄る。

今の魔物って…ダークウッドっ?なんでこんな王都付近の森林にいるの?

「…」

クラークが少し考え込んでいる。

「クラークさん…。今の魔物って…ダークウッドですよね?」

「アーシェンリファーさんはご存知でしたか…。そうです。あれはダークウッドでした。」

「ダークウッド?」

アルクだけが知らずに聞き返してきた。

「うん。ダークウッドって言う、さっき見たような普通の木に擬態して動物を襲う魔物なんだけど…。」

「アーシェンリファーさんも同じ事を考えていそうですから、ハッキリ申し上げますと、ダークウッドは本来こんな王都周辺の森には生息しない魔物なんです。」

そうだ。普通ならこんなところにダークウッドなど出現しないのである。

アルクが驚く。

「ダークウッドと言えば、Bランク冒険者が入れるダンジョンの中や、外にいても認定危険区域内にいる大変凶暴な魔物です。」

「えぇ⁉︎」

「そうですよね…。正直…今回の試験監督がSランクのクラークさんじゃなかったらって思うと…。危なかったです。」

「まじか…。」

「そうですね…私でも倒せるレベルの魔物であった事が不幸中の幸いでした。」

「はい…。」

クラークさんと私は事の重要性を感じこの森林地帯を危惧していた。

「これは、試験とは別にギルドに報告を上げた方が良さそうです。試験以外では普通の中級冒険者も立ち入る森ですからね。そんな場所に高ランクの魔物が出るとなると大変危険ですから…。」

「ですね…いずれにせよ早く王都に戻りましょう。」

クラークに続いて話す。

前世ではこんな事…なかった気がするんだけどな…。

「良くわかんねぇけど、そー言う事なら早く戻ろうぜ。」

アルクが足早に王都に戻るように動き出す。クラークもそれに続いて動きだそうとしたその時


「アルク君っ‼︎危ない!」

クラークがアルクを少し押し出すと
「【紅蓮】」

クラークの右手から出た火炎魔法がアルクに伸びていたダークウッドの枝に当たる。
火を浴びたダークウッドが苦しそうに唸り声を上げる。
クラークはダークウッドの動きが鈍くなったのを逃す事なく続けて火炎魔法を浴びさせてダークウッドを燃やした。

「アルク君!大丈夫ですかっ⁈」

「だ、大丈夫ですっ!クラークさん、ありがとうございます。」

アルクが尻餅をついた状態でお礼を言う。

「不味いですね…これはダークウッドが大量発生してそうです。2人共、走って抜けますよ!」

クラークがそう言うと走り出す。

「「はい!」」

私がアルクの手を引いて身体を起こすと

「ありがと!」

「いいから、行こう!」

そのままクラークに続いて走り出した。

すると左右の木々のほとんどかダークウッドだったようで、クラークと走り出したほぼ同時のタイミングで木々が動き出した。
クラークは動き出したダークウッド達を火炎魔法でどんどん燃やして行く。

「申し訳ないですが、僕も2人を守りながら華麗に走り続けるなんて器用な事は出来そうに無いです!先程Eランク討伐をしたばかりの2人には荷が重い事は承知の上で、ダークウッドの枝が近づいたらご自分ではけて下さい!僕の後ろを走ってくれれば極力2人には近づけさせませんので!」

クラークは早口で指示をしてくる。


「「はい!」」

そういうないなや、ダークウッドの枝がアルクの方へ伸びる。

「フンッ!」

それをアルクは剣で切り裂く。

「アルクっ!」

「アーシャっ!俺は大丈夫だから!」

自分に伸びていたダークウッドの枝を魔力を込めた拳で粉砕する。

「アーシャっ!枝まで粉砕するのかよっ⁈」

アルクが走りながらも私にしっかりツッコミを入れてくる。

「流石にっ!魔力込めてるから!」

それに応えつつ。走る。

「そ、そうか。」

アルクは少し安心したように返す。

(嫌な予感がする…お母さん…大丈夫かな。)

私自身今の状況には困惑しており、ただだたクラークについて行くしか方法がなかった。
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