知らない世界に転生したと思ったら、すぐ側にガチ勢がいた件について

花宮

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二章 〜思惑〜

十五話 『訳』

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そして放課後。私は今、ローラと一緒に帰っている。いつもだったら馬車が来るんだけど……


「リリィが怒っちゃって、馬車じゃなくて歩いて帰ることになりました」


「あはは……」


はぁ、とため息をつくと、ローラは苦笑いをした。あの心優しいローラですら苦笑いをするぐらいだから、今のリリィの怒り具合は相当なものなのだと思う。


でも、そもそも私が怒らせたようなものだし……自業自得ではあるんだけどなぁ……はぁ、本当に申し訳ないことをしてしまったわ。どうにかして謝らないと!


「明日、私もリリィさんに謝ってみましょうか?」


「え、ローラが!?」


ローラがそんなことしたら更に私の怒りを買うだけでは!?と思った私は、慌ててローラを止める。


「いいえ!流石にそこまでしてもらうわけにはいけませんわ!無実のローラまで巻き込むわけにはいきませんわ」


「ですが……」


それでも、とローラは食い下がろうとする。本当に良い子だなぁ……でも、これ以上迷惑をかけるわけにもいかないしなぁ……


「本当に大丈夫ですから!その気持ちだけ受け取っておきますわ!」


私がそう言うと、ローラは渋々といった様子で引き下がった。


△▼△▼


そして、


「リリィ!ごめん!!」


「許しませんわ」


家に帰って早々、私はリリィに対して土下座をした。しかし、リリィは冷たい声で拒絶してきた。うう……やっぱり許してもらえないのか……まぁ、立場を逆にしてみれば私だって怒るし、当然っちゃあ当然なんだけどさ……


「私が怒っているのはナタリー様が私の後をコソコソつけ回していたことではありません。ローラ様まで巻き込んだことですわ」


やっぱりそこかー。まぁ、それは覚悟はしてたけどさ……
しかし、ここで引くわけにはいかないのだ。だってまだ聞いてないもの。リリィがここ最近、何をしていたかを。


「それは本当にごめんなさい!反省してます!」


「……反省しているんですね?もう二度としないと誓ってくれますか?」


「はい!」


私は元気よく返事をした。すると、リリィは呆れたようにため息をついた後、言った。


「……分かりましたわ。今回は許します。ただし、次はありませんからね?」


「はい!」


私には尾行だなんて、そんなストーカーみたいな真似は到底できないということがよく分かった。やはり、ストレートに聞くのが一番だよ、うん。
こうして、何とか許してもらえた私は早速本題に入ることにした。


「それで!リリィ、最近、何かコソコソしているでしょ?私はそれが気になって仕方ないのよ」


「コソコソ、ですか………」


私がそういうと、リリィは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。私はそれに気づかないフリをして、リリィに詰め寄る。


「どうなの?教えてくれない?」


「ナタリー様……わかりました。お話ししますわ」


リリィは諦めたようにため息をついた後、話し始めた。


「ナタリー様、先日言ってたじゃないですか。アシュリー・ベルナール様のことが気になるって」


「うん、言ったけど……」


それがどうかしたの?と思いリリィの方を見ると、


「漫画の中だとアシュリー・ベルナールは……ローラ様に恋心を抱いていました。所謂、百合!つまり!ナタリー様のライバルですわ!」


リリィは興奮気味にそう言った。百合だったの?というか、ライバルって……別に私とアシュリーは恋敵じゃないんだけどなぁ?どっちかというとレオン様なんだけど。アシュリーのライバルなら、私じゃなくてレオン様なんじゃない? でも、リリィは話聞いてないし……


「それで、私は思ったんですの。アシュリー・ベルナールは敵!なら、ライバルであるナタリー様の恋の邪魔をするべきではないのではないかと!」


リリィがそんなことを言ってきて、思わず頭が痛くなってきたし、謝ったことを心底後悔している。もちろん、ローラを巻き込んだのは悪いと思ってるしそこは反省するとしてもリリィの暴走は止めないと……


「だから!見守ってましたわ!アシュリー様のことを!」


……私、もしかしてストーカーのストーカーしてた?リリィもアシュリーにストーカーしてた? ええ……何それ、怖すぎるんだけど……


「ねぇ。知ってる?リリィ。それね、ストーカーって言うのよ」


「失礼な!私はストーカーではありませんわ!」


リリィは心外ですわ、とぷりぷり怒る。
いや、どう考えてもストーカーでしょ……自覚がないのが余計にタチが悪いけど……


「とにかく、私はアシュリー様のことを見守ることに決めたんですの。だから邪魔しないでくださいね、ナタリー様」


「いや、それは……」


「いいですね?」


リリィが有無を言わさぬ口調でそう言ってきたため、私は頷くしかなかった。


「分かりました……」


私が渋々了承すると、リリィは満足そうに頷いた。………やっぱりこの子……監視しないとやべーやつだわ……
こうして、私は新たな厄介事を抱えてしまったのだった。……これほど聞かなきゃよかったって後悔することある?と後悔するほどには……


「(監視しねーとな……)」


なんて、考えていた。
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