転生先では幸せになります

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幼少期 旅立ち編(後)

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突然の来訪をしてきたミクリとは話しをしているうちにだいぶ打ち解ける事が出来、今では「ミクリ、と呼んでも良いわよ?あぁ、あと、その敬語もいらないわ。」と言ってもらい、呼び捨てタメ口の許可を貰った。

カイリはそんな姉の姿に「自己中め…」と小言を言ってミクリに怒られていたが、この兄弟にとってこれは日常なのだろう、気にするのを止めた。

私の家でゆったりしながらお喋りをしていると時間はあっという間に夕方になっていた。

「あら、結構時間が経っちゃってるわね。そろそろ帰るわよ。」

と言いミクリがソファーから立ち上がる。

「そっか。ねーちゃんだけ、先帰れば良いよ。」

「はぁ⁈」
「えっ?」

ミクリも私も2人で一緒に帰るのだと思っていたのでカイリがミクリに先に買えるように言ったのには驚いた。

「アンタ、何言ってるのよ?もう夕方なんだから、早く帰らないと19時の、過ぎるでしょ⁈」

「え?」
「…」

ミクリの言葉に私は驚いた。
学園の寮に門限がある、つまり今までのカイリは門限が過ぎた後にコッソリ帰っていた事になる。

「だ、だって、俺がアーシェンリファーの家に遊びに来たのに、ねーちゃんが急についてきて…挙げ句の果てにねーちゃんばっかりアーシェンリファーと喋ってさ…」

とカイリが少し拗ねていた。

そんな姿に(可愛いな…)とホッコリする反面、門限があるなら帰らせないと、という思いが強くなった。

「カイリ、門限があるなら今日は帰った方がいいんじゃない?」

私が帰宅を促すと

「そうよ、アンタ、学園寮までの道のりもあるんだから、この時間に出ないと間に合わないわよ。」

「…別に、何とかなるし…」

「はぁ⁈訳わかんないこと言って!」

「…」

カイリはミクリの言葉に黙ってしまったが

兄弟同士で会話をしているなかで思った事があった。

(あれ?カイリって確か魔法の力で瞬時に帰宅してたような…)

でも、ミクリの言葉を聞いているとカイリの力の事は知らなそうに見える。

と考えていると、

(そういえば、今日はシロクロ達、見てないな…)

と言う事にも気付く。

もしかして、自分の力は身内にも言ってないのでは?

と言う疑問にたどり着いた。

カイリの顔を見ると、少し悲しそうな顔してコチラを見ている。

そんな姿が少し可哀想だったので

「えっと…カイリ。また来てよ。門限があるなら、今日はミクリと帰った方がいいんじゃない?」

「ふんっ‼︎当たり前よ‼︎」

私の言葉にミクリも重ねる。

「…分かった。門限あるし、今日は帰る。」

カイリが渋々ソファー立ち上がった。

そしてこちらを見ると

「…また、来るね」

と聞いてきたので

「勿論!いつでも来てよ!」

私は笑顔で返した。

「う、うん!ありがとう。」

「はぁ…ほら。行くわよ。」

ミクリが玄関からカイリを呼びつける。

「もう、分かったよ。アーシェンリファー、またね。」

カイリも玄関に向かい、ミクリに言葉を返す。

「うん、また来てね!」

私が玄関まで見送りをし、2人は家から出て行った。

私は2人が出ていった後、リビングのソファーに倒れるように転がった。

「カイリに…ミクリ…良い子達だったな…」

(学園に入れば同年代の子が沢山いるんだよね…私でもいっぱい友達作れるかな…)

期待に胸を膨らませる。

「そういえば…」

今日ミクリが話をしていた内容の一部を思い返す。

━━━━

「アーシェンリファー、アンタ勉強は出来るの?」

「べ、勉強?」

ミクリが突然尋ねてきた。

「そう。スメラギ学園に中等部から編入するって事は、入学前年に編入試験を受ける事になるわ。その試験に合格しないと学園なんて入れないわよ。」

「…そーいえばそうだったね。」

「アーシェンリファーなら、だ、大丈夫だよ!」

私のリアクションに心配したカイリが励ましてくれたのだが

「アンタ、何無責任なこと言ってるのよ。そんなこと言って、念願の学園の試験に落ちたら洒落にならないじゃないの。」

「う…た、確かに…」

とカイリが少し落ち込んだ反応をした。

「え、えっと…学園の試験って、難しい?」

「高難度に決まってるじゃない。スメラギ学園は世界3大教育機関と言われている名門校よ?」

ミクリが腕を組みながら言った。

「確かに、そうだよね…勉強したほうが良いのかな…」

(前世で通ってたクラレンス学園での授業範囲なら問題ないけど、スメラギ学園のレベルがわからないしな…)

「当たり前じゃない‼︎アンタがどの程度が知らないけど、まずはスメラギ学園のレベルを知るべきだわ。」

「う、うん。お、俺もそう思う…。」

「そうだよねぇ…でも、入学前の段階で学園のレベルなんてわからなくない?」

「何言ってんのよ。編入試験の為のテキストくらい、本屋で売ってるわよ。」

「え?そうなの?」

「当たり前じゃない。それくらいの情報はないと誰も編入出来ないじゃないの!」

「…確かに。」

(なんでそんな事も考えてなかったんだろう…)

自分って頭悪いなって思ってしまった。

「まずは、過去に実際に出てきた試験内容が分かるテキストとか買って、中等部への編入に必要な知識のレベルを把握しなさい。言っておくけど、この中に中等部の人間なんていないんだから、誰もわからないんだからね。」

「うん。」

「で、テキスト見てみてチンプンカンプンのようならまずは全力で勉強よ!」

「そうだね!」

「アンタ、本当に大丈夫なのかしら?そんな事まで言われてるようでは先が思いやられるわ…」

ミクリが盛大な溜息を付いて呆れていた。

「アハハ…ごもっともな事で…」

何も言い返せなかった。


━━━━

と言う事だった。

今まで、学園に入る事前提で進めていたが、そもそも学園に入れるだけの技量が自分にあるかなんて、まだわからないのだ。

クラレンス王国で本の虫になっていたから勝手に勉強は大丈夫、だなんて過信していたが、それはよくない事に気付かされる。

(明日依頼を受けた後、本屋にでも行ってみよう…)

私はソファーから身体を起こし、シャワーを浴びに行った。







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